ニューハンプシャー州は、「消費税なし」「所得税ほぼ非課税」の税制を採用しており、税負担の軽減を重視する不動産投資家にとって非常に魅力的な州です。さらに治安の良さや教育水準の高さ、自然に囲まれた環境などから、安定した住宅需要が続き、長期的な運用にも適しています。

本記事では、ニューハンプシャー不動産投資のメリット・デメリットをはじめ、具体的なおすすめエリアや市場の特徴を詳しく解説します。これから海外不動産投資を検討する方にとって、ニューハンプシャーは見逃せない選択肢となるでしょう。

ニューハンプシャーの概要

ニューハンプシャー州は、アメリカ合衆国北東部のニューイングランド地方に位置し、北側ではカナダのケベック州と接する州です。ホワイトマウンテン国立森林公園をはじめとした雄大な自然が広がり、アウトドア活動や四季折々の景観を楽しむことができます。

夏のハイキングやキャンプ、冬のスキーやスノーボードといったアクティビティが人気を集め、州外や国外からの観光客も多く訪れます。経済面では、観光業に加え医療や教育、製造業、ハイテク産業が州の主力となっています。

州都コンコードや最大都市マンチェスターには医療機関や大学が集まり、安定した雇用と住宅需要を生み出しています。特にボストンへの通勤が可能な南部では、住宅開発や不動産投資が活発な動きを見せているのです。

高い教育水準や低い犯罪率、そして優れた税制度により、生活環境が恵まれている州として知られ、移住希望者やリタイア後の居住地としての人気があります。この住みやすい環境が支える安定した住宅需要は、投資家たちにとって大きな魅力となっています。

ニューハンプシャーは小さな州ですが、絵のような美しい山々や湖沼が広がっています。スキーが有名で、冬にはホワイトマウンテンのリゾート地に多くの観光客が集まります。また売上税と個人所得税がないので、給与や退職金がそのまま手元に残り、日常の買い物や大きな出費も抑えられるため、心に余裕が生まれますね。

項目概要
人口約140万人
言語英語
宗教キリスト教(プロテスタント系が中心)
主要産業観光、製造業、教育、医療、ITサービス
為替1ドル=約150円(2025年3月時点)
在留邦人数約3,400人

 

ニューハンプシャー不動産投資のメリット

ニューハンプシャーの不動産投資には多くのメリットがあります。今回はその中から3つのポイントをご紹介します。

税制面での優位性

ニューハンプシャー州は、アメリカでも数少ない「州消費税ゼロ」を実現している州の一つで、物品の購入や日常生活にかかる税負担を大幅に軽減できる点が、住民や投資家にとって大きな魅力となっています。

さらに特筆すべきは、個人所得税の優位性です。給与収入には課税されず、利子や配当などの一部投資所得にのみ課税されるという、住民や投資家に優しい仕組みを採用。

このため不動産投資から得られる家賃収入や売却益の手取り額が、他州と比較すると多くなる可能性があります。また相続税も比較的緩やかで、将来的な資産承継を見据えた長期運用計画を立てる投資家にも適した環境といえるでしょう。

安定した住宅市場と高い居住ニーズ

ニューハンプシャー州は、美しい自然や優れた治安、高い教育水準により、住民の生活満足度が非常に高い州です。南部の都市はボストンへの通勤圏内に位置し、費用を抑えながら良質な暮らしを求める人々の移住先として、人気を集めています。

また人口流入が堅調であることに加え、大学や病院、研究施設が集中する都市部では、学生や医療従事者、研究員といった多様な層からの賃貸需要が安定しているのです。ファミリー向け住宅からワンルームタイプまで、幅広い物件の需要を獲得できる点も投資家にとって大きな魅力です。

治安の良さと生活環境の充実

ニューハンプシャーは全米の中でも犯罪率が極めて低く、安心して暮らせる州として定評があります。この治安の良さは、不動産投資においても大きな利点で、長期賃貸契約や家族向け物件の、安定した入居維持に貢献しています。

さらに州内の多くの地域では教育施設が充実し、公共サービスの質も高いため、ファミリー層にとって非常に魅力的な地域となっているのです。アウトドアやレクリエーション施設も豊富で、自然と都市がバランスよく共存している点も、不動産価値を下支えする重要な要因です。

こうした生活満足度の高さは、入居率の維持や長期的な資産価値の安定に直結する重要なポイントといえるでしょう。

ニューハンプシャー不動産投資のデメリット・リスク

ニューハンプシャー不動産投資にはデメリットやリスクがあることも事実です。以下で解説する3つのマイナス面に注意し不動産投資を検討して下さい。

固定資産税の高さ

ニューハンプシャーは、消費税や所得税がほぼ課されない代わりに、固定資産税(Property Tax)が州の主要な財源となっています。そのため住宅や商業物件を所有する場合の税負担は、全米平均と比較しても高い水準にあるのが特徴です。

特に教育水準が高い学区内にある住宅は、税率も上昇する傾向が見られるのです。物件購入時には「固定資産税の税率」と「過去数年の評価額の変動履歴」を十分に確認しておくことが重要といえます。

このような税負担は、長期保有を前提とした運用計画において大きな影響力を持ちます。また地域によって課税基準や行政サービスに差があるため、投資を検討する際には地域ごとの詳細な調査が不可欠です。

