2023-02-17

不動産投資で個人売買は可能?個人間での手続き方法や注意したいポイント

  • 海外不動産コラム

自身が保有する不動産を売却するのに、不動産仲介会社を通すか、個人間で売買を行うか迷われている方も多いのではないでしょうか。不動産仲介会社を利用すると手数料が発生するという理由から、個人で売買を行うことも選択肢に挙がります。

そこで、今回の記事では、不動産を個人で売買することによるメリットや注意点を解説します。また、個人間で取引を進める方法・流れも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産投資における個人売買は可能?

不動産仲介会社を通さずに、個人で不動産を売買することは可能です。通常、不動産仲介会社を利用して売買を行う場合、宅地建物取引士の資格を持つ人が仲介会社に在籍していることが必須です。

しかし、買主・売主を直接見つけて個人で売買する際には、宅地建物取引士の資格を取得していなくても法律的に問題ありません。

不動産投資で個人売買を行うメリット

自身が保有する不動産を売却したり、売主から直接不動産を購入したりすることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。3つのメリットを紹介するので、1つ1つ確認していきましょう。

仲介手数料や税金の節約につながる

1つ目のメリットは、不動産仲介会社による仲介手数料や、税金の節約につながることです。一般的に、不動産仲介会社を通して物件を売却すると、下表に記載の手数料を支払わなければなりません。

また、このとき消費税分も仲介会社に支払う必要があります。売買価格が大きくなるほど、全体の手数料も増えてしまうことから、個人間での売買は金銭的な負担を抑えられるのがメリットです。

参考記事:不動産投資で高く売却するタイミングはいつ?流れや気をつけたいポイント

物件の売買価格(税抜) 仲介手数料の上限
400万円超
取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
200万円超〜400万円以下
取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税
200万円以下
取引物件価格(税抜)×5%+消費税

不動産取引の自由度が高まる

個人間での不動産売買は、不動産取引における自由度を高められます。不動産仲介会社に依頼すると、細かいチェックが入ったり、仲介会社の担当者に合わせて売買を進めたりしていかなければなりません。

一方、不動産を個人間で売買する際には、簡素な形で書類を作成できます。もちろん、トラブル防止のために最低限のポイントを押さえなければなりませんが、比較的自由度の高い取引が実現できます。

売買取引のスケジュールに柔軟性をもたせられる

スケジュールに柔軟性をもたせられるのも、個人間で不動産売買を行うメリットです。不動産仲介会社を通すと、担当者のスケジュールに合わせる必要があるので、営業時間外での対応が難しくなります。

とくに、サラリーマンや経営者として働いている方にとって、スケジュールを組みやすいのは個人間で売買を行うメリットといえます。また、契約が合意され次第、スピーディな引き渡しを済ませられる可能性もあります。

不動産投資で個人売買を行う際の注意点

個人間での不動産売買には多くのメリットがありますが、注意点にも気をつけなければなりません。トラブルやデメリットに注意しながら、個人で売買を行うようにしましょう。

個人間でのトラブルが発生しやすい

不動産仲介会社を通さずに、個人で物件売買を行うことで、トラブルに発展する可能性が高まります。知識がない者同士で売買を進めていくと、金額に相違が発生したり、契約内容に気づかないまま取引を行ったりする恐れがあります。

なお、不動産仲介会社を通して物件を売買する場合、宅地建物取引士による「重要事項説明書」の作成と説明の義務が法律で定められています。個人売買では書類の作成・説明を行わなくても法律違反となりませんが、後々トラブルにならないように注意が必要です。

不動産の売却先が見つけにくい

個人で取引を行おうとする際に、不動産の売却先を見つけるのに苦戦する可能性があります。フリマアプリと異なり、個人向け不動産売買の専用サイトも少なく、すぐに相手が見つかるとは限りません。

また、一般的に、不動産仲介会社の担当者が物件を査定・価格を設定しますが、個人売買の場合は自分で調べて価格を設定します。売却相手を探す作業だけでなく、適正な物件価格を設定するだけでも大きな手間と時間がかかります。

ローンの借入が難しい可能性がある

不動産の個人売買で注意するべきなのが、ローンの借入が難しいことです。通常、不動産投資用ローンを借り入れる場合、不動産仲介会社が作成した売買契約書・重要事項証明書といった書類を金融機関に提出する必要があります。

個人売買では、上記の書類を個人で作成しなければならないので、記載内容に不備が生じ、認められないことも考えられます。また、個人売買は、仲介会社を通す場合と比較してトラブルも多く、金融機関がローンの審査に難色を示しやすいと言われています。

