不動産投資を始める際に、頭金を準備する必要があります。しかし、「物件価格に対していくら頭金を用意すればよいのか」、「頭金を準備するメリット」など気になる方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、不動産購入における頭金の意味や、頭金のメリット・デメリットを詳しく解説します。頭金の金額別に購入可能な物件情報も紹介しているので、今後の物件選びにご活用ください。

不動産投資における頭金とは

不動産投資における頭金とは、物件価格からローン借入分を差し引いた金額のことです。たとえば、4000万円の物件を購入する際に、700万円分を頭金として支払い、残りの3300万円をローン借入分で支払うような形を指します。

なお、物件価格以外の登記費用やローン手数料といった諸経費分に関しては、頭金には含めず、純粋に物件価格に対して頭金を用意します。

住宅金融支援機構が公表している2021年度の「フラット35利用者調査」では、物件種類別に頭金の平均額や、物件購入費用に対する頭金の割合を紹介しています。(※1)

 頭金(全国平均額)
物件購入費用に対する頭金の割合
注文住宅
596.6万円
16.7%
土地付き注文住宅
412.3万円
9.3%
建売住宅
270.0万円
7.5%
マンション
785.9万円
17.4%
中古戸建
214.9万円
8.2%
中古マンション
418.9万円
13.8%

不動産投資で頭金を入れるべきか?

不動産を購入する際に、「どれくらい頭金を入れるべきか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。上記のとおり、マンション投資であれば約800万円、注文住宅でも約600万円の頭金を用意しているとの調査結果があります。

不動産投資を始めたい方のなかには、「できるだけ頭金(初期費用)を減らしたい」、「不安だから頭金を多めに用意しておきたい」といった意見もさまざまなはずです。次に紹介する頭金のメリット・デメリットを踏まえながら、不動産投資の自己資金を用意しましょう。

不動産投資で頭金を用意するメリット

不動産投資で頭金を用意するメリットを解説します。ローン返済額の負担軽減や、リスクへの対応などのメリットがあります。

ローン返済額・利息額を減らせる

1つ目のメリットは、ローンの返済額・利息額を減らせることです。頭金を多めに用意しておけば、必然的に借り入れるローンの額も減るので、将来的な返済額・利息額の負担軽減につながります。また、返済負担が減少すれば、キャッシュフローの悪化を防ぐのにも役立ちます。

金利変動リスク対策につながる

不動産投資用ローンの返済額が少ないほど、金利変動リスクの対策にも期待できます。一般的に、不動産投資用ローンを組む際に、「固定金利」と「変動金利」から選ぶこととなります。

このとき、変動金利型を選んでローンを組んだあとに、急激な金利上昇が起こると、その分利息も増えてしまいます。現状、低金利が続いているものの、10年、20年後に金利が上昇する可能性もゼロではなく、返済の負担が増加し、生活に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

銀行でのローン審査に通りやすい

金融機関や本人の属性にもよりますが、頭金の割合が大きいと、ローン借入の審査に通過しやすくなると言われています。頭金の割合が大きいということは、融資した金額を返済する能力を持つ人物であると判断されるためです。不動産投資用ローンを組む前に、頭金に対してどれくらい融資を得られるのか相談してみるのも良いかもしれません。

不動産投資で頭金を用意するデメリット

十分な頭金を用意することは、キャッシュフローの悪化や金利変動リスクを防ぐメリットがありますが、デメリットにも注意が必要です。

ほかのリスクに対する資金が減ってしまう

自己資金に余裕がない状態で頭金を入れすぎると、一時的に手元の資金が大幅に減少してしまいます。頭金を入れても十分な自己資金がある場合は問題になりませんが、ギリギリな状態で物件を購入した結果、リスクに対応できない危険性があります。

たとえば、災害が発生したときに必要な修繕費や、想定外に空室が続いたことによるキャッシュフローの改善が難しくなります。なにか起きたときに対応する資金が枯渇し、投資自体が失敗に終わるケースも少なくありません。

多額の自己資金を準備しなければならない

頭金を用意するということは、自己資金を準備しなければならないということです。仮に、5000万円の物件価格に対して30%の頭金を用意する場合、自己資金だけで1500万円もかかります。

もちろん、ローンの割合を増やすことも可能ですが、その分リスクも背負う必要があります。不動産投資を始めるまでにコツコツと貯金をするほか、ほかの投資で収益を得るなどの方法も考えるようにしましょう。

