2018-06-18

シンガポールで銀行口座を開設する方法!必要書類や金利まで紹介

  • 海外不動産コラム


アジアの金融ハブとして知られるシンガポール。国政や経済が安定していて、国内の金融機関の評価も世界トップクラス。

さらに豊富な金融商品が自由に購入でき、キャピタルゲインが非課税になるなどの税制の優遇もあるため、富裕層や投資家などが安心して資産を移せる国としても早くから注目されています。

そんなシンガポールでの資産運用にも必要な、シンガポールの銀行口座の開設方法について、さまざまな視点から解説していきます。

シンガポールに口座を開くメリット


世界の中でも治安が最も良い国のひとつといわれるシンガポールに口座を開設する最大のメリットは「資産の安全を保てる」ということ。香港のように中国の急な政策転換などのリスクを負う恐れもありません。

また、シンガポールには政策金利がないため、シンガポールドルは低金利を維持し続け抜群の安定性を誇っています。そのため、長期的にリスクをおさえて資産を運用したい場合は、シンガポールドルでの預金にもメリットがあると言えるでしょう。

さらに、日本では購入することのできない豊富な金融商品を購入できるようになるのも注目ポイントです。

日本より良い金融商品が購入できる

シンガポールに金融口座を開くと現地の金融商品を購入することができるようになります。例えば、シンガポールで人気のある、高利回りが期待できる投資型保険もそのひとつ。

予定利率が3%以上の商品が一般的で、だいたい24年ほどで元本の倍になると言われています。こちらは日本在住者は購入できませんが、日本に居住していない期間なら購入が可能です。

外国債券や外国投資信託商品のラインアップも日本と大きく異なります。日本では購入できる外国債券に限りがありますが、シンガポールでは日本で購入できない外国債券も購入できますし、超大型のグローバル企業の社債も購入できます。

また、シンガポールは日本に比べて税制が優遇されている部分が多く、キャピタルゲインは非課税です。

株式投資の値上がり益や配当収入に税金がかからないのは、シンガポールの口座を利用して金融商品を購入する際の大きな魅力のひとつと言えるでしょう。

金融機関や国政が安定していて安心

建国首相のリー・クアンユ―から事実上の一党支配が現在まで続き、与党が長期政権をしいているシンガポールは、ASEAN諸国の中でも最も政治リスクの低い国として世界から評価されています。また経済の面では、アジア最大の国為替センターであり、オフショア市場としての地位も確立しています。

また、シンガポールトップ3の、OCBC、UOB、DBSは世界銀行番付トップ10の常連でもあり、国内の金融機関は世界で高い評価を得ています。

さらに、フランスの政府系機関FATF(マネーロンダリング金融活動作業部会)からも、「優秀な金融犯罪防止対策が整った都市」として高評価を受けるほど、国内外の金融犯罪防止にも政府自らが力を入れていることや、通貨バスケット制度を採用しているため、シンガポールドルの変動率の安定が維持されていることも、安心要因のひとつと言えるでしょう。

キャッシュカードのカード支払い機能が充実している


シンガポールでは早い段階からキャッシュレス化が進められてきたため、キャッシュカードがあるとさまざまな場所で支払いができて便利。ちなみに、私がシンガポールに住み始めた15年以上前にはすでにNETSが支払いの主流でした。現在はGIROもよく利用されているようです。

ATM利用ができる

シンガポール国内3大銀行(OCBC、DBS、UOB)のATMは国内各所に多数あり、24時間手数料無料で現金を引き出すことが可能です。

NETSが利用できる

料金がリアルタイムで口座引き落としされる機能で、ほとんどのキャッシュカードで利用できます。国内のあらゆる店舗の支払いに対応していて便利。コンビニの支払いやタクシー代などの細かい支払いも可能です。シンガポールではかなり幅広く利用されています。

GIROが利用できる

自動口座引き落としステムのことで、家賃や公共料金の支払いに利用できます。

デビットカードが利用できる

シンガポール国内の大手銀行のキャッシュカードにはVISAのデビット機能がついている場合が多いです。日本のクレジットカード利用時に発生する為替レートの差額や海外使用手数料での損がでないので、駐在員などの在住日本人も利用しています。

ビザペイウェーブが利用できる

日本の電子マネーと同じく、端末にリーダーをかざすと支払いができる機能。シンガポールではタクシーの支払いにも利用できる。

シンガポールの銀行の金利について


一般口座の金利は日本と比べても大きな差があるわけではありません。しかしながらシンガポールには、国内資本の銀行はもちろん外資系金融機関も多数あることから競争原理が働き、各銀行が独自のキャンペーンやサービスを提案しています。

例えば、前月より口座残高が増えるとボーナス利息が増るというものや、一定額以上をデビットカードで支払うと5万シンガポールドルを限度に最大で年金利が3.33%になるというものも。

各銀行の商品やキャンペーンをチェックして、少しでも金利が有利な銀行に資金を移すことも資産運用のポイントとなります。

シンガポールにある銀行


香港と並んで金融のハブと称されるシンガポールには、国内資本の銀行が6行あります。さらに、世界中から集まってきた外資系商業銀行に至っては100以上もあると言われています。多数ある銀行の中から、シンガポールトップ3の国内資本銀行と、人気の高い外資系銀行5行を紹介いたします。

