アメリカ不動産投資では、学区のレベルが高いエリアを選ぶことが重要と言われています。学区のレベルが高いエリアには富裕層が集まっており、治安が良く家賃の滞納リスクも下がるためです。この記事では、アメリカの学区にスポットを当てて、おすすめのエリアを紹介します。

アメリカで学区に特徴のあるエリアは?

アメリカの中でも学区のレベルが高い・学生が多いなど特徴のあるエリアについて、政府統計などを用いて解説します。

ニューヨークは学費が高いが入学者も多い

アメリカの政府統計で、入学者数が多いエリアと学費が高いエリアに関する資料が発表されています。

※引用:US Census Bureau

Enrollmentには「入校」という意味があり、入学者数のことを指しています。ニューヨークの入学者数は100万人弱で、ロサンゼルスの約1.5倍です。なお、市単位の人口でニューヨークはロサンゼルスの約2倍となっています。入学者数の統計には、少なからず人口の多寡も影響していると考えられます。

また、入学者数のランキングにはフロリダ州の都市が5つランクインしており、フロリダ州には学生が多いことがわかります。
一方、グラフィックの下段は1人あたりの学費を示しており、こちらでもトップはニューヨークです。なお、学費のランキングにはメリーランド州の都市が4つランクインしています。

学区のレベルが高いのはイリノイ州とマサチューセッツ州

アメリカの富裕層は、子どもの教育に多くのお金をかけます。アメリカでは、実力主義とともに、良い教育が子どもの成功を助けるという考え方が社会全体に浸透しているためです。

アメリカでは、学区のレベルが高いエリアは、富裕層が多く治安も良いところが多いものです。アメリカの不動産ポータルサイトには、物件周辺の学校についてスコアリングすることで、学区のレベルが高いエリアを選べる仕組みもあります

警備会社等で構成された業界団体のNational Council for Home Safety and Securityが発表している統計によると、アメリカの中でも学区のレベルが高いエリアは以下の表の通りです。

順位

学区名
1
イリノイ州
Naperville CUSD 203
2
イリノイ州
Morton CUSD 709
3
マサチューセッツ州
Lexington
4
アリゾナ州
Gilbert Unified District
5
マサチューセッツ州
Westford
6
ニュージャージー州
West Windsor – Plainsboro Regional School District
7
イリノイ州
Wauconda CUSD 118
8
マサチューセッツ州
Winchester
9
マサチューセッツ州
Westwood
10
マサチューセッツ州
Shrewsbury

参照:ALARMS.ORG

上位10区のうち3区をイリノイ州が占めており、4区をマサチューセッツ州が占めています。マサチューセッツ州は特に上位に入っている学区が多く、上位30位までのランキングを見ても、マサチューセッツ州の学区は13エリアが入っています。
統計の発表元が違うため一概には言えませんが、ニューヨークは学生が多いものの、必ずしも学区のレベルが高いわけではありません。しかし、イリノイ州の州都であるシカゴが入学者数のランキングで3位に入っているのは、学区のレベルの高さも関連があると考えられます。

マサチューセッツ州の概要

マサチューセッツ州はニューヨーク州の東に位置する州で、州都はボストンです。2019年の推計人口は約689万人で、アメリカ全50州のうち15番目に位置しています。

US Census Bureauで所得階層別の世帯数を見ると、最も世帯数が多い所得階層は$100,000以上$150,000未満で、マサチューセッツ州には高所得層の世帯が多いものです。また、世帯所得の中央値も$85,843と高く、アメリカで、学区のレベルが高いエリアには高所得者が多いことを裏付けています。

しかしながら、1世帯あたりの人数を見ると、2人世帯が全体の34.3%を占めており最多です。2番目は1人世帯で28.3%となっています。4人以上の世帯が22.1%いますが、1人世帯と2人世帯とが全体の62%を占めているため、マサチューセッツ州では子持ち世帯は少数派です。どちらかというと、高所得層の単身者またはDINKS世帯が多いのがマサチューセッツ州の特徴といえます。

なお、家を所有している人と家を借りている人との比率を見ると、およそ2:1の割合で家を所有している人の方が多数派です。しかし、3分の1以上の人が借家住まいをしているため、マサチューセッツ州では入居者も比較的見つかりやすいと言えます。

また、Redfinの統計によると、2021年2月の住宅価格中央値は$499,000です。アメリカの住宅マーケットは、コロナ対策の低金利政策が敷かれている影響で大きく変動しています。
しかし、2021年時点では、マサチューセッツ州の住宅価格はニューヨーク州の$475,000よりも高いので、アメリカの中でも比較的高価格な部類に入ると言えます。

参照:US Census Bureau
参照:Redfin, a national real estate brokerage.

イリノイ州の概要

イリノイ州はミシガン湖に面する州で、州都のシカゴはアメリカの中でも大都市に分類されます。なお、イリノイ州全体の人口は2019年の推計で1,200万人を超えており、州別の人口では上位5番目です。

世帯所得の中央値は$69,187で、所得別世帯で最多割合を占めるのは、マサチューセッツ州と同じく$100,000以上$150,000未満の層となっています。イリノイ州もマサチューセッツ州と同様に高所得世帯が多い州です。

Redfinの統計によると、イリノイ州の住宅価格中央値は2021年2月時点で$254,000であり、マサチューセッツ州と比較すると約半額となっています。イリノイ州の住宅価格は、周期的に上昇と下降を繰り返しながら、長期的には右肩上がりで上昇しているのが特徴的です。

所得が比較的高い一方で住宅価格が安いため、イリノイ州の不動産マーケットは一見狙い目のように見えます。しかし、イリノイ州では2013年をピークに少しずつ人口が減少し続けている点に要注意です。

2013年の推計では12,895,129人いた人口は、2019年推計で12,671,821人まで減っています。減少割合は6年で約1.7%とそれほど大きくありませんが、人口減少を続けている状況下で不動産投資をするならば、エリア選定に要注意です。

参照:US Census Bureau
参照:Redfin, a national real estate brokerage.

まとめ

アメリカの富裕層は特に学区のレベルを気にして家を選びます。このため、アメリカ不動産投資では、学区のレベルが高いエリアを見極めることが重要です。学区のレベルが高いエリアでは、治安や入居者の質が良くなります。

アメリカの中でも高レベルの学区が多いのは、マサチューセッツ州とイリノイ州です。ただし、マサチューセッツ州は物件価格が高めで推移しており、イリノイ州では人口が減少している点に注意を要します。マサチューセッツ州やイリノイ州で投資物件を選ぶのならば、ミクロ視点でのエリア分析が重要です。

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