マンション経営を始めてみたいものの、「損失が発生しないか」、「借金を抱えてしまうのではないか」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。区分マンションと比較すると初期費用がかかり、失敗した際には金銭的な損失が出るリスクが存在するので注意が必要です。
失敗を防ぐためには、過去の事例を踏まえたうえで、どのような対策方法を取るかが重要です。そこで、今回の記事では、マンション経営でよくある失敗事例10選や対策方法に加え、失敗を避けるコツを解説します。
マンション経営でよくある失敗事例10選
まず、マンション経営でよくある失敗事例10選を紹介します。マンション経営でどのような失敗が起こりやすいのかを把握しましょう。
1.入居者が見つからず家賃収入が発生しない
マンション経営でよくある失敗事例に、入居者が見つからずに家賃収入が発生していない状態が挙げられます。大金を使って物件を購入したとしても、入居者が見つからない限り、家賃収入を得ることができません。
空室リスクは、不動産投資で起こりやすい失敗例であり、避けなければならない失敗です。家賃収入を得られていないということは、物件購入費用の回収ができていないため、キャッシュフローにも悪影響を及ぼします。
2.家賃収入よりも支出が多くなっている
次に、家賃収入は発生しているものの、支出が想定以上に多くなっている失敗事例です。アパート経営では、収益を得ることだけでなく、支出面も考慮しなければなりません。
具体的には、部屋の修繕・リノベーションにかかる費用や、管理会社に委託する費用、その他税金などがかかる場合があります。
3.表面利回りどおりに収益が発生していない
マンション経営を始める際に、表面利回りをもとに収益を計算した結果、想定していたほどの収益が発生していないという失敗があります。表面利回りは、物件購入価格と家賃収入額のみしか計算に含まれないため、正確性の高い収益を計算することができません。
収益をシミュレーションするときには、表面利回りではなく、諸経費を計算に含めた実質利回りを算出する必要があります。表面利回りと実質利回りの違いを把握しておくようにしましょう。
4.税金対策をしているのに節税効果が出ていない
マンション経営を始める方のなかには、税金対策を狙っている方もいます。もちろん、マンション経営で生じる減価償却費や、修繕費、ローンの金利、物件購入費用などを経費として計上することが可能ですが、すべての方が節税効果を得られるとは限りません。
なかには、そもそもの費用がかかり過ぎた結果、税金対策どころではなくなってしまうことも考えられます。節税効果をはっきりと得られる方もいれば、そうでない方も出てくる可能性がある点を頭に入れておきましょう。
5.入居者トラブルが発生してしまった
マンション経営を行っているなかで、入居者トラブルが発生してしまう可能性があります。たとえば、数ヶ月にわたって家賃を滞納するような入居者や、建物内の備品を故意に破損したり、隣の入居者からクレームをもらったりするような入居者が存在します。
上記のような入居者トラブルを抱えると、損失が出てしまうだけでなく、トラブル解決に向けて新たな費用が発生することが考えられます。
6.サブリース契約が解除された
サブリース契約とは、不動産管理会社がオーナーから物件を借り上げ、入居者に又貸しする契約です。不動産管理会社が一括して管理を行うため、オーナーの負担軽減につながるほか、入居者がいない状態でも一定の家賃収入を得られる場合があります。
しかし、一部のサブリース契約では、契約途中でいきなり解除されてしまったというトラブルも発生しています。不動産管理会社の信頼性やこれまでの実績などを考慮しておかないと、予期せぬトラブルに巻き込まれるリスクが存在します。
7.不動産投資用ローンの返済が圧迫している
不動産投資用ローンを借り入れて物件を購入する方は、ローンの返済が圧迫しないように注意が必要です。レバレッジ効果と呼ばれる自己資金以上の運用が可能となりますが、ローンを借り入れすぎた結果、毎月の返済負担が大きくなり、キャッシュフローに悪影響を及ぼします。