ローカル3大銀行

DBS銀行


シンガポール政府の開発に対する融資機関として設立された銀行です。国内第1位の保有金融資産を誇るが、これは東南アジアでも最大です。ATMも国内最大数が設置されています。

OCBC(華僑銀行)


世界恐慌期期に3つの華僑系銀行が合併して誕生しました。現在、国内で第2位の金融資産を保有しています。世界最強の銀行に何度も選出されていて、富裕層を対象としたBank of SingaporeもOCBC資本です。

UOB(ユナイテッドオーバーシーズ銀行)

シンガポールで日系企業を支援するためのジャパンデスクを初めて設けた銀行です。保有金融資産は国内第3位になります。

外国銀行

HSBC(香港の銀行)

Standard Charted(イギリスの銀行)


MayBank(マレーシアの銀行)

Citi Bank(アメリカの銀行)

シンガポールの銀行口座開設事情


シンガポールで銀行口座を開設する際の条件や必要書類から、手続きの方法について解説します。あわせて、自身に最適な口座を選択できるように、口座の種類についても確認をしておきましょう。

条件が厳しくなっている

シンガポール国内資本の銀行について、特に外国人が一般口座の開設をするための条件が厳しくなってきている言われています。数年前では可能だった、パスポートの提示のみで口座を開ける銀行は皆無ですのでご注意を。

口座開設の条件は各銀行で異なり常に変化しているので、口座開設を希望する銀行に直接確認をしましょう。こちらも銀行によって異なりますが、最低限、下記の条件は満たしておく必要があります。

  • シンガポール発給のビザを有していること
  • 居住地の住所を証明すること
  • 英文で書かれた住所を証明する公共料金の請求書などの提出が求められます。
  • 担当行員と意思の疎通が可能なこと
  • 中国語、あるいは英語での会話力が必要となります。

在住者以外はプライベートバンクで

外資系銀行のプライベートセクションのことで、預入額は日本円で4億円以上という条件の銀行が多いようです。その金額からもわかるように、各国に居住している富裕層をターゲットとしたものなので、シンガポール在住以外の外国人でも口座開設が可能です。

オフショア口座について

外資の一般銀行でも、預入額の単位がミリオン越えのプライベートセクションが設置されています。その下のランクだと、有名なところではHSBCのプレミア口座(預入額20万シンガポールドル以上)などがあります。さらに、その下には一般のオフショア口座がありますが、日本人が口座を開設することは非常に難しくなってきていると言われています。

他にも日本ではあまり知られていない多くの外資系銀行がシンガポールにありますが、ほとんどの銀行で、在外外国人が口座を開設する際にはその銀行の口座を保有する現地在住の紹介者が必要となります。

ローカル銀行のプレミア口座

シンガポール3大銀行には、プレミア口座というものがあり、開設すると一般口座では購入できない金融商品が購入できるようになります。ただしDBS、UOBでは35万シンガポールドル以上、OCBCでは20万シンガポールドル以上と、最低預入額が設定されているので確認をしましょう。

銀行口座の開設方法について

シンガポールで一般口座を開設する際の手続き方法や必要書類について解説いたします。各銀行によって多少の違いがありますので、ここでは国内最大手のDBS銀行についてみていきます。

必要な書類

必要書類は下記3つになりますので、銀行に出かける際には忘れずに揃えておきましょう。

  • バスポート
  • シンガポールで発行されたIDカード
  • ビザを取得すると発給されるEmployment Cardなどのこと。
  • シンガポールの住所に郵送された公的書類
  • 光熱費やクレジットカードなどの請求書で大丈夫です。

必要残高

どの銀行も、預入額が設定額以下だと口座維持費が毎月かかってしまいます。大体の銀行が1000シンガポールドル以上の設定となっているので、口座開設時には1000シンガポールドル以上の現金を持参するようにしましょう。

基本的な手続きの方法

日本と同じく、利用しやすい銀行の支店の窓口へ赴き、必要書類を揃えて口座開設したい旨を伝えれば手続きをしてもらえます。この際、英語や中国語で行員との意思疎通を図る必要があります。

日本人が作ることのできるシンガポールの口座の種類


Saving Acount

普通預金のことで、毎月利息が付きます。

Fix Deposit Account

定期預金のことで、利息は高いが一定期間引き出しができない。

Current Account

当座預金のことで、個人小切手の決済口座。原則、利息は付かない。

まとめ


いかがでしたか。シンガポールに移住し生活する場合を除いては、金銭の動きが少ない口座をシンガポールで開設することにメリットはほとんどありません。

ただし、まとまった金額の資産を移動させたり運用したりする際には、シンガポールという国の金融システムには日本と比べ物にならない自由度やメリットがあるようです。自身の目的に合わせて、口座開設を検討することをおすすめします。

ライター&エディター:稲嶺恭子
大阪府出身。大手出版社勤務を経て2002年シンガポールに渡り、国立シンガポール大学に留学。現地では情報誌編集ライター業にも従事。帰国後は沖縄に移住。現在は主にアジアと沖縄をテーマに編集&ライティング業務を行なっている。シンガポールでコンドミニアム暮らしにハマり、アジアのコンドミニアム見学が大好き。