ASEAN10カ国、6億2,000万人を擁する巨大市場の中で第2位の名目GDPを持つ国、タイ。外国資本を次々に導入し飛躍的な経済発展を続けています。

タイは今後もASEANの中心的な役割を果たしていくと見られていることや、多くの日本企業にとってもビジネス上の歴史があり、重要な投資先であることは言うまでもないでしょう。

このような事情からも、タイの不動産投資熱はとどまることがありません。

今回は「タイの日本人街」とも称される、「シラチャ」にスポットを当て、エリア概要から不動産価格、おすすめの投資エリアまでを取り上げていきます。

世界有数の日本人街「シラチャ」

シラチャはタイにあるチョンブリー県の郡の1つで、人口約22万人。中心地はタイランド湾に面し、東側には山岳地帯が広がっています。

チョンブリー県の県庁所在地であるチョンブリーと高級リゾート地で知られるパタヤの中間に位置し、首都バンコクから車で約2時間。最も近い国際空港、スワナプーム空港からは1時間20分程度の距離にある小規模の町です。

1990年以前は漁村だったこのエリアも、現在の主要産業は農業と工業。三菱電機、ブリジストン、住友鉄鋼をはじめとした多数の日本企業進出により、世界でも有数の日本人居住街として発展し続けています。

日本人経済効果で成長したシラチャには、日本人在住者が約10,000人も居住しているといわれ、その多くがシラチャ市内に滞在しています。

このため市内には、日本人会、日本人学校、幼稚園などがあるほか、日系モールや日本食レストラン、旅行代理店、ホテルなど、日本人を対象としたビジネスも数多く存在します。

シラチャの不動産(コンドミニアム)も価格はバンコクの半分!?

日本人になじみ深い街となったシラチャは、現在、コンドミニアム建設がラッシュを迎えています。この背景には、近年、単身者よりもファミリー需要が増えていることが挙げられており、シラチャの不動産物件にも変化が表れつつあります。

そんなシラチャの物件を、バンコクの不動産物件と比較してみましょう。はじめにシラチャの例として、シラチャ中心街・商業エリアにあるコンドミニアムをピックアップしました。

2012年築、23階建ての9階にある北東向きのユニットです。海岸や公園、ロビンソンデパート、各種飲食店など、どこへ行くのにもアクセスが良い最高の立地となっています。

間取りは2ベッドルーム 1バスルーム(シャワーのみ)で面積62平方メートル、参考価格は5,800,000タイバーツ(約2,000万円)です。日本人オーナーの掘り出し物件で、かなりお値打ちな値段になっています。

次に、首都バンコクにある日本人居住区の中でも特に人気の高いスクムビットソイ24に立地する、2016年築のコンドミニアムを見てみましょう。46階建ての29階にある南東向きのユニットです。

周辺には数々の大型商業施設やスーパー、日本食を含むレストラン、おしゃれなカフェ、ベンジャシリ公園などがあり、全て徒歩圏内。国際色豊かな住人が多くコスモポリタンなエリアの1つとなっています。日本人にとって便利な立地にあるコンドミニアムのため、日本人テナント獲得が期待できる物件です。

間取りは2ベッドルーム2バスルームで面積55.02平方メートル、参考価格11,640,000タイバーツ(約4,000万円)となっています。シラチャのコンドミニアムと比べて若干小さいものの、バンコクで最高クラスの立地ということもあり、価格はシラチャの倍となっています。

シラチャで不動産を買うのにおすすめのエリアは?


現地にある日系不動産エージェントによると、シラチャはバンコクよりも価格が安いうえ、賃料が高止まりしています。需給バランスが崩れているため、不動産投資家から見ると興味深いエリアと言えるでしょう。

シラチャはおもに、「シラチャ市内中心」「アサンプションエリア」、そして「J-PARKエリア」という3つのエリアに分けられ、これらのエリアがシラチャで不動産を買うのにおすすめのエリアです。

シラチャ市内中心

シラチャの老舗デパートであるロビンソンデパートを中心に、日本人向けの飲食店などが数多くあるエリアです。このあたりは、日本人が増えだした頃から栄え始めたという経緯から、日本人が暮らす上で必要な環境が整っており、特に日本食に関してはとても便利なエリアです。不動産としては、コンドミニアムが集中しています。

アサンプションエリア

イオンが自社開発した「イオン・シラチャ ショッピングセンター」がオープンしたこのエリアでは、不動産の建設ラッシュが起こり、新築コンドミニアムや再開発が目を引きます。イオンモールができたことで、シラチャの中心エリアがロビンソンデパート周辺から、ここイオンモール周辺へと移行しつつあるなど、近年、注目を集めているエリアです。

J-PARKエリア

ジェイパークは日本をイメージして作られたモールで、マックスバリューなど、日本でもよく知られる店舗が入っており、日本人はもちろん地元タイ人にも人気です。この地区は郊外のため、不動産物件としては一軒家なども選択肢となり、ムーバーン(一戸建ての住宅街)が数多く点在。シラチャ日本人学校はこの近くにあり、周辺のムーバーンにはお子様連れ駐在員の世帯が目立つエリアです。

まとめ


今回は、タイにありながら、多くの日本駐在員などの影響で日本人仕様となった珍しい町シラチャにスポットを当て、エリア概要から不動産価格、おすすめの投資エリアまでを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

シラチャはこれからも町としての発展が大いに期待されており、日本人にとっても更に住みやすいエリアになっていくことでしょう。今回の記事が、タイの不動産購入を考えている方にとって検討材料の1つとなれば幸いです。