2022-08-12

不動産投資における利回りとは?利回り相場や高利回りの物件を狙うコツ

  • 海外不動産コラム

不動産投資で収益を狙いたい方は、購入前に利回りを調べる必要があります。利回りが低い物件を購入してしまうと、十分な収益が発生しないだけでなく、不動産投資ローンの返済計画にも影響を及ぼす可能性があります。

とはいえ、不動産投資で高い利回りを狙うには、どのような物件を購入すればよいのでしょうか。利回りの意味を把握したうえで、各エリアの不動産利回りの相場や、高利回りの物件を狙う方法を紹介します。

不動産投資における利回りとは?

不動産投資における利回りとは、物件取得費用や手続き費用といった投資資金に対して、1年間にどれくらいの家賃収入を得られているか示す指標です。一般的に、利回りは「◯%」という形で表され、投資資金(100%)に対する比率を意味します。

たとえば、家賃収入で10%の利回りが発生している場合、単純計算で10年間運用することで、投資資金を回収できるということとなります。つまり、元手の回収に向けて重要な数値でもあり、不動産を購入する前に利回りを計算する必要があります。

表面利回りと実質利回りの違い

不動産投資の利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。

はじめに、表面利回りとは、不動産価格と家賃収入をもとに算出される利益率を指します。不動産投資の広告や、インターネット上でよく見る数値で、グロス利回りとも呼ばれています。表面利回りは、不動産購入時の参考として役立ちますが、購入時の経費や、修繕費、管理費などの経費が差し引かれていないので、実際の利回りよりも高く算出されることが多いです。

実質利回りは、不動産購入価格と家賃収入に、諸経費を考慮して計算した利益率です。不動産購入時に発生する手数料や、物件の修繕費、物件の管理費、固定資産税などを差し引いたうえで計算されます。ネット利回り、NOI利回りと呼ばれることもあり、正確な収益を確認できます。

利回りの種類 概要
表面利回り
不動産価格と家賃収入をもとに計算
経費は差し引かれていないので正確性が低い
実質利回り
不動産購入価格と家賃収入に諸経費を考慮して計算
正確性の高い収益率を算出できる

表面利回りと実質利回りの計算方法

表面利回りと実質利回りの違いを理解したあとは、どのような計算方法になるのかを確かめましょう。

まず、表面利回りは、上記で解説したとおり、「不動産購入価格」と「家賃収入」のみで算出します。たとえば、5000万円の物件を購入し、年間150万円の家賃収入が発生しているとしましょう。式で表すと、「(年間の家賃収入÷物件の購入価格)×100」で、150万円÷5000万円×100=「3%」が表面利回りです。

次に、実質利回りの計算方法では、不動産購入価格と家賃収入に諸経費を考慮します。式は、「(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100」です。

5000万円の不動産購入費用に350万円の諸経費が追加でかかり、年間150万円の家賃収入とは別に、20万円の経費(管理費、修繕費、保険など)が出ている場合を計算します。

式に当てはまると、(150万円-20万円)÷(5000万円+350万円)×100=「2.42%」となり、この数字が実質利回りです。

このように、表面利回りと実質利回りの計算結果は異なるので、不動産投資を始める際には、実質利回りも計算しましょう。

利回りの種類 計算式(%)
表面利回り
年間の家賃収入÷物件の購入価格×100
実質利回り
(年間の家賃収入ー年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100

不動産利回りのシミュレーション

実質利回りの計算方法を把握したうえで、利回りのシミュレーションを行ってみましょう。以下のように、東京都23区内の新築マンションを購入したとします。

シミュレーション項目 内容
立地
東京都23区内
不動産価格
4300万円
年間家賃収入
180万円(毎月15万円×12ヶ月)
不動産購入時の経費
300万円
年間の管理費、維持費
18万円(毎月1.5万円×12ヶ月)
実質利回り
(180万円-18万円)÷(4300万円+300万円)×100=3.52%

上記の結果から、物件価格に対して、毎年3.52%の利回りで運用できるという計算となります。今回のシミュレーションでは、管理費のみを反映していますが、ほかにも修繕費などが発生する可能性があります。

また、3.52%という実質利回りの数値だけを見ると、不動産投資に魅力を感じない方も多いかもしれません。しかし、都心のマンションであれば、空室リスクを防ぎやすくなるメリットがあります。シミュレーションの結果はもちろんのこと、次で紹介するエリア別の利回り相場や、エリアの特徴などを把握してから、不動産を購入しましょう。

【エリア別】不動産投資の利回り相場

不動産投資の利回りは、立地するエリアごとで異なります。一般的に、人口が密集しているほど賃貸需要が高く、利回りも比例して高くなる傾向があります。日本国内の東京・大阪・地方それぞれの利回りに加え、人口が増加している東南アジア不動産の利回り相場を紹介します。

