2019-07-09

海外不動産投資の会社はどう選ぶ?国内不動産との違いや注意点も解説

  • 海外不動産コラム


不動産相場の上昇や人口増加を伴う経済発展などを背景に海外不動産投資が注目されていますが、メリットばかりに目を向けるのではなく、リスクや注意点についても知ることが大切です。

この記事では海外不動産と国内不動産の違いから、物件の購入や管理をサポートしてくれる海外不動産投資会社の選び方について詳しく解説します。海外不動産の特徴を知りたい方、信頼できる不動産会社の選び方に興味がある方は、参考にしてみてください。

1 海外不動産投資と国内不動産投資の違い


海外不動産は経済成長・人口増加で大きな値上がりが期待できるため、完成前の物件を安く購入して完成後に高く売ることも狙えます。一方、国内不動産は大きな値上がりはあまり期待できないものの、利回りが高い物件が多く、安定した家賃収入を見込むことができるといった特徴があります。

以下では、海外での不動産投資と国内での不動産投資で異なる点をそれぞれ詳しく見ていきたいと思います。

1-1 不動産会社の役割が異なる

日本の不動産会社は、中古不動産の売買で売主と買主の仲介を行い、双方から手数料をもらいます。取引の成立を優先し、売主と買主の両方が納得して売買契約を結ぶことに注力します。

一方、例えばアメリカでは、買主と売主それぞれの利益を最大化することが不動産会社の役割となるため、「両手取引」は禁止されており、売主と買主それぞれに不動産会社がエージェントとして付きます。そのためアメリカで中古の不動産を購入するときは、売主側のエージェントとの交渉を優位に行える不動産会社を探す必要があります。

1-2 投資対象は「新築のコンドミニアム」や「木造の中古戸建て・一棟」

海外不動産のおもな投資対象は、日本の分譲マンションや宿泊施設にあたる「コンドミニアム」(condominium)や木造の中古戸建などの一棟モノが挙げられます。

海外では完成前の物件のことを「プレビルド物件」と呼び、値上がりが期待できるエリアのプレビルドコンドミニアムを安く購入し、完成後に高く売却して売却益(=キャピタルゲイン)を得るのが一般的な方法です。

東南アジアでのコンドミニアム購入の注意点

特に東南アジアでの不動産投資の場合、新築のプレビルドコンドミニアムを購入するケースが多くなります。竣工時より安く購入できるため、物件完成後に所有権を取得してからの売却で利益が出る可能性が高くなります。プレビルド物件を購入する場合は、完成する前に売買契約を結び、購入代金の支払いが始まります。

ただし、プレビルド物件の購入には注意点もあります。プレビルド物件を建設・開発するデベロッパー(開発業者)は、販売価格よりも安い価格で売り出し、その支払い代金を建設費用に充てることがあります。最初から建設のための予算を確保していないため、場合によっては計画の通りに物件が完成しないというリスクがあります。

また、物件によっては、完成しても計画段階の価格設定では売れないために、デベロッパーが価格を引き下げて販売するケースもあります。これはデベロッパーの資金力や販売力などの情報を得られればある程度回避できるリスクとなります。

このようにプレビルドのコンドミニアムを購入する際は、建設を担当するデベロッパーに関する詳しい情報が必要になります。資金力や過去の開発実績、評判などを事前に確認し、物件が問題なく完成するかどうかを判断する材料とすることが大切です。

欧米での中古不動産購入の注意点

ヨーロッパやアメリカでは、東南アジアと異なり外国人が土地を取得できる国が多いため、戸建物件への投資が対象に入ります。特にアメリカにおいては、土地代が安いために建物の価格割合が高く、耐用年数オーバーでスピード償却が可能な中古の木造戸建投資の人気が高い状況です。

減価償却費を短い期間に大きく計上することができるようになることで、売却までの期間の所得を圧縮でき節税効果が得られることから、所得の高い投資家を中心に注目を集めるスキームとなっています。

また、多くの欧米諸国でも東南アジアなどと同様に土地の値上がりが期待できることや、中古建物の資産価値が落ちにくいという点からキャピタルゲインを期待することも可能となっています。

一方で、築古物件の流通が多いことから、住宅診断(インスペクション)を実施するのが一般的であることや、上記の通り日本とは異なるブローカーの仕組みとなっている点などはあらかじめ押さえておくべきポイントとなります。

他にも、アメリカでは地域によって治安にも大きな差があります。そのため事前のエリア調査が欠かせません。物件が所在する学区や学校の評判、平均年収、貧困率、人種割合といった要素が、日本に比べてかなり重要なファクターとなります。

1-3 入居者の対象は現地人ではないケースも?

