観光地としても人気のあるベトナムの首都ハノイは、外国からの不動産投資が盛んになっています。ベトナムでは2015年から外国人でも不動産が持てるように法改正が行われ、不動産投資が一気に過熱しました。その後、不動産価格は少し落ち着きを取り戻し、順調な上昇傾向にあります。

ハノイ市内では大規模な再開発が進められている地域もあり、日本から不動産投資を行うチャンスといえるでしょう。ベトナム・ハノイの不動産事情をチェックしてみましょう。

ハノイの概要


ベトナム・ハノイが地域における中心的な都市となったのは、今から1,300年以上前、7世紀にまでさかのぼります。長い歴史を持つハノイは、現在、同国における政治と文化の中心地となり、経済面での成長が著しいホーチミン市とともにベトナムの2大都市といえるでしょう。

ハノイ市内は、政府機関やオフィスなどが集中するビジネス街もあれば、「旧市街」と呼ばれる歴史的な建物が多く残るエリアもあります。ビジネス、暮らし、観光など、市内に滞在する人の目的によって、さまざまな表情を見ることができそうです。

2017年10月1日時点で、ベトナムに滞在する在留日本人は前年比約6.9%増の17,266人。日本人の数は増加傾向にあり、このうち7,000人を超える日本人がハノイで生活しているといいます。また、ベトナムにおける日本企業の拠点数は世界6位、前年比7.6%増の1,816拠点となっており、日本との経済的結びつきもますます深まっていくでしょう。

2015年7月、ベトナム不動産の外国人所有権が解禁されてから、特にハノイの不動産投資は盛んになりました。現在でも市内の土地開発は活況を呈しています。他の東南アジア諸国と比べてベトナムの不動産には割安感があるのも、投資家の意欲を高めているのかもしれません。

ベトナムの不動産の価格推移


ベトナムの不動産価格は2010年から下降の一途をたどりました。2013年頃にようやく横ばいになりましたが上昇に転じることはなく、2015年の不動産に関する法改正を待つことになります。

2015年に行われた法改正では、ベトナムの不動産を外国人が所有できるようになりました。そのすぐ後には、特にハノイやホーチミンなどの都市圏にある高級マンションの価格が高騰するなど、土地価格の上昇が過熱ぎみとなります。現在では少し落ち着きをみせており、不動産価格は回復基調が継続中といえるでしょう。

2013年の平均不動産価格は、1平方メートルあたり1,600米ドル(約7万5,000円)でした。1990年代から続くベトナムの経済成長が国民の所得を底上げし、そこに海外からの投資も加わって住宅需要を高めているようです。2017年には、海外から約30億ドルもの投資がベトナムの不動産分野に集まりました。

ハノイで不動産を買うのにおすすめのエリア


ハノイの市街地にはその地域ごとに特徴があります。不動産購入におすすめな3つのエリアを見ていきましょう。

Ba Dinh(バーディン)地区

Ba Dinh(バーディン)地区は、日系企業が多く入っているオフィス街があります。各国の大使館も集中しており日本大使館があるのもバーディン地区です。そういった土地柄のせいか、メインストリート沿いには何件もの日本食レストランが並んでいます。この近くを訪れれば、日本人のビジネスパーソンや旅行者をよく見かけることでしょう。

バーディン地区には、Studioと呼ばれる単身者用のワンルームや、ワンベッドルーム、ツーベッドルームのコンドミニアムが多いです。コンドミニアムは、日本の分譲マンションのように部屋ごとにオーナーが異なるシステムとなります。各部屋の状態としては、すべての家具がそろっていてすぐに生活が始められるものや、エアコンのみが付いており後は個人で用意するものなどが一般的です。

Hoan Kiem(ホアンキエム)地区


Hoan Kiem(ホアンキエム)地区は、市内中心部に位置する一等地です。政府機関や銀行などが集まっているビジネスエリアと、歴史地区である「旧市街」とにわかれます。旧市街の古い街並みや活気のある商店街は、ホアンキエム湖周辺の景勝地と合わせて観光客に人気のエリアです。

ホアンキエム地区の不動産は人気があり、家賃も高いことで知られています。街の中心部のため、どこへ行くにもアクセスが便利というのもメリットでしょう。

Cau Giay(コウザイ)地区

Cau Giay(コウザイ)地区は、都市開発が盛んとなっている地域です。スポーツジムやスパ、大型スーパーなども入っている高級コンドミニアムが点在しています。

このコンドミニアムはサービスマンションとも呼ばれ、家具・家電付きの部屋で、定期的な室内清掃、衣類のクリーニング、朝食サービス、コンシェルジュなど、ホテルなみのサービスが受けられると評判です。料理や洗濯を自分で行うこともできるため、ホテルとマンションを合わせたような住まいといえるでしょう。

コウザイ地区には日本人学校があり、市内中心部と比べると不動産価格も手頃です。そのため、現地在住の日本人家族に人気のエリアとなっています。

ベトナムで外国人が不動産を購入する際の規制


外国人がベトナムの不動産を購入できるようになったといっても、資金と売り手の同意さえあればすべて自由というわけではありません。不動産価格を安定的に推移させるためにも、ベトナム政府は外国人を対象とした規制を設けています。

建物全体の30%を所有可能

ベトナムで外国人が購入できる不動産は、住宅建設プロジェクト内のコンドミニアムと戸建て住宅だけです。非常に限られた範囲の不動産しか認められていないといえるでしょう。さらに、コンドミニアムの場合には1棟の最大30%しか所有できません。あとの70%はベトナム人によって所有される必要があります。また、戸建ての場合には1町村あたり250戸以下の購入しか認められていません。

所有権は50年の期限付き

外国人の不動産における所有権は50年という期限が設けられています。延長が可能なため、最長100年までのばすことが可能です。

個人であれば不動産の賃貸経営が認められている

個人で不動産を購入した場合、ベトナムにきちんと納税をするのであれば、賃貸物件として家賃収入を得ることが認められています。しかし、外資系企業の場合は、従業員の居住目的以外の使用は認められていません。

まとめ


2015年の不動産に関する法改正以来、ベトナムでは海外からの不動産投資が活発になっています。しかしながら、外国人投資家だけがベトナムの不動産を買っているわけではありません。経済発展が続く同国では、中間層が育ち始めており、彼らの旺盛な購買意欲が住宅需要を高めているのです。健全な経済成長を果たしているベトナムは、不動産投資のチャンスといえるでしょう。