ライフイベントに向けた資産作りや、老後資金の確保などを目的に資産運用が注目されています。しかし、資産運用は、さまざまなリスクが存在することから、失敗する危険性もあります。そこで、資産運用を失敗しないためにも、失敗しやすい人の特徴や原因を確かめるようにしましょう。

資産運用で失敗する人の特徴7選

資産運用で失敗する人には、どのような特徴があるのでしょうか。失敗しやすい人の特徴を7つ紹介します。

1.運用目標やルールを定めていない

1つ目は、資産運用の目標やルールを定めていないことです。「ただお金を儲けたい」、「周りも資産運用をしているから始めた」といった曖昧な理由で始めると、失敗する可能性が高まります。

運用目標やルールを定めていないまま始めると、投資先の選定を誤ってしまったり、資産を売却するタイミングを逃してしまったりします。資産運用における目標額や、将来的にどのような目的でお金が必要なのかを決めたうえで、資産運用を始めるようにしましょう。

2.短期間で大きなリターンを狙っている

次に、短期間で大きなリターンを狙っている場合です。短期間で収益を狙うのは、プロの投資家でも難しいと言われており、初心者が手を出すと失敗する危険性が高まります。

とくに、短期間での投資は、細かい為替変動や株価変動で儲ける必要が出てくるため、一日中値動きをチェックしなければなりません。一度損失を抱えると、リスクをとって取り返そうとする心理が働き、負のループに陥りかねません。

3.リスクヘッジが不十分なまま運用している

リスクヘッジが不十分のままだと、資産運用を失敗する可能性が高まります。具体的には、1つの投資先に依存してしまっていたり、投資時期を分散させていなかったりしている場合には注意が必要です。

リスクヘッジを取らない運用方法は、損失が発生したときに、ほかの運用商品でカバーすることができません。運用商品の損失が膨らんでいき、お金を失う結果となり得ます。

4.借金をしてまで資産運用を行っている

借金をしてまで資産運用を行っている方は、失敗するリスクがあります。そもそも資産運用は、自身の全財産を使って運用するのではなく、余裕資金で運用します。

仮に、借金をしてまで資産運用すると、損失が発生した場合、さらに借金が増えてしまいます。借金返済のために、ほかのところから繰り返し借金をして、自転車操業になる危険性もあります。ただし、不動産投資ローンについては、現物資産である不動産が残るので、無理のない範囲で借り入れればリスクに発展する可能性は低いです。

5.キャッシュフローの計画が整っていない

キャッシュフローとは、現時点における資産の状況や、収益・損失額、今後の支出といった、資金の動きを意味します。どのタイミングで、いくらのお金が動くのかを把握しておかないと、資金不足で資産運用を計画通りに進められなくなる可能性があります。

たとえば、不動産投資では、毎月返済する不動産投資ローンの額に対して、家賃収入や経費を把握しておかなければなりません。金銭的にも精神的にも余裕を持って資産運用を続けられるように、キャッシュフローの管理が求められます。

6.初心者なのに難易度の高い資産を運用している

資産運用で失敗する方に、初心者なのに難易度の高い資産を運用していることが挙げられます。具体的には、FX(外国為替証拠金取引)や、先物取引、仮想通貨への投資など、テクニカルな知識が求められる商品や、特性が複雑な商品などが当てはまります。

とくに、資金力以上の取引が可能なレバレッジを利用すると、多額の損失を被る危険性があります。ほかの投資商品にも言えますが、よく知らないまま運用することで、失敗につながってしまうのです。

7.年金や退職金を資産運用に使ってしまう

年金や退職金まで資産運用に使っていると、失敗したときに取り返しのつかないことに発展しかねません。生活・投資用ともに十分な資金を用意していれば問題はありませんが、退職金・年金を使ってまで資金を集められないという場合には注意が必要です。

資産運用に失敗して損失が発生した際に、多額の資産を失ってしまいます。これまでの生活水準を保ちにくくなる可能性があるほか、老後のライフプランにも悪影響となります。

資産運用における失敗例や失敗の原因

上記で解説したとおり、資産運用で失敗する人は、調査が不十分のまま投資したり、資金を無理に使ってしまったりしています。結果として、どのような失敗につながる可能性があるのかを4つの失敗例や原因で深堀りします。

資産運用の失敗例1:20代、株式投資、100万円損失

資産運用1つ目の失敗例は、20代で株式投資をした結果、100万円を損失した例です。配当金や優待券をもらえるといった株式投資の魅力を知り、株式投資を始めました。

しかし、株式投資で収益を狙うために、どの銘柄の株式を購入するべきか分からず、よく調べないまま、当時東証一部(現:東証プライム)に属する企業の株式をなんとなく購入しました。

その後、配当金を獲得するも、株価が下落していき、購入から数ヶ月で数十万円の損失を出してしまったのです。さらに、損失を抱えた状態で株式を売却し、別の株式を購入するも、その株式も株価が下落。失った資金を取り戻そうとするも、多額の損失につながってしまった失敗例です。

資産運用の失敗例2:30代、投資信託、30万円損失

2つ目の失敗例は、投資信託で損失を出した例です。周りが資産運用を行っていることから焦って投資信託を始め、なるべく短期間で収益を狙える商品を狙うことにしました。

インターネット上で高利回りの商品を見つけ出し、毎月数万円の積立投資を始めました。しかし、順調に運用していた一方で、収支がマイナスになってしまいました。原因を確かめたところ、商品の評価額が購入額を下回ったことによる損失に加え、投資信託の手数料を見逃していたのです。