例えば、賃貸市場がまだ成熟していない東南アジアのコンドミニアムは、値上がり益狙いの短期売却を前提に購入するケースが多くなりますが、売却するまでの間は賃貸による家賃収入(=インカムゲイン)も重要です。しかし、投資目的で購入するコンドミニアムは価格上昇率が高く、利回りを確保するための賃料設定は現地の人が住むには高めの水準になりがちです。

そうした物件における賃貸需要の主な対象となるのは、外国人の駐在員やその家族です。ただし、駐在員は現地での仕事が終われば引き上げるので、空室になりやすいといった課題もあります。

また、投資マネーを見込んでコンドミニアム建設が進んだことで、賃貸需要が追いつかないエリアも出てきています。東南アジアにおける不動産投資の歴史はまだ浅く、賃貸管理に関する環境も十分に整ってはいないため、現地の管理会社に委託しても収益性を高めるような賃貸管理は期待できないこともあります。

そのような状況でスムーズに賃借人を付けるには、賃貸管理のスキルが備わっている不動産会社のサポートが必要になります。購入時以外にも賃貸管理で経験豊富な不動産会社を探してサポートしてもらうことが大切です。

1-4 今不動産価格が上昇している国とは

キャピタルゲインが重要視される海外不動産投資では、国・エリアごとに不動産に関する情報を収集することが大切です。直近1年の主な欧米先進国の不動産価格の上昇率は以下のとおりです。

  • アメリカ合衆国 6.47%
  • ドイツ 3.89%
  • イギリス 2.19%
  • フランス 3.12%
  • イタリア ▲0.40%
  • カナダ 2.87%

Global Property Guideより)

欧米では人口増加と経済成長が好調なアメリカが投資先として人気を集めており、実際不動産価格の上昇が続いています。2008年に発生したリーマンショックでは一軒家の不動産価格が大きく下落しましたが、現在はリーマンショック以前の価格に回復しつつあります。

一方、経済成長が著しい東南アジアでも不動産価格の上昇率が高い国があります。直近1年間の不動産価格上昇率は以下のとおりです。

  • 香港 15.86%
  • インド 6.69%
  • マレーシア 4.09%
  • フィリピン 10.07%
  • シンガポール 9.08%
  • タイ 6.33%

Global Property Guideより)

海外不動産を初めて購入する方にとって、香港・シンガポールなど高額となりすぎている国もありますが、フィリピン・マレーシア・タイなどでは購入しやすいエリアも多くあります。

2 海外不動産投資会社を選ぶポイント・注意点


海外不動産を購入する場合は、購入から物件管理まで任せられる海外不動産会社を選ぶとスムーズに進めることができます。海外物件を手がける不動産会社を選ぶポイントは次のとおりです。

2-1 現地情報が豊富な不動産会社を選ぶ

海外不動産投資では、値上がりが期待できるエリア絞りや、変化する近隣の開発状況、金利や経済情勢に関する情報をリアルタイムで入手できるかどうかが、投資の成功を大きく左右します。

例えば現地に拠点を持っていたり、実績豊富なエージェント(不動産の売買をサポートする専門家)とのパイプがあったりする不動産会社は、最新情報の入手が早く、税制や外国人に対する購入規制に変更があったときでも即時に対応することができます。

現地情報を豊富に持つ不動産会社は、海外不動産に関するセミナーや現地視察に関する情報を積極的に発信しています。海外不動産投資セミナーは、海外物件の買い方から利益の出し方、具体的な物件の紹介まで貴重な情報が手に入る機会となります。気になる物件があれば、そのまま現地視察に参加することもできます。

2-2 購入・管理・売却をワンストップで手がける不動産会社を選ぶ

エージェントを探して直接物件を購入したあとは、物件を管理する現地の管理会社も探す必要があります。海外不動産投資の収益性は、入居者付けが得意かどうかの管理会社によって大きく左右されるため、管理会社選びが重要です。

しかし、日本に居ながら現地の管理会社を探すのは難しいため、物件購入から管理・売却まで一括でサポートしてくれる不動産会社に依頼すると便利です。厳選された収益物件の紹介から現地外国人スタッフとの契約時のサポート、さらに購入後の入居者付けや売却時の購入者探しなどアフターフォローも充実しています。

