近年、移住先として高い人気を誇るニュージーランド――。「治安のよさ」や「気候のよさ」、「自然豊かな環境」など、ニュージーランドには人の心を惹きつけてやまない魅力がたくさんあります。「観光目的で短期滞在するだけではなく、移住を視野に長期滞在したい」という方も増えているのではないでしょうか。そこで、本記事ではニュージーランドに長期滞在するために必要なビザの種類と、永住権が取得できる条件についてご紹介します。

1 ニュージーランドの主なビザ

まず最初に、ニュージーランドのビザについて概観しましょう。ニュージーランドに3カ月以上滞在するには、目的に応じてビザを取得する必要があります。「就労ビザ」「学生ビザ」「訪問者ビザ」などさまざまな形態がある中から、各自の用途に即したものを、ニュージーランド移民局(Immigration New Zealand)に申請して、取得します。では、どのような種類のビザがあるのでしょうか。

1-1 3カ月以内はビザ不要

ニュージーランドは、滞在期間が3カ月以内であればビザは不要です。ただし、2019年10月よりルールが変わり、3カ月以内であっても「NZeTA(電子渡航認証)」の申請が必要となりました。オンラインでの申請が可能ですが、申請と同時に「IVL(国際観光税)」を支払うルールに変わっています。

1-2 訪問者ビザ

長期観光などを目的に3カ月以上滞在したい場合は、訪問者ビザを申請する必要があります。就労はできませんが、9カ月を上限としてニュージーランドに滞在することができます。家族や友人の家にロングステイするなど、長めの滞在に活用されるビザです。

1-2 学生ビザ

3カ月以上の就学を希望する場合は、学生ビザを取得します。すでに入学が決まっている人が対象で、取得のためには「入学許可証」「学費支払い証明書」「滞在先宿泊証明」などが必要です。入学先の決まった留学生が活用するビザで、有効期間は学費が支払われた期間となります。

1-3 ワーキングホリデービザ

ワーキングホリデー制度については、ご存知の方も多いでしょう。18~30才の若者を対象に、1年間を限度として働きながら観光できる制度です。あくまで観光を主目的にし、それをまかなうための就労も認めるという意味合いのビザです。

1-4 就労ビザ

ニュージーランドでフルタイム正社員のような働き方をする場合、就労ビザを取得します。就労ビザには、いくつか種類があります。ニュージーランドへの留学生が現地で働くことを希望する場合には「新卒者用ジョブサーチビザ」、外国人でなければ就きにくい仕事に適用される「テンポラリーワーク」、海外企業がニュージーランドに移転する際に活用される「ビジネスリロケーション就労ビザ」、永住ビザへのステップとして発給される「永住暫定就労ビザ」などがあります。

「永住暫定就労ビザ」は、「LTSSL」というニュージーランドが求めている分野での技術者や文化人、スポーツ選手などに発行されます。就労ビザの有効期間は、学歴、職歴、実務経験、雇用先などに応じて、1年から3年程度です。

1-5 リタイアメントビザ

ニュージーランドのリタイアメントビザには、「テンポラリー・リタイアメントビザ」と「ペアレント・リタイアメントビザ」の2種類があります。

テンポラリー・リタイアメントビザは、裕福なシニア向けのビザです。次の条件をすべて満たす場合に取得できます。条件とは、「66歳以上」「移民局が認める投資先に75万NZドル(日本円換算で約5316万円)の投資を2年間行うこと」に加え、「申請時に、年間不労所得が6万NZドル(日本円換算で約425万円)あること」「滞在資金として50万NZドル(日本円換算で約3544万円)あること」です。さらに健康上問題がないことや、移民局の指示する保険への加入も求められます。これらすべての条件を満たす場合は、2年間のビザが発行され、2年経過後も条件を満たせば更新が可能です。

また、ペアレント・リタイアメントビザは、ニュージーランド国籍の子供(永住権・市民権を持つ子供も含む)を持つ親であれば、次の条を満たせば取得できます。「100万NZドル(日本円換算で約7000万円)の投資を4年間行うこと」「申請時に、年間不労所得が6万NZドルあること」「滞在資金として50万NZドルあること」です。4年間の投資が満了すれば、永住権の申請が可能となります。なお、ペアレント・リタイアメントビザには、年齢制限がありません。

