資産運用を始める際には、自分の資産を適切に管理するためにも、ポートフォリオを作成するようにしましょう。とはいえ、ただ単純に保有資産をグラフ化するのではなく、将来的に利益を見込めるようなポートフォリオを作成するのが理想です。

本記事では、将来の資産形成に向けたポートフォリオの作り方や、代表的な投資商品を紹介します。ポートフォリオを作成したことがない方でもわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

資産運用でポートフォリオを作るメリット

資産運用でポートフォリオを作成するにあたって、メリットを把握しておくことが大切です。資産をまとめる以外にも、さまざまなメリットがあります。

ポートフォリオの可視化による効率的な運用

資産運用でポートフォリオを作成することで、効率的な運用が期待できます。ポートフォリオを作成しないまま資産運用を始めてしまうと、自分自身がどの資産を運用しているのかが把握できない恐れがあります。

また、資産運用で利益を確保するためには、目標利回りの設定が重要です。ポートフォリオとしてまとめておけば、保有資産の組み換えや、利回りの達成具合を見直す際もスムーズに進めやすくなるのがメリットです。

リスクコントロールが容易になる

ポートフォリオは、資産のリスクコントロールにも適しています。「どの商品」を「どれくらい」保有しているのかが明確となり、将来的なリスクを踏まえたうえで、資産を運用できるためです。

とくに、株式や外貨といった金融資産は経済状況によって変動しやすく、予期せぬ損失につながる可能性があります。リスクが高い資産と低い資産の比率を調整するためにも、ポートフォリオでの管理が大切です。

資産運用の専門家に相談しやすい

3つ目のメリットは、資産運用の専門家に相談する際に、ポートフォリオが役に立つことです。どの資産をどれくらい持っているかと口頭で説明するよりも、ポートフォリオで各資産の規模や資産比率を説明した方が、適切なアドバイスをもらいやすくなります。

また、家族で資産を共有している場合、お互いが現状を把握し、今後の資産運用に関する相談にも活用できます。

理想的なポートフォリオの作り方

資産運用のポートフォリオは、保有資産の可視化だけでなく、今後の資産拡大に向けて重要な資料となります。目的を達成するためにも、ポートフォリオの作り方を参考にしてみましょう。

投資用資金と現金の保有比率を調整する

理想的なポートフォリオを作成するためには、投資用資金と現金の保有率を調整することから始まります。生活に必要な現金を別にし、投資に回せる資金を整えることでリスク回避にも効果的です。

また、投資用の資金を準備したあとは、毎月の積立金額を決めます。資産運用は、一度に投資商品をまとめて購入するのではなく、一定期間を置きながら、徐々に資産を形成するのがおすすめです。

資産運用の目標や目的を決める

次に、資産運用の目標や目的を定めます。ポートフォリオを作成するうえで、最終的な目標額や、運用の利回り、運用期間といった数値の部分を明確にすることが、重要なポイントです。

具体的には、「老後の生活資金として60歳までに2,000万円を達成する」「30代・40代・50代・60代と年齢ごとに目標金額を決める」などが挙げられます。ただし、目標を定める際には、無理のない金額に設定しましょう。

資産配分を決める

資産運用の目標と目的を決定したあとは、資産配分を調整します。資産と一言でいっても、株式や債券、外貨など豊富な資産があるので、じっくりと検討しなければなりません。

たとえば、30代の会社員の方で、安定的な資産運用ポートフォリオを作成したい場合には、日本国内の株式や債券を購入を考えてみるのもおすすめです。一方、投資用資産にも余裕があり、目標達成に向けて積極的に資産形成したい方は、レバレッジが効いた商品や、信用取引、外貨、米国株式への投資も候補となります。

定期的にポートフォリオを見直す

定期的にポートフォリオを見直すことも、資産運用に欠かせないポイントです。「どの資産が伸び悩んでいるのか」「目標達成に向けて、どの資産を利益確定するのか」といった資産形成における行動の指標に活かせるためです。

ポートフォリオを確認しないまま放置していると、いつの間にか損失が膨らみ、目標達成が困難となる危険性があります。定期的にポートフォリオの資産を見直し、必要であれば、資産を入れ替えることも考えるようにしましょう。

