資産運用の一環として、中古マンション投資を始めてみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。新築マンションよりも物件が安い一方で、注意しなければならないポイントもあります。

今回の記事では、中古マンション投資のメリット・デメリットに加え、注意点をまとめています。また、中古マンション投資でよくある失敗事例も掲載しているので、どのような部分に気をつければよいのか参考にしてみてください。

中古マンション投資とは?

中古マンション投資とは、中古マンションを購入し、賃貸運用や物件売却で収益を狙う方法です。一般的なマンション投資同様に、中古マンション1棟購入するか、区分マンション経営として1部屋購入する方法の2種類があります。

中古マンション投資の特徴は、築浅の物件から、築10〜20年と幅広い物件を選べることです。新築マンションよりも物件数が豊富であり、多くの投資チャンスが期待できます。

中古マンション投資のメリット

中古マンション投資には、どのようなメリットがあるのでしょうか。新築マンション投資との違いにも触れながら、5つのメリットを紹介します。

新築マンションよりも安く購入しやすい

中古マンションは、新築マンションよりも比較的安く購入しやすいのがメリットです。同じ金額でも、中古マンションの方が新築マンションよりもグレードの高い物件を購入できる可能性があります。

一般的に、日本国内における中古物件の価格は、築年数が重要となります。すべての物件が当てはまるわけではありませんが、築10年で新築時における約8割の価格、15年経過すると約7割ほど価格が落ちると言われています。

新築マンションと比較して高利回りを狙える

次に、新築マンションと比較して、中古マンションは高利回りを狙いやすいです。というのも、新築マンションよりも物件価格が安いので、相対的に表面利回りが高くなるためです。

利回りが低いと、不動産投資用ローンの返済額や、修繕費・リフォーム費用などが上回り、キャッシュフローがマイナスになる恐れがあります。キャッシュフローを安定させる目的としても、中古マンション投資はメリットとなり得ます。

節税効果を高めやすい

中古マンション投資は、節税効果を高めやすい方法でもあります。中古マンション投資では、新築マンション投資同様に、減価償却費や、修繕費、管理費、不動産投資用ローンの金利などを経費として計上可能です。

しかし、減価償却費の計上に関して、中古マンションは短期間での節税効果を狙えます。これは、各物件タイプごとに法定耐用年数が決められており、新築マンションは年数に応じて物件価格を分割し経費に計上する一方で、中古マンションは減価償却期間が短く、1年ごとの経費が大きくなりやすいためです。

入居者がいればそのまま家賃収入を得られる(オーナーチェンジ物件)

中古マンション投資は、物件購入と同時にそのまま家賃収入を得られる可能性があります。オーナーチェンジ物件と呼ばれるもので、入居者がすでに住んでいる状態で、物件のみを購入できます。

また、物件を購入したあとに入居者を募集する必要がなく、不動産仲介会社への仲介手数料などの節約が可能です。空室リスク対策にも役立つので、オーナーチェンジ物件の購入も検討しましょう。

中古マンション投資のデメリット

初期費用が抑えられることや、さらなる節税効果を得られる中古マンション投資ですが、注意点にも気をつけなければなりません。新築マンション投資と比較しながら、中古マンション投資のデメリットを把握しましょう。

ローンが不利な条件になりやすい

中古マンション投資では、不動産投資用ローンの借入審査が不利になりやすい傾向にあります。というのも、築年数が古すぎるマンションだと、金融機関での担保評価が難しく、ローンの審査に影響を及ぼすためです。

仮に、審査に通過したとしても、新築マンションの条件より短い期間での返済や、金利を上乗せされる可能性があります。ローンの借入に失敗した場合に備えて、自己資金の用意も重要です。

購入後に修繕・リノベーションが必要になる可能性がある

中古マンション購入後に、修繕・リノベーションが必要になる可能性があります。とくに、築年数が経過している物件ほど目に見える劣化も増えてきます。

修繕箇所が増えるほど、出費もかさんでしまうので、キャッシュフローにも悪影響となり得ます。状況によっては利回りの悪化も考えられるので、中古マンションを購入する前に、劣化具合を確認しておきましょう。

価格が下落するリスクがある

一般的に、築年数が古いほどマンション価格が下落するリスクがあります。とくに、周辺で競合となる新築マンションの建築が進んでいる都市部や、そもそもマンションが密集しているエリアは、需要に対して供給が上回るので、価格が下落しやすい状態といえます。

また、マンション価格が下落すると、売却しても手元に資金が残らず、ローンの返済が難しくなります。マンションの売却時期を計画しながら、出口戦略を考えるようにしましょう。

中古マンション投資で注意すること

中古マンション投資は、メリットだけでなくデメリットも多いので注意しなければなりません。失敗を防ぐためにも、どのようなポイントに注意するべきなのかを解説します。

可能であれば物件を内見する

はじめに、可能であれば物件を内見することです。基本的に、不動産を購入するエリアに訪れたことがある場合は、物件の情報だけで購入しても大きな問題が起こる可能性は低いです。

しかし、中古マンションは、経年劣化による故障・部屋の汚れなど、事前に確かめておかないとトラブルに発展することもあります。修繕・リフォームが必要な場合は、いくらくらいの予算を組めばよいか検討する材料にもなるので、可能であれば物件を確認しましょう。

