不動産開発が進むマレーシアは、日本人投資家から見て高い人気を誇る国です。2010年頃にマレーシア不動産投資が注目されはじめて以降、たくさんの投資家がマレーシア不動産を購入してきました。
その結果、多額のリターンを得た成功者もいる一方で、残念な結果に終わった失敗者も…。
本記事では、株式会社BEYOND BORDERS マレーシア支社長への取材をもとに、マレーシア不動産投資における典型的な失敗例と対策について紹介します。
マレーシア不動産投資の失敗例とは?
まずは、よくある失敗事例について解説していきます。
失敗例(1)周囲の相場より高い価格で買ってしまう
マレーシア不動産投資でやってしまいがちな失敗の代表格が、周辺相場より高い価格で物件を買ってしまうことです。よほどの気に入った物件がない限り、同エリア・同条件の物件で価格を比較することが重要になります。
場合によっては、買手が外国人だからという理由で、オーナーが相場よりも高い値段を提示することもあります。周辺相場を把握するためには、最低でも2~3件、可能であれば4~5件程度は物件価格を比較することが必要です。
日本人投資家がマレーシア不動産を購入する場合、日系企業や日系商業施設が入居しているというだけで信頼して購入してしまうケースも見受けられます。物件を購入してから、実は価格が相場より高かったと気づくことも多いようです。
周辺相場よりも高い物件を購入してしまうと、利回りが周辺の平均値よりも下がってしまうほか、物件売却時のキャピタルゲインも縮小してしまいます。
また、物件の利回りを確保するためには家賃も高水準にする必要がありますが、募集家賃が周辺相場よりも高いと空室リスクが拡大するため要注意です。
高値掴みは不動産投資の利益を縮小してしまうため、物件購入前の周辺相場調査はとても重要です。マレーシア不動産の購入を検討するときには、表面的な情報だけで判断するのではなく、自分の目で物件の状態を確かめてから判断することをおすすめします。
失敗例(2)賃貸需要の低いエリアで物件を買ってしまう
不動産投資は物件を購入して終わりではありません。物件購入後に入居者を入れたうえで、安定した家賃収入が入ってはじめて利益が生まれます。
実は、マレーシアの不動産投資で失敗する例のほとんどが、入居者を獲得できないエリアで物件を買ってしまうことに起因しています。
マレーシアは継続的な人口増加と経済発展によって、2021年以降も住宅需要の拡大を見込めるエリアです。しかし、都市開発が過剰に行われた結果、すでに物件が供給過剰となっているエリアも少なくありません。
「駅や商業施設に近いから」「病院が近くにあって便利そうだから」などの安易な理由で物件を選ぶと、入居者を獲得できずに家賃の値下げを余儀なくされることもあります。
首都クアラルンプールのコンドミニアムでは、半分程度は入居者を獲得できず空室になっているのが現状です。ですから、入居者が確実に入るか事前にシミュレーションすることが重要になります。
また、オーナーが入居者の集客を怠っているケースもあるので、そういった点も注意して検討しましょう。賃貸付けを積極的にサポートしてくれる仲介会社と巡りあえるかどうかも、入居者を獲得するためには重要な要素です。
なお、2021年時点のマレーシアでは、政府の規制によって外国人はRM100万(=約2,700万円)以下の物件を購入できません。その一方で、マレーシアで多く買われている物件の価格帯はRM100万よりも低いのが実態です。
マレーシア不動産投資で選択肢となる物件は現地人から見ると高級物件に該当するため、入居者のターゲットは限られます。マレーシア現地の富裕層には中華系の華僑も多く、そのような人たちに好まれる物件を選ぶのも1つの戦略です。
中華系の人たちは日系メーカーの家電などを好むため、家具家電を日系メーカーのもので固めるのも有効な方法と言えます。
物件購入後にはどのような戦略に基づいて入居者を募集するのか、不動産会社と打合せてから物件を選ぶことも重要です。
失敗例(3)購入後のサポートを受けられない不動産業者から買ってしまう
繰り返しになりますが、不動産投資は購入して終わりではなく、購入後がスタートといっても過言ではありません。不動産仲介会社の中には、物件購入までをサポートの範囲としている会社も多いものです。
そういった不動産会社から物件を購入すると、購入後の物件管理や運用および物件売却において苦労することになります。
ですから、購入から売却までサポートをしてくれる不動産会社を利用するか、あるいは物件購入前に、どのような不動産会社に管理・売却を委託するか検討することが重要です。
そうしなければ、賃貸に出すまでに時間がかかったり、オーナーが海外にいることを理由に賃料をごまかされたりするリスクもあります。物件購入の際に、不動産会社がどこまでサポートしてくれるのか確認することが重要です。
また、長期間の賃料保証を謳っている物件を購入したものの、保証賃料が支払われなかったという失敗例もあります。不動産会社が賃料を保証する原資は、入居者から徴収する家賃です。
賃料保証がついている物件であっても、入居者を入れられない物件であれば、保証が実現しない可能性があります。
失敗しないための対策は?
