1 『日・カンボジア都市開発・不動産開発プラットフォーム第1回会合』

2019年2月27日、カンボジア首都プノンペンの中心部にあるホテル・カンボジアーナで、日本の国土交通省とカンボジアの国土交通省が企画・主催する官民一体型のイベントに参加してきた。今後カンボジアの都市開発を日本とカンボジアの政府と民間企業で一緒に進めていこう、という主旨のものだ。素晴らしい取り組みだ。

1-1 日本の有名企業が出席

日本人の出席者は有名どころで言うと、経済産業省・世界銀行・みずほ銀行・ダイワハウス・大成建設・大林組・丸紅・豊田通商・三井住友海上・日立造船などが見られた。

こちらの海外不動産情報サイト「SEKAI PROPERTY」を運営しているBEYOND BORDERS社も参加していた。ベンチャーにも頑張ってほしいものである。

その他様々な関係者が挨拶していたが、最も長い時間、且つ前準備をして臨んでいたのがカンボジアの副首相兼大臣のチア・ソパラ氏であった。下記は副首相が語ったことをまとめたものだ。今のカンボジアの不動産開発の現状や日本との関係性などがよくわかるので是非目を通してほしい。

2 カンボジアの副首相兼大臣のチア・ソパラ氏スピーチまとめ

・カンボジアの経済構造は農業分野から産業及びサービス分野へと移行している最中である

・2018年の日本人観光客は21万人。年々増加傾向にあり、全外国人の中でも7位

・日本企業も多く、現在経済特区では約86社が2万人の従業員を雇用し、425億ドルの投資をしてくれている

・カンボジア王国政府は、カンボジアで不動産に対する権利を正しい形で維持する政策を発足しており、民間や国外の投資を奨励している

・土地に対する占有の向上のために投資及び不動開発を応援している

・カンボジアの国土・都市計画・建設省は国内の7億ヶ所の土地で5億1,500万件の土地登記証明書を発行し、73.5%をカバーするまでになった

・輸出・輸入審査権限官署の組織改革をし、国外の投資者100%の株を持って会社経営をすることができ、投資から得た利益を制限なく国外に持ち出すことを可能にしている

・不動産と建設開発はカンボジア経済成長の大きな柱となっている。2010年からの建設分野における投資金額は43,896億ドルで、2019年1月の投資額は829億ドルとなり、2018年1月と比べて178%増となっている。ライセンスを持っている建設会社・設計会社も2,307社となった

・政府として捉えている直近の課題は、手頃な価格の住宅開発、道路、安全な水道の供給、電気の供給、下水及び洪水の予防システム汚水処理場、ゴミ管理、緑と一般公衆のスペース、都市の設備整備となっている

・持続可能な開発のために2030年までに中間所得国入りをして、2050年までに高所得国入りを目指している

2-1 これからのカンボジア不動産投資の魅力~海外送金

クメール語でのスピーチには同時通訳がついたため、内容は非常によく理解できた。

特に驚いたのはカンボジアの土地登記証明書発行が既に全てのカンボジア国内の不動産の73.5%をカバーするようになったこと。私の海外不動産投資家仲間の間でもカンボジアで不動産投資をしている日本人が多いが、やはり権利関係がしっかりしているところはカンボジア不動産の魅力なのだろう。

そして堂々と副首相が「国内で稼いだお金を国外に持ち出してもらって構わない」と日本政府やマスコミの前で言い切っているところも心強かった。カンボジアの不動産を購入する側としては将来不動産売却後に国外に資金を送金できないとなると投資の意味がない。カンボジアは海外送金が非常に楽なのだ。

ご存知の方も多いかもしれないが、カンボジアの隣国のベトナムは国外に送金するのが非常に難しいと言われている。私の友人はなんとホーチミンの地場銀行の銀行員から賄賂を要求されたらしい。仲間内で数百万円規模のお金をベトナムの銀行から日本に送金できた例を聞いたことがない(日本からベトナムに送金するのは簡単)。これでは不動産投資の魅力が半減してしまうと思う。

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3 スピーチ後の商談会 参加企業:日本企業58社、カンボジア企業123社

スピーチが終わるとお昼からは商談会が始まっていた。日本の民間企業を中心にブースを構えて、カンボジアの民間企業がブースを訪れ話すような形を取っていた。どれほど具体的な商談に進んでいたのかはわからないが、このような場を両国の政府が主導してアレンジしていることは大変良いことだと感じた。少なくとも機会を提供することで何かの化学反応が起きる可能性があるだろう。

数社の日系企業にヒアリングをさせていただいたが、今はまだカンボジアに事務所を構えておらずタイやベトナムから出張ベースで仕事を獲得していたり、メコン川を使って船で建材などを隣国から送るような形でカンボジアと関わっていたり、企業によってもビジネススタイルは様々であった。

今後、日本政府が更に積極的にカンボジア不動産開発やインフラ整備支援を行うことになればより国が発展していき、副首相が宣言していたように「2030年までに中間所得国入りをして、2050年までに高所得国入り」するのも夢ではない。

私たち海外不動産投資家としては、それが起きてからでは遅い。国が発展する前の不動産を魅力的な価格の時に仕入れて運用し、最後にExit(売却)するのである。シンガポールや上海のようになってしまう前に投資できることを考えると、やはりカンボジアの不動産投資はまだまだ面白いと感じるのであった。

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