アメリカ不動産に興味があっても、リスクに対する不安から、不動産投資を躊躇している方も多いでしょう。
このような問題を解決するためには、アメリカの不動産に強い不動産会社やエージェントの存在が欠かせません。信頼できるエージェントを見つけることは、アメリカ不動産投資を成功させるための重要なポイントです。
今回は、アメリカ不動産にたずさわるエージェントのタイプやそれを利用するメリット、エージェントの選び方などを解説していきます。
アメリカ不動産仲介会社・エージェントを利用する3つのメリットとは?
1.エージェントと各専門家との役割分担で透明性の高い取引が可能
アメリカ不動産市場の特徴は、透明性と公平さが担保されていることです。このような市場が形成された背景には、徹底した消費者保護の考え方が根底にあり、法律や分業体制がきちんと整備されています。
例えば、アメリカ不動産の取引は、エスクローという第三者機関を通じて進めます。エスクローの役割は、物件に関連する権利関係の確認や決済資金の精算対応などです。
さらに不動産エージェントは、インスペクター(建物検査員)、アプレイザー(鑑定士)、タイトルカンパニー(権原保証会社)、モーゲージブローカーなどの専門家との分業化や役割分担を行い、各種手続きの履行をけん引していきます。
アメリカ不動産投資では、それぞれの有資格者が利害関係を絶った関係を持つことで、安全且つクリアな取引が可能となっています。
2.希少価値の高い不動産データベース「MLS」にアクセスできる
アメリカでは全米不動産業協会 (National Association of Realtors)が、MLS(Multiple Listing System) という不動産のデータベースを会員に提供しています。
MLSには、物件価格・広さ・画像のほか、登記情報や修繕・売買履歴に加え、災害リスクや税務情報に至るまで豊富な情報が登録されています。同協会に所属するブローカーやエージェントのみにしか閲覧できない情報もありますが、彼らを通して購入者もこれらのデータにアクセス可能です。基本的に市場にある全ての物件が網羅されています。
MLSが利用されているために、中古物件に関しては特に、アメリカではエージェントごとの情報量に差がありません。一般的な販売物件の情報は、MLSを参照すればどんなエージェントでも取得可能だからです。なお、アメリカの不動産市場には、圧倒的に中古物件の方が多くなっています。
このため、アメリカ不動産のエージェントは、物件情報よりも対応の質の方が差がつきやすいと言えます。アメリカ不動産投資をするのであれば、不動産会社は対応の質によって選ぶ方が適当です。
3.不動産の購入者は仲介手数料を支払う必要なし
日本では、不動産の取引時に仲介会社が入る場合は、売主と買主が共に取引価格の3%(税別)の手数料を仲介会社に支払います。一方、アメリカの場合は、取引価格の6%にあたる仲介手数料を売主が全額負担します。
このため買主は自分の気に入ったエージェントを選び売買交渉などを依頼しても、仲介手数料を負担する必要はありません。
これはアメリカ不動産投資における大きなメリットと言えます。また、買主は仲介手数料を支払わない代わりに、インスペクション(建物検査)など他の諸費用に資金を充当可能です。
アメリカ不動産の不動産業者について
日本では不動産取引を仲介できるのは宅建士だけです。しかし、アメリカでは不動産関連の資格が複数あります。それぞれの違いについて理解しておくことは重要です。
アメリカの不動産販売資格について
アメリカで不動産の購入や売却を考えた場合、多くの人は不動産エージェントにコンタクトします。不動産取引の窓口として一般的なのは「リアルター」「リアルエステートエージェント」などと呼ばれている人たちです。
このようなエージェントになるには、「リアルエステートセールスパーソン(セールスパーソン)」、または、「リアルエステート(ブローカー)」の資格試験に合格していなければいけません。加えて、州ごとに資格が異なるため、担当する州の資格が必要です。
ブローカーは自分で会社を経営し、不動産エージェントとして仕事をできます。しかし、セールスパーソンは自分で会社をつくることはできず、ブローカーのもとでしか働けません。ブローカーとセールスパーソンとでは、ブローカーの方が上級資格となっています。
