海外で物件を購入するとなると、文化の違いや言葉の壁など、日本で購入するのと同じようにはいかない事もあります。シンガポールでの不動産購入手続きはそれほど複雑ではありませんが、注意すべき点もいくつかあります。今回はシンガポールで物件購入を進めるにあたって、必要な手順や注意点を紹介します。
画像:マリーナベイサンズ
シンガポール不動産購入ステップ①物件を探す
シンガポールで物件を探す際、主な手段は3つあります。
- 現地新聞の不動産広告欄から探す
- 不動産紹介サイトから探す
- 大手エージェントに問い合わせて紹介してもらう
シンガポールの英字新聞、「ストレートタイムズ(the straits times)」に不動産広告欄があります。物件タイプ別・地域別に物件が掲載されているので探しやすいですが、写真が少ないので実際の建物の様子が事前に確認しづらいのが難点です。
新聞は国内どこでも手に入りますが、土曜日は不動産広告の掲載が他の曜日よりも多いので、土曜日の新聞をチェックすることをお勧めします。
また近年では手軽に検索できることからも、やはり不動産紹介サイトから探すのが一般的になりつつあります。エージェントの営業者個人が、それぞれ担当する物件の広告を載せており、シンガポール全域の様々な物件を検索することができます。また各物件の詳細も確認できるので、大変便利です。
不動産紹介サイトの「プロパティーグルー」などを使えば自分で探すこともできますが、ある程度希望の物件を絞ってもらってそこから選びたい!と言う場合には、エージェントに直接問い合わせて希望物件を紹介してもらう事も可能です。
SEKAI PROPERTYではシンガポール不動産の購入相談も受け付けていますので、シンガポール不動産に興味がある方はご気軽にご相談ください。
シンガポール不動産購入ステップ②住宅ローンの申請を行う
いくつかお気に入りの物件を絞り込んだら、購入を決める前に必ず「購入希望物件に住宅ローンが組めるか」確認をしなければなりません。外国人が現地の銀行でローンを組むには、現地での収入証明等、必要な条件がいくつか出てきますが、それとは別に物件の築年数(特に99年の長期リースホールド型の場合)や、市場価格によってローンを組める金額が変わるケースがあります。
大抵の場合、物件を紹介したエージェントが銀行の住宅ローン担当者を紹介してくれるので、手付金を支払う前に必ずどれだけのローンが組めるか確認するようにしましょう。
この時点ではローンが確定する訳ではなく、あくまでもおおよそいくら借りられるのかを調べてもらいます。
シンガポール不動産購入ステップ③物件を決める
住宅ローンが大体どのくらい組めるのか分かったら、気になる物件の中から購入する家を選びましょう。物件に求める条件は個々によって異なると思いますが、共通して注意した方が良い点がいくつかあります。
1.物件近辺の交通状況を確認する!
実際の生活をよくシミュレーションして、毎日通う場所(職場・学校等)までの交通手段及び物件周辺の交通状況をよく確認する事をお勧めします。
シンガポールでは学校の始業時間が早く、朝7時過ぎには学校の近辺に、子供の見送りの車で渋滞ができる事があります。ご自身の職場や学校が物件から近くても、毎朝の渋滞のために1時間早く家を出ないといけない、なんて事が無きにしも非ず…。
土地勘がないとなかなか判断が難しいですが、実際に物件周辺を歩いてみたり、エージェントに周囲の様子を聞いたりしてしっかりと情報を集めておくべきでしょう。
2.駅から10分は便利?不便?
