日本経済の先行きが不透明なことから、海外での資産運用にも注目が集まっています。海外にも、日本同様に豊富な投資商品があり、さまざまなチャンスを期待できます。
しかし、海外で投資を始める際には、いくつかの注意点にも気をつけなければなりません。本記事では、海外での資産運用を始める方法や、注意しておきたいことを解説します。資産運用先におすすめのエリアも紹介しているので、最後までチェックしてみてください。
日本人は投資に興味がないのか?
そもそもですが、日本人は海外と比較して、投資への興味が海外と比較して高くありません。とくに、日本人とアメリカ人の投資に対する考え方には、数値としても大きな違いがあります。日本人は貯金好きとも言われており、現金比率は50%を超えています。一方、アメリカ人の現金比率は12%で、貯蓄に回すよりも金融資産を保有する傾向が高いです。(※1)
とはいえ、日本国内でも、近年投資人口が増加しています。野村総合研究所のデータによると、「投資を行っている」と回答した割合が、2015年の16%から、2021年には21.1%まで上昇しました。単純計算で、日本全国で1,470万人もの人が投資にチャレンジしている結果となりました。(※2) 「貯蓄から投資へ」と金融庁で呼びかけられていることもあり、投資熱が高まっています。
海外でも資産運用をしないことによるデメリット
若者を中心に投資熱が高まっている日本ですが、日本国内の資産のみを運用することにデメリットがあります。日本の経済状況を踏まえて、国内資産だけを持ち続けるデメリットをまとめます。
日本国内の経済成長が停滞している
日本国内の経済成長が鈍化していることに目を向けなければなりません。日本のGDP成長率は、ここ10年間0〜2%台を推移しており、経済の停滞時期を迎えています。
国土交通省の「我が国の経済成長について」において、1995年と2050年のGDPの伸び率を数値化したものによると、日本が1.7倍なのに対して、中国は18倍、アメリカは3.1倍と予想されています。新興国ではインドが25.3倍、インドネシアが9倍という数値を見ると、日本経済の伸びしろは極端に低いことがわかります。(※3)
日本円の価値が相対的に下がっている
国内だけに資産を持っていると、徐々に資産が目減りする可能性があります。というのも、2022年現在、円安傾向が高まっており、円の価値が相対的に下落しているためです。
たとえば、海外の商品を購入したり、海外に用事で訪れたりする際に、これまで以上に金銭的な負担を強いられることとなります。
利回りに魅力を感じにくい
日本の投資商品は、海外と比較すると、利回りがあまり高くありません。たとえば、10年国債を例にすると、日本国債10年が0.244である一方、米国債10年は2.99、ドイツは1.30、イギリスは2.2と高い水準です。
また、不動産市場においても、日本の不動産の利回りが約3%に対して、東南アジアのカンボジアでは約5%、フィリピンでは約6%と高い利回りを狙えます。(※4)
※:楽天証券 2022年6月8日時点での利回り
海外での資産運用におすすめの商品
海外で資産運用をするとなった場合、どのような投資商品を購入すればよいのでしょうか。日本国内からでも購入可能な投資商品を5つ紹介します。
外国株式
1つ目は、海外の株式です。日本企業が株式を発行して資金調達を行っているのと同じように、海外企業も株式を発行しています。
「海外企業の株式に投資するには、海外の証券会社に口座が必要なのでは?」と思われる方も多いですが、海外の主要企業であれば、日本の証券会社を介して購入できます。たとえば、アメリカのテック企業を代表する「Apple」や「Microsoft」、「Amazon」も日本の証券会社から購入可能です。
また、一部の証券会社では、東南アジアやアフリカといった新興国の株式も提供しています。将来的に成長が期待されている国の株式を購入し、数年後に株式を売却することで、キャピタルゲインを狙えます。
海外の投資信託(インデックス投資)
投資信託とは、投資専門の運用会社が投資家からお金を集め、国内外の株式や債券などに分散投資することです。投資家自身で運用する必要がないほか、個別株と異なり、少ない資金で始められるのが特徴です。
投資信託にはさまざまな商品があります。株価指数に連動するインデックスファンドや、先進国の株式を集中的に運用するファンド、新興国型のファンドなど、日本国内にいながら海外資産を運用できます。
アメリカや新興国の国債
国債とは、政府が発行する債務証券のことで、投資家から資金を借り入れるために発行するものです。債券発行時に、債券の発行者が投資家に対して償還する期日を設けており、満期を迎えた段階で額面の金額が払い戻されます。
