「外貨預金」を活用した資産運用を始める際には、自分自身に合った運用方法であるかを調べる必要があります。また、メリット・デメリットを踏まえたうえで、適切に運用しなければなりません。

本記事では、外貨預金の仕組みを徹底解説し、どのように儲かるのかを紹介します。損失を出さないように注意点もまとめているので、今後の資産運用に活かしてみましょう。

外貨預金とは

外貨預金とは、その名前のとおり、金融機関で外貨を預金することです。預金の仕組み自体は日本円の預金と変わらず、普通預金・定期預金いずれかの方法を選択できます。また、外貨預金で発生した利息に関しても、そのまま外貨で受け取れます。

「7日もの」、「14日もの」の意味

外貨預金による資産運用を行うなかで、「7日もの」や「14日もの」、「1ヶ月もの」といった言葉を見かける機会があります。定期預金の預入期間のことを指し、各期間の満期を迎えるごとに利息を受け取れます。

つまり、「7日もの」とは、7日間で満期を迎える定期預金のことです。同様に、14日ものは14日間で満期を迎えるといった形で預入期間が決まっています。

外貨預金のメリット

通常の円預金と異なり、外貨預金にはどのようなメリットがあるのでしょうか。外貨預金で資産管理を行うことで儲かる仕組みを紹介します。

円預金よりも高い金利が期待できる

1つ目のメリットは、円預金よりも高い金利を期待できることです。定期預金における円預金の金利は、三井住友銀行の1ヶ月定期預金で0.002%、楽天銀行は0.02%、住信SBIネット銀行で0.02%です。

一方、米ドルで1ヶ月の定期預金を行う場合、2022年7月現在で、三井住友銀行は0.01%、楽天銀行は0.4%、住信SBIネット銀行は0.9%と高い金利となっています(※1)。このように、円預金よりも外貨預金の方が高金利であることから、将来的に資産を増やしやすいのがメリットです。

為替変動による差益を狙いやすい

外貨預金は、金利だけでなく、為替変動による利益を狙えます。たとえば、1ドル=100円のときに100ドル購入(1万円)し、1ドル=120円のときに100ドル(1万2000円分)を売却することで、2000円の利益を獲得できます。

上記のように、外貨と比較して、円の価値が相対的に高い状況(円高)で外貨を購入し、円の価値が相対的に下がったとき(円安)に売却するだけで差益を受け取れます。

通貨分散によるリスクを回避

外貨預金は、分散投資にも役立ちます。一般的に金融機関では、米ドルやユーロ、英ポンド、豪ドル、ニュージーランドドルなどさまざまな外国通貨を取り扱っています。

同一通貨に対して集中的に投資するより、複数の通貨建て資産への分散投資の方が、リスクを回避しながら運用できます。政治や経済といった状況を踏まえて、さまざまな選択肢を持てるのが外貨預金のメリットです。

外貨預金のデメリット

円預金よりも高金利で、為替変動による差益を狙える外貨預金ですが、デメリットにも気をつけなければなりません。思わぬ損失が発生しないように、3つのデメリットも押さえておきましょう。

ペイオフ制度の対象外となる

外貨預金は、ペイオフ制度の対象外である点に注意が必要です。ペイオフとは、金融機関が破綻した際に、預金保険機構が保険金として最大1000万円まで保証する制度です。

しかし、ペイオフは円預金のみが対象で、外貨預金はペイオフの対象外とされています。外貨預金で資産運用を行う方は、預入額のバランスや、金融機関の経営状況を調べるようにしましょう。

為替変動で損失が発生するリスクがある

為替変動は、投資家にとってメリットになることもあれば、デメリットにもなり得ます。たとえば、1ドル=100円のときに100ドル(1万円)購入したあとに、1ドル=80円まで下がると、手元のドルの価値は8000円まで目減りしたこととなります。

このように、外貨預金は円安による利益を狙える一方で、円高傾向が進行すると、元本割れのリスクがあります。

為替手数料がかかる

外貨預金による資産運用を行う場合には、為替手数料にも注意しましょう。日本円から外貨に換金するときと、外貨から日本円に戻す際に、為替手数料が発生します。

金融機関ごとに為替手数料は異なり、米ドル1通貨単位あたりの為替手数料は、三井住友銀行だと、0.5円(店頭の場合は1円)、楽天銀行は0.25円、住信SBIネット銀行は0.04円です。(※2)

