不動産投資で狙える利益には、家賃収入によるインカムゲインと、物件の売却によるキャピタルゲインとがあります。キャピタルゲインを狙うためには、人口が増えている・経済が伸びているなど、物価が上昇していく背景を持ったエリアで投資することが必要です。

この記事では、海外不動産投資でキャピタルゲインを狙える将来性の高い国はどこなのか、人口増加率や年齢など様々な統計を用いて検証します。

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人口増加率が高い国は?

不動産投資でキャピタルゲインが狙えるエリアを判断するためには、人口増加率は優先的に確認すべき指標です。人口が増加するエリアでは、住宅需要の拡大に伴う値上がりを期待できます。

先進国の人口増加率

国際連合の統計によると、日本を含む先進国の人口増加率は以下グラフの通りです。社会がすでに成熟している先進国では、全体的に人口増加率が低めになっています。


参照:国際連合

取り上げた5ヶ国の中では、オーストラリアの人口増加率が最高となっています。なお、日本とポルトガルは人口増加率がマイナスとなっているほか、アメリカとイギリスも1%に達していません。なお、グラフには入っていませんが、ドイツの人口増加率が0.5%でフランスは0.3%です。特に、日米欧の先進国では、直近でも人口増加率が1%を超えている国は少ないと言えます。
先進国で投資先を選ぶ場合は、都市ごとの人口推移も確認するなど、ミクロ視点での統計確認が必要です。

新興国の人口増加率

東南アジアを中心とした新興国では、人口増加率は以下グラフのようになっています。先進国と比較すると、全体的に高めで推移しているのが特徴的です。

参照:国際連合

比較している中には、人口増加率がマイナス推移している国はありません。また、タイを除いた4ヶ国では1%を超えて推移しています。やはり、投資先としての将来性は、先進国よりも新興国のほうが高いと言えます。

人口増加は衣食住のニーズを拡大し、全般的な産業の発展につながっていくためです。特に、生活に直接的な関わりのある住宅需要は、人口が大きく増加している国では飛躍的に拡大していきます。

人口密度が高い国は?

人口密度は、例えば集合住宅投資を検討するときに役立つ指標です。人口密度が高い国では、集合住宅に投資した場合の空室リスクが下がります。その一方で、人口密度が低い国では、戸建住宅も視野に入れつつ物件を探すのがおすすめです。

先進国の人口密度

先進国における2018年の1㎢あたり人口は以下グラフの通りです。

参照:世界銀行

日本やイギリスなど国土の狭い島国では、人口密度が低くなっていることがわかります。特に国土が広いアメリカや、オーストラリアなどは人口密度が低めです。人口密度が低いということは、人口が散らばっていることを意味しています。このため、人口密度が低い国では、エリアごとの人口について入念に確認することが重要です。

例えばアメリカでは、州都であればどの都市でも必ず低リスクというわけではありません。アメリカ全体では人口は増加しているものの、州によっては減少しているエリアもあります。そのほか、アメリカでは、ニューヨークやロサンゼルスなど一部の都心を除くと、住宅の中心的な選択肢は戸建て住宅です。人口密度の高低とメジャーな住宅種別は大きな関わりがあります。

新興国の人口密度

東南アジアの新興国では、2018年の1㎢あたり人口は以下グラフのようになっています。

参照:世界銀行

比較している5ヶ国の中では、フィリピンの人口密度の高さが際立っています。フィリピンの人口密度は357.7人/㎢で、日本の347.1人/㎢を上回っている状況です。また、日本は人口増加率がマイナスになっているものの、フィリピンはプラスで推移しているため、フィリピンの人口密度は今後も上がると予測されます。
人口密度が300を超えているフィリピンやベトナムでは特に、コンドミニアムへの投資は理にかなっています。その一方で、アメリカやオーストラリアほどではないものの、マレーシアとカンボジアでは人口密度が比較的低めです。マレーシアとカンボジアでは、人口が集中する首都に絞って物件を探す方が、後々の空室リスク軽減につながります。

年齢が若い国は?

