不動産投資で利益を狙うにあたって、投資用マンションやアパートといった物件を売却するタイミングが重要となります。しかし、どのタイミングで物件を売却するべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、不動産投資における物件を高く売却するタイミングを紹介します。また、売却の流れや売却時に注意しておきたいポイントもまとめているので、最後まで御覧ください。
不動産投資用マンションやアパートを高く売却しやすいタイミング
最初に、不動産投資で物件を高く売却しやすいタイミングを4つ解説します。それぞれのタイミングを踏まえたうえで、いつ物件を売るのか参考にしてみてください。
入居率が高いとき
まずは、マンションやアパートといった物件の入居率が高いときです。売却時における利回りが安定していることで、買主側への訴求効果を高められます。
ただし、入居率を高めるために、意図的に家賃を値下げするのは控えるようにしましょう。家賃を大幅に下げてしまうと肝心な利回りが低下し、新しいオーナー探しが難しくなる可能性があります。
物件の修繕を済ませたあと
次に、物件の修繕を済ませたあとのタイミングです。買主側の立場をイメージすれば分かるとおり、物件がすでに修復されている状態の方が買い手も見つかりやすくなります。
また、修繕を行うことで、不動産自体の資産価値下落を防ぐのにも効果があります。とはいえ、修繕費用が発生するため、あらかじめ予算を組んでおくことも忘れないようにしましょう。
金利が低いとき
金利が低いときも、不動産を高く売却しやすいタイミングであると言われています。金利とは、金融機関が融資を貸し出すときの利息のことで、金利が低いときに売却するのが有利です。
というのも、金利が低いと不動産投資用ローンを組む際の利息が少なくなり、不動産投資の需要が高まるためです。不動産売却時には金利の動向もチェックしておきましょう。
路線価が高くなっているとき
路線価とは、1月1日時点における主要な道路に面した1㎡あたりの土地価格を指します。国税庁が公示する数値で、相続税や贈与税を計算するときに用いられます。
路線価は道路に面した土地の価格を表すものであり、数値が上昇しているほど、不動産価格も高くなる傾向があります。また、ほかにも国土交通省が発表している「公示価格」、各都道府県の「基準地価」なども参考にしてみてください。
不動産投資で物件を売却する流れ
不動産投資ではどのような流れで物件を売却するのでしょうか。5つのステップに分けて、不動産売却の手順をまとめていきます。
ステップ1.複数の不動産仲介会社に査定を依頼する
最初に、不動産仲介会社に査定を依頼します。不動産を売却する目的や、どれくらいの金額で売却したいのかなどを相談しておくことで、品質の高い提案を受けられる可能性があります。
また、不動産売却に関する査定を行う際には、複数の仲介会社に依頼することが大切です。1社だけでは情報が偏ってしまうことがあるほか、各社で査定額が大幅にズレる可能性もあるので、損をしないためにも複数社への依頼を推奨します。
ステップ2.媒介契約を結ぶ不動産仲介会社を選定する
ステップ2では、媒介契約を締結する不動産会社を選定します。ステップ1で査定を依頼した仲介会社のなかから、金額面での条件やスタッフの対応などをもとに決定しましょう。
また、媒介契約には、以下の3種類があります。それぞれの特徴を調べたうえで、どの種類で契約を結ぶのか考えてください。
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
---|---|---|---|
依頼制限 | 複数の仲介会社に依頼可能 | 1社のみに依頼が可能。重ねての依頼は不可。 | 1社のみに依頼が可能。重ねての依頼は不可。 |
仲介会社の報告義務 | とくに定めはなし | 14日に1回以上の報告義務(メールか文書) | 7日に1回以上の報告義務(メールか文書) |
レインズへの登録義務 | 仲介会社の任意 | 7日以内の登録義務 | 5日以内の登録義務 |
自己発見取引 | 自身で買主を探せる | 自身で買主を探せる | 契約した仲介会社を通す必要がある |
契約期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
ステップ3.物件を市場に出して購入希望者を待つ
媒介契約を締結したあとは、物件を市場に出して購入希望者を待ちます。媒介契約を結んだ仲介会社にて、不動産投資専用の物件サイトに登録したり、自社のホームページや広告掲載などを行ったりします。
このとき、物件を内見したい人が出た際にも対応を行います。オーナー自身の立ち会いも可能で、購入希望者の意見を汲み取りながら価格の調整や、修繕・リフォームの必要有無、支払い方法といった条件面も話し合います。
ステップ4.購入者が見つかり次第売買契約を結ぶ
最終的に、物件の購入者が見つかり次第、売買契約に移ります。宅地建物取引士による重要事項説明を経て、買主・売主双方が売買契約書にサインします。不動産仲介会社が契約書類を準備し、売主側では実印、身分証明書、印鑑証明書などを用意します。
ステップ5.物件の引き渡しと決済を行う