資産運用で代表的な投資商品

資産運用を始めるにあたって、どのような投資商品をポートフォリオに組み入れるか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今後の資産運用に向けて、代表的な投資商品を紹介します。

国内・海外株式

株式とは、株式会社が発行する金融商品です。一般的には、安値のときに株式を購入し、高値になった段階で株式を売却することで、キャピタルゲインを獲得できます。また、すべての企業ではありませんが、株式を保有しているだけで、優待券や利回り配当を得られます。

なお、株式は、日本企業が発行する株式だけでなく、海外企業が発行する株式も購入可能です。最近では、テック企業を中心に成長が見込まれる米国株式や、国自体の経済成長が進んでいる新興国の株式も注目を集めています。

投資信託(インデックス投資)

投資信託とは、投資家本人に代わって、株式や債券などの金融商品を運用するものです。運用会社であるファンドマネージャーが、投資家から調達した資金を運用し、最終的な投資成果として利益が投資家に分配されるという仕組みです。

投資信託の商品は幅広く、先進国の株式を揃えた商品や、これから発展が期待される新興国の株式を集めた商品、株価指数に連動した商品(インデックス投資)などがあります。また、一部の投資信託の商品には、一定期間の非課税枠が設けられている「積立NISA」に対応しているので、証券会社にも相談してみましょう。

ETF(上場投資信託)

ETFとは、Exchange Traded Fundの略で、日本語では「上場投資信託」と呼びます。上記で解説した投資信託の一種ですが、「株式市場に上場している」のが投資信託との違いです。

投資信託では、運用会社に資産を預けているため、売買のタイミングにズレが生じることや、手数料がかかる点がデメリットです。一方、ETFであれば、通常の株式と同様にリアルタイムで売買を行えるほか、売買時の手数料を安く済ませられます。

国内・海外債券

債券とは、国や地方自治体、企業などが、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。どの債券にも満期と呼ばれる償還日が定められており、償還日まで保有すれば額面金額を受け取れます。イメージとしては、発行元にお金を貸し出す代わりに、貸し出したお金と利子をもらえるという形です。

株式と比較すると、債券はリスクが低く、長期的な資産運用に適した金融商品です。とはいえ、企業の経営状況や国債の信用度などをチェックしてから、購入するようにしましょう。

外貨預金

外貨預金とは、日本円ではなく、外貨を購入して預金するという方法です。2022年現在、円安の傾向が高まっており、短期・中期的な資産形成に向けて、ポートフォリオに組み入れることも候補に挙げられます。

日本国内で外貨を預金する場合には、銀行や証券会社で外貨専用の口座を開設します。日本円と同様に、普通預金・定期預金に対応しているので、目的に応じて選択できます。

国内/海外REIT(リート)

REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust」を略した言葉で、投資家から集めた資金を不動産領域に対して投資する商品です。オフィスや商業施設、マンションといった不動産に投資し、賃貸収入や不動産売買を通じて得られた利益が、投資家に分配される仕組みです。

REITは「不動産投資信託」とも呼ばれており、先述した投資信託のように、プロの運用会社が投資家から集めた資金を運用します。オフィス・商業施設に特化した商品、ホテルに特化した商品など、さまざまな商品から選べます。

国内不動産

昨今の低金利を活かして、国内不動産を購入する選択肢も挙げられます。主に、不動産を賃貸に出すことで家賃収入を得る「インカムゲイン」と、不動産を売却することで得られる「キャピタルゲイン」の2つの方法で利益を生み出せます。

一方で、日本国内の不動産は、経済の停滞や人口減少、自然災害が多いことなどのリスクを考慮しなければなりません。また、すでに不動産価格が高騰しているため、資金的にも余裕を持たせる必要があります。

海外不動産

新興国を中心に経済成長が進んでいるなかで、海外不動産にも注目してみてください。日本国内の不動産は、景気悪化や人口減少、自然災害などによるリスクに加えて、すでに不動産価格が高騰しているのが現状です。

一方、東南アジアを中心とした新興国では、経済成長の伸びが著しく、今後の不動産価格の上昇に期待できます。また、カンボジアでは、外国人向けに1,000万円台から購入可能な不動産も販売されており、ポートフォリオの圧迫を抑えられます。

