「移住先としてのベトナムが知りたい!」
近年、ベトナムは日本人の移住先として人気上昇中です。日本に住んでいるとベトナム文化に触れる機会はそこまで多くはないため、日本人にあまり馴染みのある国ではないかもしれません。
しかし、ベトナムは東南アジア随一の親日国であり、独自の食文化など文化面でも非常に面白い国です。今回の記事ではベトナム移住のメリット・デメリット、ビザについて解説していきます。
ベトナム移住の6つのメリット
1.笑顔でフレンドリーな国民性(親日国)
ベトナム人はとてもフレンドリーで、いつでも笑顔を絶やさずにポジティブです。またベトナムは親日国であり、歴史的には日本とそれほど関わりがないものの、ベトナム人は日本人に好印象を持っています。
日本人がベトナム人に好まれる理由は「日本人観光客の礼儀の正しさ」です。ベトナムは日本人の旅行先として高い人気を誇っており、ベトナム観光総局によると、2017年には年間約80万人の日本人がベトナムを訪れています。ベトナム観光政府も日本人観光客を増やそうとしており、日本を重要なパートナーと考えています。
ベトナム人は日本人に洗練されたイメージを抱いています。近年ではベトナムの都市部に日本食レストランも増えており、ベトナム人の日本文化に対する興味の高さが伺えます。
2.残業がなくリラックスした労働環境
ベトナム人の労働観は日本人とは大きく異なります。ベトナムでは仕事より家族を優先するのが一般的です。日本では「残業するのが普通」と捉えている人も少なくありません。
しかし、ベトナムでは残業という文化は浸透していません。東南アジア全体に言えることですが、ベトナムでは予定通りに仕事を進めるよりも、余裕をもつことが優先されます。そのため、「日本の労働環境に疲れてしまった」という理由でベトナムへ移住する日本人も非常に多いものです。
実はべトナムは継続して高い経済成長率を記録しており、日本人の起業先としても非常に人気があります。移住して起業するという選択肢も非常に魅力的ではないでしょうか。
3.物価が安い
近年、ベトナムでは経済発展に伴って以前よりも物価が高くなりつつあります。しかし、日本の物価に比べれば依然として安いものです。日本の1/3~1/5の価格でモノやサービスを購入できます。
今回は実際にベトナム・ホーチミンに移住した日本人の生活費をご紹介します。
費用 | 生活費(一カ月当たり) |
---|---|
家賃 | 4万円(1LDK) |
食費 | 3万円(自炊中心で時々外食) |
交通費 | 1,500円(バイク移動) |
水道光熱費 | 5,000円 |
通信費 | 6,000円(携帯+インターネット) |
趣味 | 3万円(観光、ジム、お酒₎ |
合計 | 11万2,500円 |
この方は大都市・ホーチミンに住んでいるため、地方に比べれば生活費は高めです。しかし、それでも11万円ほどに収まっています。上記はあくまで一つの例にすぎませんが、基本的には11~15万円あればベトナムで問題なく生活できると言えるでしょう。
4.日本まで6時間と比較的近い
外国への移住にあたって気になるのが日本との距離。その点でもベトナムは非常に魅力的な移住先となります。
【日本からベトナムへの直行便目安時間】
羽田空港または成田空港からハノイ国際空港まで:約5時間30分
関西空港または中部国際空港からハノイ国際空港まで:約5時間
福岡空港からハノイ国際空港まで:約4時間
日本からは、ベトナム南部都市ホーチミンにあるタンソンニャット国際空港または、中部に位置するダナン国際空港までも、約5~6時間ほどで移動できます。そのため、気軽に日本・ベトナム間を移動可能です。
5.「フォー」や「生春巻き」も!世界が認める美食の国
「ベトナム料理はアジアで一番!」と言われることもあるくらい、ベトナムには美味しい食べ物が多くあります。他の東南アジアの料理に比べても、ベトナム料理は日本人の口に非合いやすいといえます。
最近、東京でもよく見かけるようになった「フォー」は代表的なベトナム料理です。
本場ベトナムでは、フォーに乗せるパクチーがセルフサービスとなっていることも多く、パクチー好きにはたまりません。
他にも、生春巻きやバインミーなど本当に美味しい料理がたくさんあります。また、フランスの植民地だったベトナムでは、本格的なフレンチも楽しめます。もちろん、日本料理のレストランもたくさんあります。移住する上で壁となる食文化ですが、ベトナムではその心配はいらないかもしれません。
6.日本人も多い