売買契約が完了したあとは、物件の引き渡しと決済を行います。契約時の支払い条件をもとに、買主が物件費用を支払います。
また同時に、不動産仲介会社への手数料の支払いが発生します。仲介手数料に関しては、下記のとおり宅地建物取引業法によって上限が定められています。
仮に、3000万円の物件を購入した場合、「3000万円×3%+6万円+消費税」で105.6万円が手数料となります。
物件の売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円超〜400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
支払いが完了したのちに、買主に物件の鍵やその他書類を渡します。
不動産投資の売却で気をつけたいポイント
不動産投資で売却する際の注意点をまとめます。思わぬ損失や、手続きにトラブルが発生しないようにしましょう。
物件売却の目的を明確にする
1つ目のポイントは、物件売却の目的を明確にすることです。たとえば、今後のライフプランに対する資金作り、相続税の節税対策、経済状況による利益確定といった目的を持つようにします。
目的がないまま売却すると、高値で売りやすいタイミングを間違えてしまったり、正しい手順を踏まないまま売却を進めてしまったりする恐れがあります。まずは、物件売却の目的を明確にし、不動産仲介会社とも相談しながら売却しましょう。
不動産投資を途中でやめるべきか検討し直す
次に、本当に不動産を売却するべきかを検討し直すことです。不動産を売却したい方のなかには、「サラリーマンとの業務の兼ね合いで管理に手間がかかっている」、「不動産投資以外の資産運用にチャレンジしたい」などの理由から、不動産を手放す方もいます。
もちろん、各々の判断で不動産を売却するべきですが、今後さらに利益が狙えそうなタイミングで売却してしまわないように注意が必要です。勢いで売却してしまうのではなく、今一度売却するべきかを考えてみてください。
売却時の手数料や税金を把握する
不動産を売却するにあたって、不動産仲介会社への手数料や、売却益に関する税金を把握しておきましょう。
・仲介会社への手数料
物件の売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円超〜400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
・印紙税
不動産売買金額 | 本則 | 軽減税率 |
---|---|---|
1万円未満 | 200円 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円超50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
・不動産譲渡所得税
売却年の1月1日時点における所有期間 | 区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|---|
5年超 | 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
※譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
また、投資用マンションに抵当権が設定されている場合、抵当権抹消関連費用が発生します。不動産仲介会社や税理士などと相談し、売却にどれくらいの費用がかかるのかを計算するようにしましょう。
参考記事
・不動産投資で税金対策は可能?節税の仕組みをわかりやすく説明
・海外不動産の税金をパターン別に紹介!節税対策や確定申告の方法は?
不動産譲渡所得の相殺(損益通算)に注意する
不動産譲渡所得を損益通算する際には、以下の2つのパターンで損益通算が可能です。
1.保有している複数の不動産での損益通算
2.住居用不動産を買い換える際の繰延特例
ただし、不動産譲渡所得は分離課税に該当するため、不動産譲渡所得以外の所得(事業所得や給与所得)とは別に計算されます。
売却前に不動産投資ローンの残債を確認する
不動産投資用ローンを組んでいる方は、物件を売却する前にローンの残債を確認しましょう。物件の売却益がローンの残債よりも低くなった場合、不動産の抵当権を抹消できないので、売却自体が行えません。
それでも不動産を売却するのであれば、自己資金で不足分を補うか、金融機関と相談して月々いくら返済するかなどの対応が必要です。
物件売却後に確定申告を忘れずに行う
物件を売却したあとは、確定申告を忘れずに行います。売却した翌年の確定申告にて、不動産売却で発生した譲渡所得を申告します。前述したとおり、譲渡所得で損失が発生していても、事業所得や給与所得との損益通算が行えない点に注意が必要です。
まとめ
不動産売却による収益を狙うためには、物件を売るタイミングが重要です。タイミングを逃してしまうと、期待していたほどの収益を得られないだけでなく、思わぬ損失が発生する恐れがあります。また、不動産売却に伴う手数料や税金などをしっかりと把握しておきましょう。
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