一般的に不動産を購入する際に、「現金一括」か「ローン」のいずれかで支払うこととなります。それぞれの支払方法でメリット・デメリットが存在しますが、どちらの方法で不動産を購入するか迷われている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、現金一括で不動産を購入するメリット・デメリットを紹介します。また、不動産投資で現金一括、ローンのどちらを選択した方がいいのかをまとめているので、最後までご覧ください。
不動産投資の「現金一括」と「ローン」の違い
そもそも、不動産投資における「現金一括」と「ローン」の支払方法には、どのような違いがあるのでしょうか。まず、現金一括は、その名のとおり現金だけで不動産を購入する方法です。たとえば、1000万円の物件であれば、1000万円を現金で一括支払いします。
次に、ローンは、金融機関にて不動産投資用ローンを借り入れたうえで、物件購入費用の足しにする支払方法です。投資家本人の属性や審査結果によりますが、物件価格に対して自己資金の割合が15~30%、ローンの割合が70~85%のケースが多いと言われています。
不動産投資を現金一括で始めるメリット
不動産投資を現金一括で始めることに、どのようなメリットがあるのでしょうか。ローンの場合と比較しながら、現金一括で支払うメリットを解説します。
購入までの期間が短い
不動産購入時に現金一括を選ぶと、購入までの期間が短くなる可能性があります。というのも、現金一括であれば、ローンの審査を受ける必要がなくなるので、その分早く購入できるためです。
通常、不動産投資用ローンを借り入れる場合、仮審査を受けたあとに、本審査にも通過しなければなりません。ローン申請時に書類の不備があったり、投資家本人の属性に問題が生じたりすると、さらに時間を要します。
物件購入費用が値引きされる場合がある
現金一括での支払い方法は、物件の購入費用を安く抑えられることもあります。投資用物件の売主のなかには、1日でも早く物件を売却したいと考えている方もいます。交渉次第にはなりますが、現金一括でスピーディな売買を実現できれば、売主からの値引きも期待できます。
また、不動産投資用ローンを借り入れる際に、各金融機関にて手数料が発生します。その他、金銭消費貸借契約書に必要な印紙代、抵当権登記設定費用や抵当権登記設定時に司法書士に支払う手数料などが不要です。
本人属性が低くても物件を購入できる
不動産投資用ローンの審査では、投資家本人の属性が厳しくチェックされます。仮に、審査基準に満たしていないと、不動産投資用ローンを借り入れられずに、不動産を購入することができなくなります。
しかし、現金一括の支払いであれば、ローンの審査結果は関係ありません。本人の属性が低くても、現金で不動産を購入できます。
金利上昇のリスクを避けられる
不動産投資用ローンを借り入れると、金利上昇によるリスクが発生します。今後、物価が上昇していくと、金利も上昇していく可能性があります。
金利が上昇することで、ローンの利息が増えてしまい、返済額も想定より負担がかかることが予想されます。現金一括払いであれば、金利上昇リスクの対策にもつながります。
ローンよりも多少の節税効果が期待できる
現金一括で不動産を購入すると、不動産投資用ローンを借り入れる場合よりも、多少の節税効果を狙えます。ローンを借り入れる際に、登録免許税の抵当権設定に関する費用が発生します。一方、現金一括払いであれば、上記の費用がかかりません。
不動産投資を現金一括で始めるデメリット
不動産投資を現金一括で支払うデメリットにも注意する必要があります。不動産投資用ローンを借り入れる場合と比較しながら、現金一括のデメリットも解説します。
レバレッジ効果を得られない
現金一括払いだと、レバレッジ効果を得られません。レバレッジ効果とは、自己資金だけでは足りない部分をローンで補い、不動産を購入するものです。
たとえば、1500万円の物件を自己資金500万円、不動産投資用ローン1000万円で購入したとします。このとき、500万円の自己資金で、1500万円分の資産を運用できます。
しかし、現金一括の場合は、自己資金額の範囲内でしか物件を購入できないので、レバレッジ効果を得られないということです。少ない資金でレバレッジ効果を狙いながら運用をしたい方は、不動産投資用ローンを借り入れるようにしましょう。
自己資金を用意するのに時間がかかる