実質利回りで収益を計算する

次に、実質利回りで収益を計算します。利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類が存在します。不動産購入時に「表面利回り」で収益を計算することが多いですが、手数料などを含めていない状態で計算しているので、最終的な収益とズレが発生する可能性が高いです。

一方、「実質利回り」は、物件購入時の手数料やその他経費(税金、保険料など)を含んでいるので、正確性の高い収益額を計算できます。想定よりも収益が得られないという事態を防ぐためにも、実質利回りでも計算しましょう。

人口が減少しているエリアは避ける

中古マンション投資で失敗を防ぐには、人口が減少しているエリアを避けるようにします。人口がそもそも少ない、減少が続いているエリアだと、賃貸需要も低くなることから、家賃収入を安定的に得られない可能性があります。

とくに、日本国内は少子高齢化が社会問題となっており、人口が多い都市部を中心に中古マンションを購入しなければなりません。そこで、人口が増加している東南アジアも候補に挙げてみてください。

たとえば、フィリピンは世界的にも人口が増加している国の1つです。フィリピン統計庁のデータによると、2020年5月1日時点で1億903万5,343人であったと発表しました。(※1)

とくに、労働生産人口(15〜64歳)の割合が高く、2020年の労働生産人口は6,900万人(全体の約64%)、そして2050年には9,800万人(全体の約66%)にも上る予測が出ており、賃貸需要による収益獲得が期待できます。(※2)

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物件価格が上昇しやすいエリアを狙う

一般的に、日本国内の不動産は、築年数が古くなるにつれて資産価値が下がってしまいます。デメリットでも触れましたが、資産価値が下がりすぎると物件を売却しても手元に資金が残らず、ローンの返済が難しくなる恐れがあります。

東南アジア諸国では、人口が増加しているエリアが多く、将来的な物件価格の上昇が期待できます。たとえば、カンボジアは、同国国立銀行が発表した首都プノンペンにおける住宅価格指数によると、2022年8月の住宅価格指数が2020年比で15.4%も上昇しました(※3)不動産価格の下落リスクを防ぎながら収益を狙えます。

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ワンルームマンション経営から始める

中古マンション投資では、一棟まるごと購入する方法と、区分マンション経営として1部屋購入する方法があります。一棟まるごと購入した方が空室リスクが防ぎやすい一方で、高額な初期費用が必要です。

手元の余裕資金に限度がある場合、1部屋で購入してみるのもおすすめです。とくに、ワンルームタイプの部屋であれば、手頃な価格で購入できます。

中古マンション投資でよくある失敗事例

中古マンション投資では、どのような失敗事例があるのでしょうか。最後に、失敗事例を3つ紹介するので、対策方法に役立ててみてください。

相場よりも高額な中古物件を購入してしまった

よくある失敗事例として、相場よりも高額な中古マンションを購入してしまった事例が挙げられます。新築マンションよりも比較的安い中古マンションですが、相場を把握しておかないと損をする可能性があります。

また、相場よりも高額な中古マンションを購入した結果、利回りが思うように出ず、キャッシュフローの悪化にもつながります。中古マンションに限らず、不動産を購入する際には、周辺の相場を確認しましょう。

知識がないまま物件を購入して収益が出ていない

中古マンション投資を始める際に、知識がないまま物件を購入した結果、収益が全く出ていないという失敗事例もよく見られます。これは、不動産投資の知識が不足しているのが主な原因であり、収益が出やすい物件・エリア、賃貸需要、出口戦略などを分析していないためです。

とくに、中古マンションは、築年数に応じて不動産投資用ローンの条件が厳しく、毎月の返済額の負担が大きくなりやすいです。修繕費の見積りが甘かったケースもあるので、中古マンション投資の知識やノウハウを身につけるようにしましょう。

他人の成功例を鵜呑みにして失敗した

不動産投資は、サラリーマンや経営者でも始められる資産運用方法です。SNS・個人ブログなどを中心に成功例として情報発信されており、中古マンション投資を始めたばかりの方が参考にすることもあります。

しかし、他人の成功例を鵜呑みにした結果、逆に失敗してしまう事例も少なくありません。これは、不動産のタイプや立地、運用方法などが異なるのが原因で、必ずしも他人の成功例をそのまま活かせるわけではないということです。他人の成功例を参考にするのも大切ですが、鵜呑みしないように注意しましょう。

まとめ

中古マンション投資は、安い価格で購入しやすいことや、オーナーチェンジ物件を活用して、そのまま家賃収入を得られるといったメリットがあります。しかし、新築マンションと異なり、経年劣化による内装の汚れ、設備の故障など、デメリットにも注意しなければなりません。

安定した収益を狙いたい場合は、人口が増加しているエリアを重点的に物件を探すことが大切です。よくある失敗事例も参考にしながら、中古マンション投資を成功させましょう。

※1:2020年の人口は1億903万人、5年間で800万人超増加

※2:独立行政法人労働政策研究・研修機構「生産年齢人口(15〜64歳人口」

※3:カンボジア国立銀行「経済・金融政策(2022年8月) 」(PDF11ページ目)