マレーシアは東南アジアの中でも経済成長が進んでおり、今後も不動産市場の拡大を期待できる国です。この記事では、マレーシア不動産の価格推移や投資エリアの情報について、政府の統計も用いて解説します。
マレーシア不動産の価格推移
マレーシアの不動産価格推移について、マレーシア全体とエリア別とに分けた上で、政府統計を用いて解説します。
マレーシア全体の住宅中央価格推移
マレーシアの統計局によると、マレーシア全体の住宅価格中央値は以下グラフのように推移しています。
※引用:マレーシア政府統計局
長期的な価格推移を見ると、マレーシア全体の住宅価格は2012年から2013年にかけて大幅に値上がりしています。
その後は2017年まで緩やかに上昇したものの、以降は横ばいの状況です。2020年の住宅中央価格はRM295,000(796万5,000円:RM1=27円換算)となっています。
2010年以降2020年までの10年間で、住宅価格の中央値は86.7%上昇しました。なお、四半期ごとの住宅価格指数推移で見ると、直近の推移は図の通りです。
※引用:マレーシア政府統計局
タイプ別の住宅価格指数推移では、2020年第4四半期から2021年第1四半期にかけて、各タイプともわずかに値下がりしている様子が伺えます。
日本人の海外不動産投資先としてメジャーな高層コンドミニアムについては、0.7%価格指数が下落してRM339,039(約915万円:RM1=27円換算)となっています。
マレーシアでは外国人に対する不動産の最低購入価格規制が導入されており、エリアや条件によって異なるものの、外国人はRM100万以上の物件しか購入できません。
統計と照合すると、マレーシアではRM100万を超える価格の物件は高級物件であることがわかります。
また、2020年の統計では、RM100万以上の物件供給数は1,192となっており、供給数全体の割合は2.5%です。
2020年は、コロナウイルス感染症拡大の影響と、政府が低所得者向けの住宅取得支援政策を推進した影響もあるものと考えられます。
しかし、マレーシアでは高価格帯の物件は供給数が限られている点には要注意です。規制に則って物件を選ぼうとすると、選択肢はあまり多くないと言えます。
マレーシアのエリア別住宅価格
つづいて、2020年のエリア別物件価格について解説します。エリア別の住宅価格中央値は以下図表の通りです。
※引用:マレーシア政府統計局
マレーシアの中で最も物件価格が高いのは首都のクアラルンプールです。また、シンガポールとの国境に位置するジョホールバルも、マレーシアの中では比較的高価格のエリアとなっています。
マレーシアの物件価格はRM480,000で、RM1=27円のレートで換算すると1,296万円です。ジョホールバルのRM345,000は日本円換算で931万5,000円となります。
マレーシアでは、地方都市では特に、2021年時点でRM100万を超える物件は高級物件となっている点に要注意です。
高級物件に入居できる所得者層は限られるため、物件選びの時点で想定される入居ニーズはどの程度なのか、事前の検証を要します。
マレーシア不動産の州別別住宅価格推移
つづいて、クアラルンプール・ジョホール州・ペナン州の3つのエリアに絞って、住宅価格の推移を分析します。
※参照:マレーシア政府統計局
※クアラルンプールは連邦直轄領なので州とは別扱い
ジョホール州の住宅価格は2018年以降安定していますが、クアラルンプールおよびペナン州では2018年以降下降傾向にあります。
すでに解説したとおり、2020年第2四半期におけるクアラルンプールの住宅価格中央値はRM470,000(=1,269万円:RM1=27円換算)であり、約2年間で180万円強値下がりしました。
マレーシア不動産は、過去に中国を中心とした海外の投資マネーが不動産市場へ大量流入した結果、大幅に値上がりしました。
クアラルンプールの住宅価格は下降傾向にありますが、見方を変えれば、過熱したマーケットが沈静化しつつあるとも考えられます。
マレーシアのエリア紹介
マレーシアで投資対象となるエリアのうち、クアラルンプールとジョホールバルについて解説します。クアラルンプールは特に、ミクロのエリアによって特徴が異なるため、各エリアの特徴を把握することが重要です。
クアラルンプール
ミクロの視点で見ると、クアラルンプールの中でもエリアによって特色があります。クアラルンプールの各エリアについて特徴をご紹介します。
モントキアラ
モントキアラはマレーシアの首都クアラルンプールの中でも高級住宅街です。外国人による居住を意識した都市開発が進んでおり、クアラルンプールの中でも、日本人が特に多く済んでいるエリアでもあります。
モントキアラは高級住宅街であるために、治安も良好に保たれているエリアです。
セキュリティゲートの設置などにより、外国人も安全に往来できるよう、インフラが整備されています。モントキアラの特徴については、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
マレーシアおすすめ物件紹介:モントキアラにある「キアラ163 (Kiara 163 OOAK SUITES)」
KLCC・ブキッビンタン
KLCCとはKuala Lumpur City Center の略称です。KLCCとブキビンタンはクアラルンプールの中でも商業の中心エリアとなっています。ペトロナスツインタワーや大型商業施設のパビリオンなど、観光資源も豊富です。
このエリアには世界中に事業展開している高級ホテルも多く、居住用の物件は高級コンドミニアムが中心となっています。
物件価格も高くなりますが、資産性を重視して物件を選ぶのであれば、おすすめのエリアです。なお、商業施設が多く利便性の高いエリアではありますが、朝夕は交通渋滞が非常に激しい点には注意を要します。
公共交通機関のアクセスに留意して物件を選ぶと、入居者募集の点では有利です。
ジョホールバル
ジョホールバルはマレーシア国土の南端に位置しており、シンガポールとの国境に接している都市です。イスカンダル計画という都市開発計画の対象地となったエリアであり、中心部には高層コンドミニアムも多数建設されています。
しかし、統計局のデータでは、現地で流通している物件の大半は戸建住宅などです。ジョホールバルで物件を選ぶ場合は、現地人に選ばれやすい物件はどのタイプなのか、あらかじめ見極めることが重要になります。
まとめ
マレーシアの不動産価格は2012年以降大幅に値上がりしたものの、直近では横ばいの状況です。また、エリア別の物件価格を比較すると、最も価格が高いのは首都クアラルンプールとなっています。
なお、マレーシアでは、外国人向けにRM100万を超える物件しか購入できない規制が敷かれています。
エリア別の物件価格を見ると、RM100万の物件は高級物件に該当する点に要注意です。高級物件に入居できる高所得者は限られるため、入居者ターゲットの想定が不十分だと、空室リスクを軽減できないことになります。