外務省のデータによると、ベトナムには約1万6千人の日本人が暮らしています。在留日本人の数は常に上昇傾向で、現地には日本人コミュニティーもあります。
移住先に日本人がいるというのはやはり非常に安心です。異国の生活で困ることがあればすぐに聞ける上に、孤独を感じることも少なくなります。日本人がもっとも多いベトナムの都市はホーチミンです。そして次にハノイとなっています。
1万6千人の在留日本人に加えて、年間80万人の日本人が訪れるベトナム。今後も、在留・観光の両方で日本人の数は増えていく見込みです。
ベトナム移住のデメリットや注意点
安価な生活費や就労環境などにメリットがあるベトナム移住ですが、特に子育て中の方や持病がある方などには注意点もあります。
子連れ家庭には環境が心配
ベトナムでは、都市部でも鉄道網が未発達なため、メインの交通手段はバイクです。家族5人乗りや大きな荷物を運ぶのも当たり前。交通マナーが悪く死亡事故も多いため、外出時は要注意です。
また、大気汚染も深刻な問題です。ハノイなどではスモッグが立ち込めており、健康への影響が懸念されています。
住居に関するトラブルには要注意
設備や内装の修繕など、施工チェックに関しては説明もベトナム語で行われるのが一般的です。そのため、説明内容を理解しないまま不動産を購入すると、トラブルのもとになります。できる限り、日本人が経営する不動産会社を利用するのがおすすめです。
病気の治療は移住前に
ベトナム現地では日本の国民健康保険が使えないため、保険に加入していない場合は治療費が高額になることもあります。移住前の保険加入は必須ですが、病気はなるべく日本で完治させておいた方が安心です。
また、ベトナムの病院では、日本と違って料金が前払い制となっています。先に治療費を用意しておかないと、そもそも治療を受けられないので要注意です。
移住前に予防接種を受けておく
海外移住、特に東南アジア圏に移住する場合に気になるのが「予防接種」です。日本に比べて衛生意識が低い東南アジア諸国では、感染症により体調を崩す日本人は非常に多いものです。
もちろん、ベトナムも例外ではありません。ベトナム移住を考えているのであれば、以下4つの予防接種をオススメします。
①A型肝炎
②B型肝炎
③破傷風
④狂犬病
予防接種は保険適用外で高額なお金がかかるため、予防接種をせずに移住をする人も少なからずいます。しかし、ベトナム移住の前には、最低でもA型肝炎とB型肝炎の2つについて予防接種を受けるのがおすすめです。
予防接種は複数回にわたって注射することで抗体ができます。移住が決定した段階で1回目を受けるなど計画性が大切です。
2回目まで日本で打って3回目以降からベトナムで打つことも可能です。ホーチミンやハノイには日本人医師が常勤する病院があるため、安心して予防接種を継続できます。
ベトナム移住に利用できるビザ
海外移住を実現するためには長期滞在ビザの取得が必要です。ベトナム移住に利用できるビザについて解説します。
観光ビザ
ベトナムは観光ビザでも3カ月間滞在できます。最初に現地の雰囲気を見るため短期で滞在するには、観光ビザがおすすめです。旅行会社にビザの手続きを依頼する場合は、発行手数料を含め、50ドル程度の費用を要します。1回だけ1カ月の延長が可能ですが、費用が高くなるので要注意です。
商用ビザ
商用ビザは1カ月〜3カ月の滞在が可能で、出張に使われるビザです。ベトナムにある企業や外資企業の支店などで働く、その他専門組織の代表者として働く外国人が主に取得します。
就労ビザ
初めて就労ビザを取得する場合は、日本国内での申請はできません。商用ビザでベトナムに入国し、労働許可証を取得後に現地で就労ビザに切り替えます。
ベトナムで就労するなら、就労ビザと労働許可証(ワークパーミット)が必要です。1年以上滞在するためには、一時在留許可証(テンポラリーレジデンスカード)の取得を要します。
帯同ビザ
就労ビザなど特定のビザを取得した人の配偶者(18歳未満の子ども、またはベトナム国民の両親、配偶者、子ども)が取得できます。有効期間は最長で12カ月です。
ビザ取得の注意点
ベトナムのビザにはそれぞれシングルビザとマルチビザの2種類があります。シングルビザは1度出国すると無効になり、マルチビザは期間内に何度でも出入国できます。
マルチビザの方が高額ですが、ビザの期限内に日本へ戻らなければならないといった場合におすすめです。また、ベトナムには、ロングステイビザやリタイアメントビザ(退職者ビザ)など、長期滞在・定住プログラムがありません。
ベトナムでできる仕事や注意点は?
