2018-04-13

フィリピン不動産を購入する際に住宅ローンが組める銀行3選

  • 海外不動産コラム

フィリピンでの不動産投資では、住宅ローンなどの融資を受けることができないと思っている人が多いようです。もちろん手続きは簡単なものではありませんが、信頼できる現地銀行との取引で、ローンを受けられる方法がいくつかあります。以下で解説していきましょう。

フィリピンで不動産ローンが組める3つの銀行

①Banco De Oro (BDO)


BDOの概要

最初にご紹介するのは、フィリピン最大の商業銀行であるバンコ・デ・オーロ(以下、BDO)。1967年設立で本店はマカティにあり、国内支店1,128、海外拠点26、ATM設置数は3,600という規模を誇ります。

フィリピンの銀行業界では、総資産額、貸出金額、顧客預金金額などの主要項目でトップのポジションを確立。日本では、JCBや静岡銀行、あおぞら銀行、八十二銀行など数多くの金融機関が提携しています。

その他の特徴として、日本人顧客を担当するジャパンデスクが設置されています。個人だけでなく、フィリピンに進出している日系企業など法人対応も行っています。この現地ジャパンデスクには、日本人シニア・アドバイサーを含む32名が所属。日本語を話す行員もおり、気軽に相談ができます。また、外国送金専門ですが日本国内にも拠点があります。

BDOレミットジャパン株式会社(外国送金専門会社) BDO Remit (Japan) Ltd.
東京都新宿区西新宿1丁目3番13号
電話番号:03-5909-0601

BDOで住宅ローンを組む方法

続いて、BDOでは、どのようなフィリピン不動産のローンが組めるのかを説明していきましょう。

BDO銀行には「ホームローン」という住宅ローンの商品があります。その申し込み条件は以下の通りです。

  • ①21歳以上で完済時に65歳以下である
  • ② 一世帯の総計月収が100,000ペソ(約20万円)以上である
  • ③給与やビジネスなどからの安定した収入源がある

さらに、会社員の場合は、現在の会社で2年以上勤務していること、自営業や専門職の人は、売上や所得が2年以上安定していることが求められます。

また、外国人が組める「ホームローン」では、コンドミニアムの購入のみが認められていることに注意しましょう。

さらに、フィリピンの居住者である場合は、 以下の居住者ビザを持っていることが求められます。

  • SIRVビザ(Special Investor’s Resident Visa)
  • SRRVビザ(Special Retiree’s Resident Visa)
  • PEZA(Phil. Economic Zone Authority 発行のビザ)
  • 外国人ビジネスマンビザ (Immigration Act Sec. 9D Alien Businessman)
  • 労働ビザ (Immigration Act Sec. 9G Pre-arranged Employment)
  • 結婚ビザ(Alien Spouse of A Filipino Citizen Section 13A)

また、非居住者については、資格のある共同借用者(Attorney-In-Fact/ Co-Borrower)がいること、または、公証された委任状(Special Power of Attorney) の準備ができることが条件となります。

次に、気になる融資可能金額ですが、居住者の場合は物件の査定価格の80%までOK。 頭金は物件の査定価格の20%~必要となります。融資期間は10年間です。

一方で非居住者の融資可能金額は物件の査定価格の70%で、頭金は物件の査定価格の30%~、融資期間は5年間となっています。

②Philippine National Bank (PNB)


PNBの概要

2番目の銀行は、かつてフィリピンの中央銀行だったフィリピン・ナショナル・バンクです(以下、PNB)。1916年7月に国立銀行として設立された歴史を持ち、戦後フィリピンが独立するまでは、中央銀行業務を兼業してきました。

現在はユニバーサルバンクとして、預金・貸金・外為・信託・証券・投信などの業務を行っています。国内拠点は656、海外の拠点は77あり、そのほとんどが海外在留フィリピン人の本国送金が主な業務となっています。

