「いつか、アメリカに移住したい。」
そう憧れている方は多いのではないでしょうか?
アメリカはIT、医療、教育、エンターテイメントなどあらゆる分野で最先端の国であり、世界中から留学生や移民が集まる国でもあります。
今回はニューヨークに9年半の在住経験がある筆者が、アメリカ移住に関するメリット、デメリット、必要なビザ、そしてオススメな地域をご紹介します。
アメリカ移住の5つのメリット
それでは、アメリカはなぜ魅力的なのかメリットを見ていきましょう。
1.ビジネスチャンスが無限にある
アメリカン・ドリームという言葉通り、アメリカでは努力し実力さえあれば、人種、性別、年齢、学歴、経済的地位などに関係なく誰もが成功をつかむことができると言っても過言ではないでしょう。
一般企業で働く場合でも能力があれば年齢、性別に関わらず出世することができます。年収、キャリアアップのために数年で転職するのもアメリカでは一般的です。
2.世界最高水準の教育を受けられる
世界大学ランキングでは毎年アメリカの大学が上位を占めています。名門大学の数も多く、図書館や研究施設などの学業面を支える様々な施設がとても充実しています。
優秀な教授陣の下で世界中から集まる学力や多方面に才能を持つ学生達と一緒に学ぶことができます。英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが発表した2018年度のランキングでは、英国大学2校に次ぎカリフォルニア工業大学が3位に選ばれました。
この大学は2000人程度の学生しかいない小さな大学ですが、1891年設立以来、現役の教授5名を含み計37名のノーベル賞受賞者を輩出しています。ほとんどのクラスが6〜7名と少人数制なので学生と教授との距離が近いうえ、最先端の研究に携わることができます。
3.日本食材が手に入りやすい
大都市や日本人が多く住んでいる地域では日系スーパーがあるため、とても簡単に日本食材を調達することができます。
基礎調味料はもちろんのこと、冷凍食品、レトルト食品、生鮮食品、お菓子、飲料など日本で売っている食材はほとんど何でも手に入ります。値段は日本の約1.5〜2倍です。
日系スーパーほど種類は豊富ではありませんが、アマゾンでも日本の食材を売っているので、近所に日系スーパーがなくてもオンラインで購入し届けてもらうこともできます。
4.多文化社会で刺激に満ちた生活ができる
アメリカは移民の国なので色々な文化が入り混じっています。大都市では様々な人種、民族、宗教の人たちが暮らしているので、違う文化を楽しめるだけでなく、いろいろな価値観を持つ人と出会うことができ刺激になります。
例えば、多民族都市ニューヨクでは、白人、アジア人、ユダヤ人、アフリカ系、ヒスパニック系、アラブ系など様々な人種、民族が住んでいます。
宗教もカトリック、プロテスタント、ユダヤ、イスラム、無宗教などと様々です。大都会でリベラルのイメージのわりに宗教心が強い人達が多く住んでいます。
サンフランシスコは白人が50%弱、その次にアジア人が多く、マイアミは70%強ヒスパニック系(白人のヒスパニックも含む)、ダラスはヒスパニック系(白人のヒスパニックも含む)が40%、白人30%、アフリカ系25%、アジア系3%と、都市によって人種構成は様々です。
5.雄大な自然を楽しむことができる
大都市に住んでいても車で数時間行けば大自然を楽しむことができます。国立公園や州立公園がたくさんあり、週末や連休などを利用してアメリカの絶景を堪能することができます。
世界遺産のヨセミテ国立公園はサンフランシスコから車で約3時間、チャンネルアイランド国立公園はロサンゼルスからフェリーで1時間40分と気軽に大自然を楽しむことができます。
アメリカ移住の5つのデメリット
移住を決めるには、やはりデメリットも知っておくほうがいいでしょう。
1.医療費が高い
アメリカには日本のような国民健康保険制度のようなものはありません。多くの人は雇用を通じて医療保険に加入します。雇用主が保険を提供していない場合や無職の人は民間の保険にも加入できますが、高額なため保険に加入していない国民が多いという状況です。
保険に加入していても、自己負担額が高額なためケガや重い病気をした際に十分なに治療を受けられない、医療費が高額すぎて破産する人もいるというのが現実です。
2.ビザの取得が難しい
アメリカではビザの取得が年々厳しくなっています。取得するのに時間もかかり、弁護士を利用する場合はそれなりの費用もかかります。
3.物価が高い
アメリカは国土が広いため、物価は州や都市によって違います。大都市の方が比較的仕事を見つけやすいですが物価も高くなります。それなりのお給料を貰わないと毎月の生活が厳しくなります。
ここでは、アメリカで最も物価の高い街とされるマンハッタンとサンフランシスコの1ヶ月あたりの生活費をご紹介します。
項目 | マンハッタン | サンフランシスコ |
---|---|---|
平均収入(総支給額) | $5,750 | $7,000 |
家賃 | 2LDK: $3,330 1LDK: $2,890 | 2LDK: $4,400 1LDK: $3,400 |
食費(自炊と外食の組み合わせ) | $500~800 | $500~800 |
光熱費 | $80~$150(ガス、水道代、暖房代が家賃に含まれていることが多い) | $100~190 |
通信費(携帯電話、インターネット、テレビ) | $170~200 | $135~180 |
交通費 | $121(30日パス:ニューヨーク市内、地下鉄とバス乗り放題) | $75〜94 (1ヶ月パス:距離によって違う) |
出費合計 | $3,591~4,601(39万5,000円~50万6,000円) | $4,210~5,664(46万3,000円~62万3,000円) |
