カンボジアは長年続いていた内戦などの影響もあって、周辺諸国と比較すると経済成長が遅れており、アジアの周辺諸国と比較すると、投資先として検討されることは多くありませんでした。
しかし、ほかのASEAN諸国の物価や人件費が大きく上昇してしまった現在では「東南アジア最後のフロンティア」として、海外投資家の注目を集める存在となっています。
カンボジアならではの不動産投資におけるメリットとデメリットを解説するとともに、事前に確認しておきたいリスク、またオススメのエリアや物件についても詳しく紹介していきます。
1 カンボジア不動産投資のメリット
ほかのASEAN諸国とは異なる、カンボジアならではの投資事情を紹介します。カンボジアの不動産市場は、将来性を持っているとともにメリットも多い投資環境です。
1-1 高い経済成長率に裏打ちされたキャピタルゲイン
IMFによると、2019年における東南アジア各国のGDP成長率は以下の通りです。
カンボジア | マレーシア | タイ | フィリピン | ベトナム |
7.0% | 4.3% | 2.4% | 6.0% | 7.0% |
※参照:IMF
成長著しい東南アジア各国の中においても、カンボジアのGDP成長率は高い部類に入ります。その一方で、1人あたり名目GDPを比較すると、カンボジアは周辺諸国より低くなっており、物価がまだ安いのが現状です。
2019年の一人当たりGDP比較
カンボジア | マレーシア | タイ | フィリピン | ベトナム |
1,680 US$ | 11,380 US$ | 7,670 US$ | 3,600 US$ | 3,760 US$ |
※参照:IMF
カンボジア不動産は今後大きく値上がりする可能性を持っている一方で、まだ周辺諸国よりも安い価格で購入可能です。
経済成長は平均所得や物価の上昇を促すため、経済成長に伴って不動産価格も上昇します。経済成長率が高いカンボジアでは、今後も不動産価格が上昇する期待は大きいものです。
1-2 平均年齢が若いため高い賃貸需要を期待できる
2020年におけるカンボジア人の年齢中央値は26.4歳です。日本の年齢中央値が48.6歳であることを考えても非常に若い国であることがうかがえます(CIA:中央情報局調べ)。
また、JETRO(日本貿易振興機構)によると、ASEAN諸国の人口ボーナス期(労働人口が増える期間)は2041年まで続く見通しです。
カンボジアで今後も労働人口が増え続けることは確実とされており、労働人口の増加は消費を促すため、今後さらなる経済成長が見込めます。
また、労働人口の増加は住宅需要の拡大にもつながります。住宅需要が拡大すれば賃貸需要も拡大していくため、カンボジア不動産投資では空室率の低い賃貸運用を期待可能です。
1-3 米ドルが流通しているため為替リスクを抑制できる
カンボジア不動産投資の最大のメリットは、米ドル建てで収益を得られることです。カンボジアには「リエル」という自国通貨がありますが、流通通貨の約90%は米ドルで占められています。
カンボジアでは不動産の購入を米ドルで決済できるだけでなく、売却益や家賃収入もすべて米ドルで受け取り可能です。
カンボジア以外のASEAN諸国では、基本的に自国通貨建ての資産となるため、不動産価値も自国通貨の変動に左右されてしまいます。
その点、世界の基軸通貨として認められている米ドルで資産を保有できれば、為替リスクを抑制可能です。分散投資の観点から考えても、カンボジア不動産投資は非常に大きなメリットを持っていると言えます。
1-4 非居住者の外国人も銀行口座を開設可能・海外送金は無制限
ほかのASEAN諸国と異なり、カンボジアでは非居住者の外国人でも銀行口座を開設可能です。また、米ドル建てで定期預金ができます。
そのため、不動産投資で得た利回り7〜10%のインカムゲインなどを、さらに銀行の定期預金で運用することも可能です。
米ドル建て定期預金の金利も4〜5%と非常に高いため、資金を継続的に増やしたい方にとっても大きなメリットとなります。
