海外への移住や長期滞在を検討している方にとって、現地でのお金の管理は大きな関心ごとの一つです。
インドネシアでは長期滞在ビザ(KITAS)を持っていれば、外国人でも現地の銀行口座を開くことが簡単にできます。銀行口座を持つことで現地での様々な生活費の支払いができたり、利回りの良い定期預金を利用したりできるので、とても便利です。
今回は日本人がインドネシアで銀行口座を開設するための条件や、そのメリット、注意点などをご紹介していきます。
インドネシアで銀行国座を開設する4つのメリット
1.現金を持たずに支払いが簡単に行える
国内通貨のインドネシアルピアは日本円よりも紙幣の桁数が多いので財布の中身がかさばり易くなります。
銀行のATMキャッシュカードと必要な現金だけを財布に入れて持ち歩けるのは非常に便利です。またキャッシュカードにはデビットカードの機能が使えるものもあり、レストランやスーパー、コンビニで使えるため、必要以上に現金を持たずに済みます。
2. 24時間どこでもATMが使える
インドネシアで生活するうえでのさまざまな支払い手続きがATMを通じて簡単に行うことができます。公共料金の自動引き落としサービスも少しずつ普及してきましたが、電気代や水道代は、使用料を自分で支払いに行く必要があります。
コンビニや郵便局、水道局などで、直接支払うこともできるのですが、郵便局や水道局は夕方までですし、都市部以外は24時間営業のコンビニもあまりないので街中のいたるところに設置してあるATMから24時間支払いができるのはとても便利です。
3.インターネットバンキングが使える
殆どのインドネシアの大手銀行は、インターネットバンキングが使えます。1日の送金限度額は各銀行によって決まっているものの、24時間即時に国内送金ができます。また、公共料金の支払い加え、携帯電話のチャージ料金(インドネシアの通信料はデポジットチャージ制)、インターネットで予約したホテルや飛行機のチケット代金、オンラインショッピングの買い物の支払いなどもできます。これらは全てパソコンやスマートフォンを通してインターネット送金で簡単に支払うことができます。
4.貯蓄預金の金利が日本よりも良い
日本では0.1%程度しかつかない利息ですが、インドネシアにおいても普通預金で0.2%程度と、それほど大きくは変わりません。しかしながら定期預金においては、インドネシアの大手銀行では2.5%程度の金利が設定されており、日本より貯蓄預金を効率よく増やせます。
また定期預金というと数年の間引き出せないイメージがありますが、インドネシアの定期預金は最短で満期1ヶ月から設定できます。
インドネシアの銀行口座開設に必要な条件
インドネシアで銀行口座を開設する際には原則以下の4点が必要になります。
・パスポート
・長期滞在許可証(KITAS、KITAPなど)
・納税者番号(NPWP)(持っていない場合も対応可能な場合あり)
・口座への最初の入金として、500,000インドネシアルピア(約4,800円)〜1,000,000インドネシアルピア(約9,700円)
KITASビザは半年~1年の滞在許可を所持している外国人にしか発行されません。ですから、出張ベースのマルチビザ取得者やアライバルビザで訪問している旅行者、その他、留学ビザで滞在している外国人は、口座を開くことができません。
外国人でも口座を開設することができるインドネシアの銀行4選
インドネシアには国営銀行と民間銀行を含め、数多くの銀行がありますが、その中でも市場の40%以上のシェアを占める大手4大銀行を紹介します。
Bank Mandiri(マンディリ銀行/国営)
1998年のアジア通貨危機後、政府主導の下4つの銀行が合併して誕生したインドネシア最大手の国営銀行です。海外での業務拡大にも積極的で、ASEAN地域内で自由に業務ができる「適格ASEAN銀行(QAB)」に認定され、マレーシアでの業務も拡大しています。定期預金「半年以上」で預金額にかかわらず2.5%の金利がつきます。
BRIは、1895年創業のインドネシア大手の国営商業銀行で、マイクロファイナンスや中小・零細企業向けのファイナンスを強みとしており、同国内に1万を超える国内最大の支店網を有するほか、2万台以上に及ぶATMネットワークや、カード端末数15万台を超える加盟店ネットワークの運営を行っている。定期預金は「1ヶ月」から可能で、3.0~3.5%の金利がつきます。
Bank Central Asia:通称BCA(セントラルアジア銀行/民営)
1955年創業のインドネシア民間系の老舗大手銀行。1998年の通貨危機の際には一度国有化されましたが、その後国有化を脱却し、インドネシア4大銀行に入っています。4銀行の中でも唯一国営ではなくて民間の銀行で、個人向け金融に強い特色があります。定期預金は「1ヶ月」から可能で、預入金額や期間に応じて最大3.25%の金利がつきます。
Bank Negara Indonesia:通称BNI(インドネシアネガラ銀行/国営)
1946年に誕生した政府系銀行。もともとは国の中央銀行だったが、その後商業銀行にかわっています。インドネシア4大銀行に入っており、他のインドネシア銀行に比べると金利は若干低めですが、信頼と安定性で海外口座としての人気も高い銀行です。東京、大阪、シンガポールにもBNI銀行の支店があります。定期預金は「1ヶ月」から可能で、1年間の預け入れで最大3.0%の金利がつきます。
インドネシアで銀行口座を開設する際に留意すべきこと
定期預金を組む際に注意すべき2つのこと
1つ目は金利には20%の税金が課されるということ。金利が自分の口座に入金される前に銀行側で控除される仕組みになっています。
例えば、10億ルピア(日本円で約970万円)を1年5.75%で組んだとすると、年間利息は5750万ルピア(約56万円)。これを12か月で割ると、1か月あたり4,791,666ルピア(約4.6万円)となります。実際はここから20%課税された3,833,333ルピア(約3.8万円)が口座に振り込まれることになります。
2つ目の注意点は、主に長期滞在ビザ(KITASやKITAP)所持者であり、インドネシアでNPWP(納税者番号)を保持している場合、毎年3月末までに前年度の個人所得税の確定申告を行う必要があります。
その際に年度末の銀行口座残高を報告する必要があるのですが、普通・定期含め10億ルピア(約970万円)以上の残高がある場合、銀行から高額資産保有者として直接税務署とインドネシア中央銀行へ報告されます。
昨今、タックスアムネスティ(租税特赦)を行うなど高所得者層への徴税を強化しているインドネシア国税総局に直接情報が送られるので、個人宛てに税務調査が入るリスクが上がるとも言われています。出来る限りリスクを回避するならば、銀行をいくつかに分け、一つの銀行口座での保有資産が10億ルピアを越えないような形で運用するのが良いでしょう。
銀行を選ぶポイントは国営銀行が良い?ペイオフ制度について
インドネシア政府より銀行預金保障制度の上限額は1人・1銀行当り20億ルピア(約1,940万円)に引き上げられております。日本の日本銀行と同様の機関にあたるインドネシアの中央銀行Bank Indonesia(バンク・インドネシア)が保障する制度となっております。
まとめ
インドネシアの銀行口座は、長期滞在ビザを持っていなければ口座開設ができないという制約がありした。
日本では定期預金の金利は0.3%程度である一方、インドネシアの銀行では2.5%~3.5%の高い利回りが期待できます。インドネシアの成長性に更に投資をしたいのであれば、口座を作成した後に、その資金を不動産や株式などに投資する事も可能だったりと、持っていればなにかとメリットがあります。インドネシアに長期滞在を予定している人は、ぜひ口座開設をしてみましょう