海外不動産投資の中でも、アメリカ不動産投資は比較的リスクの低い投資先としておすすめです。しかし、アメリカは国土が広いため、エリアによって利回りや物件価格などの状況が大きく異なります。アメリカ不動産投資に興味があるけれど、どのエリアがおすすめなのかわからないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、アメリカの各都市を、利回りや人口増加率など複数の切り口で比較します。

アメリカ不動産投資の都市別利回り

US Census Bureauを参照して2019年の州別物件価格および利回りを比較すると、以下の表のようになります。


物件価格中央値
家賃中央値
利回り
カリフォルニア
$568,500
$1,614
3.41%
ニューヨーク
$338,700
$1,309
4.64%
ハワイ
$669,200
$1,651
2.96%
イリノイ
$209,100
$1,020
5.85%
テキサス
$200,400
$1,091
6.53%
フロリダ
$245,100
$1,238
6.06%
アリゾナ
$255,900
$1,101
5.16%

※参照:US Census Bureau(2019 1year estimateで比較)

各州の位置は以下の地図の通りです。
ニューヨークは世界経済の中心地とも言うべき州ですが、物件価格や家賃はカリフォルニアよりも低くなっています。しかし、各州の中心部で物件価格や利回りを比較すると、以下の表のようになります。

都市
物件価格中央値
家賃中央値
利回り
ロサンゼルス
$636,900
$1,450
2.73%
ニューヨーク
$606,000
$1,443
2.86%
ホノルル
$678,200
$1,745
3.09%
マイアミ
$317,700
$1,183
4.47%
ダラス
$188,100
$1,052
6.71%

※参照:US Census Bureau(2019 5 year estimateで比較・ホノルルのみCounty・イリノイとアリゾナはデータなし)

カリフォルニアとニューヨークは、州全体と中心都市とで物件価格に大きな開きがあります。その一方で、ハワイやテキサスではそれほどの開きはありません。カリフォルニアやニューヨークなどの大都市では、中心部と周辺部とで不動産マーケットに大きな違いがある様子が伺えます。また、例えば東京23区では区分所有マンションの利回りは概ね4%〜5%です。ロサンゼルス・ニューヨーク・ホノルルといった都市では、東京23区よりも利回りが低いことがわかります。利回り狙いの投資をするのであれば、アメリカの大都市では物件選びに要注意です。

アメリカで人口が増加しているエリア

つづいて、人口増加率で各州を比較します。2010年から2020年の人口増加率を州別に比較すると以下の表の通りです。

人口増加率
カリフォルニア
6.1%
ニューヨーク
4.2%
ハワイ
7.0%
イリノイ
-0.1%
テキサス
15.9%
フロリダ
14.6%
アリゾナ
11.9%

※参照:US Census bureau

アメリカは移民を受け入れていることもあり、先進国の中でも数少ない人口増加中の国です。しかし、州別の人口増加率を比較すると、増加率はエリアによって違いが大きいことがわかります。カリフォルニアやニューヨークなど、大都市では人口増加率が比較的低めです。その一方で、テキサスやフロリダなどは人口増加率が10%を超えています。人口が増加している都市では住宅需要が喚起されるため、住宅価格の上昇を期待可能です。特にテキサスやフロリダなどは、比較している中では現在の住宅価格が低めなので、今後の伸び代が大きいと言えます。その一方で、イリノイは比較的住宅価格が低めですが人口増加率も-0.1%です。ミクロのエリア比較では一概に言えませんが、他の州と比較すると今後住宅価格が上昇する伸び代は小さいと考えられます。

アメリカで世帯所得が高いエリア

つづいて、アメリカの都市を世帯所得で比較します。州別の世帯所得中央値は以下の表の通りです。

世帯所得中央値
カリフォルニア
$80,400
ニューヨーク
$72,108
ハワイ
$83,102
イリノイ
$64,034
テキサス
$62,055
フロリダ
$69,187
アリゾナ
$59,227

※参照:US Census Bureau

カリフォルニア・ニューヨーク・ハワイなどの物件価格が高い州では、他の州と比較すると世帯所得の中央値も高くなっています。これらの州では、都心部では特に高所得者の入居を期待可能です。高所得者の入居を狙えるエリアでは、家賃の滞納リスクが下がります。なお、その他の州も決して極端に所得が低いわけではありません。しかし、前述の3州と比較すると低所得者が住んでいるエリアも多いことは事実です。低所得者が多いエリアでは、入居者が家賃を滞納するリスクがあるほかに、治安が悪いエリアも多くなります。

アメリカで犯罪率が低いエリア

つづいて、アメリカの各エリアで犯罪率を比較します。アメリカの各州における2019年の人口10万人あたり犯罪率は以下の表の通りです。

人口10万人あたり犯罪率
アメリカ全体
379.4
カリフォルニア
441.2
ニューヨーク
358.6
ハワイ
285.5
イリノイ
406.9
テキサス
418.9
フロリダ
378.4
アリゾナ
455.3

※参照:Federal Bureau of Investigation

比較した州の中では、ニューヨーク・ハワイ・フロリダの3州は全米よりも犯罪率が低くなっています。反対に犯罪率が最高なのはアリゾナでした。アリゾナは、比較している中では世帯所得も最も低いため、所得が低いエリアでは犯罪率も上がる傾向を裏付けていると言えます。その一方で、ハワイは犯罪率が低いため、利回りは低いものの犯罪被害に遭うリスクも小さいと考えられます。

まとめ

アメリカの中で比較すると、ロサンゼルス・ニューヨーク・ホノルルといった都市では、期待利回りが比較的低いことがわかります。これらの都市は、東京23区よりも期待利回りが低いため、利回り狙いの投資にはあまり適していません。しかし、例えばハワイは世帯所得の中央値が高いほか、犯罪率も全米平均を下回っています。ハワイは家賃の滞納リスクや犯罪被害に遭うリスクなどが低いと言えます。なお、テキサスやフロリダなどは、物件価格が安く人口増加率も高いことから、キャピタルゲインを狙った投資が可能です。その一方で、世帯所得はカリフォルニアやハワイよりも低いほか犯罪率が高くなるので、テキサスやフロリダなどでは関連するリスクに注意が必要です。

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