アメリカへの移住や留学、赴任など長期滞在をする予定の方、あるいはアメリカへ頻繁に行くという方は、現地で銀行口座を作っておくと非常に便利です。家賃や公共料金の支払い、給料や報酬の受け取りなどがスムーズになるからです。米ドル建預金をしたい、アメリカのECサイトでショッピングをしたい、という方にもお勧めです。そこで、アメリカで銀行口座を作るまでの流れや、必要書類などを紹介していきます。

1 アメリカでの銀行や口座の選び方

日本と同じく、アメリカの銀行口座にも「普通」「当座」などさまざまな種類があります。銀行の数もたくさん。どのように選べばいいのか、説明していきます。

1-1 アメリカでは当座預金が一般的

アメリカの銀行口座は、大きく分けて「Checking Account(当座預金)」「Saving Account(普通預金)」の2種類があります。日本では普通預金が一般的ですが、アメリカでは当座預金がよく使われます。なので、アメリカで口座開設する際は当座預金を選びましょう。キャッシュレス化が進んでいるアメリカでは、あまり現金を持ち歩かず、クレジットカードやパーソナルチェック(小切手)を使うことが多くあります。パーソナルチェックは、金額とサインを記入すれば支払いができる非常に便利なもの。日常の買い物はクレジットカード、家賃や公共料金や大学の授業料などはパーソナルチェック、という風によく使われています。当座預金は、VISAやMASTERなどのクレジットカードや、パーソナルチェックに紐づいているほか、ATMで現金を引き出すこともできるのです。

1-2 銀行を選ぶポイント

アメリカでは州や地域ごとに、メインとなる銀行が変わってきます。そのため、滞在するエリアに、支店やATMがたくさんある銀行を選ぶのがお勧めです。また、アメリカの多くの銀行では、口座維持費が必要です。金額は、毎月使う小切手の枚数や、利子・利率、最低預金残高の有無・金額などで異なります。例えばJPモルガン・チェース銀行の当座預金では月12ドル、バンク・オブ・アメリカの一般口座は月4.95ドルかかります。口座維持費が無駄な出費にならないことも、銀行選びのポイントです。ユニオン銀行が提供する口座維持費無料プランや、学生は無料という銀行もあるので、事前確認した上で、自分に合った銀行を選びましょう。

2 アメリカでの銀行口座開設の流れ 

銀行や口座の種類が決まったら、いよいよ開設の手続きです。具体的な手続きの流れや、必要な書類などについて説明していきます。

2-1 銀行の窓口で手続き

銀行の窓口へ行き、口座を開設したい旨を伝えます。込み合っている場合もあるので、事前にオンラインや電話で予約をしておくとよいでしょう。営業時間は、銀行にもよりますが、平日の9時〜15時のことが多いです。順番が来たら、後述する必要書類を提出し、申込用紙への記入を行います。「職業は?」「クレジットカードの機能は必要か?」なども聞かれます。手続きは大体30分~1時間くらいで完了します。口座開設の手続きは、オンラインでも可能なのですが、「18歳以上」「SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)があることであること」「アメリカに住所があること」が条件となるため、基本的にアメリカに住んでいないと行えません。

2-2 口座開設に必要な書類

<本人確認書類>
パスポートやアメリカでの運転免許証、国際運転免許証など、政府が発行する写真付きの身分証明書が必要です。最も信頼度が高いのはパスポートです。ビザの提示を求められても、パスポートに含まれているので安心です。多くの銀行では、2種類以上の身分証明書を求められるため、できるだけ多くのIDを用意しておくとよいでしょう。

<SSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)あるいはITIN(個人税務番号)>
アメリカ市民や長期滞在する人に与えられるSSNか、アメリカで確定申告をすることで発行される納税者識別番号が必要です。ちなみにハワイであれば、SSNがなくても口座を開設できますが、現地ま
で行く必要があります。

<アメリカでの住所が分かるもの>
公共料金の請求書、勤務先や学校からの郵送物など、住所が分かるものの提示が求められます。

<学生証(学生の場合)>
学生であることが分かるように、学生証を提示することで、口座維持費などが不要になる場合があります。学生証がまだ発行されていないときは、学校からの手紙などで代用できます。

<現金(初期入金が必要な場合)>
銀行や口座の種類によりますが、初期入金が必要な場合は、その分の現金を持参します。金額は銀行によりますが、Wells Fargoの学生口座は25ドル、Union Bankは最低100ドルが必要となります。
現金を持参しなくても、クレジットカードで入金可能な場合もあります。上記はあくまで一般的なケースです。エリアや銀行、口座の種類などで変わることもあるので、詳しくは口座を開設する銀行へ確認してください。

2-3 口座開設・キャッシュカードの受け取り

上記が滞りなく進めば、無事に口座を開設できます。キャッシュカードの発行時期は、銀行によって異なります。即日受け取れることもあれば、1週間~1か月程度かかることもあります。できるだけ余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。ちなみにアメリカのキャッシュカードにも、日本と同じく4桁のPIN Code(暗証番号)が設定されます。日本では、自分で任意の数字を決められますが、アメリカでは基本的に銀行が指定するので、忘れないよう注意が必要です。

3 それ以外の方法

上記はアメリカに住所がある、もしくは長期滞在の予定がある、という方向けの口座開設の方法でした。けれど、アメリカに住所がない方や、日本在住のまま口座を作りたい、という方もご安心ください。方法を紹介します。

3-1 アメリカに住所がなくても口座開設する方法 

原則的には、アメリカに住所がなくては、口座開設ができません。ただ、いくつか方法はあります。まずは、アメリカ在住の親類や友人・知人の住所を使わせてもらうこと。口座を開設したい方の、公共料金の請求書などがその住所に届いていたり、学生の場合は学生登録証明書の登録住所になっていたりすればOKです。ちなみに私書箱ではほとんどの場合認められません。業者による住所転送サービスでは、住所の証明にはなりませんが、銀行によっては問題なく口座開設できることもあります。

3-2 日本在住のまま口座開設する方法

三菱UFJ銀行の口座を持っていて、満20歳以上(満16歳以上20歳未満の方も、親権者など法定代理人との共同名義の口座であればOK)であれば、「カリフォルニアアカウント・プログラム」というサービスで、子会社であるユニオンバンクの口座を作ることができます。ユニオンバンクは、三菱UFJ銀行の子会社であるためです。三菱東京UFJ銀行のHPから、日本語の案内を受けながら進められます。申し込みの流れとして、取次依頼書、預金口座開設申込書、以下の身分証明書の中から2種類を三菱UFJ銀行に送付します。問題なければ約2週間で口座番号通知書が、3~4週間でアメリカからATMカードが送られてきます。


【必要な身分証明書】
・パスポート
・運転免許証
・住民基本台帳カード(写真付き)
・個人番号カード
・運転経歴証明書
・在留カード・特別永住者証明書
・健康保険証
・クレジットカード

4 まとめ

日本とは手続き方法も必要書類も異なり、言語の壁もあるため、アメリカで銀行口座を開設するのは決して簡単ではありません。それでも、必要な書類などをきちんと準備し、正しい手順を踏めば、どなたも必ず口座開設ができます。銀行口座の開設は、アメリカでの暮らしをより便利で豊かにしてくれるでしょう。