東京の不動産利回り相場

東京都内(23区)の不動産表面利回り相場(区分マンション)は、2021年1月〜3月時点で築年数10年未満が4.40%、築年数10年〜20年未満で4.88%です。日本国内でも不動産価格が高いことから、高利回りを狙いにくいとされています。2018年1月〜3月の利回りが、築年数10年未満で4.90%、築年数10年〜で5.25%であったことから、ここ3年間で若干下落傾向にあります。(※1)

大阪市の不動産利回り相場

大阪市の不動産表面利回り相場(区分マンション)は、2021年1月〜3月時点で築年数10年未満が5.11%、築年数10年〜20年未満で5.73%です(※1)。同じ大都市の東京と比較すると物件価格が安いため、その分高利回りを狙えます。東京にも引けを取らない人口(約870万人※2)を誇り、安定した利回りが期待できます。

地方の不動産利回り相場

次に、地方の不動産表面利回り相場(区分マンション)を見ていきます。地方は、東京や大阪よりも物件価格が低いことから、高い利回りを期待できます(※1)。しかし、人口が減少しているエリアは、空室リスクが高まることや、不動産価格が下落してしまうといった点に注意しましょう。

都市名 表面利回り相場(区分マンション)
札幌市
築10年未満:4.89%
築10年〜20年未満:5.50%
仙台市
築10年未満:5.20%
築10年〜20年未満:6.10%
京都市
築10年未満:4.74%
築10年〜20年未満:5.35%
広島市
築10年未満:3.60%
築10年〜20年未満:5.82%
福岡市
築10年未満:5.01%
築10年〜20年未満:5.85%

東南アジアの不動産利回り相場

日本国内の不動産利回り相場だけでなく、経済成長が著しい東南アジアの不動産利回り相場も紹介します。東南アジアの多くの国では、15〜64歳の労働生産年齢の人口増加や、経済発展に伴い、高い利回りを期待できます。

また、カンボジアの首都プノンペンの不動産には、1000万円台から購入可能な物件があるほか、フィリピンでも毎月10万円〜の分割支払いに対応している物件もあります。不動産投資ローンを組むことが難しい点に注意が必要ですが、魅力的な利回りを狙えるのが特徴です。

東南アジア諸国の不動産利回り相場(表面利回り)※3

国名 表面利回り
フィリピン
6.13%
カンボジア
5.33%
タイ
5.13%
マレーシア
3.72%

不動産投資で高利回りを狙うポイント

不動産投資で高利回りを狙うには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。どのような条件だと、不動産投資で高利回りを期待できるのか4つのポイントを紹介します。

生活利便性

1つ目のポイントは、生活の利便性です。一般的に、公共交通機関に近いほど利回りが高くなると言われています。また、物件の近くに、スーパーマーケットやショッピングモールといった商業施設、娯楽施設などがあると、家賃相場が高くなることから、高利回りが期待できます。ただし、利便性が高い不動産は、購入価格も比較的高いため、どれくらいの利回りを得られるか計算が必要です。

入居者の需要にマッチした広さ・建物の状況

不動産の利回りは、物件の広さや設備にも関連があります。たとえば、各エリアにおける不動産の利回り相場でも紹介したように、ワンルームとファミリータイプの部屋では利回りが若干異なります。

また、不動産購入時には、建物の状況を確認しておくことも大切です。ずさんな管理体制が続いていることで、部屋の劣化や、設備が故障している可能性があります。買主が修繕費を負担するとなった場合、利回りにも影響するので注意が必要です。

人口・経済成長が見込めるエリア

不動産投資で高利回りを狙うには、人口や経済成長が見込めるエリアの物件がおすすめです。とくに、生産年齢と呼ばれる15〜64歳が多いエリアでは、賃貸需要が伸びるため、高い利回りを狙えます。

さらに、経済成長が見込めるエリアであれば、将来的に不動産価格が上昇し、物件売却によるキャピタルゲインという形での収益も期待できます。現時点での経済状況だけでなく、今後の経済発展も考慮しながら不動産を購入するようにしましょう。

不動産仲介会社への相談

どの物件を選べばよいか分からないという方は、不動産仲介会社への相談を考えましょう。不動産投資に関する専門的な知識を持っていることや、各エリアの特徴、将来的に不動産価格が伸びやすいエリアなどのアドバイスをもらえるので、不動産投資初心者の方でも安心できます。

ただし、不動産仲介会社を選ぶ場合、購入を検討しているエリアの不動産情報に精通していることや、買主である自身の投資プランを丁寧にヒアリングしてもらえる会社を選ぶことが重要です。

まとめ

不動産投資における利回りは、安定した収益を狙うために欠かせない数値です。また、不動産を購入する際は、表面利回りだけでなく、諸経費を組み込んだうえで計算し、正確性の高い実質利回りを算出しましょう。

高い利回りの不動産を運用するためには、物件に住む入居者の利便性や、物件の広さ、建物の状況などを把握することが重要です。また、経済発展が続く東南アジアの不動産でも高利回りを狙える物件があるので、この機会にぜひ当社までお問い合わせください。

※1: 健美家「築年別 利回りの推移

※2:大阪府の毎月推計人口

※3:GlobalPropertyGuide「Rental Yields in Asia