つづいて比較するのは各国の年齢中央値です。年齢中央値が若い国は、20代など生産年齢人口が多いため、住宅需要の拡大に伴うキャピタルゲインを期待できます。

先進国の年齢中央値

先進国の2020年推計年齢中央値は以下グラフの通りです。40歳前後の国が多く、社会的に成熟している先進国では年齢中央値も高くなることが読み取れます。


参照:The World Factbook 2021. Washington, DC: Central Intelligence Agency, 2021.

比較している5ヶ国のうち、日本以外の4ヶ国では移民を受け入れています。なお、「人種のるつぼ」とも言われるアメリカは、移民が特に多くなっています。アメリカでは年齢中央値が38.5歳と40歳を下回っており、先進国の中では比較的若い点が特徴的です。移民受け入れが進んでいる国では若い人が多くなると考えられます。

新興国の年齢中央値

新興国の2020年推計年齢中央値は以下グラフの通りです。20代〜30代が中心で、タイを除くと先進国よりも10歳前後若くなっています。

参照:The World Factbook 2021. Washington, DC: Central Intelligence Agency, 2021.

フィリピンとカンボジアは25歳前後で、特に若さが際立っています。また、人口増加率を見ても、フィリピンは1.4%・カンボジアは1.5%と高水準です。人口や年齢から判断すると、フィリピンやカンボジアは特に国としての伸び代が大きく、今後キャピタルゲインも狙いやすい環境が整っていると言えます。

フィリピンとカンボジア以外ではタイも特徴的です。タイの年齢中央値は39歳で、他の東南アジア諸国よりもだいぶ年齢が高くなっています。また、38.5歳のアメリカを上回っていることもあり、タイでは他の国よりも今後の高齢化が予測されます。

国民1人あたり所得が高い国は?

最後に、国民1人あたりの所得を各国で比較します。高所得の国では、現地住民の入居を期待できるほか、物件の売却先に関しても現地住民をターゲットにできる点で有利です。

先進国の国民所得

先進国における2018年の国民1人あたり所得は以下グラフの通りです。

参照:世界銀行

比較している5ヶ国の中では、アメリカが最も高所得でオーストラリアが続いています。アメリカとオーストラリアに続く日本とイギリスは、ほぼ同程度の水準です。
ポルトガルは近年移住先として世界中から注目を集める国ですが、国民所得を比較すると、日本やイギリスの半分程度となっています。所得の低さは物価の安さにもつながります。ポルトガルは、移住先としては生活しやすい環境が整っています。

新興国の国民所得

新興国における2018年の国民1人あたり所得は以下グラフの通りです。

参照:世界銀行

先進国と新興国とを分けるためにはGNIも基準にされます。OECD(経済開発協力機構)は3年ごとに「ODA(政府開発援助)受け取り国のリスト」を発表しています。ODA受け取り国のリストに載っている国は、先進諸国からODAを受けられる国であり、新興国と呼んで差し支えありません。リストに掲載されるのは、国連による分類に基づくほか、GNIが$12,235を下回る国です。

マレーシアは、すでにGNIが$10,000を超えており、先進国に近い位置にあると言えます。その一方で、フィリピン・ベトナム・カンボジアなどはまだ$5,000を下回る水準であり、伸び代が大きい状況です。
フィリピン・ベトナム・カンボジアなどの国では、今後の経済発展に伴ったキャピタルゲインには大きな期待がかかります。その一方で、入居者探しに関しては外国人を狙った戦略も必要です。

まとめ

フィリピンやカンボジアは特に、人口増加率が高い水準で維持されているほか、国民の年齢も25歳前後と若くなっています。他の国と比べると今後の伸び代が大きいため、フィリピンやカンボジアでは特に、キャピタルゲインを狙った投資が可能です。

そのほか、統計的にはマレーシアもキャピタルゲインを期待できます。人口増加率が1%を超えているほか、年齢もまだ30歳に達していないためです。その一方で、先進諸国は社会的・経済的に成熟しているため、全般的なリスクは低いものの、エリア・物件の見極めには慎重な判断を要します。

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