各国で国債が発行されていますが、米国債や新興国の国債は、投資先として魅力的です。米国債は、世界の基軸通貨であることや、2022年現在でアメリカの格付け会社「S&P」から、米国債は上から2番目のAA+(日本は上から5番目のA+)の評価を獲得している信頼性があります。また、新興国の国債は、政策金利が高く、先進国よりも利回りを狙いやすいのが特徴です。
外貨預金
外貨預金とは、その名前のとおり、海外の通貨である外貨を預金することです。たとえば、1ドル=100円のときに、米ドルを100ドル分(1万円)購入したとします。その後、1ドル=120円まで円安が進んだ場合、100ドルは1.2万円(2千円の利益)まで価値が上がります。
また、外貨預金は、為替変動だけでなく、金利による利益も狙えます。三井住友銀行の外貨預金を例に挙げると、米ドルの場合であれば、1年間の外貨定期預金で0.01%の金利が付きます。
ネット銀行の場合であれば、大手のメガバンクよりも高い金利で預金できます。たとえば、住信SBIネット銀行における米ドル預金の金利は、1年間の定期預金で1.350%です。(※5)
日本国内で外貨預金を始める際には、銀行や証券会社で申し込めます。円預金と同様に、外貨普通預金や外貨定期預金といった商品を取り扱っているほか、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドルなどさまざまな外貨を選んで預金できます。
海外不動産の購入
最後に、海外不動産の購入です。日本国内に不動産を保有することも資産運用の1つですが、日本経済の成長鈍化や少子高齢化などの影響を受けて、不動産価値が伸び悩む可能性があります。
一方で、カンボジアやマレーシア、フィリピンといった東南アジア諸国は、経済成長の真っただ中で、将来的に不動産価格が上昇すると期待されています。東南アジアの不動産にも一定のリスクがありますが、大手ディベロッパーの不動産を購入したり、信頼性の高い不動産会社を選んだりすることで、リスクを抑えた資産運用を行えます。
海外で資産運用を始めるときの注意点
海外で資産運用にチャレンジをしてみたい方は、注意点にも気を付けるようにしましょう。
ポートフォリオのバランスを考える
最初に、ポートフォリオのバランスを意識することです。国内で資産運用を行う場合にも考えなければならないことですが、特定の商品や国・エリアに偏ると、思わぬ損失を招く危険性があります。
たとえば、「円安」を狙って、外貨を中心に海外資産を保有していたとします。しかし、予想とは逆に「円高」の傾向が強くなると、日本円に対して資産が目減りすることとなります。
また、自身の年齢に応じて、ポートフォリオを細かく変えてみることもおすすめです。20代であれば、長期投資の軸に国内外の債券や、投資信託を持っていると、理想的な資産形成を期待できます。40代だと、老後のことを考えて、資産が目減りしにくい債券の比率を増やしてみることや、インデックスファンドへの投資も検討してみてください。
このように、海外株式や国債、不動産といった資産をバランスよく持つことが、リスクヘッジにもつながります。
カントリーリスクの管理を徹底する
海外資産を運用する際には、カントリーリスクに十分注意しなければなりません。とくに、新興国は、政治的なリスクや為替リスクに加え、先進国と比較して情報が入手しにくいというリスクがあります。
カントリーリスクを避ける方法は、格付会社が発表しているレーティングを参考にすることや、専門家への相談です。人伝えの噂で資産を購入したり、根拠のない分析で海外に投資したりするのは控えるようにしましょう
海外での資産運用で発生する税金の納税先を調べる
海外の資産を運用するなかで得た利益に関して、納税先を明確にしておくことも大切です。日本の金融機関を介して海外の株式や国債、外貨といった資産を購入し、利益が発生した場合には日本国内での納税が必要です。節税目的で、海外口座を開設する方もいますが、原則として日本国内に居住している方は、日本国内で税金を納めることとなります。
また、駐在員の方で、直接海外の資産を購入している場合、赴任先の居住国でも納税義務が発生する可能性があります。現地の公的機関でも確認し、税金滞納による罰則にも注意しましょう。
5,000万円を超える場合は国外財産調書を提出する
日本国内に居住している方のなかで、5,000万円を超える海外資産を保有している場合、国外財産調書を提出しなければなりません。5,000万円の内訳は、外国株式を含む有価証券、預金、不動産などが含まれます。
また、国外財産調書の提出を正当な理由なく怠った場合、、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがあります。
円建て・外貨建てのどちらを選ぶか検討する
海外資産を運用するなかで、「円建て」、「外貨建て」のどちらを選ぶか迷うことがあります。為替相場の状況にもよりますが、外貨建ての方が海外の資産を運用している意味合いが強くなります。
