リート(REIT)はまとまった資金がなくても、少ない資金で不動産投資が行える金融商品です。
リートに注目している方の中には、国内リートと海外リート、どちらに投資しようかと迷っている方も多いでしょう。
本記事では、国内と海外のリートについての情報をまとめました。リートを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
リートは国内と海外どっちがおすすめ?そもそもリートとは?
まずは、「リートとはそもそも何なのか?」という基本知識を整理していきましょう。
リートとは不動産投資信託のことで、少額で不動産投資を始めることができる
リート(REIT)とは「Real Estate Investment Trust」の略であり、日本語では「不動産投資信託」といいます。
投資信託とは、投資家から集めたお金を大きな資金として運用し、投資家たちに代わって投資活動を行う金融商品のことです。「ファンド」とも呼ばれています。
リートでは投資家から集めた資金を不動産に投資するのが特徴です。投資家1人あたり数万円〜数十万円、ときには数百万円の投資額を集めます。そのため、リートでは少額から不動産投資を始められ、利回りに応じた利益が得られる仕組みとなっています。
また、リートは「収益の90%以上を投資家に還元」する必要があるため、株式投資よりも配当利回りが高い傾向にあり、相場は1〜5%、多くの銘柄は年利4〜6%台と高利回りです。
不動産投資とリートはどちらがいい?
リートに投資するにあたって、不動産投資と比較することとなります。下記のとおり、両者のメリット・デメリットを紹介します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
リート | ・自分自身で運用する必要がない ・少額の資金で始められる | ・運用手数料がかかる ・リート向けのローンが組めない |
不動産投資 | ・ローンを組めば初期費用を抑えられる ・家賃収入と売却による収益を狙える | ・管理、運用の手間がかかる(外部委託可能) ・空室により収益が途絶える可能がある |
いずれの運用方法でも、メリット・デメリットが存在します。リートは、金銭的な負担を抑えられるものの、運用手数料が発生することや、リート向けのローンが組めない点に注意が必要です。
一方、不動産投資は空室リスクに伴う収益が途絶える危険性がありますが、初期費用が安く済む点、家賃収入・物件売却による収益を狙える点がメリットです。
特に最近では、海外不動産投資も注目されています。経済発展が続く東南アジアの不動産は、将来的に物件価格の上昇が見込まれており、数年後、数十年後にキャピタルゲインという形で大きな収益を狙えます。
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国内リートのメリット
リートは、国内と海外で特徴が異なります。まずは国内リートのメリットをご紹介します。
個別の銘柄をリアルタイムで購入できる
国内リートに投資をするメリットは、「個別の銘柄をリアルタイムで購入できる」ことです。やはり、投資先が日本国内にあるというのは大きなアドバンテージであり、欲しい銘柄があるときは素早く購入できます。
また、ネット証券などで手軽に注文できるのも大きな魅力です。スマホがあればどこにいても気に入った銘柄を購入できるため、投資としての幅が広がります。
情報が取得しやすい
もう1つの大きなメリットは、「情報が取得しやすい」ことです。リートで効率よく資産を増やすためには、正確な不動産情報をリアルタイムに取得し、金融商品としての将来性をしっかりと見極める必要があります。
銘柄ごとに投資している不動産を実際に見ることもできるため、投資有効性を分析することが可能です。また、情報はリアルタイムで変化するため、投資銘柄に影響するような情報を素早くキャッチできるのも国内リートの魅力です。
国内リートのデメリットとリスク
続いて国内リートのデメリットとリスクをご紹介します。デメリットとリスクも把握した上で、投資可否を判断しましょう。
対象となる投資商品が少ない
国内リートのデメリットは「対象となる投資商品が少ない」ことです。基本的には居住用不動産、オフィス・テナントビル、物流不動産などに限定されます。また、収益源も賃料による利益が中心となります。
海外リートに比べて投資対象が少ないというのは、積極的な投資家からすると物足りなく感じることでしょう。
また、投資対象が居住用不動産、オフィス・テナントビル、物流不動産などに限られるということ、全て日本国内の不動産であることから、分散投資の範囲が限定的になります。
少しでもリスクヘッジをしたい方にとっては、少々リスクを感じるかもしれません。
海外リートと比較すると利回りが低い傾向にある
「海外リートと比較すると利回りが低い」というのもデメリットの1つです。海外リートの中には、利回りが12%を超える銘柄も少なくありません。
一方、国内リートの利回りは3〜9%台となっており、海外銘柄と比べると、利回りは比較的低い水準です。(2024年11月末時点)
高利回りは基本的にハイリスク・ハイリターンですが、投資効率を重視している投資家にとっては重要な要素でしょう。
国内リートの利回りランキング
それでは、国内リートの数ある銘柄の中で、上位5つの利回りランキングをご紹介します。(2024年11月末時点)