常夏シンガポールでは雨季の一時期を除いて、真夏日がほとんどです。また、スコールになるとバケツをひっくり返したような土砂降りの雨になります。
公営団地が多いエリアは、雨除けシェルターが駅から住宅街まで続いていることが多いですが、コンドミニアムや一軒家が並ぶエリアには、歩道にシェルターが設置されている場所は多くありません。
駅周辺にはスーパーやショッピングセンターが併設されている便利な場所が多いですが、そこから自宅までスコールや炎天下の中歩くのは大変です。「駅から近い」という物件でも、実際に駅から家までどのような道のりなのか実際に歩いてみる事をお勧めします。
3.立地も家の広さも問題ないけど間取りが・・
シンガポールでは内装工事で多少の間取り変更が可能です。壁を取り壊してリビングやキッチンを広げたり、仕切りを作って1部屋増やしたりと、大幅に内装を変える人も多くいます。
各物件によって内装工事に関する規則が異なるので、気に入った物件でどのような内装工事が可能か、事前にエージェントに確認してみても良いかもしれません。
シンガポール不動産購入ステップ④購入に向けての手続きを進める
物件が決まったら、いよいよ購入に向けて手続きを始めます。今回は一軒家・コンドミニアムを、売主から直接購入するケースを紹介します。
1.購入価格の1%〜5%の手付金を支払い、物件を予約する
手付金として新築物件の場合は購入価格の5%、中古物件の場合は購入価格の1%を支払います。2週間は購入を考え直すことも可能ですが、購入を取り消す場合、支払った手付金は返金されません。
2.住宅ローンを申請する
予約後、購入の意思に変わりなければ住宅ローン申請を行い、2週間以内に購入価格の4%〜9%を支払います。 そして弁護士を通じて購入契約を結びます。通常は担当エージェントが弁護士の紹介もしてくれるので、個人で弁護士を探す心配はありません。
3.印紙税及び追加印紙税を支払う
契約日から2週間以内に、投機目的などによる不動産市場の加熱を抑えるために設定されている印紙税及び追加印紙税を支払います(Buyer Stamp Duty & Additional Buyer Stamp Duty)。
印紙税は物件評価額もしくは購入価格を比べて高い方を基に計算され、S$180,000までなら1%、S$180,000を超えてS$360,000までが2%、S$360,000を超えてS$1,000,000までは3%、S$1,000,000を超える部分の価格については4%となります。
追加印紙税は外国人(永住権所有者を除く)に対しては20%かかります。物件購入の際には印紙税と追加印紙税の両方を支払わなければなりません。
4.残りの金額を支払う
現在、シンガポールの住宅ローンの上限は物件評価額もしくは購入価格に対して70〜80%と言われているので、最低でも20〜30%は現金で払う必要があります。また、非居住者外国人のローン上限は55%程度です。近年、外国人居住者であっても上限の70〜80%を借りられるケースは少ないので、余裕をもって現金を用意しておいた方がいいでしょう。最長借入期間は35年間です。
購入に関する手続きはエージェントが進めてくれるので大きな心配はいりませんが、想定外の支払いを避けるためにも、手付金などを支払う前に、「どのようなスケジュールで、いつ・いくら支払うのか」について必ず確認しておきましょう。
画像:ラッフルズプレイスの金融街
シンガポール不動産購入ステップ⑤内装工事・インテリアデザインを決める
購入が決まったら、物件の間取り図を基にインテリアデザインを決めましょう。新築物件の場合は、部屋の電気を取り付ければすぐに生活できる状態の物件が殆どですが、シンガポールでは棚を取り付けたり壁の色を変えたりと、好みのインテリアデザインにしてから住むのが一般的です。
中古物件の場合は前所有者のデザインが残っています。ご自身の好みに近いもので状態も良ければ簡単なリノベーションで済みますが、好みが全く違ったりすると室内全取り換えの大規模な内装工事をする事になる場合もあります。
工事の規模にもよりますが、コンドミニアムの場合2~3か月程度は予定しておいた方が良いと思います。一軒家は場合によってはもう少し時間がかかります。
購入後、できるだけ早く新居に引っ越す計画を立てているならば、購入が決まったらすぐにインテリアデザイナーに相談してある程度のプランを先に立てておくと、購入手続き完了後すぐに内装工事に取り掛かることができます。
最後に
物件探しから購入までいくつかのステップがありますが、通常は担当のエージェントが段取りを追ってアドバイスをしてくれるので、手順に関しては大きな心配はいりませんが、「実際に住んで生活をする」という観点から、物件だけでなく生活圏の様子も購入前にしっかりと確認する事が大切です。
SEKAI PROPERTYではシンガポール不動産の購入相談も受け付けていますので、シンガポール不動産に興味がある方はご気軽にご相談ください。