月に最低でも40万円程度の生活費がかかるため、それ以上の収入を確保できないと生活は厳しいでしょう。
4.人種差別がある
大都市では殆ど人種差別を感じることはありませんが、人種差別は根強く存在します。アフリカ系アメリカ人やラテン系アメリカ人に対してだけでなく、日本人を含むアジア人に対しての差別があるのも現実です。
一般的に白人が有色人種に対して差別するというイメージがありますが、アフリカ系アメリカ人がアジア人を差別するというケースもあります。
アジア人が少ない地域などでは、アジア人に対しての偏見で高校、大学で暴力的なイジメを受けたという人もいます。アジア人であるため、車にイタズラされたというケースもあります。
5.銃社会である
アメリカの銃乱射事件はよくニュースで見ますが、日常生活で銃社会だと感じることは殆どないでしょう。しかし、実状銃社会です。民間人で防御のために銃を自宅で保管している人も多くいます。
知り合いの家に行ったときに家を間違え、その家の人に銃を向けられたということもあります。些細なことで銃トラブルになるということもあるので、自分の行動には十分気をつけた方がいいでしょう。
アメリカ移住に必要な4つのビザ
アメリカ移住が可能なビザの種類をご紹介します。
1.投資ビザ
EB-5投資家ビザは、アメリカ国内に会社を設立する、または企業に投資することで永住権が取得できるというビザです。
100万ドル以上(指定地域によって50万ドル以上)投資する、少なくとも10名の従業員(米国市民、永住権保持者、永住権申請中で労働許可を得ている者)を雇用するなどの条件を満たす必要があります。
2.抽選永住権
DV抽選永住権とは年に1度抽選によって永住権が当たるというプログラムです。例年秋頃に行っており受付期間は約1ヶ月で、オンラインで申し込むことができます。
3.雇用に基づく移民ビザ
雇用を通して永住権を申請することができます。芸術やスポーツなどで並外れた才能を持つ人や世界的に知名度のある人は優先され、企業の役員や管理職員も有利です。
アメリカの修士、博士号を終了後、OPTという1年間就労可能なビザを取得することができます。その間にスポンサー企業を見つけることができればH1-Bビザを申請でき、その後永住権を申請することができます。
H1-Bビザには枠があるため、それ以上の応募があった場合は抽選となり必ずH1-Bを取得できるわけではありません。
4.配偶者・婚約者ビザ
アメリカ市民と結婚すると永住権を申請できます。婚約者の場合は婚約者ビザを申請し、アメリカ入国後90日以内に結婚し、永住権を申請することができます。
アメリカ移住にオススメの4つのエリア
アメリカは国土が広く、場所によって文化、人の気質、気候など違うため、移住するにあたって住む場所をどこにするかは重要なポイントになります。ここではオススメの都市を紹介します。
1.ニューヨーク
ニューヨークはアメリカの最大都市で経済の中心地でもあります。世界中からビジネスマンや観光客が集まり、ファッション、音楽、芸術、グルメなど世界の最先端を体感することができる街です。
公共交通機関も整っていて移動はとても便利です。地下鉄も24時間運行していています。大半の市民や観光客が利用するので比較的安全ですが、夜中に一人で乗ったり、危険な地域は避けたほうがいいでしょう。
ニューヨークは多民族、人種の住む街で様々な言語が飛び交い、様々な国の文化、グルメを楽しむことができます。日本人街というような場所はありませんが、日本人経営のお店が集まるエリアのイーストビレッジ以外にも、日系スーパー、レストラン、美容院など数多くあり便利です。
2.ハワイ
ハワイは日本から近く、リゾート地でもあるため毎年たくさんの日本人観光客が訪れます。日本人移民も多く、特にホノルルには多くの日本人が住んでいるので海外生活に少し不安な人にはオススメです。
公共交通機関でバスがありますが、時間通りに来なかったりするので生活するには車の方が時間の無駄なく効率的です。
リゾート気分でのんびりした生活には最適ですが物価が高く、ホノルルはマンハッタン、サンフランシスコに次いで物価の高い街とされています。食料品、電化製品、あらゆる物がアメリカ本土から送られてくるため、ほとんどの生活必需品が本土の1.5倍以上します。日本食材も充実していますが、日本の2倍ぐらいします。
3.ロサンゼルス
ロサンゼルスはアメリカで2番目に人口の多い都市です。1年を通して温暖で湿気もなく過ごしやすいです。
バスや地下鉄などありますが、公共交通機関を利用する人たちは車を買えない低所得者が大半を占めるので、移動は車の方が安全で便利です。ダウンタウン内にあるリトル・トーキョーというアメリカ最大の日本人街には、日系スーパー、レストラン、ダイソー、美容院、本屋、クリニック、歯科などがあるので、英語に少し自身がない人などには住みやすいでしょう。
4.サンフランシスコ
サンフランシスコはこじんまりとした綺麗な街です。夏は暑すぎず、冬は寒すぎず年間を通してとても過ごしやすい気候です。
サンフランシスコ、及び南部に位置するシリコンバレーはIT関連のスタートアップ企業が数多くあり、IT関連で働いている人、ハイテク技術をベースに起業したいなどという人にオススメです。
公共交通機関も発達しており、バス、メトロ、ケーブルカー、サンフランシスコ近郊をつなぐ地下鉄(BART)などで楽に移動ができます。BARTは通勤客が利用するので朝から帰宅ラッシュが終わるまでは比較的安全です。バス、メトロは低所得者やホームレスも利用するので利用客が少ない時間帯は避けたほうがいいでしょう。
ジャパンタウンという日本人街には、日系スーパー、レストラン、ダイソー、美容院などあり便利です。
まとめ
アメリカで生活していくにはある程度の収入がないと楽ではありませんが、努力すれば誰にでもチャンスのある国です。
年々ビザの取得が難しくなっていますので、移住を考えている人は弁護士に相談するのがよいでしょう。