日本から最も近い外国である韓国は、食文化や生活習慣、教育水準、交通インフラなど多くの面で日本と共通点を持つ一方、不動産購入においては独自の制度やルールが存在します。


特に外国人による不動産取得は合法で可能ですが、物件の種類や場所、申告制度、税金面での注意点が多数あります。

この記事では、2025年現在の最新情報をもとに、韓国で不動産を購入する際の手順や必要な申請・税金制度について7つのステップで詳しく解説します。


韓国における外国人の不動産取得規制


外国人が韓国で不動産を購入する際に適用される主要な法律は以下の通りです。

  • 外国人土地法
  • 外国人投資促進法
  • 外国為替取引法

これらの法律に基づき、不動産の取得申告や資金送金、登記手続きなどが必要となります。
特に1998年の法改正により、以前は許可制だった土地取得が**原則「事前申告制」**へと緩和されており、外国人であっても韓国人とほぼ同等の条件で不動産を取得することが可能になりました。

ただし、軍事施設周辺・文化財保護区域など一部制限区域では、取得に制限または申請が必要なケースもあるため注意が必要です。

韓国の不動産投資移民制度とは


韓国には「不動産投資移民制度」があり、一定額以上の不動産投資を行う外国人に対して長期滞在ビザ(F-2)を付与し、一定期間後には永住権(F-5)への切り替えが可能となる制度です。
•対象エリア:済州島、仁川、釜山など法務部が指定する投資区域
•最低投資額:6億〜7億ウォン以上(エリアにより異なる)
•滞在ビザ:F-2(居住)を最長5年間維持 → 条件を満たせばF-5(永住)へ変更可能

この制度は、不動産投資だけでなく、将来的に韓国に永住・定住したいと考えている方にとって魅力的な選択肢となっています。

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韓国の物件の選び方


韓国で物件を探す際には、**「居住の快適さを重視する賃貸」「資産価値を重視する購入」**の目的によって、選ぶ基準やおすすめエリアが大きく異なります。ここではそれぞれの視点から、チェックすべきポイントと人気エリアを紹介します。

賃貸物件を探すときのポイント(居住・生活重視)

韓国に長期滞在する留学生や駐在員にとって、住みやすさと安全性が最も重要です。特にソウルや釜山など大都市圏では、日本人にも人気の高いエリアがいくつか存在します。

チェックすべきポイント

  • 交通アクセスの利便性

    通勤や通学の負担を軽減するため、地下鉄やバス停まで徒歩圏内かどうかを確認しましょう。ソウル市内では2号線や9号線沿線が人気です。

  • 周辺環境と生活施設

    スーパーや病院、ショッピングモール、教育機関が近くにあると生活がスムーズになります。小さなお子様がいる家庭は学区や治安の良さも必須条件です。

  • 韓国特有の家賃制度

    チョンセ(保証金を預けて月額家賃ゼロ)とウォルセ(保証金+月額家賃)のどちらを選ぶかで、初期費用やキャッシュフローが大きく変わります。資金に余裕がある人はチョンセ、毎月支払いに慣れている人はウォルセが選ばれやすいです。

  • 契約条件と保証金返還

    契約は通常2年単位で、退去時に保証金が返還されるかどうかを必ず確認しましょう。保証金トラブルを避けるため、信頼できる不動産仲介を利用するのが安心です。

賃貸でおすすめのエリア

  • ソウル・江南区(カンナム)

    ビジネス街として有名で、日本企業や国際学校も多く、駐在員ファミリーに人気。家賃は高めですが、教育・医療環境が充実しています。

  • ソウル・麻浦区(マポ)

    弘大(ホンデ)や延南洞(ヨンナムドン)周辺は若者や留学生に人気。カフェや飲食店が多く、交通アクセスも便利です。

  • 釜山・海雲台(ヘウンデ)

    海沿いでリゾート感があり、外国人が暮らしやすいエリア。比較的リーズナブルな物件もあり、長期滞在者にも人気です。

  • 済州島(チェジュ)

    自然豊かで落ち着いた生活環境を求める人におすすめ。近年は外国人向けの長期滞在物件も増えています。

物件を購入する際のポイント(投資・資産運用重視)

