マンション投資では、毎月の家賃収入だけでなく、物件売却によるキャピタルゲインを狙えます。しかし、正しい売り方や手順を把握しておかないと、マンション投資で失敗する可能性があります。
そこで、今回の記事では、マンション投資における失敗しない売り方や、全体的な流れを紹介します。最後にマンション投資の売り方で注意しておきたいポイントもまとめているので、キャピタルゲインを狙う方は参考にしてみてください。
マンション投資で失敗しない売り方
マンションを売却する際には、どのようなポイントを押さえておけばよいのでしょうか。マンション投資で失敗しない売り方を6つ紹介します。
1.複数の不動産仲介会社に相談する
1つ目のポイントは、複数の不動産仲介会社への相談です。不動産仲介会社ごとに、売却時の査定額が異なる可能性があり、複数の不動産仲介会社に相談することで平均的な査定額を把握できます。
また、マンションの売却時期や、売却活動のスケジュールを計画する際にも不動産仲介会社に相談しましょう。早めに不動産仲介会社と相談し、マンション投資全般に関する疑問点を払拭することが大切です。
2.適切な媒介契約を結ぶ
次に、適切な媒介契約を結ぶことです。媒介契約とは、物件売却を依頼する際に不動産仲介会社と結ぶ契約で、下記のとおり、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。
一般媒介は、売主にとって複数の仲介会社に依頼をかけられるメリットがある一方で、仲介会社にとっては「他社で売却が決まると、コストや時間が無駄になる」というリスクがあります。つまり、優先度が低いとみなされ、売却の進展具合に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで、専任媒介・専属専任媒介であれば、売主側は1社のみとしか契約を結べないため、仲介会社側での優先度が高くなり、スムーズな売却活動が期待できます。
もちろん、すぐに買主が見つかりやすい人気の物件であれば一般媒介でも問題ありませんが、「早く売却したい」、「優先的に対応してもらいたい」という希望があれば、専任媒介・専属専任媒介を選ぶようにしましょう。
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
---|---|---|---|
依頼制限 | 複数の仲介会社に依頼可能 | 1社のみに依頼が可能。 重ねての依頼は不可。 | 1社のみに依頼が可能。 重ねての依頼は不可。 |
仲介会社の報告義務 | とくに定めはなし | 14日に1回以上の報告義務(メールか文書) | 7日に1回以上の報告義務(メールか文書) |
レインズへの登録義務 | 仲介会社の任意 | 7日以内の登録義務 | 5日以内の登録義務 |
自己発見取引 | 自身で買主を探せる | 自身で買主を探せる | 契約した仲介会社を通す必要がある |
契約期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
3.マンションの売却価格相場を調べる
1つ目のポイントでも触れましたが、マンションの売却価格相場を調べることも大切です。マンションの売却価格相場を把握しておかないと、相場よりも低い査定額を提示されたときに、適切な価格で売却できなくなります。
また、マンションを売却する際に、値引き交渉を持ちかけられることがあります。売却相場を事前に把握することで、大幅な値引きや、不用意な値引き交渉を断れるようになります。
4.売却の下限価格と引き渡し日を決める
売却時に値引き交渉を持ちかけられたり、査定額が思ったほど伸びたりしない可能性があります。そこで、なるべく納得できる金額で売却するためにも、下限価格を決めておきましょう。
不動産仲介会社とも下限価格を共有しておけば、買主側から値引き交渉を持ちかけられても、最低限希望する価格で売却できます。また、引き渡し日を決めておくことで、「その日」を境に売却価格の値下げを妥協するか判断基準になります。
5.購入希望者が内覧する前に掃除を行う
購入希望者が内覧を希望した際には、室内を丁寧に掃除しておきましょう。清潔感がないと、購入希望者から悪い印象を持たれてしまう可能性があるためです。
また、なるべく室内全体を広く見せられるように、床に置いている物を片付けたり、置き場所を工夫したりすることも大切です。とくに、水回りの部分は、衛生面を気にする人も多いので要チェックです。
6.ローンが残っている場合は金融機関に連絡する
ローンが残っている物件は、抵当権が設定されています。保有するマンションに抵当権が残っているままだと、売却することができないため、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権を抹消するためには、マンションの引き渡し日を明確にしたうえで、金融機関に連絡をしてください。その後、引渡し日にローンの残額を支払い、抵当権を抹消します。金融機関で書類を準備するのに時間がかかるので、引渡し日が決まった段階で依頼しておくようにしましょう。
マンション投資の売り方や流れ
