イスラエル第二の都市であるテルアビブ。地中海に面したリゾート地で、ヨーロッパの人々を中心に人気があるが、10年後には世界有数の観光地となるかもしれない。

昨年も順調な伸びを見せたテルアビブの観光産業だが、自治体は「マスタープラン」を立て、さらなる拡大を目指すという。マスタープランの中には、知名度向上、観光インフラ整備、宿泊施設の拡充等が含まれている。

テルアビブを訪れる観光客からは、マイナス面として、物価が高い、交通渋滞が多い、効率的な交通システムや手頃な価格の宿泊施設がない、公共スペースの不衛生さなどが指摘されている。これらのポイントを改善し、さらにしっかりとしたテルアビブ特有のものやサービスを提供できるよう開発を進めていくことを最終目標としている。

テルアビブの観光については、ヤッファ(Jaffa)旧市街、都会的なテルアビブの街並み、ビーチの3つの柱からなる。雑誌Forbesの「2020年訪れるべき場所トップ20(20 Destinations for 2020)」においても、テルアビブは「イスラエル地中海沿いの活気のあるビーチで、古代と現代が共存する場所」として紹介されている。その他の雑誌やメディアにも取り上げられることが多くなったテルアビブであるが、昨年は欧州放送連合(EBU)加盟放送局開催の「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」が開催されたことでも注目を集めた。

・ニッチ市場(隙間市場)
テルアビブの取り組みは、特定地域(主に中国)の観光客、またシルバー世代の観光客(現在は比較的若い観光客が多い)などといった特定のニッチ市場に焦点を絞っていくという。またイスラム圏やアラブ地域、ユダヤ系観光客も今後積極的に迎え入れたいとしている。

・スポーツ、文化的施設の拡充
近年テルアビブでは、スポーツや文化的イベントが多く開催されているが、さらに水上ジョギングコースや子供向け水上アミューズメントパーク、ビーチ・ジップラインなどといったプロジェクトも検討されている。プロジェクトにおいては17の地域を「観光ゾーン」と指定し、今後重点的に観光開発に力を入れていく予定だという。

・宿泊施設の増設
観光客の増加に備え、ホテルなどの宿泊施設も増やしていくことが検討されており、2030年までに300万~550万人の受け入れが可能になるという。工業地域やビジネス街の既存の建物をホテルへ改築することが推進され、デベロッパーには奨励金を出すなどの対応が行われている。

また観光客向けの賃貸物件の管理、改善についても力を入れていくという。自治体は、居住者が自宅に観光客を止める民泊や、旅行などで家を空けている間に観光客に貸し出すといったアプローチを推奨している。しかしテルアビブは世界で最も家賃が高い都市トップ10に入るとされており、市民にとっても物件を探すことは難しくなっている。このような状況の中で、観光客への対応を優先することに反対の声も挙がっている。このような声に対応すべく、自治体はイスラエル政府と協力し、観光客のみへ貸し出されるアパートメントについては今後規制を行うことを検討している。

・国全体の観光ブーム
観光客が増えているのはテルアビブだけではない。昨年イスラエルを訪れた観光客数は450万人に上った。テルアビブへの直行便を就航している航空会社は140社に上り、主にトルコ、アメリカ、イタリア、フランス、ギリシャ、ドイツ、ロシア、イギリス、スペイン、ウクライナからの観光客が多いという。


【参照】Tel Aviv unveils tourism 'master plan' to become top global destination

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セカイプロパティ編集部
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