観光先としても有名なタイは、日本人からの海外不動産投資先としても強い人気があります。タイと言えば首都のバンコクを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

しかし、タイにはバンコク以外にも不動産投資の対象となり得るエリアがあります。また、ミクロの視点では、バンコクの中でもメリットやリスクなど特徴が異なるため要注意です。タイ不動産投資で投資対象となり得るエリアにつて、その特徴を解説します。

首都バンコク

タイの首都バンコクは、タイ不動産投資で選べるエリアの中でも最も中心的な選択肢です。しかし、バンコクの中でもエリアによってメリットやリスクなどの特徴が異なる点に要注意です。バンコクの特徴をエリア別に解説します。

中心部:アソーク・プロンポン

タイの首都バンコクには、MRTと呼ばれる地下鉄とBTSと呼ばれる地上鉄道が整備されています。アソークはMRTとBTSとの接続駅として機能しており、バンコクの中心とも言えるエリアです。駅周辺には大型のショッピングモールが立ち並んでおり、地元のタイ人に加えて観光客も多く集まっています。また、アソークに隣接するプロンポンはバンコクの日本人街として知られるエリアです。

駅周辺には日本語の看板を出している飲食店も多く、周辺にはバンコクの日本人駐在員などが多く居住しています。プロンポンにも、駅前にエンポリアムという大規模ショッピングモールが建っています。タイのビジネスパーソンや観光客など、タイの中でも最も人が集まるエリアと言って過言ではありません。

タイは東南アジアの新興国に分類されるものの、バンコクの中心部では物件価格もそれなりに高くなっています。富裕層や外国人駐在員など属性高めの入居者を見込める一方で、物件価格が高いことから想定利回りは低めです。投資を検討するのであれば、収支のシミュレーションには注意を要します。

中心部:シーロム

シーロムはアソークやプロンポンから見て南側に位置するエリアです。ルンピニ公園という大きな公園があり、周辺には諸外国の大使館などがあります。

また、シーロムはバンコクの中でもビジネス街の色合いが強いエリアです。周辺には多くの海外企業が事務所を設置しています。大使館や海外企業が集まっているために、属性の高い外国人が集まるエリアです。

なお、シーロム駅の周辺にも日本料理店など日本人向けの店舗が軒を連ねています。シーロムもまた、プロンポンなどと同様に現地で飲食店などを経営する日本人が多いエリアです。

中心部:プラカノン・オンヌット

プラカノンやオンヌットは、バンコク中心部の東側に位置するエリアです。BTSスクンビット線の沿線に位置しており、アソークやプロンポンなどと比較すると閑静なエリアと言えます。

鉄道沿線の道路から路地に入っていくと、オフィスビルよりはコンドミニアムなどの集合住宅が多く立ち並んでいます。中心部と比較するとオフィスビルや商業施設は少ないものの、プラカノンやオンヌットは、都市の中心部へ通勤する人も多く住んでいるエリアです。

バンコクでは朝夕の交通渋滞が常態化しているため、通勤に鉄道を利用する人も少なくありません。プラカノンやオンヌットなどのエリアでは、駅までの近さなど利便性が入居者の有無を左右します。なお、自宅から駅までの往復にバイクタクシーを利用する人も多いため、バイクタクシーのプールを意識してエリア選定すると、空室リスクの軽減が可能です。

外縁部:サムローン

サムローンはプラカノンやオンヌットよりもさらに東側のエリアです。サムローン周辺のエリアでは、オフィスよりも自動車メーカーの工場などが多くなります。どちらかというと、外国人のオフィスワーカーよりは、地元タイ人のブルーワーカーなどが多く住んでいるエリアです。

バンコクの中心部と比較すると物件価格も安く、投資しやすい物件が多いエリアと言えます。しかし、その一方で、低価格帯の物件では募集家賃も下がるため、キャッシュフローが出づらい物件も多くなる点に要注意です。

そのほか、バンコク中心部では賃貸管理を委託できる日系不動産会社も複数ありますが、サムローンを含む外縁部では、営業エリアに含めていない不動産会社も多くなります。外縁部の物件に投資する場合は、入居者募集の委託先に困る可能性があるため、あらかじめ賃貸管理会社を確認することが重要です。

シラチャ

シラチャはバンコクから見て南東に位置しており、バンコクとパタヤとの間にある都市です。港湾都市として発展しており、多くの日系メーカーが海外拠点を設けています。現地へ進出している日系企業は、例えばトヨタ紡績の関連会社や三菱電機などです。

現地には日本人向けの飲食店が多く、日本料理を出している居酒屋なども多数見受けられます。夜には工場に勤務する日本人の駐在員で席が埋まるお店もあるほどです。アパマンショップのフランチャイズも現地で店舗展開しており、日本人駐在員向けの賃貸物件も少なくありません。

このため、シラチャでは日本人駐在員の入居を狙った投資が可能になります。ただし、日系メーカーの業績次第では企業が撤退してしまうこともあり得るため、日本人の入居有無は景気次第な点に要注意です。タイまたは日本で景気が悪化すると、空室発生のリスクが出てきます。

また、日本人を意識した物件には、高層コンドミニアムなど現地人から見て高級物件と言えるものも少なくありません。現地のタイ人は入居者としてなかなか見込めないため、要注意です。

パタヤ

パタヤは日本人のみならず、外国人にも人気のあるリゾートエリアです。マレーシアやシンガポールなど周辺諸国から2~3時間程度で行けるため、海外から観光客が集まってきます。

パタヤでは、リゾートエリアの特性を活かして物件のホテル運用も可能です。観光客向けに短期賃貸を繰り返せば、通常の賃貸運用を続けるよりも大きな利益を狙える可能性があります。その一方で、パタヤには、観光業やリゾート産業以外に目立った産業がない点はリスクです。

歓楽街やゴルフリゾートなどが産業の中心となっているパタヤでは、外交人観光客がいなくなると経済的な打撃を受けます。世界的な不況時やコロナなどによるパンデミックが起きた時などは、外国人観光客も減少するため、物件をホテル運用する場合は特に打撃を受けやすいものです。

パタヤの不動産に投資するのであれば、収益の柱としてではなく、分散投資先の1つとするにとどめてリスクヘッジを図るのが安全と言えます。

まとめ

タイ不動産投資では、経済的な影響が軽微に済む点において、首都バンコクが最も低リスクな投資先です。しかし、バンコクの中でも、中心部と外縁部とでは想定される入居者が異なるため、各エリアの特徴把握が重要になります。

シラチャやパタヤといった地方エリアで物件を選ぶ場合は、分散投資先の1つとして物件を選ぶなど、リスク分散の必要性がある点に要注意です。収益の安定性が外国人観光客や海外駐在員の動向などに左右されるため、状況次第では他の物件による穴埋めが必要になります。


 【無料】個別相談に申込む