マレーシア不動産投資の失敗例として、「周囲の相場より高い価格で買ってしまう」「賃貸需要の低いエリアに買ってしまう」「購入後のサポートを受けられない不動産業者から買ってしまう」の3点をあげましたが、これらの失敗を回避するためには、どのような対策をとるべきなのでしょうか。
大事なポイントは、「購入後のことは、購入してから決めよう」と考えないことです。物件を購入する前から、その後の運用方法をしっかりシミュレーションしておきましょう。
シミュレーションしておくべき内容は、入居者募集や審査はどうするか、賃貸管理はどうするか、クレーム対応や修繕対応はどうするか、売却はどうするかなどです。
物件の売却までを念頭において検討すれば、周辺相場より高い価格で物件を買ってしまうこともありませんし、入居者募集に苦戦することもありません。賃貸運用で苦労することもないでしょう。
ただ、自分ですべてリサーチして実行するのは難しいので、物件購入後も含めて丁寧に相談に乗ってくれる不動産エージェントを探すことが、失敗を回避するためのもっとも有効な対策だといえます。
マレーシア不動産投資で失敗しないエージェント選びのポイント
不動産エージェントに相談する場合は、現地に対する「理解度」と「実績」を見て選びましょう。
そして、マレーシア不動産投資の失敗を防ぐためには、「買手が相場観をつかめるよう、複数の物件を紹介してくれるか」「現地の賃貸需要をしっかり把握しているか」「物件購入後の手厚いサポートがあるか」なども判断材料にするとよいでしょう。
物件購入後のサポートについては特に、管理はもちろん売却までをトータルでサポートしてくれるエージェントがおすすめです。
日本人が海外不動産を購入する場合、現地に住まない限り、遠隔で運用することになります。「物件購入後に日本語のサポートがあるかどうか」も、事前に確認しておきたいポイントです。
また、同じ不動産エージェントでも、日本法人と海外法人に分かれていて、2者間の連携が取れていないこともあります。
そういった場合は、日本法人に問い合わせても「海外法人のことは海外法人に聞いて」と冷たくあしらわれることも少なくありません。
不動産エージェントを選ぶ際には、日本と現地とに拠点を置いているうえに、連携が取れているところを選ぶことがリスクヘッジになります。物件購入後の管理対応については、不動産エージェントへ事前に確認することが重要です。
マレーシア不動産の利回りについて
不動産投資に興味がある方なら、気になるのがやはり利回りでしょう。最後に、マレーシア不動産の利回りについて簡単にご紹介します。
まず、アジア各国と比較した場合のマレーシアの利回りですが、海外不動産を専門に扱う「Global Property Guide」によると、アジア9カ国中、6番目の3.72%となっています。
インドネシアやフィリピンといった新興国には劣りますが、日本や中国・台湾などよりは高い数値です。日本人に人気の首都・クアラルンプールにおけるエリア別利回りを見てみると、「モントキアラ(Mont Kiara)エリア」がもっとも高く、利回りは約4~5%となっています。
次いで、日本大使館のある「アンパン(Ampang)エリア」が4%前後と高く、「バンサー(Bangsar)エリア」「KLCCエリア」がだいたい3%台です。
詳細は以下の関連記事でも紹介しているので、興味をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
【関連記事】マレーシア不動産の利回りを9つの国・4つのエリアで徹底比較
まとめ
不動産投資は、物件の購入がゴールではなく、むしろ物件を購入してからがスタートです。物件の購入だけではなく、その後の運用や売却までの一連のプロセスを念頭におき、物件を決めるというのが、成功に導く秘訣となります。そのためには、事前の情報収集が必須。「駅チカで便利そうだから」「日本人がたくさん住むエリアだから」と安易な判断をせず、現地情報に詳しい不動産エージェントに相談してから決めるのがおすすめです。
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