世界的な情勢が不安定な状況のなかで、どのようにして資産を守るかが重要となります。その時々の経済や政治などによっては、自身の資産を大きく減らしてしまう恐れがあります。
そこで、今回の記事では、インフレが起きた際に有効な投資戦略を解説します。物価上昇で得する人になるための方法をしっかりと学んでおきましょう。
インフレとは?
インフレとは、「インフレーション」を略した経済用語で物価の上昇に伴い、相対的にお金の価値が下がってしまう状況です。たとえば、「100円」で売られている缶ジュースが、中身も味も全く同じなのに「120円」になったとします。100円で買えていたものが買えなくなるということは、缶ジュースの価格上昇後に100円の価値が下がっていることになります。
インフレが起こることによるデメリット
過度なインフレが進行すると、家計への負担が懸念されます。インフレには、「良いインフレ」と「悪いインフレ」の2種類があり、前者であれば物価上昇に伴い企業の業績が向上することで、給与にも反映される可能性があります。給与が増えることで、消費活動も活発化して経済がより良くなります。
しかし、悪いインフレは、材料価格が高騰する一方で需要が伸びず、企業の業績も悪化していき、従業員の給与も変わらない・下がってしまいます。消費者の視点では、給与が上がらないのにも関わらず、日用品や趣味にかける費用だけが増加すると、これまでの生活水準を維持できなくなる恐れがあります。
「ハイパーインフレ」や「デフレ」との違い
インフレと似た言葉に、「ハイパーインフレ」や「デフレ」があります。まず、ハイパーインフレとは、過度にインフレが進行している状況です。通常のインフレを超え、通貨価値が著しく下がってしまったときに、ハイパーインフレと呼びます。
過去には、2000年代にアフリカ南部のジンバブエにてハイパーインフレが発生しました。政策失敗による農業の崩壊や物不足、さらには富裕層が国外に出ていったことで、同国通貨のジンバブエドルが大幅に下落した過去があります。
次に、デフレとは、「デフレーション」の略で、物価が下がっている状況を意味します。インフレとは逆の経済状況で、モノが売れずに景気が悪化する恐れがあります。また、デフレ下では、物価が下がることでお金の価値が上昇するので、ローンを借り入れている方に負担が発生します。
日本国内におけるインフレの見通し
日本は、長年景気の不安定さによるデフレが続いており、物価が低迷していました。総務省が毎月発表している「消費者物価指数(CPI)」によると、2000年代にはマイナスを記録するほどです。(※1)
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックや、ロシア・ウクライナ情勢に伴い、世界的にインフレが加速するなかで、日本国内でもインフレが起きつつあります。2023年4月の発表では、2020年基準で総合指数が前年同月比3.5%上昇しています(※1)。日本銀行による金融緩和が続く一方で、インフレにも備えていかなければなりません。
インフレ対策に有効な投資先
インフレ時は、お金の価値が相対的に下がるので、現金資産だけの保有は危険と言われています。そこで、インフレ対策に有効な投資先を紹介するので、1つ1つ丁寧に確認していきましょう。
不動産投資
不動産投資は、インフレ対策に有効な投資先の1つです。国内・海外の物件を購入して、入居者からの家賃収入(インカムゲイン)や、物件売却によるキャピタルゲインなどで収益を狙う運用方法です。
一般的にインフレが発生すると、モノの価格が上昇していくので、不動産価格や家賃は上昇します。初期費用やローン借り入れに審査が必要なデメリットがあるものの、将来的なインフレ発生に備えた資産分散だけでなく、安定収入を得られる資産運用にも最適です。
参考記事:不動産投資がインフレ対策になるのは本当?不動産価格との関係や影響
株式投資
株式投資も、インフレに強い資産であると知られています。というのも、株式を発行する企業は、インフレ時に自社製品・サービスなどの価格を上げて収益を増やしていき、株価が上昇しやすくなるためです。
ただし、物価上昇に伴い、自社製品・サービスの価格を上げられない企業は、業績が悪化し、株価も下がる危険性があります。すべての銘柄が上昇するとは限らないので、インフレ対策を行う際にはチェックが必要です。
投資信託
投資信託は、株式投資同様にインフレ時に企業の業績が上がりやすい銘柄を選べば、インフレ対策に有効な投資先となります。株式投資よりも分散投資に効果的であるので、リスク回避にもつながります。
