2023-01-25

年収2000万円におすすめの節税対策5選!不動産投資や資産運用による対策とは

  • 海外不動産コラム

一般的に、年収2000万円を超えてくると高所得者と呼ばれますが、手取りが思っていたほど残らないと感じている人も多いのではないでしょうか。税金や社会保険料の負担も大きくなり、手取り額に満足できなくなる可能性があります。

そこで、節税対策の検討をおすすめします。本記事では、節税対策5選や、高い節税効果を得られる不動産投資を活用した節税方法を丁寧に解説します。

サラリーマンで年収2000万円の手取り額

サラリーマンの方が会社から給与という形で年収2000万円を得ている場合、どれくらいの手取り額があるのでしょうか。年収がちょうど2000万円があると仮定すると、若干個人差があるものの、税金や社会保険料を差し引いて1307万円ほどの手取り額となります。

つまり、年収2000万円の給与があっても、税金・社会保険料で700万円も引かれてしまうのです。

※会社員、扶養親族なし、給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみを考慮した場合

年収2000万円の人が支払う税金

まず、所得税と住民税に関しては、所得税は374万円、住民税は160万円です。

また、社会保険料は159万円で、年収2000万円からこれらの控除を差し引くと、手取り額が1307万円となります。

年収2000万円を越えたら起こるデメリット

年収2000万円を超えると、さまざまなデメリットが生じます。さまざまな制度で不利になることがあるので注意しましょう。

配偶者控除が受けられない

まず、年収2000万円を越えたら、配偶者控除が受けられなくなる可能性があります。配偶者控除とは、所得税法上の控除対象配偶者がいる納税者に適用される控除で、以下の4つの要件に該当する必要があります。

・民法の規定による配偶者(内縁関係の場合は対象外)

・納税者と生計を一にしている配偶者

・年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

・青色申告者、白色申告者の事業専従者でないこと

配偶者控除は、納税者本人の「所得額」が1000万円を超えると適用外です。つまり、年収2000万円以上になると、基本的に配偶者控除が受けられないというわけです。

給与所得控除が固定になる

次に、年収2000万円を越えたら、給与所得控除が固定になります。サラリーマンのように給与所得のみを受け取っている人は、事業者と異なり、収入から経費を差し引くことができません。

経費計上のかわりに、給与所得者は以下の給与所得控除が適用されます。しかし、表から分かるとおり年収が850万1円を超えると、上限が195万円以上の控除が受けられなくなります。年収2000万円を超えても、給与所得控除の金額が変わらないので、手取り額も少なくなるのがデメリットです。

給与所得控除※1 

給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
162万5000円まで
55万円
162万5001円から180万円まで
収入金額×40%-10万円
180万1円から360万円まで
収入金額×30%+8万円
360万1円から660万円まで
収入金額×20%+44万円
660万1円から850万円まで
収入金額×10%+110万円
850万1円以上
195万円(上限)

住宅ローン控除の対象から外れる

年収2000万円を超えてくると、住宅ローンの控除対象から外れる場合があります。住宅ローン控除とは、住宅借入金等特別控除のことで、金融機関から借り入れたローンの年末残高を基準に計算し、所得税額に対して住宅ローン控除が適用されます。

2022年に住宅ローンの控除に関する法改正があり、所得3000万円以下から、2000万円以下に控除対象が引き下げられました。年収2000万円を超えてくると、所得も2000万円を超えてくる可能性が高まり、住宅ローンの控除が適用されないケースが出てきます。

毎年確定申告を済ませる必要がある

年収2000万円以上の給与所得がある人は、所得税及び復興特別所得税の確定申告が必要です。通常、会社に勤めている場合、11月〜12月にかけて所得税の年末調整を行います。

一方、年収2000万円を超えると、年末調整の提出が不要となる代わりに、個人で確定申告を済ませなければなりません。手取り額には影響しないものの、手間がかかってしまうのがデメリットです。

年収2000万円の人におすすめの節税対策5選

年収2000万円を超えてくると、控除が受けられなくなる可能性が高まることで、手取り額が少なくなってしまいます。税負担を軽減するためにも、年収2000万円を超える人が行える節税対策を紹介します。

不動産投資

不動産投資は、節税対策に効果的な方法です。さまざまな費用を経費として計上することで、所得税や住民税の節税効果を狙えます。

具体的には、建物の減価償却費、修繕費、管理費、弁護士・税理士への報酬などが挙げられます。とくに、減価償却費は、物件タイプごとに「法定耐用年数」が定められており、不動産の購入費用を長期的に分割しながら、経費に計上できます。

法定耐用年数※2

物件タイプ 法定耐用年数
木造建築
22年
木造モルタル造
20年
RC(鉄筋コンクリート造)
SRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)
47年
レンガ造・石造・ブロック造
38年
重量鉄骨
34年(4mm以上の場合)
軽量鉄骨
27年(3mm超4mm以下の場合)

不動産投資は、少額でも購入可能な物件も多く、節税対策はもちろんのこと資産運用目的にもおすすめの方法です。

参考:不動産投資は少額から購入可能!初心者におすすめの運用方法とは?

