
「卵は1つのカゴに盛るな」という投資の格言があるように、資産運用では分散投資が重要です。分散投資を徹底しておかないと、予期せぬ損失を招き、取り返しのつかない事態に陥る危険性があります。
今回の記事では、資産運用における分散投資のメリットや、種類を紹介します。分散投資におすすめのポートフォリオの事例もまとめているので、リスク回避に活用してみましょう。
分散投資とは?

分散投資とは、投資対象を多様化し、資産運用に伴うリスクを低減する手法です。具体的には、株式投資の場合、異なる企業や業界に投資したり、株式を購入するタイミングをずらしたりします。
主に中長期の投資スタイルに向いている手法で、個人投資家だけでなく、金融機関や保険会社のような機関投資家でも徹底されています。
資産運用で分散投資を行うメリット

分散投資は、資産運用で重要な考え方ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。投資家目線で得られるメリットを紹介します。
リスクを避けやすくなる
1つ目のメリットは、資産運用におけるリスク回避につながることです。たとえば、余裕資金をすべて使って、ある株式銘柄を購入したとします。もちろん、購入後に株価が上昇すれば利益を得られますが、株価が下がり続けた場合、損失が膨らんでしまいます。
そこで、値動きが異なる商品を組み合わせながら投資することで、1つの商品の価値が下落しても、ほかの商品で損失をカバーできる可能性を高められます。さまざまな投資対象に複数のタイミングに分けて投資し、価格変動リスクを抑えやすいのが分散投資のメリットです。
短期的な売買の頻度を減らせる
次に、短期的な売買の頻度を減らせるのも、分散投資のメリットに挙げられます。1つの投資商品に依存すると、損失を防ぐことに意識が集中し、短期的な売買を繰り返してしまう可能性があります。
一方、分散投資は、基本的に長期的な目線でさまざまな商品に投資するため、短期的な価格変動への意識を減らしやすくなります。とくに、サラリーマンの方や会社を経営している方は、分散投資で長期的に資産運用するのが適切です。
資産運用における分散投資の種類

分散投資は、異なる商品に投資することだけでなく、投資対象の地域や通貨、時間を分散させることも大切です。今後、分散投資で資産運用を始めたい方は、次の4つの分散方法を把握しましょう。
商品の分散
商品の分散は、分散投資の基本となる考え方です。上述したとおり、株式投資であれば、1つの銘柄だけに資金を投入するのではなく、異なる企業や業界などに分散して投資します。
また、株式、投資信託、REIT、債券、不動産といった複数の投資商品への分散も重要です。異なる価格変動の要因を持つ資産に分散させることで、損失のリスクを軽減するほか、利益獲得の可能性を高められます。
地域の分散
地域の分散とは、投資商品の国・地域を分散させることです。不動産投資の場合、日本国内の不動産だけでなく、海外不動産も購入することが分散投資につながります。
将来的に、日本は、人口減少や高齢化による経済規模の縮小が進み、不動産価格にも悪影響を及ぼす可能性があります。一方、東南アジア諸国では、労働生産人口(15〜64歳)を中心とした人口増加に伴う経済発展を遂げています。
たとえば、フィリピンでは、2020年の労働生産人口は6,900万人(全体の約64%)、そして2050年には9,800万人(全体の約66%)にも上ると予測されています(※1)。アジアの不動産データを公表している「Global Property Guide」によると、フィリピンの利回りは6.13%で、日本の2.66%よりも高い数字も出ています(※2)。
通貨の分散
資産運用では、通貨を分散させることも大切です。具体的には、日本円だけでなく、米ドルやユーロ、英ポンド、豪ドルなどの外貨を保有したり、外貨建てで商品を購入したりします。
通貨の分散が重要な理由は、為替変動による資産価値の下落を防ぎやすいためです。2022年7月現在、諸外国との金利政策の違いから、日本円の価値が相対的に下落しています。つまり、日本円で資産を持っていると、気づかないうちに資産価値が下落している可能性があるのです。
たとえば、カンボジアでは、非居住者でも米ドル建てで金融機関の口座を開設できます。現地の不動産投資で得た収入に関しても、米ドル建てでの運用が可能であるため、為替変動によるリスクを最小限に防げます。日本国内の金融機関でも外貨預金に対応しているので、チェックしておきましょう。
時間の分散
最後に、時間の分散です。時間の分散とは、1回にまとめて投資するのではなく、タイミングを変えながら投資を行うことを意味します。
ドルコスト平均法とも呼ばれており、価格が変動する投資対象を決まった期間ごとに買い付ける方法です。複数回に分けて買い付けることで、買値を平均化し、高値で購入するリスクを軽減できます。
【年齢別】分散投資向けポートフォリオの作り方と例