また、投資信託には、「REIT(リート)」と呼ばれる不動産専用の投資信託があります。不動産投資向けの資金がないという場合には、REITを活用して不動産に投資するのも選択肢に挙がります。
参考記事:「不動産投資とリート(REIT)」どっちがおすすめ?両者を徹底比較
金(ゴールド)投資
金(ゴールド)は、「有事の金」とも呼ばれているように、経済危機や戦争・紛争が発生したときのリスク対策に有効な資産です。インフレ時にも、金の価格が上昇しやすくなります。
また、金は世界中で公正に取引されている資産であることから、インフレに限らず、ポートフォリオに入れておくと安心です。現物への投資だけでなく、先物取引やETF、金を取り使う企業の株式など、さまざまな形で金を資産として保有できます。
インフレで得する人になる方法
インフレ対策に有効な資産を保有することで、物価上昇に伴うリスクを回避できます。最後に、インフレで得する人になるためには、どのような方法を取ればよいのかを解説します。
現金だけで資産を持たないようにする
はじめに、現金だけの資産を持たないようにすることです。冒頭でも解説したとおり、インフレが起こると、物価上昇に伴い相対的に現金の価値が下落してしまいます。
現金だけを保有し続けた結果、物価上昇に追いつけなくなり、これまでの生活水準が保てなくなる恐れがあります。もちろん、生活資金を確保しておくことも重要ですが、インフレ対策に有効な資産を保有し、資産価値が目減りしないように守らなければなりません。
海外の資産にも目を向けてみる
次に、海外の資産にも目を向けてみることです。現時点で、日本はデフレが続いている状況であり、投資戦略としては難しいと言えます。
一方、新興国では経済成長に伴いインフレが加速しており、投資チャンスが広がっています。たとえば、カンボジアは、経済成長が加速している国の1つで物価も上昇しています。
カンボジア中央銀行(NBC)が2023年1月に発表した「2022年のマクロ経済と銀行セクター開発および2023年の展望」によると、2022年のカンボジア国内における物価上昇は5.3%となり、2012年の2.9%を大幅に上回る結果となりました(※3)。2022年の経済成長率も5.1%と高く、投資先として魅力的な国の1つです。
【無料ダウンロード可能】カンボジア不動産市場を徹底解説|カンボジア不動産ガイド
少額で購入可能な不動産を購入する
3つ目は、少額で購入可能な不動産を購入することです。インフレ時には不動産価格や家賃も上昇するので、資産運用を効率的に行なえます。
しかし、不動産投資は初期費用がかかるので、資金が必要です。そこで、少額で購入可能な物件を選定し、費用的に無理のない範囲で投資を始めてみましょう。とくに、東南アジアは、1000万円台で買える物件も多く、さらなる経済成長や物価上昇後に売却する方法も検討できます。
参考記事:不動産投資は少額から購入可能!初心者におすすめの運用方法とは?
老後に向けた投資戦略を立てる
老後に向けた投資戦略を立てることも大切です。というのも、2023年現在ではインフレは加速度的に進んでいないものの、20年後、30年後に進行する可能性が高いためです。
つまり、将来を見据えながら戦略を立てないと、老後を迎えたときにインフレによる負担が大きくなる恐れがあります。長期的な目線を持つようにしながら、投資戦略を立てるようにしましょう。
分散投資を心がける
インフレ対策を行うにあたって、分散投資も忘れないようにしましょう。「卵は一つのカゴに盛るな」という投資用語があるとおり、1つの投資先に集中した結果、思わぬ損失を引き起こす危険があります。
不動産投資であれば、景気の見通しが悪い日本国内だけに物件を保有するのではなく、成長性が高い海外にも物件を保有することで、リスク分散につながります。さまざまな投資先を選定し、インフレ対策を効率よく行うことが重要となります。
まとめ
インフレ発生時に現金資産しか保有していないと、生活に大きなダメージが与えられてしまう恐れがあります。さまざまな資産に分散しながら、インフレの流れに乗って資産を拡大することが大切です。
不動産投資、株式投資、投資信託、金投資といったさまざまな投資先があるなかで、自身に適した資産を選ぶようにしましょう。当社では、海外不動産投資の販売や、オンラインセミナー、専門スタッフによる丁寧な個別相談を実施しているので、お気軽にお問い合わせください。
※1:総務省「2020年基準、消費者物価指数2023年4月分」
※2:カンボジア中央銀行「2022年のマクロ経済と銀行セクター開発および2023年の展望」