韓国で不動産を購入する場合は、単なる「住まい」としてではなく、投資対象としての収益性や将来性を重視することが求められます。

チェックすべきポイント

  • 価格変動と将来性

    再開発やインフラ整備が予定されているエリアは値上がりが期待できます。仁川経済自由区域や釜山のウォーターフロントエリアは代表的な投資候補地です。

  • 需給バランスと空室リスク

    ソウルの中心部は価格が高騰している一方、需要が安定しており空室リスクが低い傾向があります。地方都市は安価ですが、賃貸需要が限定的なためリスク分散が必要です。

  • 収益性(ウォルセ物件)

    投資後に賃貸へ回す場合、ウォルセ契約で安定収入を得られるかが重要です。賃料相場を把握し、利回りを試算したうえで購入判断を行いましょう。

  • 流動性と出口戦略

    将来的に売却する際、人気エリアの物件ほど買い手が見つかりやすくなります。外国人にも人気の高い江南区や釜山・海雲台は売却時の出口戦略としても有利です。

購入でおすすめのエリア

  • ソウル・江南区

    韓国で最も地価が高いエリアのひとつ。ブランド力があり、投資資産としての安定性が高い。外国人投資家からの注目度も高い地域です。

  • ソウル・松坡区(ソンパ)

    再開発が進んでおり、蚕室(チャムシル)エリアには大型商業施設や国際的なイベント会場もあるため、将来性が見込まれます。

  • 仁川経済自由区域(IFEZ)

    仁川空港に近接し、海外企業の進出も活発。ビジネス需要が高く、国際都市として成長中のため投資先として魅力的です。

  • 釜山・海雲台エリア

    海外投資家にも人気のリゾート都市で、観光需要に支えられた安定的な賃貸収益が期待できます。特に海岸沿いの高層マンションは再販価値も高いです。

  • 済州島リゾート地区

    韓国唯一の特別自治道であり、不動産投資移民制度の対象地域。永住を見据えた投資家にも注目されています。

韓国の賃貸制度「チョンセ」と「ウォルセ」の違いとは?

また、韓国には「チョンセ」と呼ばれるユニークな家賃制度があります。

韓国には独特の賃貸制度があります。

  • チョンセ(전세):家主に高額な保証金(物件価格の50〜80%)を預け、月々の家賃がゼロになる方式。保証金は退去時に全額返還される。

  • ウォルセ(월세):日本の月額家賃に近い方式。初期保証金+毎月の賃料を支払う。


以前は金利が高く、大家にとってチョンセが有利な時代もありましたが、2024年以降は金利の低下・保証金の流動性リスクからウォルセ契約が主流化しています。

投資家にとっては、月額賃料収入のあるウォルセ物件が収益計算しやすく、投資判断しやすい選択肢と言えるでしょう。

韓国の不動産を購入するための7つのステップ


ステップ1. エージェントを探す

まずは、不動産手続きを行ってもらうエージェントを探さなければなりません。インターネットなどで物件の目星がある程度ついているようならば、エージェントに相談して手続きを具体的に進めていく必要があります。

現地のエージェントに直接依頼するという方法もありますが、おすすめは日系のエージェントです。日本語による円滑なコミュニケーションが図れるのは大きいでしょう。また、日本人の海外不動産投資について、経験とノウハウが蓄積されているというのも大きなメリットとなります。

ステップ2. 物件選びと内見

不動産エージェントにアドバイスをもらいながら、予算やエリアなどから希望の物件を選んでいきます。その後は、現地へ赴いて内見を行うことがおすすめです。

日本からの不動産投資が盛んな東南アジア諸国に比べると、韓国はすぐ隣にあるもっとも近い国となります。この距離の近さは、現地に足を運ぶ際に大きなメリットです。

内見の際には不動産の立地をしっかりとチェックしましょう。主要道路や駅などからの距離、周辺環境、土地開発がどのように進められているかなどを考慮して、投資に適した物件かどうかを判断します。

韓国の不動産市場は地域ごとの価格差が大きく、江南エリアの新築高層マンションと地方都市の中古住宅では投資戦略が異なります

オンライン検索に加え、実際に現地で周辺環境や施設を確認することをおすすめします。

ステップ3. 売買契約を結ぶ


希望物件が決まれば、売主との間で売買契約を締結します。

契約時には「契約金(保証金)」として通常、物件価格の10〜20%を支払い、残額は登記手続き時に支払います。


契約後60日以内に以下の手続きを済ませる必要があります:

