アーリーリタイアや退職後の移住先の候補として、カンボジアを検討している方も多いのではないでしょうか。経済成長が著しく、近年は日系企業の進出も目立つようになりました。

今回は、カンボジアに実際に移住されたT.H.さんにインタビューをしました。体験談をベースに移住してよかったこと・注意点についてご紹介します。また、具体的な移住手続き・ビザの種類についても合わせて解説します。

カンボジア移住のメリット

日本人の移住先として注目が高まっているカンボジアですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。カンボジアにおける移住生活のメリットを紹介します。

生活コストが安い

カンボジア移住は、日本と比べると生活コストが安いです。たとえば、カンボジア現地のスーパーマーケットでは、水500mlは0.25ドル(約39円)です。食費にもよりますが、1ヶ月で約10万円程度あれば日本に近い生活が送れます。

また、カンボジアはビールが安く、1杯0.5ドル(約75円)で飲めるのでお酒好きの方に嬉しいポイントです。メーカーによっては当たり缶のようなものがあり、無料でビールをもらえることもあります。

交通手段は、他の東南アジア諸国と同様にタクシー配車アプリのGrabが普及しています。最低料金は1ドルを切ることもあり、30分乗車しても運賃は500円ほどと安いです。あまりの安さと便利さから、.Hさんは徒歩10分以上かかる移動にはすべてGrabを利用しているそうです。

項目概要
首都プノンペン
人口1690万人(国連人口基金, 2023)
面積181,035平方km
言語クメール語
主要通貨米ドル
宗教仏教(一部イスラム教)
名目GDP約317億米ドル (IMF, 2024年)
一人当たりのGDP1,875米ドル (IMF, 2024年)
物価上昇率2% (IMF, 2024年)

出典:IMF「Cambodia」

日本に近い生活環境

カンボジアの人々の暮らしに大きく貢献しているのが、日本から進出したイオンモールの存在です。近年カンボジアに3つのイオンモールが完成し、連日賑わっています。

モール内にはダイソーやノジマなど日系のテナントも多数入っているため、日本人にとっても便利だと評判です。

1年中温暖な気候

寒いのが苦手な方にとって、カンボジアは過ごしやすい天候が続きます。1年を通して温暖な気候で、日中の時間帯には20℃後半〜30℃前半まで気温が上昇します。ただし、一部の飲食店では冷房を強くしていることもあり、薄手の上着を持っておくと安心です。

また、カンボジアは熱帯モンスーン気候に属しており、雨季(6〜10月頃)と乾季(11月〜5月頃)に分けられます。雨季にはスコールと呼ばれる突発的な大雨も発生するので、雨具も用意しておきましょう。

治安がいい

過去に内戦が起こったことから、カンボジアの治安は良くないと考える方もいます。しかし現在は政治も安定しており、外務省による安全レベルは1と世界的に見ても治安は良いほうです。

ただし、観光客をターゲットとしたスリや盗難などの軽犯罪は未だにあるため注意が必要です。

実際に現地で暮らしたT.Hさんの感覚では、プノンペンやシェムリアップなどの都市において危険を感じたことは無いそうです。夜遅い時間帯に一人で不用意に出歩かない・身の回りの荷物に気を配るなど最低限の警戒をしていれば問題ないでしょう。

過去にT.Hさんの友人がトゥクトゥクに乗った際、悪質なドライバーにスマホを盗られたこともあるようです。

経済発展とともに街の変化を感じられる

カンボジアは経済発展の真っ只中です。2023年におけるカンボジアの実質GDP成長率は、5.0%でした。

実際に、カンボジアの首都プノンペンでは、コンドミニアムや高層ビルといった建物が建設ラッシュを迎えています。映像で見るのではなく、経済成長を肌で感じながら生活を送れるのが魅力です。

米ドル通貨が使われている

カンボジアでは、自国通貨「リエル」以外に、アメリカの「米ドル」が流通しています。米ドルの流通量は90%を超えるとされており、日常生活で使用できます。

また、コンドミニアムの購入・賃貸付けによる収入や、金融機関での預金も、米ドルに対応しています。東南アジアにいながら、米ドルで生活を送ったり、投資を行えたりするのがカンボジアのメリットです。

親日の人が多い

カンボジアは東南アジアの中でも親日の人が多い国として知られています。その背景には過去に日本が実施してきた人道支援や経済支援があります。

現地では日本人に対して親切な方も多く、カンボジアに移住してよかったと感じることが多々あります。

近隣諸国への旅行を楽しめる

カンボジアに移住すると、近隣諸国への旅行も楽しめます。隣国にはタイやベトナム、ラオス、さらに海を超えるとマレーシアやシンガポールも行けます。また、世界的にも有名な観光地「アンコール・ワット」があるシェムリアップは、プノンペンから飛行機で1時間ほどの距離です。