不動産会社を選ぶだけでワンストップのサポートを受けられれば、時間と手間を大きく省くことも可能です。海外不動産を扱う会社が顧客目線で物件を選定し、購入のための交渉を行ってくれるかどうかは、その会社が主催するセミナーや紹介される物件、現地視察ツアーなどの情報が参考になります。

2-3 ローン手続きに詳しい不動産会社を選ぶ

海外不動産を購入する上で課題の1つとなるのが、ローンの申請です。国内の不動産とは異なり、海外で購入する不動産を担保に融資をする金融機関は少なくなります。国内で融資を受けるためには、無担保でローンを組める金融機関を利用するか、あるいは国内の不動産を担保にするなどの方法に限られます。

また、海外の現地銀行から融資を受けるのも信用がないため難しいのが実情です。ただし、海外の住宅ローンには、返済が滞った時にローン残債がすべて無くなる「ノンリコースローン」というものがあります。借り手の返済能力よりも、担保となる不動産の賃貸利回りを参考に担保価値が決まるのが特徴です。

ノンリコースローンであれば、収入よりも物件の価値そのものを評価してもらうため、外国人でも借りられるメリットがあります。しかし、外国人はローンを組めるとしても、相当の頭金を入れる必要があります。

銀行が物件の担保価値を常時監視しているため、ローン残高が担保価値を上回ると、その分をすぐに返済しなければならなくなるためです。担保価値の減少分を見越して、あらかじめ頭金を多く支払うことが求められます。

このように海外不動産はローンを組むのも国内不動産より難しくなるため、資金計画のサポートが充実した不動産会社を選ぶようにすることが大切です。

2-4 実績のあるエージェント選びも大切

海外物件の購入をスムーズに進めるためには、実績のあるエージェントが必要になります。例えばアメリカでは、中古物件の流通量のほうが多いため、中古物件の売買をサポートするエージェントが豊富にいます。

不動産の売買に関わるエージェントには、法人組織であるブローカーのほかに個人で活動するエージェントがおり、ブローカーと契約をして成功報酬を得ています。腕の良いエージェントほど、多くの報酬を得られる仕組みになっているのが特徴です。

不動産会社であるブローカーや個人で活動するエージェントなどは、買主(バイヤー)側の顧客の要望を聞いて、条件に合う物件を探します。物件が見つかれば、見学できるように手配し、同行して物件のメンテナンス状態などをチェックします。顧客が購入の意向を示せば、「オファー」という入札のための条件を書き記す書面を作成し、売主に提出します。

売主は複数のオファーがあれば、その中から条件の良いものを選ぶので、オファーシートの作成も大事な作業となります。オファーが通れば、売主側のエージェントとの交渉が始まります。さらに物件のインスペクション(住宅の検査・調査)にも同行して、物件の状態をチェックし、問題があれば交渉に反映させます。

2-5 時差にも対応できる不動産会社かどうか

購入や管理面で経験豊富な不動産会社であっても、現地と日本の時差には注意が必要です。賃貸運用では、いかに管理会社との連携をスムーズに取るかが重要なポイントですが、海外の不動産の場合、現地と日本とでは時差があるためリアルタイムでのやり取りが難しい時間帯もあります。

賃借人からの苦情や要望があったとしても、時差の関係上、対応するのが翌日以降になることもあります。そのため、日本で中継して連絡のやり取りをしてくれたり、現地で24時間問い合わせに対応可能な不動産会社を選んだりする必要も出てきます。

3 まとめ

最近は東南アジアでも中間層・富裕層が拡大してきているため、都市部などでは現地住人が外国人駐在員に変わる新たな入居対象者として期待されており、ショッピングモールやアミューズメント施設などを併設したニュータウンの開発も着々と進んでいます。

また、一部ではすでにコンドミニアムが過剰供給状態で、賃借人探しに苦労するエリアも出始めています。そのため、今後の海外不動産投資では、エリア選びや現地情報に長けた不動産会社の協力がますます重要になるでしょう。

国内不動産と海外不動産の特徴をよく知るほか、現地独特の商慣習やリスクおよび対策について、事前によく検討する必要があります。海外不動産会社選びで悩んでいる方は、各会社が主催する無料セミナーや現地視察ツアーなどを十分に活用して、信頼できる一社を選んでみてください。