また、ブローカーのもとでエージェントが不動産売買をするといっても、ほとんどの場合はエージェントが自ら顧客を集めます。気に入ったエージェントがいれば、ブローカーや不動産会社ではなく、直接そのエージェントに連絡をとるのがおすすめです。
物件の買い取り再販をしている不動産会社も少なくない
例えば近年日本人投資家からも注目を集めるテキサス州ダラスには、多くの日系不動産会社が進出しています。
そして、日系不動産会社の中には物件の買取再販をしているところも少なくありません。日系不動産会社のエージェントは、言語や商習慣に違いがないため、コミュニケーションを取りやすい利点を持っています。
しかし、買取再販の物件には、物件価格にリフォーム費用や業者の利益が上乗せされていることも多いものです。日系不動産会社が販売する全ての物件が同様とは限りませんが、周辺相場よりも高価格で物件を購入すると、物件売却時に値下げを迫られることもあります。
そのほか、家賃も高めに設定しないと利回りを確保できない一方で、家賃が高いと空室リスクが上がる点にも要注意です。アメリカ不動産会社では、不動産会社とともに物件価格等の妥当性についても検証することが重要になります。
アメリカ不動産に強いエージェントを選ぶ5つのポイント
1.気になるエージェントを直接インタビューしてみる
アメリカ不動産の取引を行う場合、エージェントとは個人情報を共有することが多々あります。
アメリカのエージェント選びで重視すべきポイントは信頼性です。不動産に関連する知識は2番目と言えます。まずは不動産エージェントに連絡をし、応答対応などから判断していくのが妥当です。
エージェントにはインタビュー段階であることを必ず伝えたうえで、気になる点を質問するのがおすすめです。取扱物件の種類や、客層などについて尋ねるとともに、自分の要求内容に対して、そのエージェントが満足できるサービスを提供できるか見極める必要があります。
2.過去に売買をした人々からの評価を検索してみる
エージェントの質を判断する材料として、過去に売買をした人からの評価や推薦など、ネットで検索することも可能です。口コミからエージェントの対応を確認できることもあります。
3.不動産知識を高めるために、常に勉強を重ねている
例えば、専属バイヤーエージェント資格のABR(Accredit Buyer Representative)を取得しているエージェントは、住宅の購入に特化した講習を受講しています。ABRの取得者であれば、よりきめ細かなサービスを期待可能です。
4.専業エージェントかどうかも重要なポイント
アメリカで不動産エージェントになるためには、通信講座を受講して試験に合格すればよいため、副業としてエージェント業をやっている人もいます。特に景気が良くなるとエージェントになる人も増える傾向にあり、医者、弁護士、学校の先生なども夏休み期間を使ってパートタイムで働いていることもあるほどです。
ただし、不動産を売買しなければ一銭も稼げないため実力社会であることは間違いありません。不動産の購入に際しては専業エージェントを選ぶ方が無難です。
5.金融機関の担当者とコネクションを持っている
日本国内の不動産投資では、金融機関の担当者とつながりを持つことでローンを利用できる確率が上がることもあります。金融機関の担当者とのつながりが重要な点は、アメリカ不動産投資の場合も同様です。
金融機関の担当者と個人的なコネクションを持っている不動産エージェントを見つけられれば、現地の金融機関でローンを利用できることも考えられます。
投資目的を明確化すると不動産エージェントも探しやすい
アメリカ不動産投資において、不動産エージェントを探す上で重要なポイントは、先に投資目的を明確化した上で、立地条件や利回りなど物件探しの優先順位をつけることです。
すでに解説した通り、アメリカ不動産投資では、不動産エージェントが持っている物件情報にそれほど差がありません。自分にあった不動産エージェントを探すためには、自分の投資目的や希望をどこまで汲み取ってくれるかを測る必要があります。このため、投資目的や希望条件が具体的であるほど、理想的なエージェントが見つかる可能性が上がります。
まとめ
アメリカには様々な不動産資格が存在しており、副業として不動産エージェント業を営む人も少なくありません。
また、参照できる物件情報にはエージェントごとに大きな差がないことにも要注意です。自分にあった不動産エージェントを探すためには、自らの投資目的や希望条件をどこまで汲み取ってくれるか、エージェントごとに比較することが重要になります。