2025年半ばには、プノンペン市内に新国際空港が完成する予定もあります。既存の国際空港よりも規模の大きい空港が完成することで、近隣諸国への旅行が便利になるでしょう。

長期滞在がしやすい

カンボジアは長期滞在がしやすく、移住にぴったりな国です。まず、観光ビザに関しては日本のパスポートを保有している場合、最長1ヶ月滞在可能です。

また、移住向けのビザも豊富に用意されています。後述するカンボジアに移住可能なビザの種類や手順をチェックしたうえで、どのビザを使うべきかを考えるようにしましょう。

カンボジアへの移住に興味が湧いた方は、現地にて不動産を購入した弊社代表のインタビューも合わせてお読み下さい。

>>【弊社顧問不動産購入インタビュー】経済発展が続くカンボジアは不動産投資に魅力的な国の1つ

カンボジア移住生活で注意すること

移住に魅力的な国であるカンボジアですが、注意するべきことも多くあります。どのようなポイントに注意するべきか1つ1つ確認しましょう。

インフラが整っていない

1つ目の注意点は、場所によってはインフラが整っていないことです。日本と比較すると、交通インフラや、電気・水道といった生活インフラが弱く、不便を感じる可能性があります。

とくに、水道については日本と異なり飲用水ではないので、ウォーターサーバーの設置や、飲料水が入ったペットボトルの確保が必要です。また、大通りを中心に渋滞も発生しやすく、生活環境に慣れるまでに時間を要するかもしれません。

急な天候の変化に気を付ける

カンボジアは、雨季の時期に「スコール」と呼ばれる大雨が降ります。晴れていたと思ったら、急に分厚い真っ黒な雲が発生し、バケツを引っくり返したような雨が降り出します。

雨の排水システムが整っていないので、スコールによる大雨が降ると、あたり一面が冠水することもあります。1時間ほどで雨は止みますが、雨季に外出する際には注意が必要です。

外出時は軽犯罪に注意する

カンボジアでは、軽犯罪には注意しましょう。観光客を相手にした窃盗事件が発生しており、外出の際には貴重品の管理を徹底する必要があります。

また、日本人を含む外国人がカンボジアを拠点に犯罪行為を行う事件も見られるので、巻き込まれないようにしてください。

在留邦人が少なく、情報が得られにくい

カンボジアの在留邦人は、外務省によると2023年10月時点で「3,215人」です。国別在留邦人数は全体の29番目ですが、在留邦人が少ないことから情報が得られにくい可能性があります。

都市部では英語が通じることもありますが、語学に自信が無い方だと情報の入手に苦戦してしまいます。どの国でも言えますが、ビザ情報や、現地での生活方法などを現地に精通している日本人から入手することが必要となってきます。

出典:外務省「カンボジア王国」

カンボジアに移住可能なビザの種類と移住手順

カンボジアに移住したいけれど、どのビザを使って入国するか迷っている方も多いのではないでしょうか。カンボジア移住向けにビザの種類や、移住の手順を紹介します。

カンボジアに移住可能なビザの種類

カンボジアに移住可能なビザの種類は4つあります。各ビザの条件や、取得方法を解説します。

ビジネスビザ(E)

ビジネスビザは、カンボジア国内で仕事をするために必要なビザです。日本から短期で出張するビジネスパーソンや、カンボジア現地企業で働く日本人、フリーランス、個人事業主もビジネスビザで滞在できます。

なお、ビジネスビザは、カンボジア入国前、あるいは入国時に申請します。就業期間に関わらず、30日間の滞在許可をもらえるので、カンボジア入国後に再度申請して長期用に切り替える必要があります。申請費用は初回が35ドルで、延長する場合は1年に300ドルを支払います。

投資ビザ(CM2H)

投資ビザは、2022年7月に開始したビザです。「CM2H(カンボジア マイ セカンド ホーム)」と呼ばれるビザで、一定の投資要件と財政的要件を満たすと、10年間のビザが発給されます。なお、ビザ取得から5年後には、カンボジア国籍の取得も可能です。

投資ビザを取得する要件は、「カンボジアに10万USドル以上の投資資金を有していること」や、「カンボジア政府が認可する不動産を所有していること」などが条件です。

求職者ビザ(EG)

求職者ビザは、カンボジア国内で就職活動を行う外国人を対象としたビザです。現時点では、最大6ヶ月間まで延長が可能ですが更新は不可となっています。

なお、求職者ビザの取得方法はビジネスビザと同様です。日本国内のカンボジア大使館にて「ビジネスビザ」を取得し、カンボジア入国後に求職者ビザに切り替える必要があります。

退職者ビザ(ERビザ)