1-6 パートナービザ

婚姻関係の有無や性別に関係なく、ニュージーランド国籍、永住権・市民権保有者、あるいは学生・就労ビザ保有者と長期間の安定した恋人関係にあれば、パートナービザを申請できます。相手がニュージーランド国籍か永住権・市民権の保有者で、パートナー関係が1年以上であれば、永住権を取得することも可能です。ただし、純粋かつ継続的なパートナーシップを移民局に対して証明する必要があります。永住権取得目的の偽装パートナーは認められません。確認のために、2人のフォトアルバムや身近な人からの推薦状などの物的証拠を提出する必要があります。

2 ニュージーランドで永住権を取得するには・・・ 

「ビザ」の場合、それぞれの種類に応じて滞在期間の上限がありますが、期間の定めなく半永久的に暮らせる権利が「永久権」です。ニュージーランドの永住権は、一度取得してしまえば、一定期間経過後は、一生消えることがありません。これを取得する方法として、「技術移民」「起業家」「投資移民」「家族」の4つのカテゴリーがあります。それぞれの取得条件を見てみましょう。

2-1 技術移民カテゴリー

技術移民カテゴリーは、ニュージーランドが求める技術や資格を保有する人に対して、永住権を与える仕組みです。ポイント制が導入されており、年齢、就労経験、資格、ニュージーランドでの専門性の高い仕事のオファーがあるかなどで、自身のポイント(EOIポイント)が決まります。総合得点が一定数以上であれば、永住権取得の申請が可能。ただし年齢制限があり、20歳以上55歳未満が対象で、健康的かつ犯罪歴がないこと、十分な語学力を有することが必須条件となっています。

2-2 起業家カテゴリー

起業家カテゴリーは、ニュージーランドの発展に寄与するような革新的で高成長な事業を立ち上げる人を対象に、永住権を与える仕組みです。一般的な流れとしては、まずは「就労ビザ」で2年程度助走し、成果が出てきたら「永住権」へと切り替えることが多いようです。永住権を取得するためには、「事業開始6カ月後申請」と「事業開始2年後申請」の2パターンがあり、それぞれに売上や雇用状況などに関する細やかな条件があります。

2-3 投資移民カテゴリー

豊富な資金をお持ちなら、投資移民カテゴリーが、もっとも永住権を得るための近道でしょう。投資移民カテゴリーには、投資額に応じて2パターンあります。1つ目のパターンは、「1,000万NZドル(日本円換算で約7億8000万円程度)の投資を最低3年間続けること」と、「3年間のうち最後の2年に、年間最低44日ニュージーランドに滞在すること」が条件です。

2つ目のパターンは、「65歳以下」で「3年以上の事業経験年数があり」、「帯同家族を含め一定の英語力があること」。さらに、「300万NZドル(日本円換算で約2億1200万円)の投資を4年間続けること」と、「4年間のうち最後の3年に、年間最低146日ニュージーランドに滞在すること」が条件です。

2-4 家族カテゴリー

ニュージーランド国籍、あるいは永住権や市民権を保有する人の家族(パートナー・両親・子供)であれば、家族カテゴリーで永住権申請ができます。パートナーの場合は、婚姻の有無に関わらず、1年以上のパートナー関係が必要です。子供の場合は、16歳以下、あるいは17~24歳の未婚者が対象です。また、両親の場合は、その扶養義務を負う17歳以上の子供

がスポンサーになる必要があります。このカテゴリーは、すでにニュージーランド国籍か永住権を持つ人が、家族をニュージーランドに呼びよせたい際などに活用できます。

 ※「日本円換算額」は2020年1月30日時点。「年齢制限や投資額下限などの各種数字」も、すべて2020年1月30日時点。法改正が多いため、今後変更の可能性もあり。

5 まとめ

いかがでしょうか。国によって少しずつ異なる条件を持つビザや永住権。ニュージーランドもさまざまな方法で、永住権獲得が可能です。ただし、永住権を求める人の数が増大していることから、少しずつ条件は厳しくなっているという話もあります。もし本気で永住権取得を目指すなら、早めに動いたほうがよさそうです。

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