飲食やIT関連の仕事ならチャンスあり
ベトナムでは本格的な日本食レストランや日本のレストランチェーンが多く進出しているため、そういった場所で勤務する日本人が多くいます。
また、中国系企業の工場移転が多く、技術者であればそのスキルを活かして就労可能です。日本企業のオフショア開発もあり、IT関連の経験の持っている方も有利です。
仕事探しは移住前から始めることが肝心
ベトナムに移ってから仕事を探し始めると、言語の違いやレスポンスのスピードなどにストレスを感じるものです。このため、仕事探しは移住前にする方が安心です。転職サイトを利用すれば、日本からもベトナム現地の求人を簡単に探せます。
言語の勉強も必要
ベトナムでは、日本語は都心部の一部でしか通じません。英語やベトナム語の勉強をしておくと仕事の幅が広がります。ベトナムの日系・外資系企業では、英語力の目安は次のようになります。
・基礎レベルTOEIC500点程度
・日常会話レベルTOEIC600点
・社内コミュニケーションレベルTOEIC700点
・ビジネスレベルTOEIC800点
英語力に自信があるならば、プラスアルファでベトナム語を学んでおくと、現地スタッフの印象も良くなるでしょう。
ベトナムへ移住するのにおすすめエリア
経済の中心地「ホーチミン」
ホーチミンはベトナム経済の中心地です。数多くの外資系企業がビルを構えており、ファンシーなカフェやレストランが多くあります。
フランスの植民地時代の名残りが残っており、まるでフランスにいるように感じてしまう建造物が残っています。また、ホーチミン周辺にも素敵な観光地が多く、バスで2時間でアクセスできるビーチリゾート「ブンタウ」は「ベトナムの熱海」と呼ばれています。
政治の中心地「ハノイ」
ハノイはベトナムの首都であり、政治の中心地であり、芸術の街です。ハノイが持つ最大の特徴は「四季」が存在することです。5~9月は雨季で湿気が多い時期が続きますが、それを除けば比較的過ごしやすい気候になります。
ベトナム唯一の世界遺産「ハロン湾」には、ハノイから車で3時間でアクセス可能です。ハノイには、フランス統治時代に描かれた「ベトナムアート」から息をのむような大自然まで、様々な魅力があります。
ビーチリゾート「ダナン」
ダナンもベトナム移住先として魅力的な都市です。ホーチミンやハノイに比べると知名度はまだ高くありませんが、現在世界から注目を集める都市のひとつです。
ベトナム中部に位置するダナンにはビーチリゾートがあり、「ミーケビーチ」は米雑誌フォーブスの「アジアの魅力的なビーチ6選」にも選ばれています。観光地としての人気だけではなく、近年はビジネスの都市としても世界からも注目を集めています。
まとめ
ベトナムは食事、観光、芸術のどれを取っても非常に魅力溢れる国です。多くの日本人が観光そして移住しているため、安心できる移住先でもあります。
1カ月に生活費が11~15万円ほどに抑えることができるのも大きなポイントです。少しでもベトナム移住に興味があるなら、ぜひ一度観光で訪れてみることをおすすめします。