デラウェア州は法人設立の優遇制度や柔軟な税制により、企業活動が盛んな地域として知られています。フィラデルフィアやワシントンD.C.といった大都市圏にも近く、安定した住宅需要を誇るため、不動産投資先としても魅力的な地域です。

本記事ではデラウェア州の不動産市場の特徴や投資のメリット・デメリット、そしておすすめの投資エリアについて詳しく解説します。不動産投資を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

デラウェアの概要

デラウェア州は、アメリカ合衆国東海岸に位置する最も小さな州です。法人税の優遇措置が整備されていることから、経済的な影響力が大きく、多くの企業がこの地に法人登記を行っています。

そのため、金融や法務の中心地として目覚ましい発展を遂げてきました。フィラデルフィアやワシントンD.C.といった、大都市圏へのアクセスの良さも大きな魅力で、これらの都市への通勤圏として高い人気を集めています。

気候は温暖湿潤に分類され、四季がはっきりと感じられるのが特徴です。夏は湿度が高くなる一方、冬は穏やかな日が続きますが、時折寒波が到来することも少なくありません。

観光資源としては、リホボスビーチやベサニービーチといった、多くの観光客を魅了するビーチリゾートが点在しています。またデラウェア大学をはじめとする名門校により、学生向けの賃貸市場も活発です。

州都ドーバーには政府機関が集中し、公務員向けの住宅需要も安定しています。このように、デラウェア州は経済や教育、観光のバランスが取れた地域として知られ、安定した不動産市場として注目すべきエリアと言えるでしょう。

デラウェア州といえば法人税が低いことで有名です。全米の公開企業の約66%がこの州で設立されています。クリスティアナ・モールという大型ショッピングモールを訪れたとき、ペンシルベニアやニュージャージー、メリーランド州のナンバープレートが多く見られました。デラウェアは販売税がないので、近隣の州からわざわざ買い物に来ているんですね。

項目概要
人口約100万人
言語英語
宗教キリスト教が主流
主要産業金融、化学、製造業、観光業
為替1ドル=約150円(2025年3月時点)
在留邦人数約1,800人

 

デラウェア不動産投資のメリット

デラウェアの不動産投資には多くのメリットがあります。今回はその中から3つのポイントをご紹介します。

初期投資費用の低さ

デラウェアの不動産市場は、全米平均と比較して比較的手頃な価格帯が特徴的です。特に郊外では、一戸建て住宅やアパートなどの物件価格が抑えられており、小額からでも投資をスタートさせることが可能です。

またデラウェア州は固定資産税の低さが有名で、他州と比較しても維持費の負担が少ない点は、投資家にとって大きな魅力といえるでしょう。さらに州所得税が課されないため、不動産から得られる賃貸収入の手取り額が相対的に多くなるという利点も見逃せない要素です。

近年では州政府の経済活性化政策により、不動産市場が安定した成長を続けており、購入した物件の価格が将来的に上昇する可能性も十分に考えられます。とりわけウィルミントンやドーバーといった都市部においては、企業進出が活発であるため、地価の上昇が見込めます。

安定した賃貸需要と高いキャッシュフロー

デラウェア州には複数の大学や医療機関が点在しているため、学生や医療従事者による賃貸需要は安定しています。特にデラウェア大学がキャンパスを構えるニューアーク周辺では、学生向けの賃貸物件が大人気です。

金融機関が集中するウィルミントンでも、銀行関係者による賃貸需要が拡大の一途をたどっているのです。この地域では賃料水準が比較的高いため、魅力的な家賃収入を確保でき、安定したキャッシュフローを生み出せる市場といえるでしょう。

デラウェアは全米有数の固定資産税の低さを誇る州で、この所有コストの低さが賃貸経営の高い利回りを生み出す要因となっています。近年のテレワークの普及に伴い、デラウェアに居住しながら大都市へ通勤する人々が増加し、住宅需要の拡大とともに賃貸市場の成長も顕著です。

