2018-07-24

中国不動産完全ガイド。購入規制や価格動向まで徹底調査

  • 海外不動産コラム


成長が続く中国への不動産投資に魅力を感じる人は多いでしょう。

しかし、外国人の不動産購入に関する規制や条件を知らない場合、ついつい二の足を踏んでしまうこともあるでしょう。

また、中国の不動産購入を検討しようと考えたときにもこんなことを疑問に思うかもしれません。

  • 非居住の外国人でも不動産を購入できるの?
  • そもそも共産主義の国で不動産を取得することは可能なの?
  • 不動産を取得する方法は?
  • どんなエリアで不動産を購入するのがおすすめなの?

そんな疑問に答えるため、今回は中国の不動産を購入する際の規制、購入のための手順、おすすめのエリアなどを詳しく解説します。

中国不動産市場の動向は?


「中国の不動産バブルは崩壊する」と何度もいわれていますが、現在のところ、バブル崩壊の明確な兆候を見つけることはできません。

不動産投資が毎年20%の伸び率で拡大していた頃と比べると、確かに現在の中国における不動産売買は落ち着きを見せているといえます。しかし、ゆるやかな成長は継続しており、不動産投資を行う環境としては有望な選択肢の1つでしょう。

中国国家統計局が発表した2018年1月~6月の不動産投資は、前年同期比9.7%増でした。2017年においても前年比7.0%増、2016年は前年比6.9%増と、投資額の増加は続いています。

住宅が供給過剰となっている状況は、内陸部の都市でしばしば見られます。「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンの様子は、日本のメディアでも度々取りあげられました。日本のバブル崩壊後の風景によく似ていたため、強く印象に残っている人も多いでしょう。

その一方で、「一線都市」と呼ばれる大都市の北京、上海、広州、深センや、発展著しい沿海部の都市においては、住宅価格に大きな落ち込みはありません。むしろ住宅の供給が不足しており、住宅価格は高止まりしています。

それぞれの地域・都市によって、不動産投資や住宅価格の動向に違いがあるため、中国全土の不動産事情を一部のデータだけで理解しようとするのは避けたほうがよいでしょう。

中国の不動産は外国人でも購入できる?


中国の土地には私有権がありません。そのため、土地の所有権ではなく、使用権が認められることで不動産売買が可能となります。

外国人の土地使用権取得に関しては、私用で居住用の住宅を購入する場合と、不動産投資のためにいくつかの物件を購入する場合とでは購入条件に違いがあります。詳しく見ていきましょう。

土地使用権は使用年数に制限がある

中国で土地使用権を得た場合には、土地の使用年数についても注意しなければなりません。

これは外国人の不動産購入に限ったことではなく、不動産売買を行う人すべてに共通したルールです。土地使用権の年数制限は以下のとおりになります。

  • 居住用地:70年
  • 工業用地:50年
  • 商業・観光・娯楽用地:40年

居住用の土地は使用年数が長くとられています。また、使用期限の前に、延長申請を行って許可されれば期間の延長も可能です。

外国人投資家は外商投資企業を設立する義務がある


外国人投資家が中国国内で不動産投資を行う場合、不動産会社として外商投資企業を設立しなければなりません。中国政府は、この不動産会社を通じて、外国人の国内投資を厳しくチェックします。

以前は、外商投資企業の設立を申請してもなかなか許可が下りず、国内企業と合併を行って中国に進出するという方法が多く用いられていました。

現在では、外国からの投資を積極的に受け入れる方針に転換したこともあり、外商投資企業を通して中国への不動産投資が行いやすくなったといえるでしょう。

居住用の物件は購入可能

外国人が居住用の物件を購入するなど、私用目的で不動産投資を行うのは自由です。以前には、私用目的であっても1物件までしか購入できないという規制がありましたが、現在では撤廃されています。

ただし、2件目以降の物件購入については、基本的に不動産投資と見なされることになり、法人と同様に外商投資企業の設立を申請しなければなりません。

中国で不動産を購入するステップ


中国で不動産を購入する際の手順と注意点についてステップごとに解説します。

STEP1. 市場調査と不動産エージェントの選定

中国には広大な国土と数多くの都市があります。不動産投資を行うにも、まずはそのエリアと投資規模についてしっかりと考えなければなりません。

中国国家統計局が発表する不動産投資や住宅関連の情報は役立つでしょう。当局の不動産規制についても注意が必要です。できるだけ正確な情報を収集して対策を立てましょう。

信頼できる不動産エージェントを見つけることも必要です。特に、中国は都市によって不動産価格の動向や規制の範囲に大きな違いがあります。現地の事情をよく知る不動産エージェントの助言や協力は役立つでしょう。