円建てで注意しておきたいのが、購入・売却を行うごとに為替手数料がかかることです。たとえば、米国株を購入する際に、「円建て」で取引を行ったとすると、「株式購入→利益確定の売却→売却益で株式を購入→利益確定の売却」といったステップごとに為替手数料が発生します。
一方で、「米ドル建て」で取引を行った場合、米国株を購入するときと、最終的に米ドルを円に戻すときにしか為替手数料が発生しません。ただし、円高傾向が強い場合には、外貨建てだと資産が目減りするので注意しましょう。
取引概要(米国株の場合) | 円建てで購入 | 外貨建てで購入 |
---|---|---|
米ドル購入 | 為替手数料発生 | |
米国株式Aを購入 | 為替手数料発生 | |
米国株式Aを利益確定で売却 | 為替手数料発生 | |
米国株式Bを購入 | 為替手数料発生 | |
米国株式Bを利益確定で売却 | 為替手数料発生 | |
米ドルを円に両替 | 為替手数料発生 |
成長性の高い国に対して投資する
海外で資産を保有する際には、成長性の高い国への投資も検討してみてください。もちろん、リスク回避を狙って、先進国を中心としたポートフォリオでも問題はありません。
とはいえ、キャピタルゲインを狙うのであれば、今後の成長を踏まえて、新興国の資産を保有してみることもおすすめします。カンボジアやマレーシアといった東南アジア諸国は、毎年のようにGDP成長率が伸びており、資産運用先として魅力的な投資先と言えます。
海外の資産運用に詳しいエージェントを選定する
海外での資産運用が初めての方や、失敗のリスクを避けたいという方は、エージェントの選定が重要です。資産運用・投資という領域であることから、詐欺を企むエージェントも少なくありません。被害に遭わないためにも、各エージェントを比較したり、実際に対面で相談をしてみたりすることをおすすめします。
当社は、お客様に安心して不動産をご購入して頂けるように、海外の不動産情報に精通した担当者へのご相談が可能です。マレーシアとカンボジアにも現地法人を設置し、最新の不動産情報を提供しております。海外での資産運用に、海外不動産へのご興味がある方はこの機会にぜひお問合せください。
海外の資産運用先で東南アジアが魅力な理由
今後、海外で資産運用を始めるにあたって、東南アジアを候補の1つに検討してみてください。一定のカントリーリスクがあるものの、東南アジアの成長性は資産運用にも魅力があります。
東南アジア諸国で経済が成長している
東南アジア諸国は、著しく経済成長が進んでおり、資産運用先として魅力的なエリアです。「貧困国」のイメージがあるカンボジアは、2011年以降、6〜7%台を推移しています。
新型コロナウイルスの影響で、2020年および2021年は一時的に成長率が下落したものの、2022年は5.1%の成長が予想されています。 今後の経済成長が進むなかで、資産価値の上昇にも期待できます。(※6、7)
低予算で資産運用を始められる
東南アジアの資産運用は、低予算から始められるのが魅力です。東南アジアの不動産価格は、先進国と比較しても安く、1,000万円台で購入可能なコンドミニアムも少なくありません。
将来的に経済成長が進み、不動産を含む資産を売却して、キャピタルゲインを狙いやすいのがメリットです。
外国人でも資産運用を始めやすい環境が整っている
東南アジアは、外国人でも資産運用を始めやすい環境が整っています。カンボジアでは、非非居住者の外国人でも銀行口座の開設が可能です。
また、東南アジア諸国では、基本的に非居住者や投資ビザを持っていなくても、現地の不動産を購入できます。低予算で始められることや、外国人でも不動産投資を始めやすい環境が整っていることから、資産の分散にも適しています。
まとめ
日本経済の停滞が危惧されるなかで、海外で資産運用を始めることがリスクヘッジにつながります。海外に移住しなくても、日本国内で海外株式や、国債、海外不動産などの資産を運用できます。
しかし、海外の投資情報が入手しにくいことや、どのように運用すればよいのか迷われることも少なくありません。そこで、当社では、海外不動産投資を専門に、お客様のご希望や条件に応じて、最適な不動産をご紹介しております。少しでも気になることがありましたら、ぜひお問い合わせください。
※1:現金と預貯金の比率、日本は54.7%・米国12.7%…日米の家計資産構成比率の推移
※2:野村総合研究所「高まる投資熱-投資している人と投資に興味を持つ人の割合が大きく上昇-」
※3:国土交通省「我が国の経済成長について」
※4:Global Property Guide「Rental Yields in Asia」
※5:三井住友銀行「外貨預金金利」、住信SBIネット銀行「外貨定期預金」
※6:1994から2021におけるカンボジアの実質GDP成長率のチャート
※7:JETRO「需要拡大などを背景に景況感は大幅なプラスに(カンボジア)」