ビジネス環境の良さと税制の優遇

デラウェア州は法人登記の簡便さと税制優遇措置において、全米でも特に有利な州として知られています。多くの企業がこの地に法人を設立したことにより企業進出が活性化し、それに伴って不動産市場も着実に成長中です。

州外からの移住者も増加中で、特にビジネスの中心地であるウィルミントンではコンドミニアムやオフィスビルへの需要が拡大しています。また消費税が課されないため生活費が抑制され、このことが住宅需要増加の一因となっているのです。

こうした条件は、州外からの移住者や投資家が集まり、活発な不動産市場を促進します。 これらの優位な条件が相乗効果を生み出すことで、物件の売買回転率が向上し、投資家にとって出口戦略を実行しやすい理想的な市場と言えるでしょう。

デラウェア不動産投資のデメリット・リスク

デラウェア不動産投資にはデメリットやリスクがあることも事実です。以下で解説する3つのマイナス面に注意し不動産投資を検討しましょう。

市場の規模が小さく、流動性が低い

デラウェア州の不動産市場は、ニューヨークやカリフォルニアといった大都市と比較すると市場規模が限られています。このため、売却時の流動性の低さが投資家にとって無視できない課題となります。

特に都市部から離れた地域では、買い手や借り手が少なくなるため、短期間での物件売却を目指す場合に希望価格での取引が難しくなるリスクがあるでしょう。また州全体の人口がわずか約100万人という小規模な市場であることから、住宅需要が急速に拡大する可能性は限定的だと言わざるを得ません。

長期的な価格上昇を期待した投資戦略を構築する際には、綿密な市場調査と地域特性の把握が不可欠です。デラウェアの不動産市場は、安定性を強みとしている一方で、急成長をしている他都市と比較すると、価格変動の幅が小さい傾向にあります。

こうした市場の特性から、短期間での収益を狙う投機的なアプローチには適していません。むしろ、長期保有を前提とした安定志向の投資計画が求められる市場であると言えるでしょう。

一部エリアの治安や生活環境の問題

経済の中心地ウィルミントンは、金融機関が集まるビジネス街として発展している一方で、一部の地区では治安問題が課題となっています。特にウィルミントン郊外や一部の低所得地域では犯罪率が高い傾向にあるため、不動産投資を考える際には綿密なエリア調査が求められます。

郊外では公共交通網の整備が不十分で、自家用車を所有しない居住者にとって日常生活における移動の制約が大きな難点となっています。州内の医療機関や教育施設は全般的に質の高さを誇るものの、地域格差も顕著で、場所によっては十分に整備されていないエリアも存在するのが現状です。

こうした生活利便性の差異が、住宅需要や賃料水準を大きく左右する要因となるため、投資判断に際しては徹底的なエリア分析と現地調査が不可欠と言えるでしょう。

天候や自然災害のリスク

大西洋沿岸に位置するデラウェア州は、ハリケーンの影響を受けやすい地理的な特徴があります。特に沿岸部では、強風や高潮被害のリスクが高く、増加する管理費や保険料は、慎重に考慮すべき要素です。

また一部のエリアでは洪水リスクが顕著で、豪雨や台風に伴う浸水被害の報告も珍しくありません。こうした自然災害は修繕費用だけでなく、保険料の上昇が収益に大きな影響を与えることになります。

投資物件を選定する際は、FEMA(連邦緊急事態管理庁)が提供するハザードマップなどを活用した綿密なリスク分析が欠かせません。冬の気候も要注意で、積雪や路面凍結による交通障害、建物への負荷に対応するメンテナンス費用も、投資計画に織り込むべき項目です。