STEP2. 物件の内覧と周辺環境の確認


物件が決まったら、現地へ足を運んで内覧を行うのがおすすめです。資料だけではわからない物件の実情についてしっかりと確認しましょう。

物件の周辺環境を見るのも大切です。住居用の不動産であれば、生活していくのに必要な施設が周囲になければ不便となるでしょう。工業用や商業用に使用する不動産であれば、インフラや交通アクセス、都市の人口・人口密度なども問題になります。

また、中国の新築物件は、キッチン、トイレ、風呂などの内装が整っていない状態で引き渡しをされることも多いです。そういった場合、内装は買主が行うことになります。こういったことも事前に確認しておきましょう。

STEP3. 売買契約

不動産購入時の売買契約には手順があり、まずは購入意向書と呼ばれる仮契約を交わします。この購入意向書によって、買主は購入申し込みを行い、物件を押さえることが可能となるのです。このときに、手付金として物件価格の数%を支払います。

次に、いよいよ本契約を行います。契約書に署名するときには、物件の頭金となる購入額の20~30%を支払うのが一般的です。

STEP4. 物件の登記と納税


契約が済んだ後は、日本の法務局に相当する「房地産交易中心」で不動産の登記を行います。登記簿謄本である「房地産登記冊」と、権利証となる「房地産権証」を取得しましょう。手続きは通常1カ月前後かかります。

不動産登記の際には、不動産を購入したときに払う「契約税」の支払いが求められます。都市によって税率に違いがありますが、購入額の1~5%です。その他、印紙税として購入額の0.5%がかかります。

STEP5. 物件の引き渡し

中国では、新築物件の場合、引き渡しの前に決済をするのが一般的です。不動産会社から助言もあるでしょうが、忘れないようにしましょう。

中国の法律では、消費者保護のために欧米のエスクロー制度を取り入れており、売主と買主の代理となる不動産取引事業者が、顧客用の決済専用口座を銀行に開設して出入金を管理します。

ですから、お金の受け渡しに疑問を持った場合には、売主ではなくこのエスクローの役割をしている不動産取引業者に相談することになります。

中国で住宅ローンを組めるの?


非居住の外国人であっても人民元でローンを組むことは可能です。銀行によって融資基準やローンの金利プランなどに違いがあるため、資料を取り寄せて比べてみましょう。

ただ、非居住の外国人が、中国の銀行で口座を開設することが年々難しくなっているようです。

以前はパスポートの提示だけで大丈夫だったものが、現在では居留許可証の提示が求められるようになり、銀行によっては中国国内に登記住所のない外国人は口座開設ができません。中国国内での口座開設が困難の場合には、不動産エージェントに相談してみましょう。

中国で不動産を購入するのにおすすめのエリア

政治の中心地 首都・北京


政治の中心であり、中国史の息吹をそこかしこに感じられるのが首都である北京です。人口は約2,152万人、経済規模は上海に次いで2位となっています。

北京中心部であるCBDエリアは、日系企業が集まっているので、日本人向けの賃貸経営を行うのであれば単身者用の住宅などに需要がありそうです。家賃・住宅購入費ともに高止まりしており、しばらくは価格の下落などを心配する必要はないでしょう。

市の北東部にあたる麗都エリアには日本人学校があり、家族のいる駐在員に人気のエリアです。投資案件としては、家族向けのマンションなどがおすすめとなります。

中国経済の中心地 上海


上海の市内総生産は北京を抜いて中国最大であり、中国経済の中心地といえます。人口は約2,400万人。中心部の静安エリアはオフィスビルや商業ビルが建ち並び、交通アクセスもよい人気のエリアです。

中心部を東西に走る南京東路と南京西路は、上海市最大の繁華街として有名で、現地在住の人や観光客に人気のエリアとなります。

商業・娯楽施設が点在する徐匯エリアは、若者に人気のおしゃれな街並みが魅力です。また、長寧エリアには日本を含む各国の領事館があり、多くの日本人駐在員が住んでいます。中心部に比べれば、家賃・住宅購入費とも価格がおさえられているため、不動産投資にはおすすめです。

一線都市の一角 広州


広州市は、上海、北京に続き、中国第3位の経済規模を持った都市です。人口は約1,270万人。中国でもっとも広い面積を持つ都市であり、11の行政区に分けられます。

市の中心部である天河エリアは、オフィスビル、商業ビル、そして居住用の不動産物件などが集まっており、交通アクセスのよい人気のエリアです。また、珠江に浮かぶ島である二沙島は、欧米人が多く住む高級住宅地として知られており、値崩れのしにくいハイエンドな不動産物件がそろっています。

中国への不動産投資は政治的なリスクも考慮して


今回は中国の不動産投資について紹介しました。外国人投資家への規制、不動産購入の手順と注意点、そしておすすめエリアなどを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

中国では都市によって不動産取引の規制が異なります。また、政府による方針の変更があった場合、不動産投資のあり方にも影響を及ぼす可能性が高いでしょう。それでも、中国は投資先として魅力的です。リスクを十分に理解しながら、不動産投資のチャンスを逃さないようにしましょう。

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