2020年10月20日から2021年4月10日まで開催される「2020年ドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai)」。世界中から注目を集める万博だが、ドバイの不動産市場関係者も期待を高めているという。

ドバイの住宅価格は2014年にピークを迎え、その後石油価格の急落などの影響を受け下落を続けている。今年第二四半期における平均住宅価格は、182万ディルハム(約5,370万円)にまで落ち込み、ここ10年間における最低額に達した。

万博の影響については、一時的に不動産市場が活性化したとしても、万博が終われば再び低迷するだろうという見方や、地方経済が活気づき、低迷期から抜け出せるだろうという見方など、見解は様々である。

万博開催時にはおよそ2,500万人(内70%が外国から)がドバイを訪れると見積もられており、その経済効果は2013~2031年で1,226億ディルハム(約3兆6,000億円)になるとも言われている。

世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファや現在建設中のクリーク・タワー(完成するとブルジュ・ハリファを超えて世界一の高層タワーとなる)、また世界最大規模のショッピングモールプロジェクトや巨大な人工島パーム・ジュメイラなど、メガプロジェクトは今やドバイのお家芸とも言えるだろう。

しかしこの一連の建設ラッシュで、不動産市場には供給過剰が生じている。2018年に新しくリリースされた住宅は例年の2倍近い約30,000件、2019年においては40,000件に達すると見られ、熾烈な価格競争が生まれている。現在の住宅価格は2014年のピーク時より25~30%下落しており、売り手側には厳しい状況であるが、買い手側にはチャンスとも言えるだろう。

世界的に見てもドバイの物件はお買い得だと言える。例えばブルジュ・ハリファ近くの一等地の平均価格は1平方フィート当たり1,926ディルハム(約57,000円)であるが、これはニューヨーク・マンハッタンの1/5程度の価格である。

万博開催に先立ち、ビジネスや不動産需要を高めるため、投資家や起業家、優れた専門家や学生などに長期居住ビザを発行するなど、ドバイ政府は様々な取り組みを行っている。少しずつその成果が見え始め、今年1~6月における不動産売り上げは、前年同期比+69%と大幅な伸びを見せた。

しかしいまだ不動産価格は穏やかではあるものの下落を続けており、このような取り組みがきちんとした成果につながるにはあと数年はかかると見られている。万博でドバイを訪れる人々が滞在、もしくは投資を行えば供給過剰は解消の方向へ向かうとされている。不動産関係者のドバイの万博への期待は大きい。

Photo: Giuseppe Cacace / Getty Images

【参照】Dubai looks to Expo 2020 to reinvigorate its property market

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セカイプロパティ編集部
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