【出典】J-REIT銘柄ランキング|JAPANREIT 不動産投信情報ポータル
1位 : いちごホテルリート投資法人/約9%
いちごホテルリート投資法人は、いちご株式会社をスポンサーとするホテル特化型のリート銘柄です。資産規模は700億円とやや小振りですが、物件が地方都市を中心に全国各地に分散しているためリスクが抑えられています。代表的な物件は「ネストホテル大阪心斎橋」です。
2位 : タカラレーベン不動産投資法人/約6%
タカラレーベン不動産投資法人は、総合型リートの銘柄です。資産規模は1,322億円で、かつてはオフィスの投資比率が高かったものの、2024年1月に住居を中心とした総合型リートへ方針変更を発表しました。住宅37%、オフィス34%、商業施設16%、その他ホテルと底地へ分散されています。代表的な物件は品川区にある「NTビル」です。
3位 : グローバル・ワン不動産投資法人/約6%
グローバル・ワン不動産投資法人は、明治安田生命、三菱UFJフィナンシャル・グループ、近鉄グループをスポンサーとするオフィス特化型リートの銘柄です。特に駅近、築浅、大型のオフィス物件にフォーカスした厳選投資の方針を採っており、規模拡大よりも質を重視しています。代表的な物件は「楽天クリムゾンハウス青山」です。
4位 : 東海道リート投資法人/約6%
東海道リート投資法人は、東海道地域の安定資産に重点投資をする地方型リートの銘柄です。日本のGDPの半分ほどを占める静岡・愛知・三重の産業地域への投資が全体の60%以上を占めているため、安定した収益が得られています。投資対象は、物流施設・オフィスビル等の「産業インフラアセット」と、住宅・商業施設の底地等の「生活インフラアセット」の2つのタイプに区分しています。 代表的な物件は「浜松プラザ」の底地です。
5位 : 積水ハウス・リート投資法人/約6%
積水ハウス・リート投資法人は、総合型リートの銘柄です。2023年に投資方針を変更し、住宅を中心とした総合型リートへ移行しました。更に2024年に海外不動産投資を開始しました。代表的な物件は「ザアイビーオンボーレン(米国ワシントン州の住宅)」です。
2025年の国内リートの見通し
2024年の国内リートは日銀の追加利上げ観測が高まったことから国内長期金利が上昇し、一時的に下落に転じました。
しかし翌年以降も長期的には安定的に推移すると見られています。相当程度の金利上昇を織り込み、国内リート市場の割安感が強まっていると判断しており、国内リート市場は底堅く推移すると見られています。
国内リートの配当利回りは約5%となり、国内株式の配当利回りや10年国債の利回りを超えているため、金融商品としてさらに注目が集まるでしょう。ただし、銘柄によって取り扱っている物件や成長率が大きく変わるため注意が必要です。
海外リートのメリット
ここからは海外リートのご紹介に移ります。まずは、国内リートと比較した際のメリットをご紹介します。
様々な商品に分散投資できる
一般社団法人不動産証券化協会の調査によると、日本を除く海外リートの上場銘柄数は1,454銘柄となっています(2023年3月時点)。
国名 | 上場銘柄数 | 株式時価総額(単位:億円) |
---|---|---|
アメリカ | 204 | 169兆8,521億円 |
フランス | 23 | 5兆6,077億円 |
イギリス | 96 | 10兆9,144億円 |
日本 | 60 | 14兆9,781億円 |
オーストラリア | 46 | 12兆2,355億円 |
シンガポール | 38 | 9兆7,360億円 |
マレーシア | 19 | 1兆4,145億円 |
海外リートでは数ある銘柄からお気に入りの銘柄に投資できるため、更なる分散投資が可能です。また、データセンターやセルタワー(電波基地局)など、国内リートでは不可能な不動産への投資も可能です。
国内リート(REIT)よりも高利回りが期待できる
海外リートでは物件開発を行う銘柄もあるため、国内リートや株式投資よりも高い利回りが期待できます。銘柄によっては利回りが10%を超えるものもあります。
海外リートのデメリットとリスク
続いて、海外リートのデメリットとリスクをご紹介します。国内リートと同じく、デメリット・リスクをしっかりと把握した上で投資可否を判断しましょう。
ETF(上場投資信託)では個別の銘柄を購入できない
海外リートのうち、気に入った銘柄だけを購入したい場合は現地に証券口座を開設しなければいけません。
現地での証券口座開設は難易度が高いため、多くの日本人投資家はETF(上場投資信託)を経由して海外リートに投資することになります。その際の問題は、ETF経由で海外リートに投資をすると、ファンドに組み込まれている他の銘柄も購入することになる、ということです。
投資としての自由度が高いようで、ETF経由では逆に自由度が低くなってしまうケースもあることに注意が必要です。
正確な情報収集が難しい
当然のことながら、国内リートに比べて海外リートは情報収集が難しいというデメリットがあります。
各銘柄の保有物件を直接見ることはできず、不動産に影響するような経済情報を取得するのも困難です。正確な情報取集ができないと正しい投資判断を下せないため、海外リートは必然的に高リスクとなってしまいます。
長期投資を考えていない人にはおすすめしない
