近年は周辺諸国の物価や人件費が既に高騰している影響から、海外投資家に不動産投資先として注目を集めるカンボジアですが、成長性がどれだけあるのか、情勢や法制度は安定しているのかなどの不安を持つ方も多くいます。
カンボジアは独裁制の影響もあり法律やルールが突然変更されるリスクや通貨リスク、バブルに近い急激な土地評価額の向上が崩壊するリスクがあることも事実です。
一方こういったリスクを念頭に置いた上でも、カンボジア不動産投資には、為替リスクの低さや、高い賃貸需要など周辺諸国にはないメリットが存在します。
今回はカンボジアならではの不動産投資におけるメリット・デメリットを開設するとともに、事前に確認しておきたいリスクやおすすめの投資エリア・物件についてご紹介します。
カンボジア不動産投資のメリット
デメリットとリスクを先にご紹介しましたが、ここではカンボジアの不動産投資の魅力をご紹介します。
カンボジアの不動産市場は、気をつけるべきポイントを押さえれば、将来性があり、魅力的な投資環境のため、ぜひ参考にしてください。
高い経済成長率に裏打ちされたキャピタルゲイン
IMFによると、2024年における東南アジア各国のGDP成長率は以下の通りです。
カンボジア | マレーシア | タイ | フィリピン | ベトナム |
---|---|---|---|---|
5.5% | 4.8% | 2.8% | 5.8% | 6.1% |
【出典】IMF
成長著しい東南アジア各国の中においても、カンボジアのGDP成長率は高い部類に入ります。
一方で、1人あたり名目GDPを比較すると、カンボジアは周辺諸国より低くなっており、物価がまだ安いのが現状です。
2024年の一人当たりGDP比較(USドル)
カンボジア | マレーシア | タイ | フィリピン | ベトナム |
---|---|---|---|---|
$2,740 | $13,140 | $7,530 | $4,150 | $4,650 |
【出典】IMF
カンボジア不動産は今後大きく値上がりする可能性を持っている一方で、まだ周辺諸国よりも安い価格で購入可能です。
経済成長は平均所得や物価の上昇を促すため、経済成長に伴って不動産価格も上昇します。経済成長率が高いカンボジアでは、今後も不動産価格が上昇する期待は大きいものです。
カンボジアの不動産価値は今後年間3%の成長率を2029年まで継続すると見込まれており、経済成長が期待されるカンボジアでの不動産投資は注目を集めています。
【出典】Residential Real Estate Cambodia|Statista Market Report
平均年齢が若いため高い賃貸需要を期待できる
2024年におけるカンボジア人の年齢中央値は27.9歳です。日本の年齢中央値が49.9歳であることを考えても非常に若い国です。
また、JETRO(日本貿易振興機構)によると、ASEAN諸国の人口ボーナス期(労働人口が増える期間)は2041年まで続く見通しです。
カンボジアでは今後も労働人口が増え続けることは確実視されており、労働人口の増加は消費を促すため、今後さらなる経済成長が見込まれます。
労働人口の増加は住宅需要の拡大にもつながります。住宅需要が拡大すれば賃貸需要も拡大していくため、カンボジア不動産投資では空室率の低い賃貸運用を期待できます。
平均利回りが比較的高い
東南アジアの不動産利回りは、世界的に見ても高水準ですが、その中でもカンボジアの利回りは高いです。
カンボジアの平均利回りは5〜8%となっており、物件のタイプや立地により異なりますが、日本の約4%と比較しても高い水準であることがわかります。
利回り保証の案件もある
カンボジアの物件には、利回り保証が付いている物件が多いです。海外不動産投資は、通常の不動産投資と比べてもハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。しかし、利回り保証が付いている物件を選ぶことで、最低限のリスクヘッジをすることができます。
加えて、買取保証が付いている物件もあります。保証の対象となるかは購入する物件やプランによって異なりますが、キャピタルゲインを狙う方にとっては魅力的なポイントです。