  • 不動産取得申告

  • 土地取得申告(※土地を含む場合)

  • 所有権移転登記

ステップ4. 不動産取得申告を行う

非居住の外国人が不動産を購入する場合には、韓国の外国為替銀行で不動産取得申告を行わなければなりません。不動産売買の許可を申請するのではなく、あくまで申告のみとなるため、手続きが停滞することはないでしょう。

不動産取得申告は、不動産を取得するための資金を銀行から引き出すときに行うことになります。不動産取得契約書や登記簿謄本、日本における住所証明書なども提出しなければなりません。事前にしっかりと準備しておきましょう。

ステップ5. 土地取得申告を行う


非居住の外国人が韓国国内の土地を取得する場合、土地取得申告の手続きを行うことが外国人土地法によって定められています。

これは土地のみが対象となっており、建物について申告する必要はありません。しかし、韓国の不動産は土地と建物を切り離さずに売買されることが一般的なため、不動産取り引きの際には土地取得の申告を行うことが求められるでしょう。

個人で購入する際には、その土地の用途や面積などによる制限はありません。ただし、軍事関連の施設に隣接している土地や、文化的価値により保護されている地区などには取得制限があります。

ステップ6. 所有権移転の登記

不動産取得申告と土地取得申告が完了したら、外国人は登記手続きのために「不動産登録番号(Registration Number)」を出入国管理局で取得する必要があります。
まずは出入国管理事務所に行き、不動産登記用登録番号を発給してもらいましょう。
取得後、60日以内に管轄の登記所で所有権移転登記を行います。

ステップ7. 瑕疵への対応


韓国では購入した物件に欠陥などがあった場合、売主の担保責任が法律で定められています。民法では所有権の瑕疵などについても規定が設けられており、日本の売買契約と大きな違いはありません。

購入した住宅に欠陥があった際には、できるだけ早く不動産エージェントに相談しましょう。

韓国の不動産売買で支払う税金とは


韓国で不動産購入時に支払う主な税金は以下のとおりです。

税金名 内容概要
取得税 物件価格に応じて1〜4%課税(法人による住宅取得などは最大12%
地方教育税・農漁村特別税 財産税や総合不動産税などに各20%付加
付加価値税 新築建物に課税(10%)※中古や土地は非課税。
 85㎡以下の国民住宅規模は免除対象になる場合あり
印紙税 売買契約書に対して発生(数万ウォン程度)
財産税 毎年の不動産保有税(住宅0.1〜0.4%、別荘など贅沢物件は最大4%
総合不動産税 一定価額超の資産保有に課税。住宅は0.5〜2.7%(3戸以上は最大3.2%)など
譲渡所得税 売却時の利益に応じて課税(保有1年未満は最大70%、2年以上は6〜42%の累進課税)

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韓国には政府が指定した「外国人投資地域」や「自由経済区」が設けられており、このエリア内での投資では取得税・財産税などが一定期間減免される優遇措置があります。

不動産を保有している場合には、日本の固定資産税に相当する「財産税」や高額資産に対する「総合不動産税」などがかかります。
また、保有していた不動産を売却するときには、不動産の譲渡価格から取得価格や必要経費を除いた「譲渡所得税」などを支払わなければなりません。

※外国人投資地域での取得の場合、取得税・財産税の減免が認められるケースがあります。

韓国での不動産売買に融資は受けられる?


非居住外国人でも、韓国国内に担保資産があれば不動産ローン(抵当融資)を受けることが可能です。
ただし、近年は韓国政府による不動産市場の過熱抑制策により、外国人向け融資条件が厳しくなっている傾向があります。
日本から資金を持ち込む前提で資金計画を立てるのが現実的でしょう。

まとめ


韓国の不動産は、アクセスの良さや教育・医療インフラの充実度から、日本人にとっても魅力的な投資対象です。
一方で、登記・税制度・ビザの仕組み・賃貸慣行など、日本とは異なる部分も多く、正確な情報と信頼できるパートナー選びが不可欠です。

SEKAI PROPERTYでは、韓国のデベロッパーや信頼性の高い日系エージェントと連携し、最新の物件情報や購入手続き、ビザ・税制度までワンストップでサポートいたします。

韓国不動産の購入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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