地上140メートル、40階建てのツインタワーを誇るシンガポールの「The Clement Canopy」。この高層住宅は、PPVC工法(the prefabricated volumetric construction)を用いた世界で最も高い建物としても認識されている。シンガポールは現在、建設業における生産向上に力を入れており、工場等で製造されたユニットを現場でレゴブロックのように組み立てて作るPPVC工法を積極的に採用している。

従来の建設方式では完成までに30~36ヵ月かかると言われていた「The Clement Canopy」だが、PPVC工法を採用したことで建設期間は24~30ヵ月に短縮され、20~30%の時間節約が可能となったという。

シンガポールでは2014年11月より、政府土地売却プログラム(GLSプログラム)で提供された土地における建築について、少なくとも全体の65%にPPVC工法を採用することが定められている。

オーストラリアやイギリス、アメリカなど、市場が成熟している国々では、従来の建設方式と組み立て方式との建設費の違いはあまり見られないという。一方のシンガポールでは、PPVC工法はまだ導入されたばかりであり、建設費は5~10%程高くなっている。しかし今後PPVC工法が普及すれば、将来的にはコスト減につながるだろう。

建設費や時間短縮以外にも、組み立て方式は環境に優しいというメリットがある。
例えば前述の「The Clement Canopy」は高校に隣接しており、建設が始まってすぐに高校側から騒音についての苦情が出たという。しかし杭打ち作業が終わると、あとはユニットをブロックのように積み重ねる作業となるため、静かな環境での建設が可能となった。

また、一貫したクオリティを保てるのも利点である。ユニット内の、配管、防水工事、壁の仕上げ、ペイント、電気系統、エアコン、ドアや窓のフレームに至るまで、内部関連の85%が管理の行き届いた工場で作られており、関係者は高品質を維持するため細部まで監視できる体制となっている。

【参照】Singapore is embracing ' Lego style ' prefabricated construction method for residential housing

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セカイプロパティ編集部
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