ベトナムの家主は、リスクを分散させるために、他の多くの国と同様に、従来の固定賃料モデルから基本賃料と収益分配に移行することを検討する必要があると専門家は示唆した。

不動産サービス会社のジョーンズラングラサール(JLL)は、小売市場に関する最近のレポートで、次のように述べた。「小売業者は、最近消費者が店舗に足を運ぶことを躊躇うことが多くなってきたと考え、消費者のオンライン化が進んでいることを踏まえて注文をオンライン上で完結し、家まで配達するインフラストラクチャーを備えるようになってきた。より重要なのは、柔軟なオムニチャネル(*あらゆるメディアで顧客との接点を作り、購入の経路を意識させない販売戦略)小売モデルへのシフトである。このモデルを達成するには家主と小売業者の間の強力なパートナーシップが必要になるだろう。家主と入居者の間の関係が、どんなに敵対的な時があっても、肝心なことは私たち全員が共にいることであり、お互いの共通点を見つけていくことはこれまで以上に重要になるだろう。」

CBREのシニアディレクターであるDuong Thuy Dung氏は、「Covid-19の影響を踏まえ、地元の市場では、より幅広い範囲の消費者をターゲットにサービスを提供し、マーケティングを促進するのに役立つオンラインプラットフォームの存在とオムニチャネル戦略の開発が必要になる。」と述べた。

小売業は、ホーチミン市の不動産市場でCovid-19の影響を最も強く受けている業界である。JLLによると、市内の多くのショッピングモールや小売センターの客足は、2月、3月ともに前年比で80%減少しているとのこと。そのため多くのショッピングモールはコロナウイルスの影響により閉店している。更に今年ベトナムのホーチミン市では、一部の国際ブランドは発売日を延期していると同社は語る。

パンデミックは、今年ホーチミン市にある小売スペースの総床面積(GFA)の約280,000平方メートル、ハノイに180,000平方メートルのGFAを開く計画にも影響を与える。また、4月1日からの全国的に社会的距離を取るための運動により第2四半期にも課題が持続するかもしれないと警告した。小売業界の状況は、コロナウイルス発生前の18〜24か月間はかなり上昇傾向であった。JLLベトナムの市場責任者であるトランブイ氏は、「eコマース(電子商取引)は成長し続けている…だがレンガやセメントの小売りに大きな影響を与えたとは思わない。それはもっと補完的な選択肢が影響した。現在、市場で直面している課題は、閉店した小売業者やテナントからの延滞した家賃支払いである。これは前例のない出来事であるため、誰も予想したことがなかった。家賃支払いに関する記述は事業中断や不可抗力に関するほとんどの賃貸借契約で使用されていたが、注意して人々に見られることのなかった項目であった。しかし、過去2週間で、家賃支払いに関する項目は熟読された。」と述べた。

CBREは同様の評価を行い、「小売はCovid-19の影響を最も受けているセクターの1つである。」と述べている。報告によると、第1四半期の飲食、宿泊、観光サービスの総収入は前年比で9.6%から27.8%減少した。小売業界が困難に直面する主な理由は、海外からの訪問者数の減少であった。恐らく国内の小売支出は、消費に対する抵抗感や感染リスクが高い場所に訪問することへの抵抗感により、一時的に低下するだろう。生活必需品ではない商品やレジャーサービスは、消費者が食糧不足を避けるために備蓄することで需要が高まっている生鮮食品や乾物よりも大きな打撃を受けるだろう。小売業者をサポートするために、一部の家主は、飲食やエンターテインメントの小売業者を中心に2月と3月分の家賃を10%から30%割引することを申し出た。また、テナントの業績に応じて、家賃を最大50%削減することを検討している企業もあり、状況が改善するまで家賃の一部を延期することに同意する人もいるようだ。


【参照】https://www.phnompenhpost.com/post-property/insiders-say-landlords-vietnam-should-switch-revenue-sharing-model