冬季の気候リスクと維持費

ニューハンプシャーは、ニューイングランド地方の中でも特に冬の気候が厳しい地域です。積雪量が多く、気温も氷点下を下回るため、住宅には高い耐久性が求められます。

古い物件の場合、断熱性能の低さや暖房設備の老朽化などが問題として浮上しやすく、これらの修繕や改善には予想以上の費用がかかることも少なくありません。また物件管理においては、冬の除雪や凍結防止対策が必須となり、遠隔地から投資する場合は、管理会社に頼らざるを得ない状況が生じるのです。

上記の特性により、維持管理費が上昇し実質的なキャッシュフローを圧迫する可能性がある点は、投資判断において十分に留意すべき要素といえます。

人口規模の小ささと流動性の低さ

ニューハンプシャー州全体の人口は約140万人と、全米規模で見ると比較的小規模な不動産市場です。このため都市を除いた地域では不動産の流動性が低く、物件売却に時間を要するケースも少なくありません。

特に短期間での転売(フリップ投資)や需要の限られた高額物件の場合は、買い手が見つかりにくく、資金回収に影響を及ぼすリスクが存在します。また観光地においては、季節による需要の波も生じるため、一定期間は空室リスクが高まる可能性もあります。

不動産市場の規模と流動性を十分に見極め、自身の投資スタイルに適した地域や物件を選定することが成功への重要な鍵となるでしょう。

ニューハンプシャーのおすすめ投資エリア3選

ニューハンプシャーには特色の異なるエリアが点在しています。今回はニューハンプシャーでおすすめの不動産投資エリアを3つピックアップしてご紹介します。

1. マンチェスター

マンチェスターは州最大の都市で、経済や教育、医療の中心地となっています。人口は約11万人と州内では最も多く、州内外から継続して人口が流入しているのが大きな特徴です。市内にはセント・アンセルム大学、サザンニューハンプシャー大学といった教育機関や、大規模な病院が所在しています。

学生や医療従事者、研究者といった継続的に賃貸物件を必要とする層が常に存在しているため、空室リスクは比較的低いと言えるでしょう。またマンチェスター・ボストン地域空港を擁しており、州内外からのアクセスも良好です。

再開発が進むダウンタウンエリアでは、新築物件やリノベーション物件が増加中で、今後の物件価格の上昇を見込めます。住宅価格はボストンと比較すると手頃で、高利回り物件も多く見つかることから、不動産投資の初心者にもおすすめの都市と言えるのです。

マンチェスターは繊維産業の中心地というイメージが強いですが、今ではITや金融関連の企業が集まり、いろいろな分野で経済が発展していると感じました。ボストンでは3ベッドルームの住宅価格は約80万ドルと高騰しているのに対し、マンチェスターでは約47万ドルと半額で、生活コストの違いが顕著です。

2. ナシュア

ナシュアは州南部に位置する人口約9万人の都市です。マサチューセッツ州との州境に位置し、ボストンまで車でわずか1時間以内という好立地から、ボストン都市圏の通勤者に高い人気があります。

ボストンと比較すると物価や不動産価格が抑えられており、質の高い生活を求める家族世帯の流入が止まりません。市内には大型ショッピングモール、スーパーマーケット、レストランなど生活インフラが充実し、安定した住宅地であることが特徴です。

加えて近年ではIT関連企業の誘致やビジネスパーク開発が進み、新たな雇用と人口増加を実現しました。安定した賃貸需要と将来の成長ポテンシャルを併せ持つナシュアは、中長期投資先として魅力のある地域と言えます。

ナシュアには防衛や航空宇宙、セキュリティ分野で活躍するBAE Systemsというグローバル企業があります。一方、ボストンの3ベッドルーム住宅価格が約80万ドルなのに対し、ナシュアでは約49万ドルと手頃で、価格の差が顕著です。

3. ポーツマス

ポーツマスはニューハンプシャー州の南東部、アトランティック海岸沿いに位置する歴史ある港町で、人気観光地として知られています。人口は約2万人と小規模ながら、年間を通じて観光客が訪れるため地域経済が活発で、短期賃貸やバケーションレンタルの需要が顕著です。

17世紀からの古い街並みが残る歴史地区には、個性的なカフェやブティック、ギャラリーが立ち並び、芸術や文化に関心のある人々から強い支持を得ています。また、海沿いの立地を活かしたシーフードレストランやマリーナも充実し、週末のレジャーを求めてボストン在住者が多く訪れる地域です。

高所得層のセカンドハウス需要も安定していることから、空室リスクが比較的低く、安定した収益が期待できる投資先と言えるでしょう。

ポーツマスにはストロベリー・バンク博物館やコロニアル様式の建築物など、観光客に人気のスポットがあります。またLonza Biologicsという医薬品やバイオテクノロジーを専門とする多国籍企業や、米国海軍が運営する造船所が所在しています。そのため、安定した住宅需要があると感じました。

まとめ

ニューハンプシャー州の不動産市場は、消費税の非課税や所得税の限定課税など、優れた税制度を背景に、投資家にとって魅力的な環境が整っています。

不動産投資家にとって魅力と言えるメリットは以下の3つです。

  • 税制優遇
  • 堅調な住宅需要
  • 安全性と利便性の調和

一方で、次のような課題もあるため、慎重な分析が必要です。

  • 固定資産税の高さ
  • 冬の気候
  • 人口規模に伴う市場流動性

成功の鍵は、リスクとメリットのバランスを見極めることが何より重要です。

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