資産運用方法を調べているなかで、不動産投資とリート(REIT)のどちらを始めるべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。いずれの運用方法も不動産に関連することから、両者の違いをしっかりと把握することが重要です。
今回の記事では、不動産投資とリートの違いに加え、投資信託との違い、JREITの詳細などを紹介します。また、資金、投資対象、利回り、将来の見通し、税金、リスクの6つの項目に分けて、不動産投資とリートを比較していきます。
不動産投資とリート(REIT)の違い
不動産投資とリートの違いは、投資家が不動産そのものを購入して家賃収入や売却による収益を狙うのか、プロのファンドマネージャーが投資家の代わりに不動産を取得して運用益を狙うのかです。
また、一般的に個人投資家が不動産投資を行う場合、一棟マンション・アパートや、区分マンション・アパート、戸建て住宅といった物件が投資対象となります。一方で、リートは商業施設やビル、オフィス、ホテル、倉庫など、住居以外の不動産も投資対象です。
不動産投資:投資家自身が不動産を運用して収益を狙う
リート:ファンドマネージャーが投資家の代わりに不動産投資で運用益を狙う
リートと投資信託の違い
リートは、「不動産投資信託」とも呼ばれているとおり、不動産専門の投資信託です。投資家から集めた資金で不動産に投資し、そこから得られる賃料収入や不動産の売買益を原資として投資家に還元します。
一般的に広く知られている投資信託は、企業の株式や、債権を組み合わせた商品に加え、コモディティ(原油、ゴールド、穀物など)に対して投資する商品などさまざまです。イメージとしては、投資信託という領域のなかにリートがあるという形となります。
JREITとは?
「JREIT」とは、日本国内におけるリートの呼び方です。もともと、リートは1960年代にアメリカで誕生し、1990年代に急速に広がっていきました。日本でもリートが注目され、2000年11月「投資信託及び投資法人に関する法律」の改正に伴い、2001年9月にリートの市場が設けられることとなりました。アメリカのリートと運用方法が異なることもあり、日本国内向けのリートを「JREIT」と呼んでいます。
「不動産投資とリート(REIT)」どっちがおすすめ
不動産投資とリートは、どちらが資産運用方法としておすすめなのでしょうか。資金、投資対象、利回り、将来的な見通し、税金、リスクといった6つを比較していきます。
【資金】不動産投資vsリート(REIT)
1つ目の比較ポイントは資金です。不動産投資は、不動産現物を購入する必要があるので、リートと比較すると多額の資金を要します。
そこで、不動産投資では、自己資金だけでは足りない部分に関して不動産投資用ローンを活用できます。物件価格に対して、15〜30%の自己資金が必要であると言われており、3000万円の物件であれば、450〜900万円の自己資金を準備します。ただし、海外不動産の場合は、不動産投資用ローンの借入が難しい点に注意が必要です。
一方、リートは、投資信託の一種であり少額の資金で始められます。また、月々数千円、数万円といった資金で投資を行えるので、資産運用初心者の方でも安心して行えます。ただし、不動産投資と異なり、専用のローンを組んでリートに投資することはできません。
【投資対象】不動産投資vsリート(REIT)
次に、投資対象です。冒頭でも解説したとおり、個人の不動産投資では一般的に、一棟マンション・アパート、区分マンション・アパート、戸建住宅といった住居が対象となります。家賃収入目的で投資する方だけでなく、自分で住むために物件を購入し、将来的に値上がりしたタイミングで売却益を狙う方もいます。
一方で、リートは、複数の投資家から資金を集めて運用することから、商業施設、ビル、オフィス、ホテルなど規模の大きい不動産が投資対象です。不動産投資と異なり、自分で住んだり、運用したりするのが難しい不動産への投資が中心となります。
【利回り】不動産投資vsリート(REIT)
3つ目は利回りです。不動産投資の利回りは、エリアごとに異なります。たとえば、東京23区内の不動産表面利回り相場(区分マンション)は、2021年1月〜3月時点で築年数10年未満が4.40%、築年数10年〜20年未満で4.88%です(※1)。
また、海外不動産は、経済成長が著しい東南アジアを中心に高利回りでの運用が期待できます。フィリピンでは約6%、カンボジア、タイでは約5%の利回りを狙えます。
東南アジア各国の不動産利回り(※2)
国名 | 表面利回り |
---|---|
フィリピン | 6.13% |
カンボジア | 5.33% |
タイ | 5.13% |
マレーシア | 3.72% |
次に、リートの利回りは商品で異なりますが、2022年10月25日現在で平均分配金利回りは3.88%です(※3)。なお、J-REITの場合は、収益の90%以上を分配するなどの一定の条件を満たせば、実質的に法人税がかからないルールがあり、収益がほぼそのまま分配金として出されます。
【将来の見通し】不動産投資vsリート(REIT)
日本国内の不動産投資に関しては、少子高齢化や人口減少などに伴う景気悪化により不動産価格が下落する恐れがあります。将来的に、不動産売却によるキャピタルゲインを狙っている場合、想定よりも収益を得られないことも考えられます。