一方、利回り保証の妥当性については事前に入念なチェックが必要です。保証されていた賃料が払われずに不動産会社が倒産してしまうなどのリスクには細心の注意を払いましょう。
米ドルが流通しているため為替リスクを抑制できる
カンボジア不動産投資の最大のメリットは、米ドル建てで収益を得られることです。カンボジアの流通通貨の約90%は米ドルで占められています。
カンボジアでは不動産の購入を米ドルで決済できるだけでなく、売却益や家賃収入もすべて米ドルで受け取り可能です。現在のドル高相場においては為替差益の獲得も狙えます。
カンボジア以外のASEAN諸国では、基本的に自国通貨建ての資産となるため、不動産価値も自国通貨の変動に左右されてしまいます。
その点、世界の基軸通貨として認められている米ドルで資産を保有できれば、為替リスクを抑制可能です。分散投資の観点から考えても、カンボジア不動産投資は非常に大きなメリットを持っていると言えます。
非居住者の外国人も銀行口座を開設可能・海外送金は無制限
ほかのASEAN諸国と異なり、カンボジアでは非居住者の外国人でも銀行口座を開設可能です。また、米ドル建てで定期預金ができます。
そのため、不動産投資で得た利回り7〜10%のインカムゲインなどを、さらに銀行の定期預金で運用することも可能です。
米ドル建て定期預金の金利も約4%と非常に高いため、資金を継続的に増やしたい方にとっても大きなメリットとなります。
しかも、カンボジアから国外への海外送金は、銀行に届け出をすれば無制限に行えます。カンボジア不動産投資で得た資金を、素早く自由に移動できるのも魅力の1つです。
銀行口座の開設方法に関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
>>【2025年最新】カンボジア現地銀行の金利は?口座開設メリットや注意点
首都一等地の物件を1,000万円台で購入できる割安感
カンボジアの地価はバブル期的な急上昇を続けていましたが、2008年のリーマンショックによって半値以下まで暴落しました。
現在では適正価格に戻りつつありますが、もともと周辺のASEAN諸国に比べて安価だったこともあり、まだまだ割安感があります。
加えて、カンボジアはまだASEAN諸国内でも人件費が安いため、首都プノンペンの一等地であっても諸経費合わせて1,000万円台で物件を購入できます。また、7%以上の高い利回りでの賃貸運用も十分に可能です。
タイやベトナム、フィリピンなどで同等の物件を購入すれば倍以上の価格となり、さらに不動産価格が高いことで知られるシンガポールや香港であれば、4倍以上の価格を覚悟する必要があるでしょう。
カンボジア不動産投資のデメリット
カンボジアの不動産投資に対して、将来性の有無や政治的リスクなどの不安を持たれる方も多いです。
現在伸びているからという安易な理由で投資判断をする前に、カンボジア不動産投資のデメリットについて整理していきましょう。
外国人が所有できる不動産は限られている
カンボジアでは、外国人による土地の購入が認められていません。そのため外国人投資家が所有できるのは、コンドミニアムやアパートといった集合住宅の2階以上のみとなります。
また、外国人は建物ごとに全床面積の70%以下しか所有できない規定もあるため、不動産投資の対象は分譲購入に限られています。
不動産会社の比較が難しい
海外で適切な不動産を購入するためには、現地に詳しい不動産エージェントや管理を請け負う管理会社の協力が必要になります。
しかし、例えば日本国内でカンボジアの投資用物件を取り扱っている不動産会社は多くないため、比較検討があまりできません。
最近では、海外投資家からの人気が急速に高まっているゆえに、不動産投資の詐欺事件も増えているようです。
カンボジア不動産投資でリスクを軽減するためには、取引の前に不動産会社の背景を確認することが非常に重要です。
カンボジア不動産投資でおすすめのエリア
カンボジアの不動産投資の注意点を理解したところで、ここではおすすめのエリアや物件を紹介します。
カンボジアで不動産投資をするなら、首都・プノンペンは外せません。しかしプノンペンにも様々なエリアがあります。