PNBも日本に拠点を構えており、東京支店は1996年、名古屋出張所は2003年に開設されています。

PNB 東京支店
東京都港区三田3-13-16三田43MTビル1階
電話番号:(03) 6858-5910

PNB 名古屋出張所
愛知県名古屋市中区錦3-24-24 錦324ビル7階
電話番号:(052) 968-1800

PNBで住宅ローンを組む方法

次に、PNBのフィリピンにおける不動産ローンの取り扱いについて見てみましょう。同行では「ハウジングローン」と呼ばれています。

資金の使途は、フィリピンのメトロマニラ、および主要都市にある宅地、コンドミニアムの取得に限られています。居住目的、または、投資目的で利用可能。

申し込みの対象は以下の通りです。

  • 就労者、長期滞在者、永住者、外交査証、投資家/経営者、特定査証ビザで就労している在留フィリピン人
  • 日本人を含む外国人のフィリピン人配偶者(夫婦で連帯債務者になります)
  • 日本人、または、日本で就労している外国人(フィリピン不動産の外国人所有制限了解を前提としています)

続いて、融資金額について見ていきましょう。

融資は円建てとなります。最低借入金額は100万フィリピンペソ(コンドミニアム)で、物件契約価格、あるいは物件評価額の70%、デベロッパーに対する残債務と借入者の収入額と評価額のどちらか低い方の金額。最長10年間の毎月元利均等返済となっています。また、ローン完済時の年齢制限は65歳です。

建物の取得を行う場合、ローン金額は、デベロッパー、または、売主に一括で直接支払われます。

金利は5.95% (2016年8月10日現在)。固定金利5%+みずほ銀行の長期プライムレート0.95%となっていますが、長期プライムレートは毎年見直されます。

元利金等払いのリコースローンで、日本の住宅ローンと同種のローンとなっています。

③HSBC Premier


HSBC Premierの概要

フィリピンで不動産ローンが組める3つ目の銀行はHSBCです。香港上海銀行(The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)から名付けられたHSBCは、ヨーロッパ、インド、中国間における取引支援のために1865年に設立された世界規模の銀行です。日本国内では東京と大阪に拠点を持ち、法人顧客向けのサービスを展開しています。

フィリピンで、新築・中古コンドミニアムの売買・賃貸・仲介を行う日系の会社の中には、非居住外国人の銀行口座開設と外貨建て住宅ローン契約をスムーズに実現するため、HSBCプレミア口座開設のサポートサービスを提供している会社もあります。

また、口座開設に必要な一時預金(400万ペソ)についても立替サービスを提供しています。このようなサービスを利用するのも、ひとつの方法かもしれません。

HSBC Premierで住宅ローンを組む方法

先述の通り、口座開設の際には初期預金金額として400万ペソが必要です。また、最低預金維持残高は10万ペソ。最低預金維持残高を割り込むと、毎月1,000ペソのペナルティーが発生しますが、HSBCで住宅ローンを契約するとペナルティーは免除されます。

また、住宅ローンの融資限度額は物件評価額の60%以内で、融資期間は1年以上〜20年以内(1ヶ月きざみ)となっています。融資利率は年4.5%(変動金利・ドル建)で保証人は原則不要です。 

フィリピンで不動産ローンを組むステップ

次に住宅ローンの申し込みの流れを見てみましょう。BDOのホームローンを例にとってみます。

  1. 融資希望の問い合せ
  2. 申し込み内容の確認
  3. 必要書類の提出
  4. 審査
  5. 自分自身で、販売者に査定の実施を連絡する
  6. 査定の日程を販売者とBDOが調整/実施
  7. 承認の通知 (ローンの条件) を送付
  8. 署名日程の予約
  9. 支店又はオフィスにて署名
  10. 承認後の必要書類の確認、提出
  11. 書類の確認、銀行からの保証書を送付
  12. ローンの借入金額の譲渡

以上となります。また、ホームローン申し込み時の必要書類は以下の通りです。

  1. BDOローン申請書
  2. パスポートコピー・IDのコピー (国際運転免許証)
  3. 結婚証明書 (結婚している場合) 戸籍謄本を日本領事館で翻訳したもの
  4. 対象物件の販売契約書、または、予約契約書のコピー
  5. 査定手数料。メトロマニラは3,000ペソ、メトロマニラ以外は4,000ペソ(個人・プライベートオーナーからの部件の購入の場合)
  6. 領事に査証された/公証された近親者の委任代理人(非居住者の場合)
  7. 収入証明書

以上の必要書類は全て英語で提出します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ここまで、フィリピン不動産を購入する際に必要な住宅ローンについて、現地3銀行の概要を解説してきました。海外のため必要な書類手続きが多いようですが、住宅ローンのシステム自体は、日本のそれと大きく違うことはあまりなさそうです。基盤がしっかりしており、日本語対応も可能であれば、現地の銀行に相談してみる価値は多いにありそうです。