資産運用で分散投資の効果を得るためには、どのようなポートフォリオを作成すればよいのでしょうか。30代、40代、50代、60代と世代別に、分散投資に適したポートフォリオの事例を紹介します。
【30代】分散投資のポートフォリオ例
30代は、定年退職まで30年ほどの時間があるので、長期目線で資産運用しましょう。バランス型であれば、国内株式や投資信託の比率を高めにし、リスクを最小限に抑えます。また、分散投資しつつ、積極的にリターンを狙いたい方は、海外の株式や不動産の購入も検討してみましょう。
【バランス型タイプ】
| 項目 | ポートフォリオに占める割合 |
|---|---|
|
国内・海外株式 |
20% |
|
投資信託 |
30% |
|
国内債券 |
15% |
|
海外債券 |
10% |
|
国内REIT |
15% |
|
海外REIT |
10% |
【積極型タイプ】
| 項目 | ポートフォリオに占める割合 |
|---|---|
|
国内・海外株式 |
30% |
|
投資信託 |
15% |
|
国内債券 |
10% |
|
海外債券 |
5% |
|
国内REIT |
15% |
|
海外REIT |
10% |
|
国内・海外不動産 |
15%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています) |
【40代】分散投資のポートフォリオ例
40代では、安定的に資産を増やせるようなポートフォリオを組むようにしましょう。バランス型のポートフォリオでは、投資信託や国内債券を中心とした分散投資を行い、仕事との両立を狙います。また、資金に余裕がある方は、海外不動産も候補に挙がります。
【バランス型タイプ】
| 項目 | ポートフォリオに占める割合 |
|---|---|
|
国内・海外株式 |
15% |
|
投資信託 |
25% |
|
国内債券 |
35% |
|
海外債券 |
10% |
|
国内REIT |
10% |
|
海外REIT |
5% |
【積極型タイプ】
| 項目 |
ポートフォリオに占める割合 |
|---|---|
|
国内・海外株式 |
30% |
|
投資信託 |
10% |
|
国内債券 |
15% |
|
海外債券 |
5% |
|
国内REIT |
10% |
|
海外REIT |
10% |
|
国内・海外不動産 |
20%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています) |
【50代】分散投資のポートフォリオ例
50代のポートフォリオは、定年退職前であることから、低リスクの国内債券や投資信託、国内株式を中心に分散投資します。資金的な余裕があれば、国内・海外不動産の運用も候補に入れてみましょう。
| 項目 |
ポートフォリオに占める割合 |
|---|---|
|
国内・海外株式 |
10% |
|
投資信託 |
15% |
|
国内債券 |
40% |
|
海外債券 |
5% |
|
国内REIT |
5% |
|
海外REIT |
5% |
|
国内・海外不動産 |
20%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています) |
【60代】分散投資のポートフォリオ例
60代のポートフォリオは、分散投資の目的でもあるリスク回避を重要視した組み合わせが必要です。国内債券の割合を高く維持すると同時に、定年退職後の収入源を作るために、不動産の購入も検討してみましょう。
| 項目 |
ポートフォリオに占める割合 |
|---|---|
|
国内・海外株式 |
5% |
|
投資信託 |
10% |
|
国内債券 |
50% |
|
海外債券 |
5% |
|
国内・海外REIT |
5% |
|
国内・海外不動産 |
25%(※1年間のローン支払い額を基に%表記をしています) |
資産運用で分散投資を始める際の注意点

投資家にとってメリットが多い分散投資ですが、注意しておきたい点もあります。分散投資を始める前に、どのような注意点があるのかを確認しましょう。
短期間でのリターンが出にくい
分散投資は、リスクの軽減に効果がある一方で、短期間でリターンを得られにくいと言われています。各商品への掛金が分散されることから、まとまった金額で投資する場合と比較して、リターンも少なくなります。
また、世界情勢の変化や景気後退などに伴い、元本割れを引き起こすリスクもゼロではありません。あくまでも、ローリスクを目的とした運用方法であり、必ずしもリターンを得られるとは限りません。
管理方法が複雑になる可能性がある
分散投資は、複数の商品を買い付けるため、管理が複雑になる可能性にも注意が必要です。管理しきれないほどの商品を購入すると、どの商品で損失が発生しているのか把握が遅くなり、損失額も増え続けてしまう危険性があります。
管理がおろそかにならないように、ポートフォリオで資産をまとめたり、定期的に損益をチェックしたりするようにしましょう。
どの投資商品を購入するか分析が必要
分散投資は、単純に資産や銘柄を分散させれば効果が出るというわけではありません。似たりよったりの商品を購入していないか、一部の商品の比率が極端に大きくないかなど、分散を意識することが大切です。
たとえば、不動産投資であれば、日本国内だけでなく、海外不動産も選択肢に入れ、地域・通貨の分散を考えるようにします。ほかの資産も同様な考え方を取り入れ、ある資産の価値が下落した場合でも、ほかの資産でカバー可能な状態にすることを心がけましょう。
まとめ
分散投資は、自分の資産を守るために必要な考え方です。低リスクでの資産運用や短期的な売買を防ぎ、安定的に利益を狙いやすくなります。
ただし、資産運用で分散投資を行う際には、デメリットにも注意が必要です。管理が複雑にならないように、ポートフォリオを定期的に確認したり、専門家にどの商品を購入するのかを相談したりしましょう。
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※1:独立行政法人労働政策研究・研修機構「生産年齢人口(15〜64歳人口)」
※2:Global Property Guide「Rental Yields in Asia」