不動産価値の向上を狙うのであれば、富裕層やアッパー層に人気のある、以下のエリアがおすすめです。
ダイアモンドアイランド(Diamond Island)
プノンペン市内の東側にあり、王宮の南に位置するダイアモンドアイランドは、市内でも地価の高いエリアで、パリをイメージした街並みが特徴的です。
国内大手のカナディア財閥グループが開発を進めていて、ホテルや高層ビル、商業施設、カフェなどが建ち並びます。
ここ数年で国内外から多くの投資を集めていることから、「未来都市」として現地メディアからも注目されているようです。
ボンケンコン(Boeung Keng Kang)
プノンペンの一等地であるボンケンコンは、現地では「BKK」と呼ばれています。エリアが1〜3まで分かれていて、ボンケンコン1(BKK1)には、医療や教育施設、レストランなどが集積しています。
ボンケンコン2・3(BKK2・3)と比べても、土地の値段が2倍もするブランド化したエリアで、多くの外国人駐在員や現地の富裕層が住んでいます。また治安がいいエリアとしても評判です。
トンレバサック(Tonle Bassac)
トンレバサックは、ノロドム通りの南に位置し、各国の大使館も立ち並ぶ閑静な住宅街です。現地富裕層に人気の高いエリアで、2014年には日本の「イオンモール」がオープンしました。イオンの至近には、プノンペンの新名所と呼ばれる「コンテナナイトマーケット」があり、平日の夜も若者で賑わっています。
プノンペン西部
ロシア通り沿いにあるプノンペン国際空港を中心としたエリアであり、プノンペン都心部と経済特区の中間に位置します。ただ都心部まで車で30分から1時間程度の距離にあるため、不動産価格は都心部の半値程度です。
チョロイチャンバー(Chroy Changvar)
チョロイチャンバーは、トレンサップ川にかかる日本とカンボジアの友好橋「チョロイチャンバー橋」を渡ったプノンペンの北東に位置するエリアです。
カナディア財閥グループの企業が建設を計画している新しい橋によって、交通渋滞が軽減され、それに伴い地価も上がると予想されています。
カンボジア不動産投資でおすすめの物件3選
カンボジアのおすすめエリアを紹介しましたが、具体的な物件のイメージが湧かない方もいるかもしれません。ここでは、カンボジアの不動産投資におすすめの物件を3つご紹介します。
タイムスクエア7
カンボジアでオススメの物件1つ目は、タイムスクエア7(Time Square 7)です。
プノンペンのトゥールコーク地区の中心部に建つ豪華な複合開発プロジェクトで、49階にはプレミアムスカイラウンジがあるなどラグジュアリーな空間が設計されています。
その他ファシリティーとして34階のクラブハウスにはボウリング場、ゲームラウンジ、映画館、カラオケルームが設置されており、充実した生活を送れます。
ラ・アトレ・ボンケンコン
カンボジアおすすめ物件2つ目は、ラ・アトレ・ボンケンコン(L'attrait Boeung Keng Kang)です。
先ほどご紹介したプノンペンのボンケンコンエリアに位置する当物件は、日系企業及び日本人技術者によって設計された高級コンドミニアムです。
日本人により作られた物件のため、間取りや内装のデザインは細部まで高品質で、物件の耐久性や安全性といった点においても安心です。
ローズアップルスクエア
カンボジアおすすめ物件3つ目は、ローズアップルスクエア(Rose Apple Square)です。居住者専用のラウンジや共用スペースが充実しており、単なるコンドミニアムではなくコミュニティとしての魅力を持つ物件です。
フィットネスジム、スイミングプール、マッサージスパ、ヨガセンターなどのファシリティーも充実しており、健康的で快適な生活を送るのに適したコンドミニアムです。
まとめ
今回は、カンボジアの不動産投資に関するメリットやデメリット、オススメのエリアや物件についてご紹介しました。
成長が著しいASEAN諸国の中でも極めて将来性が高く、まさに「これからの国」と言えるのではないでしょうか。
また、世界の基軸通貨である米ドル建てで投資が行えること、不動産投資で得た資金を金利の高い銀行口座で運用できることも、非常に魅力的なポイントです。