とはいえ、急速に経済発展を続けている東南アジアでは、不動産価格の上昇が見込まれています。たとえば、カンボジアの首都プノンペンにおける主要エリアの地価が2019年のたった1年間で約12%も上昇したというデータがあります(※4)。エリアを厳選することで、不動産投資でも十分に収益を狙えます。
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リートは不動産市場に影響されることから、商品ごとに将来性を分析する必要があります。具体的には、上記でも挙げたように人口減少に伴う住宅需要の低下を受けて、一部の商品価値が下落する想定をしなければなりません。不動産市場や社会的な変化を汲み取りながら、どの商品が将来的に伸びるのかを考えるようにしましょう。
【税金】不動産投資vsリート(REIT)
不動産投資では、物件購入時の登録免許税や印紙税のほか、家賃収入による所得税・住民税、不動産売却に伴い譲渡税などが発生します。さまざまな税金が発生するので、不動産投資は不利に見えますが、管理費用や減価償却費等を損益通算することで、税負担を抑えられる可能性があります。
リートは、売却による譲渡益や分配金に税金が課せられます。譲渡益に関しては、給与所得や事業所得などほかの所得とは分けて課税される「申告分離課税」が適用され、20.315%の税率です(所得税・住民税・復興特別所得税)。また、分配金は、「申告分離課税」か、給与所得や事業所得などと合算されて累進課税が適用される「総合課税」の選択が可能です。
不動産投資の税金に関しては、税理士にも相談するようにしましょう。
【リスク】不動産投資vsリート(REIT)
投資である以上、いずれの運用方法にもリスクが存在します。不動産投資は、物件の空室リスクや家賃滞納リスク、相場よりも高値で不動産を購入してしまうリスクなどが挙げられます。また、株式や債券といった金融商品と異なり、流動性が低く、すぐに不動産を売却して現金にするのが難しいリスクもあります。
リートは、不動産市場や金利などの影響を受けることで、保有商品や分配金が変動するリスクが存在します。また、投資ファンドの経営状況が悪化した際に、損失を被る危険性にも注意が必要です。
不動産投資がおすすめな人
不動産投資とリートを比較したうえで、どのような人が不動産投資に向いているのでしょうか。下記の2つを参考にしながら、不動産投資を検討してください。
現物資産を保有したい人
不動産投資がおすすめな人に、現物資産を保有したい人が挙げられます。株式投資や投資信託などの金融商品と異なり、不動産投資は物件という現物の資産を保有できるのがメリットです。
もちろん、物件を管理する手間や費用が発生しますが、不動産を貸し出して家賃収入を狙ったり、居住用として運用したりすることも可能です。
将来的に海外移住を検討している人
定年退職後や老後、セミリタイア達成後に海外への移住を検討している方も、不動産投資がおすすめです。東南アジア諸国では不動産開発が進んでおり、都市部を中心にコンドミニアムが林立しています。
日本国内のタワーマンションと比較すると物件価格が安く、カンボジアの首都プノンペンには1000万円台で購入可能な物件や、月々10万円台で販売されている物件もあります。物件価格が安いうちに購入し、賃貸付けをしながら家賃収入を獲得し、海外移住するタイミングで居住するという運用も可能です。
リート(REIT)がおすすめな人
次に、リートがおすすめな人を紹介します。不動産投資とも比較しながら、どちらを選ぶか参考にしてください。
少額の資金で資産運用を始めたい人
少額で資産運用を始めたい方にとって、不動産投資よりもリートが選択肢に入ります。投資信託と同じように、月々数千円〜数万円で運用を行えるので、金銭的な負担を抑えたい方や、資産運用初心者の方におすすめです。
ただし、リートは、投資ファンドが運用する以上、手数料が発生してしまう点に注意が必要です。不動産投資はローンを活用してレバレッジ効果を狙える一方、リートは手元の資産額内のみでしか運用できません。(先述したように、海外不動産投資はローンの借入が難しいのでご注意ください)
なるべく管理の手間を省きたい人
資産運用における管理の手間を省きたい方は、リートがおすすめです。プロのファンドマネージャーが投資家の代わりに運用するので、売買や、投資先の選定などにかかる手間を軽減できます。
不動産投資では、どうしても物件の選定や管理などに手間が発生してしまいます。なかなか時間が取れない方にとって、REITはメリットになり得ます。
まとめ
不動産投資とリートは、資金額や投資対象、利回り、将来性などに違いがあります。ただし、どちらの運用方法もリスクが存在するので、十分に検討してから始めるようにしましょう。
当社では、東南アジアを中心に海外不動産を取り扱っています。将来的に海外移住したい方や、経済発展による不動産価格の上昇を狙っている方、日本国内よりも比較的安い物件を探している方などは、この機会にお問い合わせください。
※1: 健美家「築年別 利回りの推移」
※2:GlobalPropertyGuide「Rental Yields in Asia」
※3:不動産投信情報ポータル
※4:CBRE社「Phnom Penh, Q4 2019」