退職者ビザは、55歳以上の退職者や、年金を受け取っている方を対象としたビザです。カンボジア滞在中の生活を維持するのに必要な資金が必要となります。

1点注意しておきたいのは、退職者ビザを使ってカンボジア国内で働くことはできません。ビジネスビザと同じ取得方法で、1年ごとに更新する必要があります。

カンボジアへの移住手順

カンボジアへの移住ビザを決めたあとは、実際にカンボジアへの移住を計画していきます。ビザ取得から、カンボジアへの入国、部屋探しまでの手順を把握しておきましょう。

必要書類の準備とビザ申請

まずは、ビザ取得に向けて必要書類を準備します。ビジネスビザであれば、パスポート、証明写真、ビザ申請書類などを入手・申請します。。

日本国内でビザを申請する際には、カンボジア大使館、または領事館を訪問します。ビザ取得までに時間を要する場合もあるので、余裕を持つようにしましょう。

カンボジアへの入国

ビザを取得したあとは、カンボジアに入国します。ビザの種類でも解説したとおり、一部のビザを取得した場合は、入国時に30日間の滞在許可を得られますが、その後はカンボジア国内で再度申請が必要です。

2025年4月現在、日本からカンボジアへの直行便はなく、バンコク、ソウル、香港などを経由して入国します。

賃貸契約・物件購入

カンボジアで生活を行うにあたって、物件を探す必要があります。近年、プノンペンを中心にコンドミニアムの開発が進んでおり、日本人にも住みやすい環境です。

日系の不動産会社も多く進出しており、日本語でやり取りしながら賃貸を探せます。場所にもよりますが、プノンペンであれば月5万円〜を想定しておきましょう。

また、物件を購入するのも選択肢の1つです。冒頭でも紹介したとおり、首都プノンペンでは1,000万円台〜購入可能な物件も多くあります。

カンボジア移住に向いている人の特徴

カンボジア移住のメリットやデメリットを紹介しましたが、実際にカンボジアに移住してみた結果、自分に合わなかったと後悔してしまう可能性があります。最後に、カンボジア移住に向いている方の特徴をまとめます。

収入が安定している

最初に、収入が安定している方です。カンボジアでも就職してお金を稼ぐことは可能ですが、日本と比べると給与も低く、日本と同じ生活レベルを送るのが難しいです。

そこで、日本で安定した収入があれば、カンボジアでもより水準の高い生活が実現できます。自身の収入状況を踏まえたうえで、どのような生活を送れるのかをイメージしましょう。

他文化を楽しめる

カンボジアの文化を楽しむ気持ちがある方はカンボジア移住がおすすめです。

カンボジアは日本と同じ仏教ですが、信仰上の考え方が異なり、日本よりも仏教が生活のなかに入っています。たとえば、寺院に行くときに露出が多い服装が禁止されていたり、女性は僧侶に触ってはいけないといったりするものです。

また、インフラをはじめとした生活環境も異なるので、慣れるまで時間を要する場合があります。ストレスになる場面もあるかもしれませんが、カンボジアの文化や生活を楽しむ気持ちが大切です。

外国語学習に抵抗がない

カンボジアへの移住生活を楽しむためには、外国語学習に対する抵抗がないことも重要です。英語はもちろんのこと、現地カンボジア人とコミュニケーションを取る際には、クメール語の学習も一定必要です。

日本人が多く住むエリアで生活すれば、日本語だけでも問題はありませんが、カンボジアという国での移住生活を楽しむためには現地語学習が求められます。外国人向けのクメール語教室も開かれているので、学習意欲を持ちましょう。

カンボジア移住に関するよくある質問と回答

Q1. カンボジアでの1ヶ月の生活費はどれくらい?

カンボジアで日本人が暮らす場合は、家賃等も含めて1ヶ月1,000ドル程度が目安です。ただしこれは日本と変わらない暮らしをする場合です。ローカルフードを食べたり現地人と近い生活をするのであれば半分以下に抑えられます。

Q2. カンボジアの平均家賃は?

カンボジアの平均家賃は首都プノンペンの中心地で約420ドル(約65,000円)、郊外で250ドル(約38,000円)となっています。

まとめ

カンボジアは新興国のなかでも経済成長が進んでおり、刺激的な日々を過ごしたい方におすすめの移住先です。大手の日系スーパーや、スターバックス、セブンイレブンなども進出し、日本と変わらないほどの生活を送れます。

今後、カンボジアへの移住を希望する方は、まず旅行で一度訪れてみましょう。実際にカンボジアで生活を送り、自分に合うのかを確かめることが大切です。

海外不動産の全てがわかる!海外不動産購入ガイド

・海外不動産を購入するまでの流れがわかる ・海外不動産がおすすめな理由は? ・海外不動産のメリット・デメリットは?