海外リートは株式よりも市場の影響を受けやすく、経済・政治やその他の原因により大きく下落するリスクもあります。したがって長期投資が基本であり、短期投資を考えている人にはおすすめできません。
また国内リートよりも海外リートの方がコロナ禍における下落率が大きいということが、ここ数年で判明しました。
海外リートに比べて取り扱い物件が少なく利回りが低い国内リートですが、緊急時の下落率が小さいということはリスクヘッジができるということです。
海外リートの利回りランキング
それでは、海外リートの利回りランキングをご紹介します。(2024年11月末時点)
1位 : ダイワ世界リート・ファンド(毎月分配型)/約14%
ダイワ世界リート・ファンドは、北米、欧州、アジア・オセアニアの不動産投資信託証券に均等に投資することを目指している銘柄です。組入れる銘柄の業種及び国、地域の分散を考慮し、銘柄毎の配当利回り、期待される成長性、相対的な割安度などを考慮して投資銘柄を選定しています。
2位 : ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Aコース/約14%
主に米国の金融商品取引所上場、および店頭登録のリートに投資をする銘柄です。配当利回りを重視しており、FTSE NAREIT エクイティREIT・インデックスをベンチマークとしています。為替ヘッジを行っています。
3位 : 新光US-REITオープン/約12%
主に米国の金融商品取引所上場、および店頭登録のリートに投資をする銘柄です。市場平均よりも高い水準の配当収益の確保と長期的な値上がり益の獲得を目指しています。米国リートの業績動向と保有する不動産の価値についてバランス良く調査し、長期的な成長性または内在する価値からの割安度を重視しています。為替ヘッジを行っていません。
4位 : ドイチェ・グローバルREIT投信(南アフリカランドコース)(毎月分配型)/約12%
日本を含む世界各国の金融商品取引所に上場されているリートなどを主要投資対象とする銘柄です。米ドル建以外の投資を行う場合、当該通貨売り、米ドル買いの為替取引を行い、米ドル建資産を対南アフリカランドで為替取引を行います。
5位 : マッコーリー豪州REIT<Wプレミアム>(毎月決算型)/約12%
オーストラリアのリートへ投資をする銘柄です。円に対する豪ドル、およびオーストラリアのリート指数のコール・オプションの売却を行っています。人口動態分析やマクロ経済分析などのトップダウン・アプローチと、個別銘柄の割安度や保有資産の分析および資本構造の分析によるボトムアップ・アプローチを併用して銘柄を選定しています。為替ヘッジは行っていません。
2025年の海外リートの見通し
海外リートの中でも特に米国リートは、2024年のアメリカ大統領選挙の結果が大きく影響する見通しです。トランプ氏の当選により長期金利が上昇トレンドになり、リートの下落が予想されたものの、今のところ大きな変化はありません。
一方で、今後高いパフォーマンスを発揮すると考えられているのが「住宅」のサブセクターです。たとえば、米国の戸建住宅の供給は1970年以来最低水準となっており、供給不足から住宅価格が急激に上昇しており、「住宅」のサブセクターが成長すると考えられています。
また、長期的な需要増加が見込まれる分野であるデータセンターやヘルスケアセクターも期待を高めています。これらのセクターに加え、サプライチェーンの混乱に備えて企業が在庫を増加させる動きから、これまで逆風下にあった産業施設への需要が再度増加する可能性にも注目が集まりそうです。
これから海外リートに投資をする方は、銘柄選びが非常に重要なので各種情報を十分にキャッチした上で、投資する銘柄を慎重に決めていきましょう。
【出典】米大統領選挙を受けての米国リートの見通し|大和アセットマネジメント
日本人に人気の米国リートは、どこの証券会社がおすすめ?
それでは最後に、日本人に人気の米国リートを提供する証券会社をご紹介します。
楽天証券
楽天証券は、大手楽天グループが運営しているということと、ファンド数が業界最多水準ということがメリットです。また、楽天証券でポイントを使ってファンドを購入すると、楽天市場におけるショッピングでのポイント付与率がアップするため、楽天ユーザーに人気の証券会社となっています。
SBI証券
SBI証券は、国内株式取引(個人)でシェアNo.1のネット証券です。全体として手数料が安い、使いやすいといった口コミが多く、iDeCo(個人型確定拠出年金)も取り扱っているため、老後資産の形成にも最適です。IPO投資も行えるため、米国リートだけでなくさまざまな金融商品に投資できます。
LINE証券
LINE証券は、上記2社に比べるとファンド数が少ないものの、スマホで取引しやすいデザインになっているのが特徴です。また、LINEポイントが貯まり、ポイントを使って投資できるのもLINE証券の大きな特徴となっています。毎月の自動積み立てが可能で、全銘柄の購入手数料が無料となっています。
まとめ
本記事では国内と海外のリートについての情報をご紹介しました。2025年以降も注目高まるリートは、国内と海外で違いが大きいため、それぞれのメリットとデメリット・リスクをしっかりと把握することが大切です。
「高利回りだから」という単純な理由で海外リートを選ぶのではなく、取引にかかるトータルコストなども試算した上で、安全に運用されている銘柄を選ぶことをおすすめします。