一般的に、不動産投資用ローンを借り入れる際には、物件価格に対して15〜30%が自己資金での支払いとなります。フルローンやオーバーローンなど、ローンの割合が大きすぎると、返済リスクが生じてしまいます。
8.管理業務が大きな負担になっている
マンションの管理業務が大きな負担とならないように注意しましょう。入居者からのクレーム対応や、トラブルの解決、家賃の徴収などの業務を1人で行うとなると、負担が増してしまいます。
とくに、サラリーマンや経営者の方の場合、管理業務の負担が大きくなることで、本業がおろそかになる恐れがあります。可能な限り、自身の負担を軽減できるように工夫が必要です。
9.不動産価格がなかなか上がらない
今後、不動産の売却を検討しているのにも関わらず、不動産価格が上がらないことがあります。さまざまな要因が考えられますが、「不動産としての魅力がない」、「不動産価格が上がりきっている状態」、「国内の景気後退」などが主な原因です。
また、不動産価格が急に下がってしまうことも少なくありません。たとえば、大型商業施設が撤退したり、周辺で住宅地の開発が進んだりすると、自身が保有する不動産の価格が下がってしまう可能性も考えられます。
10.物件を売却しようとしても買主が見つからない
また、物件の売却を進めているのに、買主がなかなか見つからないという失敗事例もあります。そもそも、不動産は流動性が低い資産で、株式と異なり、すぐに売却するのが難しいとされています。
とくに、法定耐用年数が過ぎたマンションは、不動産投資用ローンを組むのが難しく、買主を見つけるのに時間を要することがあります。仮に、買主が見つかったとしても、売却益だけで自身のローンを返済できない可能性があるので、売却のタイミングには十分に注意しなければなりません。
マンション経営の失敗事例から考える対策方法
以上の失敗事例を踏まえたうえで、マンション経営ではどのような対策方法を取ればよいのでしょうか。失敗事例を参考にしながら、対策方法を考えていきましょう。
マンション購入前にリサーチを徹底して行う
マンションを購入する前に、物件のリサーチを徹底して行います。賃貸需要を見極めておかないと、マンションを購入しても入居者が集まらない可能性があります。
そこで、物件周辺の利便性や、交通アクセスの状況、競合となる物件の概要、当該地域における人口推移などを確かめておきます。マンション経営は、数十年間にわたる長期的な運用となる場合もあるので、現時点だけでなく、将来的な賃貸需要も考えなければなりません。
初期費用やランニングコストを計算する
キャッシュフローの悪化を防ぐためには、初期費用やランニングコストの計算が必要です。想定よりも支出額が大きくなった場合に備えて、あらかじめ資金を用意しておくと安心できます。
【マンション経営で発生する主な初期費用】
・マンション購入費用
・ローンの事務手数料
・火災保険料
・不動産取得税
・登記費用
・仲介手数料
【マンション経営で発生する主なランニングコスト】
・ローンの返済
・管理会社への委託料
・各種税金
・定期的な修繕費
節税対策だけを目的にしない
節税効果を期待できるマンション経営ですが、税金対策だけを目的にしないようにしましょう。そもそも不動産投資における税金対策とは、減価償却や不動産運用にかかる費用を経費として計上し、不動産の所得を赤字にしたうえで、本業の給与所得と損益通算して税還付を狙うものです。
目先では節税効果を得られていたとしても、今後空室率が続いたり、大規模な修繕が必要となったりすると、赤字経営が続いてしまう可能性があります。税金対策に有効な手段ですが、収益を狙うことを忘れないようにしましょう。
ブログや他人の成功例を鵜呑みにしない
マンション経営を始める際に、ブログや書籍などで他人の成功例を参考にする方も多いのではないでしょうか。もちろん、成功事例を参考にすることは重要ですが、アドバイスをすべて鵜呑みにしてしまうのは危険と言えます。
