目覚ましい経済成長を遂げている東南アジア。マレーシアやフィリピン、ベトナム、タイなどへの不動産投資が活発です。ただし、新興国ならではの、不動産投資におけるリスクが常に付いてまわります。一方、先進国アメリカなら、そんなリスクを負わずに、透明性のある信頼できる海外不動産投資を行うことができます。しかし、「アメリカでの海外不動産は、いまだにメリットがあるの?」と疑問を持つ方もいるはず。そこで今回は、これからもアメリカへの海外不動産投資を行うべき理由をご紹介していきます。

1 アメリカの不動産がなぜこれからも好調なのか

1-1 アメリカの不動産価格は上昇中

アメリカの不動産価格を表すS&Pケースシラー全米住宅価格指数(アメリカ主要10都市における、一戸建て住宅価格の再販価格を調査)によると、2012年以降アメリカの不動産価格は上昇しています。そのため、不動産を取得してから数年で売却し、キャピタルゲインを得ることができます。家賃も上昇傾向にありますので、長期保有によるインカムゲインも見据えられるのです。

1-2 日本とアメリカの住宅への考え方

アメリカでは住宅を耐久消費財ではなく、重要な貯蓄手段として考えています。そのため、適切に維持・管理されている住宅は、中古物件であっても高額で取引されます。また、中古物件を高く評価するための方法も確立されています。中古物件だと当然のように住宅価格を下げる日本の市場とは、考え方がちがうのです。また、アメリカではライフスタイルの変化によって、住み替えが積極的に行われていますので、住宅市場が活発で価格が上昇しているのです

1-3 人口がこれからも増加するアメリカ

住宅市場が活発でも、日本のように人口減に転じてしまうと市場は縮小していきます。しかし、アメリカの人口はこれからも増加すると予想されています。

2050年には人口が3億8,886万人になるという、国連のデータも。アメリカの人口増加には、移民政策が深く関わっていますので、予想通りの増え方にならない可能性があります。しかし、まったく増えていかないということは考えられませんので、これからも人口増加と共に不動産市場は拡大していくでしょう。

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※国連調べ

2 アメリカの不動産が信頼できる理由

2-1 アメリカの不動産は細かく調べられる

アメリカでは物件情報の公開を義務付けており、情報独占によって物件価格をつり上げるポケットリスティング(物件情報の囲い込み)が禁止されています。そのため、物件情報システムMLS(Multiple Listing Service)によって、アメリカの不動産取引の詳細がインターネットですべて確認できるのです。

日本ではREINSという、不動産業者間物件情報交換ネットワークシステムが使用されています。しかし、このネットワークでは住所や価格帯、間取りなど、不動産広告の物件概要程度の情報しか調べることができません。日本と比べても、アメリカは圧倒的に不動産情報がオープンになっているのです。

2-2 物件情報システムMLSとは

アメリカの不動産情報が集約されているデータベースがMLSです。アメリカの不動産業者はMLSから、どんな物件があるかを検索します。アメリカには地域によって、MLSを提供する大小様々なMLS組織があります。その組織に会費を納めて加盟することで、MLSを閲覧できるようになります。一般の方々はそのMLSに加盟した不動産業者経由で、物件情報を見ることとなりますので、会費を納める必要はありません。

2-3 物件のどんな情報が見られるのか

MLSからは物件の過去から現在の価格推移から、土地の広さ、間取り、物件写真、登記情報、公図、所有者名、修繕履歴、売買履歴、学区、周辺の人口データ、災害リスク、引っ越し費用の見積、固定資産税額などが見られます。そういった詳細なデータを調べられるからこそ、物件に対する適切な評価を行うことができるのです。

2-4 不動産の透明性は、世界に認められている

250年以上の歴史を誇るイギリスの世界的総合不動産サービス会社のジョーンズラングラサール社が、2年ごとに世界の国々の不動産に関する透明度を公表するグローバル不動産透明度インデックスというものがあります。その中で、アメリカは2018年度第3位になっています。透明度(高)に分類されている11カ国は、非常に高い評価です。日本はその下のカテゴリーとなっており、アメリカとの差が伺えます。

3 エスクロー会社によって、安心して取引

3-1 中立な立場で手続きを行う

アメリカと日本の不動産取引のちがいは、エスクロー会社の有無です。エスクロー会社は州政府により、不動産の証書受託業務に携わることを許された公正中立な民間の第三者機関。アメリカでは不動産の買い手と売り手の間にエスクロー会社が入り、不動産取引での金銭と権利の譲渡に関わる証書の管理や法的手続きなどを行っています。

3-2 不動産取引でエスクロー会社ができること

・金銭の受領と保管(手付金、売買代金など)
・タイトルレポートの内容確認
・抵当権などの解除
・クロージングステートメントの作成
・売り主や仲介業者への購入代金の分配
・譲渡証書の保管
・登記申請
など

エスクロー会社が入ることによって、不動産取引の細部における透明性の確保と預託金の保全が可能です。だからこそ、リスクのある海外不動産投資でも、安心して行えるのです。

3-3 不動産取引の効率化も実現

不動産取引の決済時には、不動産に関わる人(不動産業者や仲介業者、弁護士など)が出席し、様々な確認業務を日本ではしなければなりません。しかし、アメリカではそれらの作業をエスクロー会社が代行できます。そのため、売り手と買い手のそれぞれの関係者が決済時にその場にいなくても、不動産取引を成立させられるのです。

4 まとめ

海外不動産投資をしようと考える際に、どうしても経済成長が著しい国の不動産が魅力に映ってしまいます。しかし、アメリカは先進国の中でも数少ない、これからも不動産市場の拡大が予想されている国です。しかも、不動産取引のシステムが構築され、その透明性も世界から認められています。新興国一点張りの海外不動産投資ではなく、アメリカなどのメリットが見込める先進国も、併せて検討することをオススメします。