しかも、カンボジアから国外への海外送金は、銀行に届け出をすれば無制限に行えます。カンボジア不動産投資で得た資金を、素早く自由に移動できるのも魅力の1つです。
1-5 首都一等地の物件を1,000万円台で購入できる割安感
カンボジアの地価はバブル期的な急上昇を続けていましたが、2008年のリーマンショックによって半値以下まで暴落しました。
現在では適正価格に戻りつつありますが、もともと周辺のASEAN諸国に比べて安価だったこともあり、まだまだ割安感があります。
加えて、カンボジアはまだASEAN諸国内でも人件費が安いため、首都プノンペンの一等地であっても諸経費合わせて1,000万円台で物件を購入できます。また、7%以上の高い利回りでの賃貸運用も十分に可能です。
タイやベトナム、フィリピンなどで同等の物件を購入すれば倍以上の価格となり、さらに不動産価格が高いことで知られるシンガポールや香港であれば、4倍以上の価格を覚悟する必要があるでしょう。
2 カンボジア不動産投資のデメリット
投資メリットが多いカンボジアですが、もちろんデメリットもあります。
2-1 外国人が所有できる不動産は限られている
カンボジアでは、基本的に外国人の土地所有が認められていません。そのため外国人投資家が所有できるのは、コンドミニアムやアパートといった集合住宅の2階以上のみとなります。
また、外国人は建物ごとに全床面積の70%以下しか所有できない規定もあるため、不動産投資の対象は分譲購入に限られています。
2-2 不動産会社の比較が難しい
海外で適切な不動産を購入するためには、現地に詳しい不動産エージェントや管理を請け負う管理会社の協力が必要になります。
しかし、例えば日本国内でカンボジアの投資用物件を取り扱っている不動産会社は多くないため、比較検討があまりできません。
最近では、海外投資家からの人気が急速に高まっているゆえに、不動産投資の詐欺事件も増えているようです。
2021年時点のカンボジアでは不動産取引に関する免許制度が整備されていないため、実務を行わずに案件や不動産会社の紹介だけで手数料を請求してくる悪質なブローカーもいます。
カンボジア不動産投資でリスクを軽減するためには、取引の前に不動産会社の背景を確認することが非常に重要です。
「SEKAI PROPERTY」では、カンボジア不動産の購入相談も受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください。
3 カンボジア不動産投資で要注意のリスクとは
カンボジアのインフラや法律には未整備な部分も多いため、不動産購入に関してもそれなりの知識や準備が必要です。リスクも考慮した投資判断が重要になります。
3-1 プレビルド物件の竣工リスク
ほかのASEAN諸国同様、カンボジアでの不動産購入も「プレビルド(Pre-build)方式」が一般的です。これは、コンドミニアムの建設着工前に購入を決め、工事の進捗に合わせて分割でお金を支払う方式です。
着工前の安い値段で分譲購入し、完成に向けて値段が上がってきた段階で売却もできるので、キャピタルゲインを狙った投資に向いています。
しかし、カンボジアのような新興国では、工事がストップしてしまうケースも稀に発生します。その場合、物件の引渡しを受けられないほか、すでに支払った頭金や中間金が戻ってこないこともあるので要注意です。
なお、カンボジアには不動産の取引に関する供託制度がありません。供託制度とは、トラブルによって取引を完了できなかった場合に、供託所から買主へお金が支払われる制度のことです。
例えば日本では、不動産会社があらかじめ供託所へお金を支払うことで、買主のリスク保全に努めています。
特に分譲実績の少ない中小規模のデベロッパーが手がける物件では、予約購入の売り上げをそのまま工事資金に充当しているプロジェクトも少なくありません。
自転車操業状態のプロジェクトでは、販売期ごとの売上が振るわないと頓挫してしまうこともあります。