不動産投資のレバレッジ効果が薄れる

不動産投資のメリットは、少ない初期費用で多額の収益を得ることです。レバレッジ効果とも呼ばれており、本来持っている自己資金のみで物件を購入したときよりも、大きな収益を得ることを意味します。

つまり、頭金を用意しすぎると、結果としてレバレッジ効果も薄まります。危険性も高まりますが、「少ない資金で大きなリターン」を狙いたい場合には頭金の額を調整しましょう。

【頭金別】購入可能な不動産の種類

頭金の金額に応じて、購入可能な物件の種類も異なります。現時点で用意可能な頭金の金額をもとに、物件を探してみましょう。

頭金100万円で購入可能な不動産

最初に、頭金100万円の場合です。購入可能な物件は、300〜600万円の価格帯から選ぶ形となります。300〜600万円の価格で購入可能な物件は少なく、地方や中古の区分マンション、区分アパートが候補に挙がります。

頭金500万円で購入可能な不動産

次に、頭金500万円です。購入可能な物件価格は、1500〜3000万円ほどが選択肢に入ります。都市部の区分マンション、区分アパートや、地方の中古マンション、アパートなど、幅広い物件を検討できます。

頭金1000万円で購入可能な不動産

頭金1000万円を用意した場合、3000〜6000万円あたりの物件が候補となります。地方・都市部の中古マンション、アパートや、戸建て住宅も選択肢に入ってきます。

また、頭金が1000万円以上あれば、海外の物件も検討できます。たとえば、カンボジアの首都プノンペンには、1000万円台で購入可能なコンドミニアムも数多くあります。経済成長とともに不動産価格の上昇も期待されているので、キャピタルゲインを狙いたい方にもおすすめです。ただし、海外不動産の購入は、不動産投資用ローンの借入が難しい点に注意が必要です。

【無料ダウンロード可能】カンボジア不動産ガイドはこちら

頭金3000万円で購入可能な不動産

頭金3000万円にもなると、1億〜2億円の物件が選択肢に入ります。首都圏のタワーマンションや戸建て住宅、ビルの購入も検討できます。

また、海外不動産であれば、フィリピンやマレーシアといった東南アジア諸国の高級コンドミニアムも購入可能です。日本国内の不動産価格よりも安く、複数の物件を所有したい場合にもおすすめです。

不動産投資で頭金を入れるか悩んでいる際の注意点

不動産投資で頭金を用意するか迷われている方も多いはずですが、いくつかの注意点に気をつけましょう。

海外不動産の購入はローンの借入が難しい

前述したとおり、海外不動産を購入する際に金融機関でのローン借入は難しいと考えてください。これは、国内の金融機関にて海外不動産に対する評価が難しいのが理由で、審査に通らない可能性が高いです。

また、海外現地の金融機関でローンを借り入れたい場合でも、現地での収入があることが条件であったり、コミュニケーションに障壁があったりするなど、簡単ではありません。物件価格自体は比較的安いものの、ローンの借入が難しい分、自己資金を多めに用意することが必要となります。

フルローンやオーバーローンは危険性が高い

頭金をどうしても用意できない場合、フルローンやオーバーローンの選択があります。しかし、いずれの方法も危険性が高いので注意しましょう。

フルローンとは、全額ローンで物件を購入する方法です。頭金を入れないため、物件購入のために必要な現金は諸費用の分のみとなります。また、オーバーローンとは、物件を全額ローンだけで購入し、諸費用に関してもローンで支払います。 

レバレッジ効果を最大限活かせる方法であるものの、金利が上昇したときに悪影響が出るほか、キャッシュフローが悪化しやすい原因になり得ます。

頭金なしだと不動産投資用ローンの審査に通過しにくい

そもそもですが、頭金を用意しないと不動産投資用ローンの審査に通過しにくいと言われています。フルローンやオーバーローンといった方法で融資を借り入れられるのは、下記の厳しい審査に通過した人だけで、基本的には難しいと考えてください。

・個人の属性が高い人(職業、総資産など)

・購入物件の担保価値が高い

・過去の不動産投資で成功実績がある

まとめ

不動産投資では、物件購入に向けて頭金の準備が重要となります。頭金を用意しておくことで、リスクヘッジが可能になるだけでなく、金融機関でのローン借入審査にも通過しやすくなると言われています。

また、現時点における頭金をもとに、どの物件を購入できるかも確認しましょう。金融機関からのローン借入は難しいものの、1000万円の自己資金があれば、将来性が高い東南アジアの物件購入も検討できます。海外不動産を検討している方は、この機会にぜひお問い合わせください。

※1:住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」