医療費や生命保険料の控除

年収2000万円を超えてくると、一部の控除が適用外となります。そこで、医療費や生命保険料の控除で、節税対策を行えます。

医療費の控除は、年間で10万円以上の医療費を支払った場合に適用される控除で、納税者本人に加え、生計をともにする配偶者や親族のために支払った医療費も控除の対象です。最大控除額は200万円で、「その年に支払った医療費-保険などの補填金額-10万円」の計算式で決まります。

ただし、対象となる医療費が限られている点に注意が必要です。

・医師または歯科医師による診療、または治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれない。)

・治療、または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)

・病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、指定介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設または助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価

また、生命保険料の控除は、生命保険料や介護保険料、個人年金保険料といった保険料全般を支払った際に、所得を控除します。2012年1月の生命保険料控除制度改正に伴い、それ以降に加入した場合は以下の計算方法が適用されます。なお、生命保険料の控除限度額は、生命保険と介護保険、個人年金保険の3つを合わせて12万円までです。

生命保険料控除※3

年間の支払保険料 控除額
2万円以下
支払保険料の全額
2万円超 4万円以下
支払保険料×1/2+1万円
4万円超 8万円以下
支払保険料等×1/4+2万円
8万円超
一律4万円

ふるさと納税

ふるさと納税とは、都道府県や市区町村など各自治体に寄付することで、所得税・住民税を控除する方法です。寄付額の合計額から2,000円以上の部分が所得税の控除対象となり、ふるさと納税を行った年の所得税と、ふるさと納税を行った翌年度の住民税を控除します。

なお、ふるさと納税による控除限度額は、所得税率にもとづいて計算されるので、各個人の所得に応じて変わってくる点に注意が必要です。各自治体に寄付した代わりに、返礼品を受け取ることができるので、趣味感覚で節税対策を行えます。

iDeCo

iDeCoとは、個人型確定拠出年金とも呼ばれており、60歳まで掛け金を積み立てていく制度です。運用益が非課税になることと、所得税・住民税が軽減されることがメリットで、資産運用を行いながら、節税対策としても活用できます。

また、iDeCoによる運用益は、60歳以降に年金形式か、一時金として受け取るかの選択が可能です。ただし、60歳まで引き出せないというデメリットに注意しましょう。

NISA

NISAは、少額投資非課税制度とも呼ばれており、毎年一定金額内で購入した金融商品から得られる利益が非課税となる制度です。一般的に、株式の売却で利益が発生すると、所得税が課せられますが、NISA専用の口座を使用することで税金が課せられなくなります。

NISAには2種類あり、「一般NISA」は下記表の上限金額・対象商品内で自由に投資できます。つみたてNISAも同様に、上限金額・対象商品で自由に投資可能なほか、毎月一定額投資することで、分散投資の効果を狙えます。

  一般NISA つみたてNISA
利用対象者
日本居住で20歳以上
日本居住で20歳以上
非課税期間
5年
20年
非課税額上限
年間120万円
年間40万円
運用対象商品
株式投資信託、国内外の株式、国内外のETFなど
一部の投資信託、ETF

年収2000万円の人が不動産投資で節税対策する際のポイント

不動産投資は年収2000万円の人におすすめの節税対策の1つです。そこで、不動産投資で効率的に節税対策を行うにあたって、いくつかのポイントをチェックしましょう。

不動産仲介会社に相談する

はじめに不動産仲介会社に相談することです。不動産投資に関する知識がない場合、どの物件であれば収益が出るのか判断するのが難しく、間違った選択をすると、損失が発生する恐れがあります。

そこで、不動産仲介会社に相談することで、適切なアドバイスを期待できます。また、最近では、オンライン形式のセミナーを実施していることもあり、気軽に相談しやすい環境も用意されています。

不動産投資による節税対策の仕組みを理解する

不動産投資で節税対策を狙うにあたって、節税対策の仕組みを理解することが大切です。具体的には、物件タイプごとの耐用年数期間や、経費として計上可能な費用などを細かく知っておく必要があります。

また、節税を意識するあまり、不動産投資で損失が発生しないように注意しなければなりません。収益を狙うためにも、安定的に需要が見込まれるエリアの物件を購入することや、多額の修繕費がかからないような物件を探すなどのポイントも押さえておきましょう。

高所得者は不動産投資の法人化も検討する

年収2000万円を超える高所得者に該当する場合、不動産投資事業を法人化することも節税効果につながります。これは、個人所得税よりも、法人所得税が安くなるのを活用した節税方法で、税負担を抑えるのに役立ちます。

「サラリーマン大家で本業での給与所得が900万円以上かつ、所有物件が黒字化している」という場合、所得税率と住民税率は合わせて43%の税率が課せられる一方で、法人実効税率は最大で34.59%であり、結果として法人化した方が税金を安く済ませられます。

まとめ

年収2000万円を超えると、税負担が大きくなるほか、各種控除も対象から外れてしまうので、手取り額が大幅に減ってしまう可能性があります。税負担をなるべく軽減するためにも、さまざまな節税対策を試してみることが重要です。

とくに、不動産投資は、節税対策はもちろんのこと、資産運用にも適した方法です。効率的に不動産投資で節税対策を行えるように、不動産仲介会社にも相談しながら進めるようにしましょう。

※1:給与所得控除

※2:主な減価償却資産の耐用年数表

※3:生命保険料控除