マンション投資での成功に向けて、売り方や流れを把握しましょう。マンションの査定依頼から、税務署での確定申告まで6つのステップを紹介します。
ステップ1.マンションの査定を依頼する
はじめに、売却を予定しているマンションの査定を依頼します。失敗しない売り方でも解説したとおり、複数の不動産仲介会社に依頼することが重要です。
なお、査定方法には、「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。簡易査定は、マンションの所在地や敷地面積、築年数などをもとに金額を査定します。
一方、訪問査定は、簡易査定に加え、直接マンションに訪れて物件を調査する方法です。より正確性の高い査定額を知りたい場合には、後者の訪問査定を選択しましょう。
ステップ2.不動産仲介会社の選定
複数の不動産仲介会社に査定を依頼したあとは、契約する仲介会社を選定します。このとき、査定額が一番高いという理由だけで、仲介会社を選ばないように注意が必要です。
具体的には、「不動産仲介会社としての実績・経験」、「営業担当者の対応が信頼できる」「査定額の根拠を明示してくれる」など、信頼性の部分を重視しながら選ぶようにしましょう。
ステップ3.媒介契約を結ぶ
不動産仲介会社の選定後に、媒介契約を結びます。一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のいずれかから、自身にあった媒介方法を選択します。
ステップ4.内覧対応を行う
マンションを売り出すと、不動産仲介会社を経由して、購入希望者から内覧の問い合わせを受けることがあります。不動産仲介会社経由で購入希望者から内覧希望の連絡を受け取ったら、日時の決定や、部屋を清掃しましょう。清掃の時間が取れない場合には、クリーニングサービスを利用することも検討してください。
ステップ5.売買契約を結び、引き渡す
購入希望者と売買条件が合意に至ったあとは、売買契約を結びます。このとき、宅地建物取引士が、売買に関する重要事項の説明を行い、買主・売主双方が契約書に署名します。
1点注意しておきたいのは一度契約書に署名をすると、契約内容の変更が不可となり、違反した場合には違約金を支払う可能性があります。契約書を読み返し、内容に問題がないかを確認しましょう。
ステップ6.税務署にて確定申告を済ませる
マンションの売却が済んだら、確定申告も忘れないようにしてください。利益の有無に関わらず、売却した年の翌年2月中旬から3月中旬の期間に確定申告を行います。
マンション投資の売り方で注意すること
マンション投資では、売り方でいくつか注意しておきたいことがあります。成功に向けて、どのような点に注意するべきか参考にしてください。
3000万円の特別控除は住居用売却のみ適用
マンション投資で売り方を調べたときに、「3000万円の特別控除」というキーワードが表示されることがあります。しかし、この3000万円の特別控除は、投資用マンションではなく、住居用マンションを売却したときのみしか適用されません。
また、以下に挙げる主な適用条件を満たす必要があります。確定申告も必須なので、忘れないようにしましょう。
・自分が居住していた家を売却すること
・居住しなくなってから3年経過する日の属する年末までに売却すること
・買主と売主が、親子や夫婦間、親族など特別な関係ではないこと
・過去2年間、本特別控除の適用を受けていないこと
売りに出してから売買契約までおおよそ3ヶ月必要
マンションを売りに出してから、売買契約が結ばれるまで3ヶ月を見るようにしましょう。そもそも、不動産投資は流動性が低く、売却しようと思っても1週間や1ヶ月で売却するのは難しいです。
また、立地が悪い、老朽化が激しい、事件・事故があったような物件は人気が低く、3ヶ月以上要することも珍しくありません。売却すると決めた段階で、早めに不動産仲介会社に連絡を取りましょう。
キャピタルゲインを狙うなら海外不動産も検討する
不動産売却によるキャピタルゲインを狙うのであれば、海外不動産も検討してみてください。近年、カンボジアやフィリピンといった東南アジアでは、経済発展とともに不動産価格が上昇しています。
たとえば、カンボジアでは、同国国立銀行の発表によると、首都プノンペンにおける2022年8月の住宅価格指数が2020年比で15.4%も上昇する結果となりました(※1)。また、1000万円台で購入可能な物件や、月々10万円台の分割払いに対応した物件もあります。
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まとめ
マンション投資で利益を狙うためには、失敗しない売り方を知ることが重要です。複数の不動産仲介会社への依頼、媒介契約の選定、適切な売却価格の設定といったポイントを押さえるようにします。
また、マンションの売り方や流れを把握することで、スムーズな売買を進めやすくなります。信頼性が高い不動産仲介会社を見定め、失敗しないようにマンション投資を行いましょう。
※1:カンボジア国立銀行「経済・金融政策(2022年8月) 」(PDF11ページ目)