カンボジア不動産投資で竣工リスクを軽減するためには、信頼できる大手のデベロッパーや、日系のデベロッパーが手がける物件を選ぶのがいいでしょう。
3-2 急な規制変更のリスク
カンボジアに限らず、新興国では外国人投資家に対する規制が突然変更されることもあります。常にニュースのチェックを心がけ、当初の計画通りにはいかないリスクがあることも念頭においておきましょう。
3-3 空室リスク
日本人が投資する物件は、現地人にとって高級物件であることがほとんどです。高級物件に入居できる現地人は、富裕層や外国人駐在員などに限られています。
カンボジア不動産投資で空室リスクを軽減するためには、想定される入居者ターゲットが物件の周辺にどの程度住んでいるのか確認することも重要です。
また、カンボジアへ派遣されている外国人駐在員として多いのは中国人です。このため、中国人が好む内装や設備を意識することも、空室リスクの軽減につながります。
中国人は日系メーカーの家具家電を好む傾向があるため、居室内に日系メーカーのものを揃えるのも有効です。
3-4 高利回り保証の物件は事前の検証が必要
カンボジアを含む東南アジアの新興国では、長期間にわたって高利回りを保証すると宣伝している物件も少なくありません。
しかし、長期間の利回り保証を宣伝文句にしている物件では、利回りの妥当性について事前に検証することが重要です。
東南アジアの不動産投資では、高利回り保証の物件を購入したものの、結果的に保証賃料が支払われず、不動産会社と連絡が取れなくなったなどの失敗例も多く聞かれます。
不動産会社は自社の運用益を保証賃料の原資とするため、不動産会社が相応の募集家賃で入居者を入れられなければ保証賃料も支払えません。
高利回り保証の物件を検討する場合には、利回り保証の根拠を不動産会社に確認することが必要です。
3-5 物件所有権の登記に関するリスク
東南アジアの新興国では、日本と違って必ず物件所有権が登記されるとは限りません。また、登記対応に数ヶ月単位の時間がかかることもあります。
カンボジアも例外ではなく、日本のように物件購入後すぐに登記済証が発行されるとは限りません。
また、カンボジアでは長年続いていた内戦の際に、土地所有権に関する帳簿が処分されてしまったこともあり、2017年9月末の時点では国土の半分以上が未登記の状態です。
なお、当時は登記簿が手書きで作成されており、データベース化されていませんでした。
カンボジア不動産を購入する場合には、登記済証の発行スケジュールについてあらかじめ確認するとともに、定期的に不動産会社へ進捗を確認するなどの対策も必要になります。
そのほか、カンボジア不動産の登記済証には、ハードタイトルとソフトタイトルの2種類がある点に要注意です。ソフトタイトルは不動産取引の事実を証明するのみで、物件所有権の証明にはなりません。
カンボジア不動産の所有権を法的に証明するためには、ハードタイトルの取得が必要です。
3-6 不動産会社に関するリスク
カンボジアは著しい発展を遂げているために投資のチャンスも豊富ですが、チャンスがあるゆえに質の良くない不動産会社があることも事実です。
カンボジア不動産を取扱う不動産会社の中には、個人経営で営業しているところもあります。しかし、個人経営の会社などは経営の体力に乏しいところもあり、取引をするのに適格と言えないことも多いものです。
売主との取引を取り持つ不動産会社が倒産してしまった場合などは、他の不動産会社を探すか投資家自ら取引の対応をする必要が出てきます。
また、会社規模が小さければその分だけ簡単に撤退できてしまうこともあり、トラブルが起きた時の対応には不安が残るものです。
そのほか、規模が小さい会社を介して取引すると、物件引渡し後の入居者募集に対応してもらえないこともあります。この場合は、別途で投資家自ら賃貸管理会社を探さなくてはなりません。
取引に関するリスク軽減や、賃貸運用の手間を省くためにも、一定以上の規模で営業している日系の不動産会社を選ぶのが最も安全です。
4 カンボジア不動産投資でオススメのエリアや物件は?