投資信託は、取引時だけでなく、保有しているときにも手数料が発生します。高利回りの投資信託ほど手数料が高くなる傾向があり、手数料の計算を怠ったことで予期せぬ損失を出してしまったということです。

資産運用の失敗例3:40代、FX、200万円損失

次に、FXへの投資で、200万円の損失を抱えてしまった失敗例です。株式投資や投資信託で資産を運用していたものの、なかなか収益が伸ばせずに、レバレッジ取引を行えるFXを始めることにしました。

最初は、株式投資と同じ感覚で儲けていた一方で、ある通貨が暴落し、多額の損失を抱えることになりました。また、一日中、FXで売買を繰り返していたことで、仕事に使える時間を失ったほか、値動きの激しさに精神的にも疲弊してしまったのです。結果として、株式投資や投資信託で獲得した利益を失ってしまいました。

資産運用の失敗例4:50代、株式投資、老後向け資金の損失

最後に、株式投資で、老後向けの資金を損失してしまった失敗例です。50歳を前にして老後資金の必要性に気づき、サラリーマン生活で貯蓄した1000万円を投資することにしました。

しかし、株式投資でリターンを得られないばかりか、投資したすべての株価が暴落し、老後向けに用意した貯蓄の大部分を失う結果となりました。これは、ある経済的なダメージが発生し、同じ業界に属する企業の株価を中心に購入していたことが原因でした。1つのジャンルに投資し続けたことによるリスクを抱えてしまっていたのです。

資産運用で失敗しないためのコツ

資産運用で失敗しないためには、いくつかのコツを把握することが大切です。目標・目的達成に向けて、資産を安全に運用するコツを紹介します。

生活資金と資産運用向けの資金を別にする

資産運用を失敗しないための方法として、生活資金と資産運用向けの資金を別にすることが挙げられます。今後のライフプランに向けて資産運用は重要な考え方ですが、現時点における生活を送る資金を準備しなければなりません。

失敗する人の特徴でも説明したように、生活資金を資産運用向けの資金に投入してしまうと、損失が発生したときに、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。両者の資金を別の口座で管理し、混合しないような工夫も大切です。

長期的な目線を持って運用する

次に、資産運用は、長期的な目線を持つようにしましょう。短期的に利益を狙いたい気持ちを抑えて、長期で資産価値向上を見込める商品に投資することで、失敗するリスクを軽減できます。

たとえば、海外不動産投資では、長期的な経済発展に伴い、不動産価格の上昇が見込まれます。とくに、東南アジアの不動産価格は近年上昇傾向が続いており、カンボジアの首都プノンペンにおける地価が2019年の1年間に約12%も上昇しました。確実性の高い利益を狙うためにも、長期的な運用による商品に注目してみましょう。

利回りシミュレーションを行う

投資商品を購入する前に、利回りシミュレーションを実施することが大切です。利回りとは、投資額に対してどれくらい回収できているのかを示す数値で、利回りが大きいほど高い収益を得ていることを意味します。

なお、投資商品ごとに利回りは異なります。たとえば、不動産投資の場合、東京23区内の区分マンションにおける利回りは、2021年1月〜3月時点で築年数10年未満が4.40%、築年数10年〜20年未満で4.88%です(※1)。また、経済発展が続いている東南アジアの不動産は、各国で異なるものの、フィリピンでは6.13%、カンボジアでは5.33%の表面利回りを期待できます(※2)

東南アジア諸国の不動産利回り相場(表面利回り)

国名表面利回り
フィリピン6.13%
カンボジア5.33%
タイ5.13%
マレーシア3.72%

分散投資を徹底する

資産運用を失敗しないためにも、分散投資を徹底しましょう。失敗する人の特徴や失敗例でも取り上げたように、1つの商品に依存している運用方法は失敗につながる可能性があります。

たとえば、幅広い業界に対して投資をしたり、複数の投資商品を均等に保有したりすることで、分散投資を実現できます。ポートフォリオも作成し、現在保有している資産状況をチェックすることも忘れないようにします。

資産運用の専門家に相談する

資産運用初心者の方や、どのように運用すればよいか分からない方は、資産運用の専門家に相談してみることもおすすめします。知識がないまま資産を運用しても、損失を生み出すリスクがあります。

ただし、資産運用の専門家に相談するときには、トラブルを防ぐためにも、相手方の信頼性や、実績などを考慮したうえで選択しましょう。当社は、カンボジアやマレーシアに現地法人を設置し、東南アジアを中心とした海外不動産を紹介しています。海外不動産に精通したスタッフが在籍しているので、気軽にご相談ください。

まとめ

資産運用は一定のリスクが伴うため、慎重に行わなければなりません。失敗する人の特徴で挙げたように、目標・目的のない運用や、生活資金まで投資に回すような資産運用は控えるようにしましょう。

また、資産運用で失敗を防ぐためにも、分散投資を徹底するほか、長期投資を心がけるようにし、リスクの軽減を図ることが大切です。可能であれば専門家にも相談し、安心して資産運用を行ってください。


※1:健美家「築年別 利回りの推移

※2:GlobalPropertyGuide「Rental Yields in Asia