タイは海外旅行先としても日本人に人気があるため、海外不動産に投資するのであればタイを候補に入れている人も多いのではないでしょうか。親日的な人も多く、タイは日本人になじみやすい特徴を持っていますが、不動産投資には注意すべきリスクもあります。
タイ不動産投資で注意すべき代表的なリスクと対策について、代表的なものを5つ解説します。
タイ不動産投資で注意すべきリスクと対策
タイの不動産投資で注意すべきリスクと対策について解説します。要注意のリスクは複数ありますが、そのほとんどは物件を購入する前の時点で対策可能です。
不動産会社に関するリスク
タイを含む新興国の不動産投資では不動産会社に関するリスクに要注意です。日本国内の不動産投資と比較すると、タイを含む新興国では情報の整備が道半ばとなっているところもあるため、不動産会社に関する情報を集めにくいと言えます。
不動産会社の見極めに失敗すると、詐欺にあってしまうリスクなどが上がります。具体的には、物件購入手続きの途中で中間金を支払ったものの、物件の引き渡しを受けられずに資金を持ち逃げされるなどです。
タイ不動産投資で不動産会社に関するリスクを軽減するためには、タイ国内で大手のデベロッパーや海外で上場しているデベロッパーなどを選ぶことが必要になります。そのほか、タイ国内での実績を多く持っている不動産会社を選ぶのも重要です。
経営体力のないデベロッパーやタイ国内で実績のないデベロッパーを選んでしまうと、物件の売れ行きが良くなかったときに、倒産や撤退してしまうことなどが考えられます。
新築コンドミニアムの竣工リスク
タイでは外国人による土地の所有が認められていません。このため、タイ不動産投資では、土地と建物とで所有権が切り離されるコンドミニアムが主な投資対象となります。また、タイでは中古不動産の市場整備が道半ばとなっているため、新築物件に投資するケースが大半です。
タイを含む東南アジアでは、多くの場合、新築コンドミニアムは「プレビルド」と呼ばれる完成前の状況で販売されています。しかし、プレビルドの新築コンドミニアムに投資する場合は、物件が完成せずに引渡しを受けられない竣工リスクに要注意です。
会社規模が小さいデベロッパーが売主となっている物件では特に、工事中にあがった売上をそのまま工事費用に充当している自転車操業状態のプロジェクトも多くなっています。
自転車操業状態のプロジェクトでは、物件の売れ行きがよくないと、工事費用をまかないきれずに工事が中断されてしまうため要注意です。1度工事が中断されてしまうと再開される見込みは小さいうえに、支払済みの資金は返還されません。
タイ不動産投資で竣工リスクを軽減するためには、すでに解説したように、実績のある不動産会社を選ぶことが重要です。また、物件選びに際しても、できる限り売れ行きの良い物件を選ぶことが対策になります。
土地の所有権に関するリスク
すでに解説した通り、タイでは外国人による土地の所有が認められていません。物件の所有権は取得できるため、問題ないと思う人もいるかもしれませんが、コンドミニアムを購入する前に土地の所有権について確認することが重要です。
物件開発元のデベロッパーが土地の所有権を持っている場合は特に問題ありません。しかし、デベロッパーとは別の第三者が土地の所有権を保有していて、リースとなっている場合は要注意です。
土地の所有権がリースとなっている場合は、リース契約満了時に契約が更新されず、建物の所有権を維持できないことも考えられます。また、投資家が購入した物件を売却する場合にも、リース契約の残存期間によって売却価格を下げざるを得ないので要注意です。出口戦略も考慮すると、土地の所有権がリースになっている物件は購入しないほうが賢明といえます。
エリア選定と空室リスク
国際連合の統計によると、タイにおける2015年~2020年の平均人口増加率は0.3%となっており、東南アジアの新興国の中では低めです。日本ではすでに人口減少が始まっており、同時期の人口増加率が-0.2%となっているため、日本と比較すればタイの人口増加率は高くなっています。
※参照:国際連合
しかし、タイ全体の人口増加率があまり高くない状況を考慮すると、タイ不動産投資では人口が集まっている首都バンコクで物件を選ぶほうが安全です。また、2021年時点では、バンコクの中でも外縁部では鉄道の整備など都市開発が道半ばとなっており、賃貸需要が高いとは言えません。
タイ不動産投資においてバンコクで物件を選ぶのであれば、アソーク駅やプロンポン駅といった中心部で物件を選ぶほうが空室リスクを軽減可能です。
なお、今後近隣に新駅が完成するという触れ込みで販売されている物件も少なくありません。しかし、タイを含む新興国では、公共工事であっても工期の遅れに留意が必要です。
年単位で工事が遅れることも多いため、物件が予定通り完成しても、駅の完成が遅れて空室期間が長期化することもあります。
資産価値が低下するリスク
タイ不動産投資では、物件のメンテナンス不足による資産価値の低下に要注意です。日本では区分マンションの管理について法律が整備されているため、極端なメンテナンス不足で物件が劣化する例は多くありません。
しかし、タイでは集合住宅の管理という考え方はあっても、建物のメンテナンスについて、日本ほど十分な計画が策定されているとは限りません。
メンテナンス不足による資産価値の低下は、出口戦略における物件の売却価格に影響します。キャピタルゲイン狙いの投資で物件を購入したものの、思ったほどの価格で売却できないことも考えられるため要注意です。
物件を選ぶ際には、建物メンテナンスの請負業者や修繕計画などについて確認することも重要になります。最適なメンテナンスの計画は物件によって異なるため、一概に適切な頻度を判断することはできませんが、できる限り計画が明確になっている物件を選ぶことがリスク軽減につながります。
まとめ
タイを含む新興国の不動産投資では失敗例も多く聞かれますが、失敗例の大半は事前の調査不足によるものです。不動産会社・物件の立地・メンテナンスの計画などを調べることで、リスクのほとんどを軽減できます。なお、タイには日本人が経営する不動産会社も多いので、日系の不動産会社を選べばコミュニケーションの不安もなく事前の調査が容易です。