不動産を個人間で売買する方法・流れ

個人間で不動産を売買するにあたって、方法や基本的な流れを把握しておきましょう。売却時のおおまかな流れを紹介するので、不動産売買の参考にしてみてください。

参考記事:マンション投資で失敗しない売り方とは?売却手順や注意点

1.不動産の売却相場を確認する

まずはじめに、不動産の売却相場を確認します。不動産価格を調査するにあたって、実勢価格や公示地価・基準地価、相続税評価額などを用います。

なお、国土交通省の土地総合情報システムから実勢価格を簡単に調べられます。不動産の種類、最寄り駅、土地面積、土地形状、建物の築年数といった情報を入力し、検索結果から価格を参考にできます。

2.売却の事前準備を行う

売却相場を確認したあとは、売却の事前準備を進めていきます。具体的には、必要書類の準備、土地の境界を確認する作業、建物・土地の名義人を確認する作業などが挙げられます。

不動産売買は、名義人である本人でしか行えないので、相続した場合は名義変更が行われているかも確認しなければなりません。また、土地の境界がはっきりしないまま売買すると、隣人とのトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

3.不動産の買主を見つける

個人で不動産の取引を行うためには、買主を見つける必要があります。不動産仲介会社を通せば幅広い層に物件売却を打診しやすいものの、個人で探すとなると、個人向けの売買サービスを利用したり、SNSや個人サイトなどを使ったりし、相手を探さなければなりません。

また、売却価格に関しては、購入希望者より値引きがリクエストされるのを想定して、多少上乗せした金額を提示するのも検討しましょう。購入希望者から質問や、内見希望などの連絡が来た際には迅速に対応し、良い印象を得られるように対応を続けることが大切です。

4.必要書類の作成と契約締結

買主が決まり次第、必要書類の作成と契約締結に向けて動きます。不動産仲介会社に依頼する際にも同様ですが、売買契約書、登記事項証明書、権利証、住民票、顔写真つきの身分証明書などを用意してください。

とくに、不動産売買契約書は、後々トラブルを防止するためにも、買主・売主がお互いに話し合いながら、適宜修正・加筆を加えるようにしましょう。不動産の引き渡し時期、瑕疵の修復条件、固定資産税の負担割合、契約違反による解除などの項目は、トラブルになりやすいので要チェックです。書類の内容に問題がなく両者が合意した段階で、不動産売買の契約を締結します。

5.購入費用の入金と引き渡し

不動産売買の契約締結が済んだら、物件購入費用の入金と引き渡しを行います。このとき、買主が金融機関にてローンを借り入れる場合、司法書士同席のもと、金融機関で支払いを行うのが一般的であるとされています。

なお、ローンを借り入れていないのであれば、司法書士の同席は不要でも問題はありません。最終的に購入費用の支払いが完了次第、物件を買主に引き渡すこととなります。

6.不動産の名義を変更する

物件の引き渡しが終わったら、不動産の名義を変更します。引き渡す物件をローンで購入し、現在も返済中で抵当権が設定されている場合、残債の支払いと抵当権の抹消が必要です。

その後、所有権移転登記を申請し、名義の変更が済んだら個人間での不動産売買が完了します。不動産の売却益が発生した方は、確定申告も忘れないようにしましょう。

不動産投資で個人売買を円滑に行うには?

個人間での不動産売買はトラブルも発生しやすく、注意しながら進めていかなければなりません。少しでも円滑に売買を済ませられるように、対策を立てるようにしましょう。

不動産仲介会社からサポートを受ける

個人間で不動産売買を行うのに不安がある方は、不動産仲介会社に相談しましょう。専門的な知識を持つ担当者に、どのように売買を進めればよいのか、どれくらいの価格で売却すればよいのかといった相談をします。

相談費用が発生する可能性がありますが、知識がない状態で始めるよりも安心できます。また、そのまま不動産仲介会社に売買手続きを依頼し、一貫してサポートをしてもらうことも可能です。

契約書の内容を弁護士に確認してもらう

契約書でトラブルを防ぐためにも、買主・売主両者で契約書を作成したあとに、弁護士に確認してもらうことも大切です。法律の専門家である弁護士に確認してもらうことで、契約内容を明確にし、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。

とくに、契約不適合責任は、売主側に多額の損害賠償が求められることもあります。不動産売買後、契約不適合責任に問われないように記載する内容を法律にもとづいて明確にしておきましょう。

まとめ

不動産の個人売買は、手数料・税金の節約につながるほか、自由度の高い取引が期待できます。しかし、不動産仲介会社を通さないことで、個人同士でトラブルに発展するケースも多いので注意しなければなりません。

個人売買に不安を感じる方は、不動産仲介会社に相談したり、契約書作成時に弁護士に内容を見てもらったりしましょう。トラブルを未然に防ぐためにも、関係各所への相談が重要となります。