というのも、マンション経営は、物件の立地や設備、価格、交通アクセスといった複数の条件に応じて、運用方法が大きく変わります。他人のアドバイスを取り入れても、確実な再現性を得られる保証はなく、かえって損失を招いてしまうこともあるので注意しましょう。
価格が上昇しやすい海外不動産も選択肢に入れる
国内の人口減少や日本経済の停滞が続くなかで、マンションの価格が想定していたほど上がらない可能性があります。将来的に、購入時よりも高い価格で売却し、キャピタルゲインを狙いたい場合には、海外不動産も選択肢に入れましょう。
とくに、東南アジアをはじめとする新興国では、経済発展とともに不動産価格が上昇しています。カンボジア国立銀行が発表した首都プノンペンにおける住宅価格指数によると、2022年8月の住宅価格指数が2020年比で15.4%も上昇しました。(※1)
日本国内では景気後退が予想される一方で、東南アジアは経済成長による不動産価格の上昇を期待できます。
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外部の管理会社に物件管理を委託する
アパート経営による負担を軽減するためには、自身で行うのではなく、外部の管理会社に物件の管理を委託することも検討しましょう。管理会社では、入居者にトラブルが発生したときや、修繕が必要になった際に、自身の代わりに対応してくれます。
ただし、管理会社に委託する場合、信頼性が高い会社を選びましょう。管理費用だけでなく、管理物件の入居率、過去の実績、口コミなどを参考にしてみてください。
サブリース契約は信頼できる相手と契約する
サブリース契約によるトラブルを回避するには、契約相手となる企業の信頼性を重視しましょう。具体的には、保証賃料が周辺の賃料相場と比較して適切であるか、賃料の見直し期間の確認、解約条件などを細かく調べる必要があります。
また、相手企業の経営状況も念入りに調べておきます。契約中に倒産すると、自身のマンション経営にも悪影響を及ぼしかねません。
マンション経営で失敗を避けるコツ
マンション経営は失敗事例も多くあり、慎重に進める必要があります。対策方法を活かしながら、失敗を避けるコツを紹介します。
独学やセミナーで不動産投資の知識を付ける
マンション経営で失敗を避ける方法として、不動産投資の知識を身につけることが挙げられます。不動産投資の知識があいまいな状態だと、トラブルが発生したときに対処が難しくなったり、収益性の高い物件を見極められなかったりする恐れがあります。
また、知識を身につけるには、独学だけでなく、不動産仲介会社が主催するセミナーにも参加してみましょう。最近では、自宅からでも参加可能な無料のオンラインセミナーも増えており、気軽に参加できます。
儲からない物件は候補から外す
儲からない物件を候補から外すことで、マンション経営における失敗を防ぎやすくなります。具体的には、賃貸需要が低い物件や、多額の修繕費用が発生する物件、将来的に物件価格の上昇が見込めない物件などは、候補から外しましょう。
また、賃貸需要が高い物件でも、表面利回りと比較して実質利回りが低い物件には注意が必要です。安定した収益の確保が難しくなり、儲からない状況が続いてしまいます。
不動産仲介会社に相談する
最後に、不動産仲介会社への相談です。豊富な知識を有する不動産仲介会社の担当者から、収益が出やすい物件や、マンション経営のノウハウに関するアドバイスをもらえる可能性があります。
とくに海外不動産は、独学で情報を入手することが難しく、不動産仲介会社への相談が重要となります。当社は、マレーシアやカンボジアに現地法人を設立し、現地でしか入手できない不動産情報も提供しています。
まとめ
マンション経営には、空室状況が続いてしまったり、ローンの返済負担が大きくなってしまったりといった多くの失敗事例があります。失敗を避けるためにも、事前にシミュレーションを行っておくことや、価格が上昇しやすい物件を選ぶのが大切です。
また、マンション経営は、不動産投資に関する専門的な情報を入手する必要があります。不動産仲介会社にも相談しながら、マンション経営を進めていきましょう。
※1:カンボジア国立銀行「経済・金融政策(2022年8月) 」(PDF11ページ目)