手持ちの資金額にもよりますが、すぐに物件を購入できるほどの自己資金を用意することは簡単ではありません。不動産投資用ローンを借り入れれば、資金的に足りる可能性が出てくる一方で、現金一括はそもそも資金が足らないことも考えられます。
現金一括で不動産を購入するのに時間がかかり、結果的に購入を予定していた条件の良い物件を逃してしまう可能性もあります。資金的に時間がかかりそうな場合は、不動産投資用ローンを借り入れる選択肢も入れましょう。
生命保険代わりの団体信用保険に加入できない
基本的に、不動産投資用ローンを借り入れると、団体信用保険に加入することになります。団体信用保険とは、投資家本人が亡くなった際に、保険でローンの返済額を支払うものです。
また、投資家が所有する不動産を親族にそのまま引き継ぐことが可能です。現金一括は、購入時点で支払いが完結しているので、そもそも団体信用保険に加入ができません。
高額の物件だと税務署から連絡がくる場合がある
極稀に、現金一括で高額の物件を購入すると、税務署から確認の連絡がある場合があります。お尋ねの文書とも言われており、購入者の氏名、年収、購入した時期、物件の金額など、さまざまな情報を記入して、税務署に送り返します。
この文書への回答は任意であり、返送しなくても問題はないと言われていますが、呼び出しを受けることもあります。年齢や年収に見合わない価格の不動産を一括で購入した場合や、ローンを利用しないで不動産を一括で購入した場合に来ることが多いので、念の為把握しておきましょう。
不動産投資は「現金一括」と「ローン」どちらがいい?
不動産投資における現金一括払いには、メリット・デメリットがあります。では、どのような場面で、現金一括を選択するのが良いとされているのでしょうか。シチュエーションごとに、現金一括、ローンのどちらを選択するのか考えていきましょう。
海外不動産購入は現金一括を選ぶ
日本国内ではなく、海外不動産を購入する場合には、現金一括での支払いを選択します。これは、海外不動産の購入に不動産投資用ローンを借り入れること自体が難しいためです。
とはいえ、経済成長が著しい東南アジアには、低予算で購入可能な物件が多くあります。カンボジアの首都プノンペンには、1000万円台〜購入可能な物件や、月々10万円台〜の分割払いにも対応した物件があるので、不動産投資用ローンを借り入れなくても十分に手が届きます。
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自己資金額が物件価格に対して余裕があれば現金一括を選ぶ
自己資金が物件価格に対して余裕があれば、現金一括を選ぶことも考えましょう。不動産投資用ローンを借り入れると、レバレッジ効果を得られる一方で、金利上昇リスクや、返済額の負担増加によるキャッシュフローの悪化など、さまざまな危険性が伴います。
現金一括であれば、上記のリスクを避けられます。とはいえ、不動産購入により手持ちの資金が大幅に減少することもあるので、どれくらい残すかを十分に検討する必要があります。
利回りと金利の差分を計算してから判断する
不動産投資で成功するためには、キャッシュフローの管理が重要です。とくに、利回りと金利の差分である「イールドギャップ」を取れるかを見極めなければなりません。
たとえば、毎月の実質利回りが4%であるのに対して、金利が4%を超えている場合、利益が出ていないという計算になります。このような場合だと、ローンを借り入れるのではなく、現金一括の方が有利になり得ます。
与信枠に応じて現金一括かローンを選択する
最後に、与信枠に応じて現金一括か、不動産投資用ローンのいずれかを選択します。与信枠は投資家本人に対する融資の枠であり、枠内の金額であればローンを借りて、不動産を購入できます。
しかし、不動産投資で2件の購入を検討している場合、与信枠が少なくなっている可能性があります。その場合は、現金を多めに支払うことや、現金一括での購入も検討しましょう。
まとめ
不動産投資を始めるにあたって、現金一括で物件を購入することで多くのメリットを得られます。しかし、同時にデメリットにも注意しなければならないため、シチュエーションに応じて選ぶようにしましょう。
また、借り入れ条件が厳しく、不動産投資用ローンの審査に通過できなかった方は、海外不動産の少額で購入可能な物件も選択肢に入れてみましょう。当社では、お客様の予算や、投資目的に合わせて最適な物件を紹介していますので、この機会にぜひお問い合わせください。