海外不動産の資産運用が気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

海外不動産投資はどの国がおすすめ?メリットやリスクをデータで検証

年代別 ポートフォリオの資産比率例とシミュレーション

資産運用を始めていくなかで、「株式のみ」、「米国株だけ」とならないように、資産の割合をバランス良く組み立てることが重要です。最後に、30〜60代での年代別に、資産運用向けポートフォリオの資産比率の例を紹介します。また、30代・40代の方向けのポートフォリオでは、、安定を重視した「バランス型」と、高いリターンを狙う「積極型」の2種類でシミュレーションをしていきます。

ポートフォリオの資産比率例:30代

30代は、将来的な資産形成を始めやすい年代で、長期運用も軸に入れながらポートフォリオを作成しましょう。積立NISAやiDeCoといった運用制度を活用してみるのも選択肢に挙げられます。バランス型であれば、国内株式や投資信託、債券の比率を多めに入れてみてください。また、積極的にリターンを狙いたい場合は、先進国や新興国の株式に加え、国内外の不動産購入も検討してみましょう。

【バランス型タイプ】

国内・海外株式20%
投資信託(積立NISAを含む)
30%
国内債券
15%
海外債券
10%
国内REIT
15%
海外REIT10%

【積極型タイプ】

国内・海外株式30%
投資信託(積立NISAを含む)
15%
国内債券
10%
海外債券
5%
国内REIT
15%
海外REIT10%
国内・海外不動産
15%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています)

ポートフォリオの資産比率例:40代

40代に入ると、老後資産の形成や資産の目減りを防ぐためにも、安定資産を重点的にポートフォリオを入れることが大切です。また、20〜30代から継続して資産運用を行っている方や、ある程度の資金に余裕がある場合は、比較的安めの海外不動産も候補に挙がります。安定を維持しつつ、新しい投資商品にもチャレンジしてみてください。

【バランス型タイプ】

国内・海外株式15%
投資信託(積立NISAを含む)
25%
国内債券
35%
海外債券
10%
国内REIT
10%
海外REIT5%

【積極型タイプ】

国内・海外株式30%
投資信託(積立NISAを含む)
10%
国内債券
15%
海外債券
5%
国内REIT
10%
海外REIT10%
国内・海外不動産
20%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています)

ポートフォリオの資産比率例:50代

60代での退職が近づくにつれて、より安定的な資産運用が求められるのが50代のポートフォリオです。低リスクの国内・先進国の債券や、国内株式が中心になります。また、自分で運用するのが難しいという場合には投資信託を利用できます。資金的に余裕があれば、国内外の不動産を購入し、毎月の家賃収入やキャピタルゲインでの利益を狙うことも候補に挙がります。

国内・海外株式10%
投資信託(積立NISAを含む)
15%
国内債券
40%
海外債券
5%
国内REIT
5%
海外REIT5%
国内・海外不動産
20%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています)

ポートフォリオの資産比率例:60代

60代のポートフォリオは、安定した収入がなくなるため、リスク回避を前提とした投資先の選定が重要です。50代に引き続いて、国内債券の割合を高く維持すると同時に、定年後の安定収入先として不動産の購入も検討してみてください。

国内・海外株式5%
投資信託(積立NISAを含む)
10%
国内債券
50%
海外債券
5%
国内・海外REIT
5%
国内・海外不動産
25%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています)

※ポートフォリオは一例であり、特定の投資商品を推奨するものではありません。

※将来的な運用成果を保証するものではありません。

まとめ

資産運用で効率的に利益を確保するためには、ポートフォリオの作成が欠かせません。また、ポートフォリオで資産を管理するなかで、目的・目標、年齢などに応じて、資産の比率を調整するのがポイントです。ポートフォリオの資産を組み替えながら、最終的な目標を達成できるようにしましょう。

当社では、東南アジアを中心に海外不動産を取り扱っています。今後の資産運用や、居住目的で海外不動産を購入してみたい、少しでも話を聞いてみたいという方は、ぜひお問合せください。海外不動産のスペシャリストが丁寧に対応いたします。