外貨預金で儲かるための準備

外貨預金で儲かるためにも、事前準備を徹底しておきましょう。預入・引出のタイミングや、金利シミュレーションに関する準備を紹介します。

預入・引出のタイミングを決める

外貨預金で儲かるには、預入・引出のタイミングが重要です。上記で解説したとおり、外貨預金は為替変動の影響を受けることから、適切なタイミングで取引する必要があります。

具体的には、購入した通貨を基軸通貨とする国における政治や経済状況に不安を感じた際に、早めに通貨を引き出したり、預金額を減らしたりするといった対策を準備しておきましょう。

定期預金の金利シミュレーションを実施する

外貨預金で利益を狙う際には、金利のシミュレーションをしておくと安心です。auじぶん銀行に、1000万円分を米ドルの定期預金で預けた場合のシミュレーションをまとめます。

※レート:1米ドル=137円、預入日7月11日を想定

7月11日に1000万円を米ドルで預けた場合のシミュレーションです。どの金融機関で外貨預金をした場合でも、利息に関して税額を差し引いた額が利益となります。また、円から外貨を換金する際に為替手数料がかかります。

下記の表の通り、短期間で預金をしても、税金と為替手数料でマイナスになる恐れがあります。各金融期間で相談、シミュレーションをしたうえで、外貨預金を始めるようにしましょう。(※3)

 1ヶ月3ヶ月6ヶ月1年
金利2.0%
1.15%
1.15%
1.45%
円換算増減金額
-4,737円
+4,807円
+27,863円
+97,085円
円ベースでの利回り(年率)-0.56%
0.19%
0.55%
0.97%

外貨預金を始める前に知っておきたい注意点

外貨預金で資産管理を行うにあたって、事前に注意点を確認する必要があります。税金や、似た運用方法のFXとの違いについて解説します。

外貨預金で得た利益は課税対象となる

外貨預金で発生した金利と為替変動による利益は、課税対象となります。まず、金利による利益は、金融機関側で納税手続きが行われます。

次に、為替変動で生じた利益は、雑所得として個人で確定申告が必要です。ただし、雑所得が年間20万円以下の場合は、確定申告は必要ありません。税理士にもご相談のうえ、適切に納税を済ませるようにしましょう。

一部金融機関では海外現地で引き出し可能

日本国内の一部金融機関で外貨預金を行った際に、日本国内だけでなく、海外現地でも引き出すことが可能です。住信SBIネット銀行では、外貨普通預金口座に預けた米ドルを使って、ショッピングでの支払いや、海外ATMから引き出せます。(※4)

外貨預金とFXは運用方法が異なる

外貨預金を始める前に、混合しやすいFXとの違いを確認しておきましょう。FXとは、「外国為替証拠金取引」のことを指し、手持ち資金の倍率を高めて取引する方法(レバレッジ)です。

外貨預金は、外貨を安く買って高く売ることで利益を得られる一方、FXであれば、高く売って安く買い戻すことでも利益を狙えます。ただし、FXはレバレッジによる運用であるため、為替変動の読みが外れた場合、損失額も膨れ上がる危険性があります。また、FXの場合、スワップポイントと呼ばれる金利差による利益を得ることも可能ですが、ペアとなる通貨を比較して、高金利の通貨を購入したときのみに限られます。

まとめ

外貨預金は、金融機関に外貨を預けるだけで利益を狙える資産運用方法です。各金融機関における金利と為替変動の2パターンで儲かる仕組みで、初心者でも安心して始められます。

ただし、外貨預金は、ペイオフ制度の対象とならないことや、為替手数料が発生するといったデメリットにも注意が必要です。事前準備を徹底したうえで、外貨預金を始めてみてください。

※1:各金融機関円預金金利、外貨預金金利

三井住友銀行:円預金金利外貨預金金利

楽天銀行:円預金金利外貨預金金利

住信SBIネット銀行:円預金金利外貨預金金利

※2:外貨預金為替手数料

三井住友銀行:外貨預金為替手数料

楽天銀行:外貨預金為替手数料

住信SBIネット銀行:外貨預金為替手数料

※3:auじぶん銀行外貨定期預金シミュレーション

※4:住信SBIネット銀行:ご利用方法 - 海外でのご利用