「日本からの距離が近いこと」「物価が安いこと」「滞在ビザが取得しやすいこと」などから、移住先として人気があるフィリピン――。しかし、一概にフィリピンといっても、さまざまな地域に分かれ、特色もばらばらなので、どこに住むべきなのかが分かりづらいとの声も。そこで、本記事ではフィリピンの移住先としておすすめするエリアを、その特徴とともに紹介します。
フィリピン移住におすすめのエリア<3選>
まずは、フィリピンについて概観しましょう。フィリピンは大小合わせて7000以上の島々からなる島国です。主要な島は「ルソン島」「ミンダナオ島」「ビサヤ諸島」で、フィリピンの国旗に描かれた3つの星は、これらの島を象徴しています。気候は、熱帯性なので年間を通して暖かく、湿度は高めです。年平均気温は26~27℃で安定していて、気温差はほとんどありません。
東京・羽田とフィリピン・マニラ間は、飛行機で約4時間30分の距離。時差は約1時間と、差はほとんどありません。フィリピンの公用語は、タガログ語(フィリピン語)と英語。過去にアメリカの植民地となった歴史的背景から、英語が公用語化しています。意外なことにフィリピンは、アメリカ、イギリスに次いで、3番目に英語の話者が多い国でもあります。経済成長率に関しては、非常に伸びています。ここ数年のフィリピンの国内総生産(GDP)伸び率は5〜6%台。日本とは比べようもない高さです。
それでは、おすすめのエリア紹介に入りましょう。
【1】 都会に住みたいなら、経済都市「マニラ」へ
1カ所目は、北側に位置するフィリピン最大の島、ルソン島にある首都マニラです。マニラは、東南アジアの中でも急速な経済成長を遂げる都市のひとつ。人口はもちろん、進出するグローバル企業も増えています。マニラで成長している産業が、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業です。BPOとは、企業がコアビジネス以外の周辺業務を切り出して、外部企業に委託することですが、マニラは「外部委託先」として機能しています。とくに、フィリピン人の高い英語力を活かして、大企業のコールセンターが集まりつつあります。
マニラの中でも高級なエリアとして知られているのが「マカティ」です。フィリピンの財閥アヤラ・グループが開発したエリアで、高層ビルが立ち並んでいます。高級ホテル、巨大ショッピングモール、デパートなども多く、日本人駐在員もたくさん住んでいるため、日本人にとっては安心できるエリアでしょう。シティバンク、マイクロソフト、インテル、ネスレなどのグローバル企業も多く立地しています。
マカティの東に広がる「ボニファシオ・グローバルシティ(BGC)」もおすすめです。「近未来都市」を目指してアヤラ・グループが開発するエリアで、街全体が新しくて綺麗です。治安も非常によく、安心して暮らすことができます。インターナショナルスクールも豊富にあるので、教育環境も抜群。日本製品や日本食を提供しているお店もたくさんあります。
進化する大都市に住みたいならマニラがおすすめ。ビジネスレベルの英語力があれば、仕事を探すのも比較的容易でしょう。
【2】 海辺で暮らしたいなら、ビーチリゾート「セブ島」へ
2カ所目は、フィリピン中部のビサヤ諸島にあるセブ島です。セブ島は南北225kmに伸びる細長い島で、アジア屈指のリゾートアイランドとして知られています。日本人学生の留学先としても高い人気を誇り、現地には数多くの語学学校があります。広いセブ島の中で、市街地として発達しているのは、「セブシティ」です。「Queen City of the South(南部の女王)」との愛称で親しまれ、マニラに次ぐ第二の経済圏を形成しています。マニラと同様にBPO事業がさかんで、外資系企業も数多く立地しています。
セブシティに隣接し、橋でつながっているのが「マクタン島」です。ここは、セブ島の玄関口であるマクタン・セブ国際空港を島内に持ち、ビーチリゾートが充実しているエリアです。高級ホテルリゾートが集まっているのも、実はこのマクタン島。この島のビーチサイドには、外資の高級ホテルが立ち並んでいます。スキューバダイビング、ウインドサーフィン、パラセーリングといったマリンスポーツのほか、島々をボートでまわるアイランドホッピングも人気。スパやエステ、ゴルフ場、カジノも揃っています。
セブ島の魅力は、フィリピン第二の経済圏を持ちながらも、世界屈指のリゾートアイランドがあること。国際空港もあり、日本からの直行便が就航する利便性も魅力です。「フィリピンに移住するなら、大都会よりもリゾート地がいい」「ゆっくりとビーチリゾートを楽しみたい」という方には、セブ島がおすすめです。
【3】 涼しさを求めるなら、高原の避暑地「バギオ」へ
3カ所目は、フィリピンの避暑地として人気が高い高原都市バギオです。バギオはマニラと同じルソン島にあり、マニラからはバスで約6時間。標高1500メートルの山岳地帯にあるため、熱帯性気候のフィリピンでも比較的涼しいエリアです。最高気温も26度程度。近くにはユネスコの世界遺産に登録されている「コルディリェーラの棚田群」があり、観光資源も豊富です。
マニラやセブシティと比較すると「田舎」ではありますが、バギオは単なる山岳地にある田舎町とは少し違います。ここは、かつてアメリカがフィリピンを支配していた時代に、アメリカ軍の避暑地として計画的に整備されました。そのため、今でも真夏にセレブが集う避暑地として機能しています。夏のもっとも暑い時期には、マニラから大統領府をはじめとした政府主要機関がバギオに移動します。そのため、「サマーキャピタル(夏の首都)」とも呼ばれています。最近は、日本からの語学留学生も増えているそうです。
この辺りは山に囲まれているため、ハイキングや登山を楽しめるスポットも満載。「アウトドアが好き」「海よりも山派」という方には、存分に楽しめる場所でしょう。物価もマニラやセブ島よりも安く、日本と比較すると三分の一程度。ポテトチップス一袋が30円程度で手に入ります。「フィリピンに移住したいけれど、暑いのは苦手…」「海よりも自然ゆたかな山に囲まれて暮らしたい」という方におすすめです。
マニラ・セブ・バギオ以外で、おすすめのエリアは?
その他のおすすめエリアについて、簡単にご紹介します。まず、国際空港もある「クラーク」です。マニラからバスで約2時間の位置にあり、もともとはアメリカ空軍の駐屯地でした。「リトル・カリフォルニア」との異名を持ち、アメリカ人がたくさん暮らしています。
次に、ミンダナオ島の主要都市「ダバオ」を紹介します。ダバオは、マニラ、セブに次ぐ第三の経済圏を形成しています。かつて日本人がたくさん入植したことから、日系人が数多く暮らすエリアです。現大統領のドゥテルテ氏の地元であることから、今後、開発に拍車がかかる可能性もあるでしょう。
まとめ
経済発展が著しい「マカオ」、世界屈指のビーチリゾートを堪能できる「セブ島」、山岳地帯にある夏の避暑地「バギオ」――。3つのエリアを中心に紹介しましたが、移住してみたいエリアは見つかったでしょうか。旅行先・移住先として高い人気を誇るフィリピン。もしフィリピンへの移住を本気で考えるなら、フィリピンのビザについて紹介した(こちらの記事)もご覧ください。