カンボジアの不動産投資のメリットやデメリット、リスクを理解したところで、今度はオススメのエリアや物件を紹介します。
4-1 オススメの不動産投資エリア
カンボジアの不動産投資のメリットやデメリット、リスクを理解したところで、今度はオススメのエリアや物件を紹介します。
カンボジアで不動産投資をするなら、首都・プノンペンは外せません。しかしプノンペンにも様々なエリアがあります。
不動産価値の向上を狙うのであれば、富裕層やアッパー層に人気のある、以下のエリアがおすすめです。
■ダイアモンドアイランド(Diamond Island)
プノンペン市内の東側にあり、王宮の南に位置するダイアモンドアイランドは、市内でも地価の高いエリアで、パリをイメージした街並みが特徴的です。
国内大手のカナディア財閥グループが開発を進めていて、ホテルや高層ビル、商業施設、カフェなどが建ち並びます。
ここ数年で国内外から多くの投資を集めていることから、「未来都市」として現地メディアからも注目されているようです。
■ボンケンコン(Boeung Keng Kang)
プノンペンの一等地であるボンケンコンは、現地では「BKK」と呼ばれています。エリアが1~3まで分かれていて、ボンケンコン1(BKK1)には、医療や教育施設、レストランなどが集積します。
ボンケンコン2・3(BKK2・3)と比べても、土地の値段が2倍もするブランド化したエリアで、多くの外国人駐在員や現地の富裕層が住んでいます。また治安がいいエリアとしても評判です。
■トンレバサック(Tonle Bassac)
トンレバサックは、ノロドム通りの南に位置し、各国の大使館も立ち並ぶ閑静な住宅街です。現地富裕層に人気の高いエリアで、2014年には日本の「イオンモール」がオープンしました。イオンの至近には、プノンペンの新名所と呼ばれる「コンテナナイトマーケット」があり、平日の夜も若者で賑わっています。
■プノンペン西部
ロシア通り沿いにあるプノンペン国際空港を中心としたエリアであり、プノンペン都心部と経済特区の中間に位置します。ただ都心部まで車で30分から1時間程度の距離にあるため、不動産価格は都心部の半値程度です。
■チョロイチャンバー(Chroy Changvar)
チョロイチャンバーは、トレンサップ川にかかる日本とカンボジアの友好橋「チョロイチャンバー橋」を渡ったプノンペンの北東に位置するエリアです。
東西にメコン川とトンレサップ川をのぞむ自然豊かな環境を持っています。
カナディア財閥グループの企業が建設を計画している新しい橋によって、交通渋滞が軽減され、それに伴い地価も上がると予想されています。
4-2 おすすめ物件の紹介<アジャイルスカイレジデンス>
カンボジアでオススメの物件が、アジャイルスカイレジデンス(Agile Sky Residence)です。
先ほど紹介したプノンペンの一等地「ボンケンコン」に位置しています。外国人駐在員や現地の富裕層が多く住んでおり、日本人をターゲットにした日本食レストランもあります。
ちなみに同エリアの賃貸相場は、1ベッドルーム約17万円、2ベッドルーム約23万円です。
アジャイルスカイレジデンスを取り扱っているのは、香港証券取引所に上場している中国の大手企業アジャイルグループです。
2019年度売上は約1兆円で、アメリカやアジア諸国併せた70都市(約200プロジェクト)で不動産を開発しており、開発実績も十分です。
5 まとめ
今回は、カンボジアの不動産投資に関するメリットやデメリット、オススメのエリアや物件についてご紹介しました。
成長が著しいASEAN諸国の中でも極めて将来性が高く、まさに「これからの国」と言えるのではないでしょうか。
また、世界の基軸通貨である米ドル建てで投資が行えること、不動産投資で得た資金を金利の高い銀行口座で運用できることも、非常に魅力的なポイントです。
下記のリンクページでは「SEKAI PROPERTY」を通じて、カンボジアの不動産物件を購入した日本人投資家の方へのインタビューを掲載しています。ぜひ、こちらもご一読いただき、検討材料の1つに加えてみてください。