シンガポールでは、外国人の不動産購入に特別な条件を課し、自国民の不動産購入を優先させるスタンスを取っている。印紙税の税率もかなり高額に設定されているが、シンガポールの高級住宅市場における外国人バイヤーの活動がここへきて再び活発化しているという。
特に目立っているのが中国人バイヤーである。アメリカとの貿易摩擦の安全策として、高級住宅を購入する中国人も多く、また最近では香港の不安定な情勢も影響している部分があるという。中国人にとっては、シンガポール通貨の安定性が魅力的に映っているのである。
シンガポールの住宅価格は、予想を超えるペースで上昇している。不動産販売の多くは市場のほとんどを占めるシンガポール人によるものだが、外国人による需要も高まりを見せている。
シンガポールの高級住宅市場では、今年1~6月までに14億シンガポールドル(約1,110億円)相当の169件の高級住宅がリリースされているが、バイヤーの70%は外国人と永住者だという。
シンガポールの物件を購入する外国人は、以前は近隣諸国のマレーシアやインドネシアの富裕層が多かったが、現在は中国人がトップを占めている。しかし、政府による印紙税の引き上げ等の不動産相場政策が、中国人バイヤーの需要に影響を与えていることは間違いない。
オーチャードやセントーサ島など外国人富裕層に人気のエリアにおける不動産販売は、この1年で一番の売上高を記録した。新規の高級住宅プロジェクトも上々の滑り出しだという。主要エリアにおける外国人による購入は20ヵ月連続で減少していたが、ここへきてようやく上向きに転じた。
シンガポールの経済は輸出に大きく依存しており、米中間の貿易摩擦や世界的な経済成長の鈍化の影響を大きく受ける。シンガポールの年間成長率も、ここ10年で最も緩やかになっているという。それでもシンガポールは、特に中国人投資家には、不動産投資におけるセイフヘブン(安全投資)として注目に値するというわけである。
【参照】Braving curbs, Chinese buyers lead foreign revival in Singapore's luxury homes
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