こうした自然災害のリスクに対する徹底的な精査と、それに基づく戦略的な対策の実施こそが、不動産投資において長期的な成功をもたらす鍵となるでしょう。

デラウェアのおすすめ投資エリア3選

デラウェアには特色の異なるエリアが点在しています。今回はデラウェアでおすすめの不動産投資エリアを3つピックアップしてご紹介します。

1. ウィルミントン

ウィルミントンは州最大の都市で、金融業や法務関連企業が集まるビジネスの中心地です。多くの大手銀行や企業がオフィスを構えており、安定した雇用と高い賃貸需要を誇る地域として注目されています。

特にダウンタウンエリアには高層マンションやオフィスビルが立ち並び、洗練された都会的な雰囲気が広がっています。また交通アクセスの良さもウィルミントンの大きな魅力の一つです。

フィラデルフィアへは約30分、ワシントンD.C.へも約1時間30分でアクセス可能なアムトラックの駅を有し、通勤者向けの賃貸市場を支えています。現在、都市再開発が進行中で、新たな商業施設や飲食店が次々とオープンしていることから、日常生活の利便性が確実に向上している地域といえるでしょう。

ウィルミントンには、アムトラックとSEPTAという鉄道サービスがあります。ウィルミントンのアムトラック駅からニューヨークまでは、約2時間弱で到着しました。車だと渋滞に巻き込まれることがあるので、大都市間を電車で移動できるのはとても魅力的です。

2. ニューアーク

ニューアークはデラウェア大学を中心とした学術都市で、学生向けの賃貸需要が活発です。大学周辺には学生向けのアパートやシェアハウスが点在し、年間を通して安定した賃貸需要を生み出しているのが特徴となっています。

この地域の強みは、大学の研究施設と連携したハイテク企業が次々と進出していることで、技術者向けの住宅需要も着実に拡大傾向にあるのです。ニューアークの街並みは落ち着いた雰囲気を持ち、優れた治安状況が家族向け住宅市場にも安定性をもたらしています。

生活利便性の面でも、ショッピングモールやレストラン、カフェなどが充実しており、住民の日常を豊かにする環境が整備されているのが魅力です。大学施設の拡充計画や新たな企業誘致が進む見込みがあり、不動産市場の持続的成長が期待できる有望エリアと言えるでしょう。

アストラゼネカやJPモルガン・チェースといった大手企業から中小企業まで、デラウェア大学と連携して研究をしているため、大学生や専門職向けの需要がとても高いと感じました。一般向けの1ベッドルームで、月額$1,000〜$1,500程度とカリフォルニアと比較すると安いですね。

3. ドーバー

ドーバーは州都として多くの行政機関が集中しています。州政府職員や軍関係者が多く居住しているため、安定した雇用を持つ人々をターゲットにした長期賃貸契約が見込まれる点は、投資家にとって大きな魅力でしょう。

この地域の特徴として、比較的低い物価水準が挙げられます。一戸建て住宅やタウンハウスの価格も手頃なため、不動産投資の入門としても適しているのが特徴です。さらに、ドーバー・インターナショナル・スピードウェイでは世界的に知られるNASCARレースが開催されます。また地元には歴史的な観光地も点在することから、観光業の発展も期待できる地域だといえるでしょう。

州政府主導によるインフラ整備や都市開発が今後進む見通しであり、住宅需要も安定した成長を続けると予測されています。
ドーバー・インターナショナル・スピードウェイは自動車レース場で、訪れたとき、カナダやメキシコ、ヨーロッパなど世界中から集まった観客で賑わっていました。その熱気や迫力は普段なかなか味わえないもので、観光スポットとしても人気な理由がよくわかりました。

まとめ

デラウェアの不動産市場は都市ごとの特色を理解し、適切なエリアを選ぶことが重要です。

不動産投資家にとって魅力と言えるメリットは以下の3つです。

  • 初期費用の低さ
  • 安定かつ高収益
  • ビジネスフレンドリーな環境

一方で、次のような課題もあるため、慎重な分析が必要です。

  • 流動性の低い小規模市場
  • エリア格差
  • 気象リスク

入念なリサーチを行いながら、状況に応じた効果的な投資戦略を構築しましょう。

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